けひ‐じんぐう【気比神宮】
けひじんぐう 【気比神宮】
氣比神宮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2023/11/09 03:43 UTC 版)
氣比神宮（けひじんぐう、気比神宮）は、福井県敦賀市曙町にある神社。式内社（名神大社）、越前国一宮。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。
本文
- ^ 『気比宮社記』等では仲哀天皇を主祭神とする説を記すが、記紀や社伝の経緯からイザサワケを主祭神とするのが妥当とされる[1]。
- ^ 『古事記』ではケヒ神の原名は「イザサワケ」であるが応神は説話後「ホムダワケ」と称している点[10]、名を交換した後に応神が「御食津大神」と名付ける点に不自然さがある[5]。また、『日本書紀』ではケヒ神の原名を「誉田別神」とするが、和風諡号（死後の名）であるはずの「誉田天皇」との混同が見られる[11]。
- ^ 気比神の従三位記事に先立ち、『日本書紀』天武天皇元年（673年）7月23日条に大和国の高市御県坐鴨事代主神・牟狭坐神・村屋坐弥富都比売神の3神に品を授けたとあるが、この「品」は等級程度の意味で神階にはあたらないとされる[14]。
- ^ 太政官符には延暦12年（793年）に「大中臣魚取」、元慶8年（884年）に「大中臣安根」、寛平5年（893年）に「中臣清貞」の名が見える。
- ^ 現存する両流造の社殿は、厳島神社本殿、同社摂社の客（まろうど）神社、宗像神社辺津宮、太宰府天満宮、松尾大社、香取神宮の6例である[26]。
- ^ 境内社の劔神社について、由緒書・公式サイトでは「境内から莇生野への勧請」と記すが、ここでは原典である『気比宮社記』の記述に則り「莇生野から境内への勧請」と記載した。
- ^ a b 「天八百万比咩神社」の論社には他に越前市の大塩八幡宮末社の天八百萬比咩神社があるが、いずれであるかは不詳[45]。
- ^ a b 「剣神社」の論社には他に丹生郡越前町の劔神社（越前国二宮）があり、そちらの比定が有力視される[52]。なお、劔神について『新抄格勅符抄』や梵鐘（越前町の劔神社所蔵）には「剣御子神」と見えるが、これは「気比神の御子神」を意味するともいわれる[5]。
- ^ 劔神社には神護景雲4年（770年）銘の梵鐘が現存し、周辺の瓦窯の使用時期から710年代での神宮寺の存在可能性が高いとされる[5]。
資料
- ^ a b c d 氣比神社七座（式内社） 1986, p. 149.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at 由緒書 2013.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 気比神宮（平凡社） 1981, p. 505.
- ^ a b c 西宮一民校注『古事記』（新潮社、1979年）p. 403。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 堀大介 2014.
- ^ 西郷信綱『古事記注釈』第6巻（ちくま学芸文庫、2006年）pp. 239-244。
- ^ a b c d e f g h 中世諸国一宮制 2000, p. 332.
- ^ a b 気比大神（県史） 1993.
- ^ 敦賀津（角川） 1989.
- ^ 『口語訳古事記』文藝春秋、2002年、226-227頁。ISBN 4163210105。
- ^ a b c ケヒ神へのヤマト朝廷の関与（県史） 1993.
- ^ a b c 気比神宮（平凡社） 1981, p. 504.
- ^ ケヒ神との易名説話（県史） 1993.
- ^ 小倉慈司「八・九世紀における地方神社行政の展開」、史学雑誌、1994年
- ^ 気比神宮（国史） 1985, p. 118-119.
- ^ a b c d e f g h i j k 社領（国史） 1985, p. 119.
- ^ 気比神宮（角川） 1989.
- ^ a b c d 気比神宮（平凡社） 1981, p. 506.
- ^ a b c d 氣比神社七座（式内社） 1986, p. 150.
- ^ 気比神社七座 & 神道・神社史料集成.
- ^ 中世諸国一宮制 2000, p. 333.
- ^ a b 敦賀郡（角川） 1989.
- ^ 角鹿国造（県史） 1993.
- ^ 気比神宮（神々） 1985, p. 120-121.
- ^ a b 氣比神社七座（式内社） 1986, p. 150-151.
- ^ a b c d 三浦正幸 1985.
- ^ a b c d e 角鹿神社（式内社） 1986, p. 180-183.
- ^ 敦賀市立図書館蔵
- ^ a b 氣比神社七座（式内社） 1986, p. 152.
- ^ a b c 気比神宮大鳥居 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
氣比神宮大鳥居（文化遺産データベース）。
気比神宮大鳥居（福井県ホームページ）。 - ^ 氣比神社七座（式内社） 1986, p. 153.
- ^ a b c 気比神宮（神々） 1985, p. 122.
- ^ 「都怒我阿羅斯等」 『日本古代氏族人名辞典 普及版』 吉川弘文館、2010年。
- ^ 都怒我阿羅斯等を採る説は『気比宮社記』、『神名帳考証』、『神社覈録』、『特選神名牒』等（角鹿神社（式内社） 1986, p. 181-182による）。
- ^ 建功狭日命を採る説は『大日本史』、『神祇志料』、『敦賀郡誌』、『式内社調査報告』等（角鹿神社（式内社） 1986, p. 182による）。
- ^ 谷川健一『日本の神々（岩波書店）』（岩波書店、1999年）pp. 77-78。
- ^ a b 式内社調査報告 1986, p. 242.
- ^ a b 式内社調査報告 1986, p. 244.
- ^ a b 式内社調査報告 1986, p. 246.
- ^ 気比宮社記 1941, p. 36.
- ^ a b 気比宮社記 1941, p. 37.
- ^ 気比宮社記 1941, p. 38.
- ^ 式内社調査報告 1986, p. 220.
- ^ 常宮神社由緒書。
- ^ 式内社調査報告 1986, p. 232-233.
- ^ 天八百萬比咩神社（式内社） 1986, p. 232-240.
- ^ a b c d e 気比神宮（神々） 1985, p. 125-127.
- ^ 常宮神社（神々） 1985, p. 130-132.
- ^ 大宰神（國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」）。
- ^ 式内社調査報告 1986, p. 185.
- ^ a b c d e “有形文化財”. 敦賀市. 2015年12月5日閲覧。
- ^ a b 式内社調査報告 1986, p. 157-161.
- ^ 推前神（國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」）。
- ^ 式内社調査報告 1986, p. 177-178.
- ^ 4-5-3 「松原客館の実態とその位置 > 松原駅館（客館）の現地比定」『福井県史 通史編1 原始・古代』福井県編、福井県、1993年。
- ^ 気比神宮（神々） 1985, p. 125.
- ^ “民俗文化財・記念物”. 敦賀市. 2015年12月5日閲覧。
- ^ a b c 気比神宮寺（国史） 1985, p. 120.
- ^ a b c d 『古事記』仲哀天皇段。
- ^ a b 『続日本紀』宝亀元年（770年）8月辛卯（2日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『日本書紀』神功皇后摂政13年2月甲子（8日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『日本書紀』応神天皇即位前紀（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b c 『日本書紀』持統天皇6年（692年）9月戊午（26日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『日本後紀』延暦23年（804年）6月丙辰（13日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『続日本後紀』承和6年（839年）2月戊寅（26日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『日本文徳天皇実録』仁寿2年（852年）8月癸丑（19日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本書紀』垂仁天皇3年3月条。
- ^ 『日本書紀』仲哀天皇2年条。
- ^ a b c d 『新抄格勅符抄』10（神事諸家封戸）大同元年（806年）牒（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『続日本後紀』承和6年（839年）8月己巳（20日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本三代実録』貞観元年（859年）7月14日条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b c d e f 『続日本後紀』承和7年（840年）9月乙酉（13日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ a b 『続日本後紀』承和2年（835年）2月戊戌（23日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『続日本後紀』承和6年（839年）12月丁巳（9日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本文徳天皇実録』嘉祥3年（850年）10月辛亥（7日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本三代実録』貞観元年（859年）正月27日条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本紀略』寛平元年（889年）7月17日条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『類聚三代格』1（神封物并租地子事）寛平5年（893年）12月29日官符（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『続日本紀』宝亀7年（776年）9月庚午（16日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『延喜式』50（雑式） 松原客館条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本三代実録』元慶8年（884年）9月9日条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本書紀』垂仁天皇2年是歳条。
- ^ a b 『先代旧事本紀』「国造本紀」角鹿国造条。
- ^ 『日本三代実録』元慶4年（880年）9月17日条。
- ^ 『日本三代実録』元慶4年（880年）9月17日条。
- ^ 『藤氏家伝』下 武智麿伝。
- ^ 『日本文徳天皇実録』斉衡2年（855年）5月壬子（5日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本文徳天皇実録』天安2年（858年）4月戊戌（7日）条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本三代実録』貞観元年（859年）2月15日条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『日本三代実録』貞観2年（860年）正月27日戊寅条（神道・神社史料集成参照）。
- ^ 『類聚国史』天長6年（829年）3月16日条。
[続きの解説]
気比神宮
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福井県敦賀市、慶長19年（1614年）に再建された気比神宮本殿の桁梁には、割れた桃から出現する男の彫刻像があった（敦賀空襲により像は焼失）。四隅にそれぞれの装飾があり、童話の起源を物語るものと同社の略記に書かれており、他は浦島太郎、因幡の白兎、三猿だったとの回答を宮司（1956年時）から得ている。また、同社ではある時代から桃から生まれる嬰児の粘土細工の土産も売られていた。 これを検証した小池は、「果生型」の草双紙が流布した時代になれば、この像を見て"桃から桃太郎が生まれた"図案と解釈しえた、とそれなりの類似を認めつつも、像の制作時からこれが桃太郎だったと立証するにも"何一つ由来・伝説・資料等がない」と懐疑的な立場に徹した。 小池の見立てでは、この顔は幼児というより老人っぽく、髪をみずらに結っていた。神宮では、これを主神の伊奢沙別命（イザサワケノミコト）による大陸遠征の物語とする説があるが、何ら古文書に無く、日中戦争の1940年頃に喧伝されていたものなので時局に便乗した産物でないかと疑われるが、小池は最終的にその疑いを払拭して、この説を支持する結論に達している。 この像を桃太郎と見て特に疑わない意見もあり、美術史家の源豐秋（源豊宗）の論文（1923年）は安土桃山時代の桃太郎彫刻と鑑定し、中村直勝（1935年）も源豊宗の結論を引いており、のち俳人の志田義秀の『桃太郎概説』（1941年）も、本殿再建の慶長19年の彫刻と時代を遅らせているが桃太郎であることに異議を唱えていない。
※この「気比神宮」の解説は、「桃太郎」の解説の一部です。
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