えびすとは? わかりやすく解説

えびす

「えびす」とは、日本古来福の神の名である。釣り竿携えた福々しい笑顔男性として描かれることが多い。七福神一柱であり、しかも七福神の中では唯一の大陸由来ではない日本発祥の神である。

「えびす」は漢字では「恵比須」と表記されることが多い。ただし近世以降当て字である。「恵比寿」とも書く。あるいは「夷」「戎」あるいは「蛭子」といった漢字表記もよく用いられる仮名表記では「ゑびす」や「ヱビス」と表記されることもある。

日本古来信仰に密接に関わる神であり、福の神代表格であり、いかにも福々しい姿で描かれる海の神豊漁の神・商いの神・商売繁盛の神・豊穣の神外つ国の神、等々さまざまな側面があり、漁師にも商家にも農家にも篤く信仰された。記紀神話にこそ登場しないがその神話神々関連付けられた説が豊富にある。えびす神は現代でもさまざまなものの呼び名意匠となって親しまれている。

「えびす」の語源・由来

「えびす」という言葉は「夷(えみし)」が変化したとされる。「夷」は「戎」とも「蝦夷」とも書き、もともと「異郷の人」(とりわけ東国人)を意味する古語である。えびす神にも異郷の人の神という側面がある。

七福神は「恵比寿大黒天毘沙門天弁財天布袋寿老人福禄寿」の七福の神として知られるが、恵比寿(えびす)を除く6は、ヒンドゥー教道教仏教起源を持つ神々である。恵比寿漁師民間信仰起源を持つ神とされ、後に記紀神話神々関連付けられたが、いずれにしても日本発祥神格である。

「えびすさん(芸能人)」とは

「えびすさん」は、タレント蛭子能収えびすよしかず)の愛称である。長崎県出身高校卒業後に就職して社会人となった後、1970年漫画家としてデビューしたいわゆる不条理」や「ヘタウマ」の先駆けであった作品だけでなく本人人柄注目され1980年代頃からタレント俳優としても活躍するようになった無自覚な天然奇人変人として愛されている。2020年アルツハイマー型認知症レビー小体型認知症併発していることがわかった公表された。それからも芸能活動続けている。

えびす【×夷/×戎】

読み方:えびす

《「えみし(蝦夷)」の音変化

蝦夷(えぞ)【一】」に同じ。

「その国の奥に—といふものありて」〈今昔三一・一一〉

都から遠く離れた未開土地の人。田舎者

「かかることは—、町女(まちめ)などこそいへ」〈栄花・浦々の別〉

情趣解しない荒々しい人。特に、東国荒くれ武士あずまえびす

「—は弓引くすべ知らず」〈徒然・八〇〉

異民族侮蔑(ぶべつ)していう語。蛮夷(ばんい)。

「—のこはき国あり。その—、漢に伏して」〈徒然二一四〉


えびす【恵比須/夷/戎/恵比寿/蛭子】

読み方:えびす

《「夷(えびす)」と同語源》古く豊漁の神。のち七福神一人として生業守り、福をもたらす神。狩衣(かりぎぬ)・指貫(さしぬき)・風折烏帽子(かざおりえぼし)をつけ、右手釣りざお持ち、左わきに(たい)をかかえている。

[補説] 歴史的仮名遣いは「えびす」で、「恵(ゑ)」の字は仮名遣い無視した当て字


恵比寿(えびす=又は、恵比須、蛭子、戎、夷)


えびす

  1. 看守押丁ノ眠ルヲ云フ。〔第五類 官吏官舎之部・島根県

分類 島根県

隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

読み方
えびす

胡子

読み方
胡子えびす

蛯子

読み方
えびす

蛭子

読み方
蛭子えびす

読み方
えびす

読み方
えびす

えびす

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 16:54 UTC 版)

えびす像

えびすゑびす

  1. 日本の神。七福神の一柱。狩衣姿で、右手に釣り竿を持ち、左脇にを抱える姿が一般的。本項で詳述。また、初春の祝福芸として、えびす人形を舞わせてみせた大道芸やその芸人のことも「恵比須(恵比須回し)」と呼んだ。
  2. 外来の神や渡来の神。客神や門客神や蕃神といわれる神の一柱。本項で詳述。
  3. 神格化された漁業の神としてのクジラのこと。古くは勇魚(いさな)ともいい、クジラを含む大きな魚全般をさした。本項で詳述。
  4. 寄り神。海からたどり着いたクジラを含む、漂着物を信仰したもの。寄り神信仰や漂着神ともいう。本項で詳述。

概要

えびすは日本ので、現在では七福神の一員として日本古来の唯一(その他はインドまたは中国由来)の福の神である。古くから漁業の神でもあり、後に留守神[注釈 1]、さらには商いの神ともされた。蛭子蝦夷恵比須恵比寿恵美須恵美寿などとも表記し、えびっさんえべっさんおべっさんなどとも呼称される。

JR東日本恵比寿駅前のえびす像

えびす神社にて祀られる。日本一大きいえびす石像は舞子六神社に祀られており、商売繁盛の神社とされている。

「えびす」という神は複数あり、イザナギイザナミの子である蛭子命(ひるこのみこと)か、もしくは大国主命(大黒さん)の子である事代主神(ことしろぬしのかみ)とされることが多い。少数であるが、えびすを少彦名神彦火火出見尊とすることもある。また、外来の神とされることもあり、「えびす」を「戎」や「夷」と書くことは、中央政府が地方の民や東国の者を「えみし」や「えびす」と呼んで、「戎」や「夷」と書いたのと同様で、異邦の者を意味する。このように多種多様の側面があるため、えびすを祀る神社でも祭神が異なることがある。

文献上の初出と本地仏

「えびす」の最初の記録は平安時代末期の『伊呂波字類抄』(三巻本)である。そこには広田神社末社として10社が列記される中に「夷 毘沙門」「三郎殿 不動明王」の2社があり、夷と三郎はまったく別の神であった。

少し時代が経って鎌倉時代初頭の『諸社禁忌』には「衣毘須 不動」「三郎殿 毘沙門」とあり、両者の本地仏が入れ替わっているが、これはどちらかが単なる誤りなのか、新説として後から修正されたということなのか、もとから両説が併存していたのかはわからない。しかし、次第に両者が混同されて「夷三郎」という神格ができていく過程が窺われる。

この広田神社の末社という2社が統合されたのが現在の西宮神社の前身と考えられている。また、これらの記述から、初期にはその本地仏毘沙門天不動明王とされていたことがわかる。古代では「荒々しい神」として信仰されていた。

民間習俗

海神

えびすの本来の神格は人々の前にときたま現れる外来物に対する信仰であり、海の向こうからやってくる海神である。

下記の漁業神、寄り神(漂着神)の他に純然たる水の神としての信仰も存在する。

漁業神

恵比寿自体が大漁旗の図版として使われるほどポピュラーな漁業神であるが、日本各地の漁村ではイルカクジラジンベエザメ[注釈 2]など(これらをまとめてクジラの意味である「いさな」と呼ぶ)を「えびす」とも呼んで、現在でも漁業神として祀る地域が多数ある。クジラやジンベイザメなどの海洋生物が出現すると豊漁をもたらすという考えからえびすと呼ばれ、漁業神とされる。実際にクジラなどが出現するとカツオなどの漁獲対象魚も一緒に出現する相関関係がある[注釈 3]

漁業に使うの浮きを正月などに祀る地域があるが、四国宇和島周辺や隠岐などでは、その浮きのことを「えびすあば」(あばとは浮きのこと)と呼んでおり、えびすが漁業神であることを示す好例である。

寄り神(漂着神)

主に漂着したクジラを指して(古くは流れ鯨・寄り鯨(座礁鯨)を)「寄り神」と呼ぶことがある。「鯨 寄れば 七浦潤す」「鯨 寄れば 七浦賑わう」などというように、日本各地には地域がクジラの到来により思わぬ副収入を得たり飢饉から救われたりといった伝承が多いが、特に能登半島佐渡島三浦半島で信仰が残っている。海外からの漂着物(生き物の遺骸なども含む)のことを「えびす」と呼ぶ地域もあり、漁のときに漂着物を拾うと大漁になるという信仰もあるという。九州南部には、漁期の初めに海中からえびすの御神体とするための石を拾うという風習があるという。これらの民俗信仰は、えびすの本来の性格を示すと考えられる。

福神

平安時代末期にはえびすを市場の神(市神)として祀った記録が残っており、鎌倉時代にも鶴岡八幡宮境内で市神としてえびすを祀ったという。このため、中世商業が発展するにつれ商売繁盛の神としての性格も現れたとされる。同時に福神としても信仰されるようになり、やがて七福神の1柱とされる。福神としてのえびすは、ふくよかな笑顔(えびす顔)で描写されている。

えびす神は耳が遠いとされているため、神社本殿の正面を参拝するほか、本殿の裏側に回りドラを叩いて祈願しなくてはならないとされる。このため、今宮戎神社などでは本殿の裏にはドラが用意されている。

えびす講

民間信仰として知られるのが「えびす講」である。えびす講はえびすを神として祭り、五穀豊穣・商売繁盛・家内安全を願う。

広島県広島市中区胡町の胡子神社で行われるものについては、胡子講を参照。

他の神との習合

石見神楽演目『恵比須』(事代主の鯛釣り)

えびすは記紀に出てこない神であるため、古くから記紀の中に該当する神を探しだす説がいろいろ出てきた。蛭子事代主神少名比古那神、火々出見命(山幸彦)等の諸説があるが、えびすを祀る全国の神社では蛭子説と事代主神説が圧倒的に多い。

蛭子

記紀神話において、蛭子命は3歳になっても足が立たなかったために流し捨てられたとされる。その神話を受け、流された蛭子命はどこかの地に漂着したという信仰が生まれ、蛭子命が海からやってくる姿が海の神であるえびすの姿と一致したため、2神は同一視されるようになった。このえびすを蛭子命と見る説は、室町時代のころに現われたものであり、えびすを夷三郎と呼ぶのは『日本書紀』において3番目に生まれたことによるとされるが、前述のように本来は夷と三郎は別々の神だったのが混同されたものである。

蛭子命の漂着の伝承は各地にあるが、その代表が兵庫県西宮市西宮神社とされている。西宮神社はえびすという名の神を祀った神社としては現存する記録上で最古であるため、全国のえびす神社の総本宮とされる。また江戸時代から明治にかけて、えびす=蛭子説に基づいて祭神名をえびすから蛭子に改めた神社も存在する。

事代主神

えびすを事代主神だとする神社の代表格は今宮戎神社である。

事代主神は託宣の神といわれ、記紀神話においても直接に水との関連はない。しかし、記紀神話の国譲りの項で、大国主神の使者が事代主に天津神からの国譲りの要請を受諾するかを尋ねるために訪れたとき、事代主が釣りをしていたとされることとえびすが海の神であることが結びつき、江戸時代になってから両者を同一視する説が出てきた。七福神の絵図でえびすが釣竿を持ち鯛を釣り上げた姿で描かれるのは、この事代主神の伝承に基づくものともいわれる。また、事代主の父である大国主命が大黒天と習合したことにより、えびすと大黒は親子ともされる。

なお、えびす信仰が生まれる以前から事代主神を祀っていた神社で、後にえびすを祀ったものも多数ある。その最も典型的な神社は島根県松江市の美保神社で、事代主神を祭る神社の総本宮でもある。逆に、江戸時代から明治にかけて、えびす=事代主神説に基づいて祭神名をえびすから事代主神に改めた神社も存在する。

脚注

注釈

  1. ^ 詳しくは神無月を参照。
  2. ^ ジンベイザメの別名はエビスザメとも呼ばれる、ジンベイザメの項も参照。
  3. ^ ニタリクジラカツオが付いたり、イルカキハダマグロが付くように、鯨類に同じ餌(イワシなどの群集性小魚類)を食べる魚が付く生態があることから、水産庁の加藤秀弘はニタリクジラとカツオの共生関係および、えびす信仰との共通点を指摘している。

出典

関連項目

外部リンク

  • ゑびす神異考 『日本民俗学. 歴史篇』中山太郎 著 (大岡山書店, 1931)

えびす

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 22:44 UTC 版)

一本包丁満太郎」の記事における「えびす」の解説

同じく加薬ご飯の店。淀花向かい側にあるので、客入りいまいちだが、味は淀花超える貴船に味を盗まれてしまった。

※この「えびす」の解説は、「一本包丁満太郎」の解説の一部です。
「えびす」を含む「一本包丁満太郎」の記事については、「一本包丁満太郎」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「えびす」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

えびす

出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 06:58 UTC 版)

名詞

えびす 歴史的仮名遣い:ゑびす】

  1. 古代日本東国概ね現在の関東地方以東)において、ヤマト政権服従しなかった一族一説アイヌ民族とされる
  2. 古代から中古日本において、伝達障害生じるほどのよそ者外国人
  3. 東国武士

固有名詞

えびす原義: 洗練化・習合後:恵比須恵比寿蛭子 歴史的仮名遣い:ゑびす】

  1. 外来の神。
  2. 上記語義1の神が洗練化され漁業・商業の神。七福神のひとつ。







※ご利用のPCやブラウザにより、漢字が正常に表示されない場合がございます。
Copyright © KANJIDIC2 - the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group(EDRDG), used in conformance with the Group's licence. Copyright © 1991-2010 Unicode, Inc. All rights reserved. Stroke Order Diagrams(SODs) licensed from © Kanji Cafe.

「えびす」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



えびすと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「えびす」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

えびすのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



えびすのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ササガワササガワ
All Right Reseved,Copyright© Sasagawa Co.,Ltd. 1996-2025
株式会社ササガワ(タカ印紙製品)ご贈答マナー
皓星社皓星社
Copyright (C) 2025 株式会社皓星社 All rights reserved.
EDRDGEDRDG
This page uses the JMnedict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのえびす (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの一本包丁満太郎 (改訂履歴)、捕鯨文化 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのえびす (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
漢字辞典
Copyright © KANJIDIC2 - the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group(EDRDG), used in conformance with the Group's licence.
Copyright © 1991-2010 Unicode, Inc. All rights reserved. Distributed under the Terms of Use in http://www.unicode.org/copyright.html.
Stroke Order Diagrams(SODs) licensed from © Kanji Cafe.
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS