博物館 博物館の概要

博物館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 14:38 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

ミュージアム(英: museum英語発音: [mjuːˈziːəm])と英語風(外来語)に呼ぶこともある。

多くは自然史歴史民族民俗美術芸術科学技術交通鉄道自動車海事航空)、軍事平和など、ある分野を中心に構成され、収集された資料に基づく研究成果を公刊すると同時に、来訪者がその分野について幅広く知識を吸収できるように工夫されている。

概要

国際博物館会議(イコム)規約第3条第1項で「博物館とは、社会とその発展に貢献するため、有形、無形の人類の遺産とその環境を、研究、教育、楽しみを目的として収集、保存,調査研究、普及、展示をおこなう公衆に開かれた非営利の常設機関である。」と定義されている[2]

英語の「ミュージアム (museum)」は古代エジプトプトレマイオス朝の首都アレクサンドリアにあった総合学術機関であるムーセイオンに由来する。ムーセイオンは、ギリシア語で「ムーサ(ミューズ:芸術や学問をつかさどる9人の女神たち)の殿堂」を意味する。

この名のとおり欧州語の museum は、日本語でいう美術館(アート・ミュージアム)も内包する概念である。同様に、日本語で博物館という名称を付さない記念館資料館文学館、歴史館、科学館などの施設も、世界標準では博物館の概念に含まれる専門博物館の類型である。

水族館動物園植物園といった生きている生物を収集する施設の場合は、植物園の標本館であるハーバリウム施設を除くと博物館とは区別して考えられる傾向にあるが[3]、同一の発想に基づく類似施設である。なお、これらは博物館法上は「生態園」と呼称されている。

世界の博物館

ヴンダーカンマー(驚異の部屋)

ヨーロッパの博物館・美術館にはバロック期のヴンダーカンマー(驚異の部屋)に発祥するものが多い。ヴンダーカンマーとは、世界中の珍しい事物(異国の工芸品や一角鯨の角、珍しい貝殻、等々)を、種類や分野を問わず一部屋に集めたものである[4]ルネサンス期からバロック期にかけて王侯や富裕な市民は珍しい事物の収集に熱を入れた。この「珍しい」収集の中には貴重な絵画・彫刻も含まれた。教会以外の場で大規模な美術品の公開展示が行われたのはルネサンス期のフィレンツェである。メディチ家コレクションが邸内の回廊(ガレリア)で行われた。祝祭日に王侯がコレクションを閲覧することはその後も各地で行われたが、通年公開されることはなかった。フランスでは王立絵画彫刻アカデミーがルーヴル宮殿の一室「サロン・カレ」で会員の作品の展示を行い(サロン・ド・パリの起源)[5]ディドロが書いたその批評はフランス内外で広く読まれた。

それまで博物館の閲覧は学者を含め富裕層に限定されてきたが、フランス革命を契機として、初めて一般に公開された常設の博物館として「国立自然史博物館」がパリに設置された。

アジアでは、1814年英国統治下のインドコルカタカルカッタ)で創立されたインド博物館が最も古く[6]明治維新後の日本でも各種の博物館が開設されるようになった。

1925年ドイツ(当時はヴァイマル共和政ミュンヘンにオープンしたドイツ博物館は、これまでの閲覧中心の展示から、体験型展示を全面的に導入し、現代の科学博物館の展示様式のさきがけとなった。一部の博物館、特にイタリアには、コレクションの性質や規模に応じて紹介、事前予約を要するものがある。

アメリカ合衆国では博物館の教育性、公共性が強調され、公開のものが多く、スミソニアン博物館のように定額の入場料を定めないところもある。またポール・アレンのような資産家が収集したコレクションを展示する「私設博物館」を運営することもあり、国立アメリカ・インディアン博物館のように私設から国立となる例もある。


  1. ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、202ページ。ISBN 978-4-595-30826-0
  2. ^ a b VI 博物館についての国際的規程、条約等 (PDF)”. 国立教育政策研究所. 2021年1月12日閲覧。
  3. ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、203ページ。ISBN 978-4-595-30826-0
  4. ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、23ページ。ISBN 4-88367-030-9
  5. ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、25ページ。ISBN 4-88367-030-9
  6. ^ 日本経済新聞』2015年1月3日朝刊「インドの仏 仏教美術の源流展」告知記事
  7. ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、35ページ。ISBN 4-88367-030-9
  8. ^ 『東京国立博物館百年史』東京国立博物館、1978年、本文10p、資料編548p。
  9. ^ 上野益三『日本博物学史』講談社〈講談社学術文庫〉、1989年。ISBN 978-4061588592。193頁。
  10. ^ 後藤純郎 「博物局書籍館長、町田久成 : その宗教観を中心として」(『教育学雑誌』第10号、日本大学教育学会、1976年3月、NAID 110009901386
  11. ^ 「館の歴史 湯島聖堂博覧会」(東京国立博物館サイト)
  12. ^ 『学制百二十年史』「草創期の社会教育」(文部科学省サイト)
  13. ^ 科博の概要と沿革(国立科学博物館サイト)
  14. ^ 竹内誠監修『知識ゼロからの博物館入門』(幻冬舎、2010年)196ページ
  15. ^ 【風紋】苦境の地方博物館 宝の資料どう守る『日本経済新聞』朝刊2019年15日(26面・社会)2019年7月28日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「博物館」の関連用語

博物館のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



博物館のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの博物館 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS