外地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/05 00:34 UTC 版)
日本における外地(がいち)とは、第二次世界大戦敗戦前に本州、四国、九州、北海道以外で日本が支配していた土地を指す語である[1]。
注釈
- ^ 英: dependent territory
- ^ 日本の憲法体系では、新旧憲法ともに領土規定が存在せず、比較法学の観点ではこれは異例である。明治憲法には領土規定がなく、ヘルマン・ロエスレルの案の段階においては、領土は自明のものであり、また国体に関わり議院に属さないものだとして領土規定は立ち消えたのであるが、実際にはロエスレルの認識とは異なり、日本の領土は北(樺太・北海道)も南(琉球)も対外政策的には不安定な状況にあった。ただし、この事情が明治政府にとって好都合であったことは確かで、露骨なものとしては「我カ憲法ハ領土ニ就イテ規定スル所ナシ、諸国憲法ノ或ハ領土ヲ列挙スルト甚タ異レリ、サレハ我ニ在リテハ、領土ノ獲得ハ憲法改正ノ手続ヲ要セス」(上杉慎吉「新稿・憲法述義」1924年P.143)と解されていた。
* 石村修「憲法における領土」『法政理論』第39巻第4号、新潟大学法学会、2007年3月、 158-185頁、 ISSN 02861577、 NAID 110009004068。
* 石村修, 「植民地法制の形成-序説- (PDF) 」専修大学法科大学院 第6回東アジア法哲学会シンポジウム - ^ 英: occupied territories
- ^ なお、フランスの共和暦8年憲法91条が「フランス植民地制度ハ特別法ヲ以テ之ヲ定ム」と規定し、復古王政期の1814年憲章73条が「植民地ハ特別ノ法律及ビ特別ノ命令ニ依リ統治セラル」と規定し、七月王政期の1830年憲章64条が「植民地ハ特別ノ法律ニ依リ統治セラル」と規定しているのとも異なる[17]。これらのフランス憲法の規定について、レオン・デュギーは、植民地に憲法が適用されないことの証左であると説く[18]。これに対し、ルイ・ローラン及びピエール・ランピュエは、憲法が国家の全領土に適用されるべきことは公法の一般原則であるから、(植民地にも憲法が適用されることを前提として)単に同一の憲法のもとにおける植民地立法特殊性の原則を規定しているにすぎないと説く[18]。なお、ルイ・ローラン、ピエール・ランピュエ 『仏蘭西植民地法提要』東亜経済調査局、1937年、59頁。NDLJP:1227669。も参照。
- ^ なお、この点について、清水澄は、選挙法の施行は憲法の行われる範囲を示すものではないと批判する[22]。すなわち、大日本帝国憲法の発布後、北海道及び沖縄県には衆議院議員選挙法がしばらく施行されていなかったが、そうであれば、北海道及び沖縄県には、選挙法が施行されるまでの間、大日本帝国憲法が適用されないこととなるのか、と疑問を呈している。これに対し、市村光恵は、北海道及び沖縄県は、半ば帝国の構成分子であり、半ば属領たる性質を有しており、いわゆる「内地の別格地方」であると説く[23]。
- ^ なお、この点について、松岡修太郎は、委任命令によるべきであることを指摘している[28]。
- ^ 委任が包括的であったため、憲法違反ではないかという議論が起きた。
- ^ 日本が国際連盟を脱退すると、委任統治の根拠が薄くなったが、1933年(昭和8年)3月16日「帝国の国際連盟脱退後の南洋委任統治の帰趨に関する帝国政府の方針決定の件」を閣議決定し、委任統治はヴェルサイユ条約での批准事項であることを盾に引き続き委任統治を行った。なお国際連盟への統治に関する年次報告は1938年(昭和13年)まで行っている。
- ^ 台湾総督府が国民政府に降伏(台湾光復)した日。他の地域はこの日以前に連合国軍に降伏していた。
- ^ SCAPIN-677では、朝鮮の範囲に鬱陵島・済州島が含まれておらず、両島は内地の一部地域と共に「日本の範囲から除かれる地域」へ分類された。だが、日本国との平和条約第二条では「朝鮮に対するすべての権利」の中に鬱陵島・済州島が含まれたため、両島における日本の主権喪失が確定した。
出典
- ^ 精選版 日本国語大辞典「外地」
- ^ 木村幹 第二次世界大戦前における「植民地」言説を巡る一考察
- ^ 清宮四郎 1944, pp. 1–2.
- ^ a b 松岡修太郎 1940, pp. 6–7.
- ^ goo辞書「外地」[1]
- ^ 「日本の国土からみて、外国の土地」Yahoo!辞書[2]
- ^ a b c d e 松岡修太郎 1940, p. 3.
- ^ a b 松岡修太郎 1940, p. 4.
- ^ 佐藤丑次郎 1943, p. 278.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 13.
- ^ 黒田覚 1940, p. 286.
- ^ 清宮四郎 1944, pp. 14–15.
- ^ 官報1934年06月09日
- ^ 官報1940年03月29日
- ^ a b 清宮四郎 1944, p. 2.
- ^ 臺灣總督府報明治29年9月25日
- ^ a b c 清宮四郎 1944, p. 58.
- ^ a b 清宮四郎 1944, p. 59.
- ^ a b 清宮四郎 1944, p. 61.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 63.
- ^ 市村光恵 1927, pp. 237–243.
- ^ 清水澄 1920, pp. 233–234.
- ^ 市村光恵 1927, pp. 242–243.
- ^ a b 清宮四郎 1944, p. 67.
- ^ 佐々木惣一 1933, p. 156.
- ^ 佐々木惣一 1933, pp. 155–162.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 69.
- ^ 松岡修太郎 1940, p. 33.
- ^ 筧克彦 1920, p. 238.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 71.
- ^ 美濃部達吉 1927, pp. 36–37.
- ^ 美濃部達吉 1927, p. 39.
- ^ 美濃部達吉 1927, p. 40.
- ^ 黒田覚 1940, p. 284.
- ^ 黒田覚 1940, pp. 284–285.
- ^ 宮沢俊義 1938, pp. 18–19.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 76.
- ^ 清宮四郎 1944, pp. 76–77.
- ^ 佐々木惣一 1933, pp. 159–162.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 78.
- ^ 清宮四郎 1944, pp. 78–80.
- ^ 清宮四郎 1944, pp. 80–81.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 81.
- ^ 清宮四郎 1944, p. 82.
- ^ “共通法”. ウィキソース. 2019年12月23日閲覧。
- ^ “共通法中改正 (大正12年法律第25号)”. ウィキソース. 2019年12月23日閲覧。
- ^ 第190回国会2016年5月25日投票結果昭和十九年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和二十年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算
- ^ 決算 第190回国会 昭和十九年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和二十年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算
- ^ “旧外地特別会計 衆院委承認/政府会計、戦後処理終わる”. 毎日新聞朝刊. (2017年6月6日)
外地(樺太以外)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/20 06:55 UTC 版)
樺太以外の外地では、町村という名で基礎自治体が作られることはなかった。ただし、別の名前で対応した制度があった。 内地・樺太市町村関東州 市 会 台湾 市 街 庄 朝鮮 府 邑 面 台湾では、1920年(大正9年)7月30日に台湾市制が施行され、台北市・台中市・台南市が成立した。 関東州では、1924年(大正13年)5月24日公布・同年8月施行の関東州市制(大正13年勅令第130号)により、旅順市・大連市が成立した。1925年に関東州会制(大正14年勅令第238号)が公布された。
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外地
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北カラフト軽便鉄道 南満洲鉄道安奉線 京義線 泰緬鉄道 スマトラ横断鉄道: 鉄道第九連隊第四大隊と 鉄道第八連隊第一大隊が担当。
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外地
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日本統治時代の台湾当時の中国・清王朝との間に勃発した日清戦争で勝利した後の講和・下関条約締結により獲得した。日本統治期間:1895年(明治28年)4月17日~1945年(昭和20年)10月25日 - 現在の中華民国(台湾、1945年10月25日 - )。 日本統治時代の朝鮮日露戦争後の講和・ポーツマス条約締結により大韓帝国への排他的指導権を獲得し、日韓併合条約締結に伴う韓国併合で統治下になった。日本統治期間:1910年(明治43年)~1945年(昭和20年) - 現在の朝鮮、朝鮮半島南部:大韓民国(韓国、アメリカ合衆国軍旧占領地、1948年8月15日独立・建国)と朝鮮半島北部:朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮、ソビエト連邦軍旧占領地、1948年9月9日独立・建国)。 日本統治時代の関東州(満州国も参照)ポーツマス条約で清朝からの租借地の権利を引き継ぎ、さらに、満州事変により獲得して樹立された事実上の傀儡国家・満州国日本統治期間:1905年(明治38年) - 1945年(昭和20年) - 現在の中華人民共和国・東北部、遼寧省・吉林省・黒竜江省の東北三省(旧称:東三省)および内蒙古の東北部(現在のフルンボイル市、ヒンガン盟、通遼市、赤峰市)。 日本統治時代の南洋諸島(南洋庁も参照)第一次世界大戦に連合国の一員として参戦し、戦勝国として、敗戦国のドイツの植民地帝国(第一次大戦敗北後はヴァイマル共和政、後のナチス・ドイツ、第二次大戦敗北後の旧西ドイツ、東ドイツ、再統一後の現在のドイツ連邦共和国)から、国際連盟常任理事国の一国として委任統治した。日本統治期間:1919年(大正8年) - 1947年(昭和22年) - 現在の米国自治領(コモンウェルス)北マリアナ諸島、パラオ共和国・マーシャル諸島・ミクロネシア連邦。 日本の租界 上海 漢口 天津 厦門
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外地
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京城帝国大学 - 現在のソウル大学校の前身。韓国が日本統治時代に日本の帝国大学の一つとして設立されていた。 台北帝国大学 - 現在の国立台湾大学の前身。台湾が日本統治時代に日本の帝国大学の一つとして設立されていた。 旅順工科大学 - 現在の大連理工大学の前身。関東州を租借経営中に日本の官立大学の一つとして設立されていた。
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