神社 神社の概要

神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 15:05 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
出雲大社(神代創建と言われる、島根県出雲市
蒙疆神社昭和時代創建、張家口。写真は1952年のもので、当時はすでに廃社されていた)

概要

神社は日本固有の宗教である神道祭祀施設であるとされているが、その位置付けは時の政治の状況との関連もあり一定していない。律令国家においては式内社が国家による祭祀の対象として神祇官の統制下に置かれたが、その頃から既に式外社と呼ばれる神祇官の統制外にある神社もあったことは確実である。

近世においては仏教の施設となった神社や修験道陰陽道の影響下にある神社も存在していたが、一方で伯家神道吉田神道と言った他宗教からは独立した神道の神社もあった。近代になると神社は国家神道として神道系の宗教を含むあらゆる宗教から建前上は分離されたが、その位置づけには議論があった。宗教としての神道は教派神道として神社と分離された。

だが、現代においても神社の在り方はさまざまである。有名な神社であっても、難波神社鎌倉宮靖国神社伏見稲荷大社日光東照宮気多大社梨木神社新熊野神社富岡八幡宮など神社本庁との被包括関係を有せず、単立宗教法人として運営される場合がある。大きな単立神社は約2000社、宗教法人格を有さない小さな祠等を含めると20万社の単立神社がある[4]東大阪市のように宗教法人格を有している神社に限っても半数以上が神社本庁に属していない地域もある[5]。さらに神社本庁以外にも神社神道系の包括宗教法人がいくつかあり(神社本教北海道神社協会神社産土教、日本神宮本庁など)、これに属する神社は神社本庁の被包括関係には属さない。また、教派神道修験道陰陽道、神道系新宗教大和教団、大倭教等)や保守系の諸教(生長の家天照皇大神宮教等)に所属している神社も存在している。

祭祀対象

祭祀対象は神道であり、「八百万(やおよろず)」と言われるように非常に多彩である。神聖とされた山岳や河川・湖沼などから、日本古来の神に属さない民俗神、実在の人物・伝説上の人物や、陰陽道道教の神、神仏分離を免れた一部の仏教の仏神などの外来の神も含まれる。また稲荷や猿、鯨など動物を祭神とする神社、子孫繁栄の象徴として男根の像を祀る神社もある。一方、本来はある氏族がその実際の祖神を奉斎したもので、一社ごとに具体的な奉斎氏族がいたものと考えられる。例え祭祀対象の神が一見すると自然神や抽象神のように見えても、本来は具体的に実在した氏族の祖神祖霊崇拝)であったと考えられる[6]

古くは神聖な山、滝、岩、森、巨木などに「カミ」(=信仰対象、神)が宿るとして敬い、社殿がなくとも「神社」とした。現在の社殿を伴う「神社」は、これらの神々が祀られた祭殿が常設化したものとされる。神は目に見えないものであり、神の形は作られなかった。神社の社殿の内部のご神体は神が仮宿する足場とされた御幣や鏡であったり、あるいはまったくの空間であることもあり、さまざまである[注釈 1]

呼称

神社の名称

神社の名称の付け方は様々である。最も一般的なのは地名によるものである[注釈 2]

「〜坐神社」というのもある。また祭神名を冠するものも多い[注釈 3]。ほかに奉斎する氏族の名前を冠するもの[注釈 4]や祭神に関連する語句を冠するもの[注釈 5]、神社の種別を表すもの[注釈 6]・祭神の座数によるもの[注釈 7]などがある。また由来が不詳である神社名も少なくない[注釈 8]。稲荷神社や八幡宮など全国に広く分布するものは、それらの社名にさらに地名を冠することが多い[注釈 9]

天満宮は音読みで、八幡宮や浅間神社は音読みと訓読みの場合があるが、音読みで社号を読むのは仏教の影響である。天満宮は祭神である天満天神が仏教の影響を受けているため、漢語の社名となっている。八幡宮と浅間神社はいずれも本来は「やわた」「あさま」と訓読みしたが、神仏習合のもと仏教の影響で、音読みが定着した。

なお、原則として全ての神社を「〜神社」(宮号・神宮号を除く)と称するようになったのは近代になってからである。「〜明神」や「〜権現」などと神名を社号としたところや、「〜稲荷」「〜八幡」と「神社」の部分が省略されたところ、「〜社」としたところなどがあったが、全て原則として「〜神社」と称することになった。これを権現号の使用禁止と関連させて、排仏政策によるという指摘もあるが、国家が管理するうえでの都合と言う解釈もある。

近代においては終戦まで神社はいわば国家の施設であり、法令上の規則により、「神社」と認められるのに設備や財産などの条件があり、条件に満たないものは「神社」とされなかった。

社号

近世まで、固有名の部分を除いた「神社」「大社」「宮」などの社号に特別な基準はなく、一つの神社が状況によって異なる呼ばれ方をすることもあった。明治時代に神社が国家の管理下に入ると、公認されたもののみが「神社」を名乗り、大社・神宮などを名乗るには勅許などが必要とされた。終戦後には政教分離により国家、皇室が神社に直接関与しなくなったため、特に許可がなくても、大社、神宮を名乗れるようになった。

伊勢神宮に代表される神宮号は7世紀まで遡る古いものである。日本書紀に記された神宮号は伊勢神宮・石上神宮出雲大神宮のみだった。平安時代に編纂された『延喜式神名帳』では鹿島神宮香取神宮・大神宮が神宮とされた。明治以降、明治天皇を祀る明治神宮が創建されると、他の天皇を祀る神社も順次神宮に昇格した。こうして、歴史上の人物を祀る神社で、天皇を祀るものを神宮皇族を祀るものを、功臣等を祀るものは神社とされた。しかし、仁徳天皇を祀る高津宮や難波神社は神宮と呼ばないように、全てにおいて天皇を祀るものを神宮と呼ぶわけではない[8]

戦後に神宮を名乗るようになった神社には北海道神宮伊弉諾神宮、英彦山神宮がある。香椎宮のように、いわゆる神宮ではないのに、最寄りの駅名が香椎神宮駅であるために誤解される例もある。

大社は江戸時代までは杵築大社・熊野大社の二社が名乗ったが、明治時代から1945年までは大社を名乗るものは出雲大社のみであった。戦後は旧官幣大社・国幣大社・官幣中社の神社のうち26社が大社を名乗っている。現在、ほかに気多大社諏訪大社南宮大社三嶋大社富士山本宮浅間大社多度大社日吉大社多賀大社建部大社松尾大社伏見稲荷大社住吉大社春日大社龍田大社広瀬大社熊野本宮大社熊野速玉大社熊野那智大社宗像大社高良大社など。

また、梅宮大社大鳥大社のように表記が定まらないものもある。また平野神社もかつては扁額に「平野大社」と書かれていた。


注釈

  1. ^ 神社に寺院のような本尊というものはなく、現存する神像彫刻はすべて平安時代以降のものばかりである[7]
  2. ^ 鹿島神宮・八坂神社・春日神社・宗像神社・日枝神社など。
  3. ^ 稲荷神社・住吉神社・八幡神社・天満宮・丹生都比売神社など
  4. ^ 倭文神社など。
  5. ^ 平安神宮・八重垣神社など。
  6. ^ 招魂社・祖霊社など。
  7. ^ 六所宮・四柱神社など。
  8. ^ 浅間神社など。
  9. ^ 伏見稲荷大社・函館八幡宮など。
  10. ^ 絵馬は後世に馬の代わりに奉納されたものであるため。
  11. ^ 明治神宮外苑など、商業的な営みも行っている。
  12. ^ 大神神社石上神宮宗像大社など。
  13. ^ 熊野那智大社の元宮である飛瀧神社など。
  14. ^ 磐座の近くに社殿がある越木岩神社など。
  15. ^ 一族発祥の地や、菅原道真の場合、遠流の地(太宰府)など。
  16. ^ 明治神宮の造営候補地など。
  17. ^ 本来は山頂にあった日光二荒山神社など。

出典

  1. ^ じんじゃ【神社】” (日本語). 世界大百科事典 第2版 (1998年10月). 2013年8月2日閲覧。
  2. ^ じんじゃ【神社】” (日本語). 大辞林 第三版 (1998年10月). 2016年8月28日閲覧。
  3. ^ http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu_kanrentokei/pdf/h26_chosa.pdf
  4. ^ “続報真相 改憲急ぐ安倍首相を応援する人々 「美しい日本の憲法」とは”. 毎日新聞. (2016年3月18日). http://mainichi.jp/articles/20160318/dde/012/010/017000c 2016年3月18日閲覧。 
  5. ^ 大阪府神社庁 第六支部 東大阪市参照。なお、ここにおける単立神社には式内社石切剣箭神社等も含まれている・
  6. ^ 宝賀寿男塩の神様とその源流」『古樹紀之房間』、1996年。
  7. ^ 岡田精司 2011年 6ページ
  8. ^ 岡田米夫「神宮・神社創建史」5頁。
  9. ^ 小池, 2015 & p15.
  10. ^ 明治神宮, ウェブサイト & Q&A.
  11. ^ 日本人なら知っておきたいお寺と神社, 2006 & p211.
  12. ^ 直木孝次郎「森と社と宮」(1958年)など。
  13. ^ 稲垣栄三「本殿形式の起源」(1968年)・井上寛司「古代・中世の神社と{神道}」(2006年)など。
  14. ^ 桜井敏雄「神殿の諸形式とその特質」(1982年)・木村徳国「ヤシロの基礎的考察」(1982-84年)など。
  15. ^ 丸山茂「神社建築の形成過程における官社制の意義について」(1999年)・有富純也「神社社殿の成立と律令国家」(2009年)など。なお、有富は律令国家が幣帛を全国の神社に納めるため、一部の社にのみあった神庫と同様の施設を全国の官社に設置したとする。
  16. ^ 有富、2009年論文(同『日本古代国家と支配理念』、東京大学出版会、2009年所収)による。
  17. ^ a b c d e f g 岡田[2013:290-294]
  18. ^ 宮沢俊義『憲法講話』岩波書店岩波新書〉、1967年6月1日(原著1967年4月20日)、第2版、pp. 28-29。2009年5月22日閲覧。
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n 岡田[2013:291]
  20. ^ 前田孝和「海を渡ったお伊勢さま 海外神社の今」 伊勢神宮崇敬会講演録15 伊勢神宮崇敬会(2008年)
  21. ^ 「リノベ」で復活する台湾の日本神社――歴史のなかの「自分探し」が背景に ジャーナリスト・野嶋剛/Yahoo!ニュース編集部
  22. ^ マウイ神社(Maui Jinja Shinto Shrine)存続プロジェクト|Facebook”. マウイ神社(Maui Jinja Shinto Shrine)存続プロジェクト. 2017年3月6日閲覧。
  23. ^ 南米最古の神社/東京植民地神宮の夢”. 記事の墓場(過去記事集) (2007年9月4日). 2017年3月6日閲覧。
  24. ^ ブラジル・サンパウロ 神社のない鳥居 祖国とのつながり求めた 日系人社会の象徴”. ブラジルニュース ~aperto de mão~ (2011年7月27日). 2017年3月6日閲覧。
  25. ^ 石鎚神社スザノ遥拝所=厳かに早朝の山頂で祈る=創立60周年記念奉祝大祭”. ニッケイ新聞 (2016年7月7日). 2017年3月6日閲覧。
  26. ^ 県外の三吉神社”. 太平山三吉神社. 2017年3月6日閲覧。
  27. ^ パウリスタ神社鎮座祭”. ニッケイ新聞 (2006年7月4日). 2017年3月6日閲覧。
  28. ^ 『パラナ州開拓神社』建立へ=ローランジアに 文連の移民100年祭事業=日本移民の恩人祭る=5種の神具(農具)も奉納”. ニッケイ新聞 (2003年5月23日). 2017年3月6日閲覧。
  29. ^ 「神戸の水」4万本陸揚げ=パラナ州パラナグア港で=一同口揃え「おいしい」=3万本を聖市式典に”. ニッケイ新聞 (2008年6月4日). 2017年3月6日閲覧。
  30. ^ クリチーバ=兵庫会館で弥生祭=両陛下縁の記念碑で”. ニッケイ新聞 (2009年3月27日). 2017年3月6日閲覧。
  31. ^ 知られざる鳥居大国ブラジル=全伯に68基以上が判明=日系のシンボルとして=昨年一気に35基増=過半数を聖州占める”. ニッケイ新聞 (2009年6月18日). 2017年3月6日閲覧。
  32. ^ 日蘭親善協会 オランダ山蔭神道斎宮”. 日蘭親善協会 オランダ山蔭神道斎宮. 2017年3月6日閲覧。
  33. ^ 水屋神報177号 水屋の神様 フランスへわたる”. 水屋神社 (2008年11月20日). 2017年3月6日閲覧。
  34. ^ 和光神社”. 光明院フランス. 2017年3月6日閲覧。
  35. ^ “Girl Power サンマリノ共和国の神社に参拝”. Girl Power. (2014年6月26日). http://girlpower.jp/?p=351 2016年5月21日閲覧。 
  36. ^ 実はヨーロッパに輸出されている日本の神社|東條英利コラム”. デイリーニュースオンライン (2014年11月9日). 2017年6月21日閲覧。
  37. ^ サンマリノ神社”. サンマリノ神社. 2017年6月21日閲覧。






神社と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「神社」の関連用語

神社のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



神社のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの神社 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS