ナガノパープル【ナガノパープル】(果樹)
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登録番号 | 第12074号 |
登録年月日 | 2004年 6月 4日 | |
農林水産植物の種類 | ぶどう | |
登録品種の名称及びその読み | ナガノパープル よみ:ナガノパープル |
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品種登録の有効期限 | 25 年 | |
育成者権の消滅日 | ||
品種登録者の名称 | 長野県 | |
品種登録者の住所 | 長野県長野市大字南長野字幅下692-2 | |
登録品種の育成をした者の氏名 | 山下裕之、峯村万貴、羽生田忠敬、茂原泉、塚原一幸、臼田彰、小松宏光、宮澤孝幸、田尻勝博、飯島貞次、馬場孝幸 | |
登録品種の植物体の特性の概要 | ||
この品種は、「巨峰」に「ロザリオ ビアンコ」を交配して育成されたもので、果皮の色が紫黒、果粒が円で中粒の育成地(長野県須坂市)では9月上旬に成熟する早生種である。樹の広がりは中、樹勢は強である。熟梢の太さは太、色は黄褐、節間横断面の形は楕円、表面の形状は細溝あり、幼梢先端の色は赤~紫赤、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は中、花性は両性、花粉の多少は中である。成葉葉身の形は五角形、裂片数は5片、葉身横断面の形は波打ち、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻及び成葉上裂刻の一般的な形は重なる、成葉の大きさは大、上面の色は暗緑、葉柄の色は淡紅、成葉の下面葉脈間の綿毛の密度は無~極粗、下面主脈上の綿毛の密度は粗、葉柄の綿毛の密度は無~極粗、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太さは中である。穂梗の太さは太、長さは長、色は淡緑である。果房の形は有岐円錐、大きさは小、長さは長、着粒の粗密は粗、果梗の太さは細、長さは中、色は黄緑である。果粒の形は円、大きさは中、果皮の色は青黒又は紫黒、果粉の多少は多、果皮の厚さはやや薄、果皮と果肉の分離性は難、果肉の色は不着色、肉質は崩壊性、甘味は高、酸味は少、渋味は無~極少、香気はフォクシー、果汁の多少は多、種子の数は少、形は短、大きさは中である。発芽期及び開花期は中、成熟期は早で 育成地においては9月上旬である。果実の着色の難易は中間、花振いの多少は多、無核果粒の混入はかなり多、裂果の多少はやや少、果梗の強さは強、果梗と果粒の分離は難である。「巨峰」及び「ピオーネ」と比較して、果粒の形が円であること、果粒が小さいこと等で区別性が認められる。 | ||
登録品種の育成の経過の概要 | ||
この品種は、平成2年に長野県果樹試験場(須坂市)において、「巨峰」に「ロザリオ ビアンコ」を交配し、その実生の中から選抜、以後、増殖を行いながら特性の調査を継続し、13年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。 |
ナガノパープル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 17:56 UTC 版)

ナガノパープルは、長野県で生成開始され2004年に品種登録されたブドウである。[1]
背景
ぶどうは雨に弱く、雨粒にあたることで裂果が発生してしまう。戦後、雨の多い日本で栽培されてきたのは「デラウェア」、「キャンベルアーリー」などの病害にも強い米国ブドウ(ラブルスカ種)が中心であり、これらの米国ブドウが持つ独特のフォクシー香は日本人にとってもいわゆる「ぶどうジュースの風味」として親しまれている[2]。しかし、米国ブドウは皮が硬く、生食用ブドウとして望ましい肉質を持つ品種は、ほとんどが欧州ブドウ品種(ヴィニフェラ種)である[3]。日本の気候に合った日本のぶどうを生み出そうと、戦前から研究を続けた農学者大井上康が生み出したのが巨峰(米国ぶどうと欧州ぶどうのと掛け合わせ)であった。
しかし、革新的な品種であった巨峰も皮が厚く、欧州ブドウのように皮ごと飲み込むことはできない(欧州ブドウと米国ブドウを交配しても、子の特性はその中間のものとなる[4] )。一方、輸送技術の発達で日本人の食生活も変わりゆく中、消費者の食生活も向上し[5]「ブドウは食べたいけど、皮をむいたり種を出したりするのが面倒」という消費者の声の高まりはますます強くなっていく[6]。産地間の競争が激しくなる中、1998年公布の種苗法で品種登録制度による育成者権の付与は地域の果樹研究に拍車をかけることになった。
概要
先行して品種登録されていた大粒ぶどう、ピオーネ(1973年)、藤稔(1985年)に続き、ぶどうの主要産地である長野県でも「大粒で種無しの独自品種」を目標として育種試験が始まり、1992年に育成開始、2004年に品種登録となったのがこのナガノパープルである。巨峰とリザマートが両親となる大粒の黒系ぶどう[7][注釈 1] で、市場で多く親しまれている巨峰と見た目が似ているのに、種もなく皮ごと食べることができることが大きな差別化となった。
長野県外での育成と流出の懸念点
ナガノの名を冠している通り、当初は長野県内でしか育成ができなかったが、品種登録より十数年を経て2018年より県外での生産が許諾されることとなった。自家増殖して得た苗木を他人に譲渡することは種苗法で禁止されているが、譲渡にあたり何らかの認証を出すものではなく、個人売買アプリやオークションサイトでは匿名で購入することができてしまう。しかも、長野県により数十ページにわたる栽培マニュアルpdf[1]や良品生産留意点[9] などが広く公開されており、良質栽培を目的とした詳細なマニュアル公開によって無許可栽培も広くできてしまう現状となっている。ぶどうの苗木は見た目に品種まで見分けることは難しく、海外への品種闇流出も懸念される。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “ナガノパープル” (PDF). 長野県 (2022年3月1日). 2022年9月24日閲覧。
- ^ 秋山宣子 (2001年). “ワイン通なら知っている?「フォキシー・フレーバー」 ”. 福井新聞web . 2022年9月24日閲覧。
- ^ 果樹研・ブドウ・カキ研究部・育種研究室 (2001年). “米国および欧州ブドウにおける肉質の変異 ”. 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 . 2022年9月24日閲覧。
- ^ “果樹研究所 一押し旬の話題シャインマスカット ”. 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (2012年). 2022年9月24日閲覧。
- ^ 鷲巣力(2006)『宅配便130年戦争』
- ^ “その名を「ナガノパープル」と申します ”. JA長野県 長野県農業協同組合中央会 (2006年). 2022年9月24日閲覧。
- ^ 長野県須坂市産業振興部 農林課 (2022年8月9日). “「ナガノパープル」をご存知ですか? ”. 2022年9月24日閲覧。
- ^ “ぶどう「ナガノパープル」に係るDNA鑑定結果について” (PDF). 長野県 (2010年12月22日). 2022年9月24日閲覧。
- ^ “ナガノパープル 良品栽培留意点” (PDF). 長野県 (2022年3月1日). 2022年9月24日閲覧。
関連項目
外部リンク
- ナガノパープルのページへのリンク