ウミヘビ科とは? わかりやすく解説

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ウミヘビ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/11 07:54 UTC 版)

ウミヘビ科
セグロウミヘビ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: ウミヘビ科 Hydrophiidae
学名
Hydrophiidae
Smith1926[1]

本文参照

ウミヘビ科(ウミヘビか)は、爬虫綱有鱗目(ヘビ・トカゲの仲間)に属する科(学名:Hydrophiidae)。ウミヘビ類をコブラ科 Elapidae のウミヘビ亜科 Hydrophiinae とする説もある。

特徴

ウミヘビは海生に適応したヘビで、熱帯から亜熱帯の海域に生息し、回遊する種は亜寒帯の地域まで北上することもある。体型は種類によって異なり、セグロウミヘビのように腹板を持たない種や、エラブウミヘビのようによく陸に上がるために腹板を持つ種などさまざまな種がいる。

尾は縦に平べったくなっており、泳ぐのに適している。泳ぐ際は体を横にくねらせて泳ぐ。また、横縞を持つ種類が多い。これは、ウミヘビがアマガサヘビサンゴヘビなどの横縞を持つコブラの仲間から進化してきたためであるという説がある。

性質はおとなしい種類が多いが、手で持つと咬まれることがある。また、好奇心から近付いてくることもあるようである。

毒ヘビの中でもトップクラスに強い毒を持つ種が多い。ウミヘビ科のヘビは、獲物や敵の神経放電を塞ぐ神経毒を持ち、咬まれると主に麻痺しびれが起き、やがて呼吸心臓が停止して死に至る(ただし、スズメダイ科やハゼ科の魚類の固着性の卵塊を専門に摂食するカメガシラウミヘビとイイジマウミヘビの2種は、毒腺が完全に退化して唾液の毒性も失われているという)。

ウミヘビの場合は海中で咬まれることが多く、放っておくと身動きが取れなくなって溺死してしまう恐れもあるため、速やかに陸もしくは船上に上がることが望ましい。しかし、咬まれても毒を注入されることは少なく、人間の死亡例は少ない。

分類

分類・和名は田原(2020)による[2]。分子系統解析により、複数の属がウミヘビ属に統合された。

系統

以下の系統樹はSanders et al.(2012)による[3]

ウミヘビ科

ミナミウミヘビ属 Aipysurus

カメガシラウミヘビ属 Emydocephalus

ウミコブラ Hydrelaps darwiniensis

アラフラウミヘビ Parahydrophis mertoni

オビウミヘビ Ephalophis greyi

コガシラウミヘビ属 Microcephalophis

ウミヘビ属 Hydrophis

ウミヘビ属

ミヤビウミヘビ Hydrophis elegans

hydrophis brooki

トゲウミヘビ Lapemis curtus

hydrophis stricticollis

Hydrophis lapemoides

ジェルドンクラカケウミヘビ Kerilia jerdonii

Hydrophis parviceps

ベルチャーウミヘビ Hydrophis belcheri

クサリウミヘビ Praescutata viperina

マダラウミヘビ Hydrophis cyanocinctus

Hydrophis coggeri

Hydrophis caerulescens

セグロウミヘビ Pelamis platurus

Hydrophis macdowelli

Hydrophis fasciatus

Hydrophis atriceps

Hydrophis pachycercos

Hydrophis donaldi

Hydrophis obscurus

イボウミヘビ Enhydrina schistosa

Hydrophis ocellatus

Hydrophis lamberti

クロボシウミヘビ Hydrophis ornatus

ネジウミヘビ Hydrophis spiralis

Disteira major

ヨウリンウミヘビ Astrotia stokesii

ツノウミヘビ Acalyptophis peronii

ウナギ目のウミヘビ科について

魚類のウナギ目には、ダイナンウミヘビやホタテウミヘビが属するウミヘビ科 (Ophichthidae) が存在する。英語でも Snake eel(ヘビウナギ)と通称され、ヘビのように細長い体や獰猛な顔つきが名前の由来であると思われる。

ウナギ目ウミヘビ科の生物は、毒を持たない海水魚の一種(ウナギウツボの仲間)であり、本項のウミヘビとはまったく別の生物である。

脚注

  1. ^ Integrated Taxonomic Information System
  2. ^ 田原義太慶『毒ヘビ全書』グラフィック社、2020年2月25日、320-321頁。ISBN 978-4-7661-3313-4 
  3. ^ Kate L. Sanders, Michael S.Y. Lee, Mumpuni, Terry Bertozzi, Arne R. Rasmussen (2012). “Multilocus phylogeny and recent rapid radiation of the viviparous sea snakes (Elapidae: Hydrophiinae)”. Molecular Phylogenetics and Evolution. doi:10.1016/j.ympev.2012.09.021. 

関連項目


ウミヘビ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:43 UTC 版)

ウナギ目」の記事における「ウミヘビ科」の解説

ウミヘビ科 Ophichthidae は2亜科52290種で構成される熱帯温帯沿岸域から外洋にかけて分布する後鼻孔上唇の側に位置する構成する条骨の数が非常に多く互いに重なり合う特徴的な構造をもつ。胸鰭をもつ種類もたない種類がいる。尾鰭形態によって2亜科分けられている。なお、爬虫類にもウミヘビ科が存在する。 ニンギョウアナゴ亜科 Myrophinae - 14からなる尾端柔軟で、尾鰭背鰭臀鰭連続しているが、明瞭に存在している。ニンギョウアナゴ属 Myrophis ミミズアナゴ属 Muraenichthys ムカシウミヘビ属 Neenchelys 他11ウミヘビ亜科 Ophichthinae - 45属で構成され、ダイナンウミヘビ・ホタテウミヘビ・モンガラドオシなどを含む。尾端硬く尾鰭認められない胸鰭背鰭臀鰭いずれかを欠く種類がある。ウミヘビ属 Ophichthus ゴイシウミヘビ属 Myrichthys ゴマウミヘビ属 Apterichtus ハクテンウミヘビ属 Lamnostoma ヒモウミヘビ属 Callechelys ヒレアナゴ属 Echelus ホタテウミヘビ属 Pisodonophis ムラサキウミヘビ属 Mystriophis 他37

※この「ウミヘビ科」の解説は、「ウナギ目」の解説の一部です。
「ウミヘビ科」を含む「ウナギ目」の記事については、「ウナギ目」の概要を参照ください。

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