博物館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 17:00 UTC 版)
(イギリス、ロンドン)
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F9%2F94%2FMusee_National_Anthropologie-Entree.jpg%2F170px-Musee_National_Anthropologie-Entree.jpg)
(メキシコ、メキシコシティ)
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2Fb%2Fb4%2FNationalPalace_MuseumFrontView.jpg%2F170px-NationalPalace_MuseumFrontView.jpg)
(中華民国/台湾、台北)
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F7%2F71%2FThe_Egyptian_Museum.jpg%2F170px-The_Egyptian_Museum.jpg)
(エジプト、カイロ)
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F5%2F59%2FHemitage-exterior.jpg%2F170px-Hemitage-exterior.jpg)
(ロシア、サンクトペテルブルク)
文化財を含む貴重な資料の保存・修理[2]や、研究とその成果を公刊する役割も担う。文化だけでなく、観光資源としても大きな役割を担う[3]。
概要
国際博物館会議(ICOM、イコム)規約で「博物館は、有形及び無形の遺産を研究、収集、保存、解釈、展示する、社会のための非営利の常設機関である。博物館は一般に公開され、誰もが利用でき、包摂的であって、多様性と持続可能性を育む。倫理的かつ専門性をもってコミュニケーションを図り、コミュニティの参加とともに博物館は活動し、教育、愉しみ、省察と知識共有のための様々な経験を提供する。」と定義されている。この定義は2022年8月開催のICOMプラハ大会で採択された。[4]
英語の「ミュージアム」(museum)は、日本語でいう美術館(アート・ミュージアム)も内包する概念である。同様に、日本語で博物館という名称を付さない記念館、資料館、文学館、歴史館、科学館などの施設も、世界標準では博物館の概念に含まれる専門博物館の類型である。
水族館、動物園、植物園といった生きている生物を収集する施設は、植物園の標本館であるハーバリウム施設を除くと博物館とは区別して考えられる傾向にあるが[5]、同一の発想に基づく類似施設である。これらは、日本の博物館法上は「生態園」と呼称されている。
名称
英語の「ミュージアム」(museum)は、古代エジプトのプトレマイオス朝首都アレクサンドリアにあった総合学術機関であるムーセイオンに由来する。ムーセイオンは、ギリシア語で「ムーサ(ミューズ:芸術や学問をつかさどる9人の女神たち)の殿堂」を意味する。ドイツ語やフランス語でも同じ由来の語が使われている。
漢語の「博物館」は、日本語や中国語で「ミュージアム」の訳語として使われており、中国語では「博物院」とも訳される[6]。
「博物」の二字は、古代中国の『春秋左氏伝』にも見える伝統的な語だが、「博物館」の初出は諸説ある[6]。一説には、後述の市川清流ら幕末の日本人による和製漢語とされる[6]。また一説には、それより早い清末の魏源『海国図志』、あるいはそのもとになった林則徐『四洲志』による華製新漢語とされる[6]。『海国図志』は、幕末の日本で盛んに読まれたため、市川清流らも読んでいた可能性がある[6]。
世界の博物館
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F0%2F00%2F1655_-_Frontispiece_of_Museum_Wormiani_Historia.jpg%2F220px-1655_-_Frontispiece_of_Museum_Wormiani_Historia.jpg)
ヨーロッパの博物館・美術館にはバロック期のヴンダーカンマー(驚異の部屋)に発祥するものが多い。ヴンダーカンマーとは、世界中の珍しい事物(異国の工芸品や一角鯨の角、珍しい貝殻、等々)を、種類や分野を問わず一部屋に集めたものである[7]。ルネサンス期からバロック期にかけて王侯や富裕な市民は珍しい事物の収集に熱を入れた。この「珍しい」収集の中には貴重な絵画・彫刻も含まれた。キリスト教の教会以外の場で大規模な美術品の公開展示が行われたのはルネサンス期イタリアのフィレンツェである。メディチ家のコレクションが邸内の回廊(ガレリア)で行われた。祝祭日に王侯がコレクションを閲覧することはその後も各地で行われたが、通年公開されることはなかった。フランスでは王立絵画彫刻アカデミーがルーヴル宮殿の一室「サロン・カレ」で会員の作品の展示を行い(サロン・ド・パリの起源)[8]、ディドロが書いたその批評はフランス内外で広く読まれた。
18世紀まで博物館の閲覧は学者を含む富裕層に限定されてきたが、フランス革命中の1793年に、一般に公開される最初の常設の博物館として国立自然史博物館が首都パリに設置された。
アジアでは、1814年に英国統治下のインドのコルカタ(カルカッタ)で創立されたインド博物館が最も古く[9]、明治維新後の日本でも各種の博物館が開設されるようになった。
1925年、ドイツ(当時はヴァイマル共和政)ミュンヘンにオープンしたドイツ博物館は、これまでの閲覧中心の展示から、体験型展示を全面的に導入し、現代の科学博物館の展示様式のさきがけとなった。一部の博物館、特にイタリアには、コレクションの性質や規模に応じて紹介、事前予約を要するものがある。
アメリカ合衆国では博物館の教育性、公共性が強調され、公開のものが多く、スミソニアン博物館のように定額の入場料を定めないところもある。またポール・アレンのような資産家が収集したコレクションを展示する「私設博物館」を運営することもあり、国立アメリカ・インディアン博物館のように私設から国立となる例もある。
-
アメリカ自然史博物館(アメリカ合衆国ニューヨーク)の展示
- ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、202頁。ISBN 978-4-595-30826-0。
- ^ 文化財を守る―保存と修理―東京国立博物館ホームページ(2024年2月12日閲覧)
- ^ 山浦綾香:[海外交通事情]観光資源としてのミュージアム『運輸と経済』第68巻 第3巻(2008年3月)pp.69-77
- ^ “新しい博物館定義、日本語訳が決定しました”. ICOM日本委員会. 2023年2月1日閲覧。
- ^ 佐々木亨、亀井修、竹内有理『新訂 博物館経営・情報論』放送大学教育振興会、2009年、203頁。ISBN 978-4-595-30826-0。
- ^ a b c d e 家永真幸『国宝の政治史』東京大学出版会、2017年。ISBN 978-4-13-026156-2。29-33頁。
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、23頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、25頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 『日本経済新聞』朝刊2015年1月3日「インドの仏 仏教美術の源流展」告知記事
- ^ 鈴木眞理ほか『博物館学シリーズ1 博物館概論』樹村房、2001年、35頁。ISBN 4-88367-030-9。
- ^ 『東京国立博物館百年史』東京国立博物館、1978年、10頁。ASIN B000J9CO8I。"資料編548頁"。
- ^ 上野益三『日本博物学史』(講談社学術文庫、1989年。ISBN 978-4061588592)193頁
- ^ 後藤純郎「博物局書籍館長、町田久成 : その宗教観を中心として」(『教育学雑誌』第10号、日本大学教育学会、1976年3月、NAID 110009901386)
- ^ 「館の歴史 湯島聖堂博覧会」東京国立博物館ホームページ
- ^ 『学制百二十年史』「草創期の社会教育」文部科学省サイトホームページ
- ^ 科博の概要と沿革(国立科学博物館サイト)
- ^ 竹内誠監修『知識ゼロからの博物館入門』(幻冬舎、2010年)196ページ
- ^ “博物館の概要”. 文化庁. 2023年8月14日閲覧。
- ^ 【風紋】苦境の地方博物館 宝の資料どう守る『日本経済新聞』朝刊2019年7月15日(26面・社会)2019年7月28日閲覧
- ^ 博物館 満杯「収蔵庫9割超」57%施設で スペース広げる予算なく『読売新聞』夕刊2024年1月11日8面(2024年2月12日閲覧)
- ^ 日本博物館協会ホームページ内「大規模災害への対応について」(2024年2月12日閲覧)
- ^ “VI 博物館についての国際的規程、条約等” (PDF). 国立教育政策研究所. 2021年1月12日閲覧。
- ^ “武力紛争の際の文化財の保護に関する条約”. 同志社大学 www1.doshisha.ac.jp. 2022年6月16日閲覧。
- ^ 創, 樽 (2000). “博物館における「さわれる展示」—壊される標本たちの現状—”. 哺乳類科学 40 (2): 175–183. doi:10.11238/mammalianscience.40.175 .
- ^ “【全国】変わり種・おもしろミュージアム26選!誰かに教えたくなるスポットが満載!”. じゃらんニュース (2021年4月13日). 2022年6月16日閲覧。
- ^ “ミュージアムアプリ「ポケット学芸員」”. www.hm.pref.hokkaido.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “小学生に人気の動物園と科学博物館”. 上野観光連盟(www.ueno.or.jp). 2022年6月17日閲覧。
- ^ “音声ガイドについて”. www.city.mikasa.hokkaido.jp. 2022年6月16日閲覧。
- ^ “SUBARU Wonderful Journey Magazine - TOKYO FM / JFN”. www.tfm.co.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “利用案内・情報 ≫ アクセス・利用案内 ≫ レストラン・休憩所 :: 国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo”. www.kahaku.go.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “体験する”. 京都鉄道博物館 www.kyotorailwaymuseum.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “砂金採り体験室|山梨県身延町”. www.town.minobu.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “八ヶ岳総合博物館 機織り体験 - 茅野市ホームページ”. www.city.chino.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “「博物館はゲーセンになれませんでした…」 何の告知?”. 朝日新聞デジタル. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “上映スケジュール”. 京都府京都文化博物館. 京都文化博物館 (2014年12月1日). 2022年6月17日閲覧。
- ^ “プラネタリウム”. 長野市立博物館(www.city.nagano.nagano.jp). 2022年6月17日閲覧。
- ^ “GWにチェックしたい「バーチャル博物館」5選”. ITmedia NEWS. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “臨時休館と学校休校をきっかけに始まった「おうちミュージアム」とは? - 文化庁広報誌 ぶんかる”. www.bunka.go.jp. 2022年6月17日閲覧。
- ^ “夜間特別開館「ナイトミュージアム」開催について”. 熱海市公式ウェブサイト. 2022年6月15日閲覧。
- ^ Inc, Shogakukan. “全てのマニアにおすすめしたい!中の人が描いた博物館の裏側マンガ「へんなものみっけ!」|@DIME アットダイム”. @DIME アットダイム. 2024年2月11日閲覧。
- ^ “話題の企画展だけじゃ勿体ない!もっと日常的に博物館へ行こう!と思える一冊。《国内6000館を訪ね歩いた著者 栗原 祐司氏が教える博物館の鑑賞法!》”. PR TIMES. 2022年6月17日閲覧。
- 博物館のページへのリンク