博物館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/15 05:24 UTC 版)
博物館の職員
国際博物館会議(イコム)規約第3条第3項で「博物館専門職員は、すべての博物館と、第3条・第1項の定義により博物館相当施設と認められた機関および博物館活動に益となる訓練・研究機関の職員のうち、博物館の運営と活動に関連した分野において専門的な研修を受けた,もしくは同等の実務経験を持つ者、またはイコムの職業倫理規程を尊重し、博物館のためにもしくは博物館とともに仕事をしているが、博物館とそのサービスに必要な商品や設備の販売または販売促進には係わっていない個人のすべてを含む。」と定義されている[16]。
博物館の展示環境
博物館においては保存科学(en:Conservation science (cultural property))の観点から展示室や収蔵庫において収蔵品に影響を与えうる温度や湿度、光、空気質、振動、害虫等の生物被害などの諸要素に関して考慮した収蔵・展示環境づくりが行われる。
展示室の温度は一般に空調を利用して20℃前後に保たれ、四季を通じての外気温との温度差を低く保つことを理想とする。温度と相関して湿度も重要な要素で、結露は金属製品に錆を生じさせ、急激な温度・湿度変化は日本画などに破損を生じさせる原因となる。光は紫外線が顔料や染料の退色を生じさせ、有機質を劣化させる要因であるが鑑賞者の便宜のためには展示照明が必要であり、紫外線や赤外線をカットした蛍光灯などが用いられ、光の強さも考慮される。
空気質は大気中の汚染物質が入り込まないよう換気や空調を用いたり、出入り口を二重化したりするなど施設面でも対策が行われる。また、施設内部においてもホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)など建材や展示ケースに用いる接着剤などから汚染物質が発生し、入館者を通じても靴底の土や髪の毛・皮膚など害虫の餌となる有機物が持ち込まれるため、換気や清掃が徹底される。
生物被害はネズミなど小動物による被害をはじめ昆虫類による被害、カビなど微生物による被害がある。害虫による被害はゴキブリ、シミ、タバコシバンムシ、カツオブシムシ、ヒラタキクイムシ、シロアリなどがあり、カビは日本画や書籍に使われている糊などを栄養源に発生する。これらの生物被害に対しては、一般的に燻蒸による駆除が行われる。
文化
- 歴史
- エンニガルディ=ナンナの博物館 - 世界最古の博物館と考えられているものの一つ
- アレクサンドリア図書館など図書館が博物館として活用される場合がある。
- 法律
- 博物館法 - 日本の法律
- 博物館に係る法律の俯瞰 - 文化庁の pdf 資料
- Code du patrimoine - フランスの法律
- 武力紛争の際の文化財の保護に関する条約 - 博物館は、戦争の際に標章を掲げ、国際的な文化財保護の対象であることを示すことができる[17]。
- 展示デザイン
- ハンズオン - 展示手法
- リエナクト - 歴史再現展示、街並みや集落を再現した野外博物館などがある。
- 形態展示と生態展示と行動展示 - 動物園や水族館などに見られる分類。
- 参加・体験型博物館[18]
- 展示解説アプリ - e-Museum、Deutsches Museum、Multilingual Museum Guide、e国宝、ポケット学芸員などがある。多言語対応なども行われており通訳なしで博物館を見ることができるようにもなっている[19]。
- 音声ガイド - スマートフォンや音声再生機、ユビキタス・コミュニケータで、多言語の音声案内が行われる[20][21]。
- 併設施設
- ミュージアムショップ - 関連書籍や博物館に関するグッツなどが販売される。
- レストラン - 水族館での魚介類系料理提供などがみられ[22]、休憩スペースとして利用されている[23]。
- 体験施設 - 鉄道体験[24]、砂金取り[25]、機織[26]など
- ゲームセンター[27]
- ふれあいコーナー - 動物とのふれあいができる施設[20]。
- イベントスペース - ワークショップや展示会などが行われる。
- 映画設備[28]
- プラネタリウム[29]
- インターネット
- オンライン展示
- バーチャルミュージアム(バーチャル博物館)[30]
- おうちミュージアム - 新型コロナウイルス感染症の流行で訪問者が少なくなったことから、北海道博物館から全国のミュージアムに「おうちで楽しく学べる」サイトを提供することが2020年3月4日提案され、2020年8月31日には215施設が参加している[31]。
- おうちミュージアム一覧 - 北海道博物館内の一覧
- 内容としては、学芸員の展示品解説、クイズ、クロスワード、間違い探し、塗り絵、ペーパークラフト、双六、染め物の案内、お店の商品での生体標本の作り方、オンライン教材の提供、伝統料理レシピの提供など様々な試みが行われている[31]。
- 賞
- Museum of the Year - 博物館に与えられる賞
- 日本博物館協会賞
- 欧州年間最優秀博物館賞
- イベント
- 国際博物館の日
- ヨーロッパ文化遺産の日 - 加盟している国で毎年9月の第3週の週末に、普段は入れない文化遺産や美術館・博物館内への入場が認められるイベント。この日のために多くの観光地でイベントが用意される。
- Long Night of Museums - ヨーロッパの文化イベント。加盟している博物館がすべて期間限定で夜間開館を行い、新しい訪問者を増やす試み。
- 日本でも、ナイトミュージアムとして期間限定で夜間開館を行う博物館がある[32]。
- ヨーロッパ考古学の日 - 発掘現場の開放や考古学系博物館でイベントが行われる。
- アウトリーチ(出前授業)
- 博物館が理解できるようになる作品
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- 『博物館ななめ歩き』 作:久世番子。京都国立博物館副館長の栗原祐司とともに博物館をめぐり内容を漫画としている。文化庁広報誌『ぶんかる』にて連載(連載サイトへの外部リンク)。
- 『へんなものみっけ!』 作:早良朋。博物館の裏側を描いた漫画作品。
- 『教養として知っておきたい 博物館の世界』 - 作:京都国立博物館副館長の栗原祐司。博物館運営者としての目線・博物館の裏側などの記述がある[33]。
- ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、202頁。ISBN 978-4-595-30826-0。
- ^ “新しい博物館定義、日本語訳が決定しました”. ICOM日本委員会. 2023年2月1日閲覧。
- ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、203頁。ISBN 978-4-595-30826-0。
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、23頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、25頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 『日本経済新聞』2015年1月3日朝刊「インドの仏 仏教美術の源流展」告知記事
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、35頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 『東京国立博物館百年史』東京国立博物館、1978年、10頁。ASIN B000J9CO8I。"資料編548頁"。
- ^ 上野益三『日本博物学史』講談社〈講談社学術文庫〉、1989年。ISBN 978-4061588592。193頁。
- ^ 後藤純郎 「博物局書籍館長、町田久成 : その宗教観を中心として」(『教育学雑誌』第10号、日本大学教育学会、1976年3月、NAID 110009901386)
- ^ 「館の歴史 湯島聖堂博覧会」(東京国立博物館サイト)
- ^ 『学制百二十年史』「草創期の社会教育」(文部科学省サイト)
- ^ 科博の概要と沿革(国立科学博物館サイト)
- ^ 竹内誠監修『知識ゼロからの博物館入門』(幻冬舎、2010年)196ページ
- ^ 【風紋】苦境の地方博物館 宝の資料どう守る『日本経済新聞』朝刊2019年15日(26面・社会)2019年7月28日閲覧。
- ^ “VI 博物館についての国際的規程、条約等” (PDF). 国立教育政策研究所. 2021年1月12日閲覧。
- ^ “武力紛争の際の文化財の保護に関する条約”. 同志社大学 www1.doshisha.ac.jp. 2022年6月16日閲覧。
- ^ “【全国】変わり種・おもしろミュージアム26選!誰かに教えたくなるスポットが満載!|じゃらんニュース”. じゃらんニュース (2021年4月13日). 2022年6月16日閲覧。
- ^ “ミュージアムアプリ「ポケット学芸員」”. www.hm.pref.hokkaido.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “小学生に人気の動物園と科学博物館”. www.ueno.or.jp. 2022年6月17日閲覧。
- ^ “音声ガイドについて”. www.city.mikasa.hokkaido.jp. 2022年6月16日閲覧。
- ^ “SUBARU Wonderful Journey Magazine - TOKYO FM / JFN”. www.tfm.co.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “利用案内・情報 ≫ アクセス・利用案内 ≫ レストラン・休憩所 :: 国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo”. www.kahaku.go.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “体験する”. 京都鉄道博物館 www.kyotorailwaymuseum.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “砂金採り体験室|山梨県身延町”. www.town.minobu.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “八ヶ岳総合博物館 機織り体験 - 茅野市ホームページ”. www.city.chino.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “「博物館はゲーセンになれませんでした…」 何の告知?:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “上映スケジュール”. 京都府京都文化博物館. 京都文化博物館 (2014年12月1日). 2022年6月17日閲覧。
- ^ “プラネタリウム”. www.city.nagano.nagano.jp. 2022年6月17日閲覧。
- ^ “GWにチェックしたい「バーチャル博物館」5選”. ITmedia NEWS. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “臨時休館と学校休校をきっかけに始まった「おうちミュージアム」とは? - 文化庁広報誌 ぶんかる”. www.bunka.go.jp. 2022年6月17日閲覧。
- ^ “夜間特別開館「ナイトミュージアム」開催について”. 熱海市公式ウェブサイト. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “話題の企画展だけじゃ勿体ない!もっと日常的に博物館へ行こう!と思える一冊。《国内6000館を訪ね歩いた著者 栗原 祐司氏が教える博物館の鑑賞法!》”. PR TIMES. 2022年6月17日閲覧。
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