人権 人権の享有主体性

人権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 06:42 UTC 版)

人権の享有主体性

国民

国民が人権の享有主体であることは説明を必要としない[57]。国籍の要件は憲法や法律で定められる。国民の要件は憲法で定めている場合もあれば法律に委ねている場合もある。

日本の場合、日本国憲法第10条が「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と定めており、国籍の取得と喪失について国籍法(昭和25年法律第147号)が定めている[58]

日本では、天皇及び皇族について、ともに憲法10条の「国民」に含まれるが世襲制や天皇の象徴たる地位から一定の異なる扱いを受けるとする説(宮沢俊義)、天皇については象徴たる地位から憲法10条の「国民」には含まれないが、皇族は憲法10条の「国民」に含まれ皇位継承に関係のある限りで一定の変容を受けるとする説(伊藤正己)、皇位の世襲制を重視し天皇・皇族ともに憲法10条の「国民」には含まれないとする説(佐藤幸治)など、学説は分かれていて一様ではない[59]

2004年皇太子徳仁親王が記者会見で皇太子妃雅子に関して述べたいわゆる人格否定発言に関して議論が起きた際、評論家の西尾幹二らは皇族に一般に言われる人権はないとする論陣をはった。その論旨は 天皇および皇族は「一般国民」ではなく[60]、その日常生活にはすべて公的な意味があり、プライバシーや自由が制限されるのは当然とするものである。また、「人権」という言葉は「抑圧されている側が求める概念の革命用語」であり、天皇や皇族が「抑圧」されているのはあってはならない(ありえない)とする[61]。これについて自然権としての人権ということが理解されていないという批判があるが、西尾は人権そのものを否定したのではなく、その適用の対象または範囲に限定して論じたと応答している[61]。この論については竹田恒泰が「人格否定発言について、『皇太子殿下の強い抗議は、ヨーロッパの王族の自由度の広い生活を比較、視野に入れてのことであろう』というが、これも一体どのような取材をした結果だというのか」などと反論し、雑誌記事にコメントする立場にない皇族に対して妄想のいりまじった、無根拠な非難は「卑怯」とした[62]

外国人

人権の前国家性からは外国人にも人権の保障は及ぶと解されている[63]

日本では、法理的には日本国憲法第三章の規定はその表題にあるように「国民の権利及び義務」であるとした上で憲法前文の政治道徳の尊重から外国人にも基本的人権の保障が及ぶものと解する学説[64]と、人権の前国家性や憲法の国際協調主義及び日本国憲法第13条前段の趣旨の帰結として外国人にも基本的人権の保障が及ぶものと解する学説[63]がある。

ただし、外国人の人権享有主体性を認める場合でも、その法的地位は国民と全く同一というわけではない[63]。たとえば、外交、国防、幣制などを担う国政選挙の参政権は伝統的な国民主権原理のもとでは自国民に限られると解されている[65]

法人

法人についてはドイツ連邦共和国基本法のように憲法典で法人にも人権保障が及ぶことを明文で規定している場合がある[66]

日本国憲法には明文の規定がないが性質上可能な限り内国の法人にも権利の保障は及ぶとするのが確立された法理となっている(八幡製鉄事件判例最大判昭和45・6・24民集24巻6号625頁)[67]

男女同権、良心の自由、婚姻に関する保障などは、その性質上法人には保障が及ばない[67]


注釈

  1. ^ 「かように <人権> の理解は一様ではないが、西洋近代の個人主義思想を多かれ少なかれ基本に置いている点では共通」と樋口陽一は説明した。人権を尊重しない政権や、アラブやアフリカ、アジアなどでは、文化の相違などとして反発することがある。だが、一般的に言えば文化の多元性を尊重しつつも、人権価値の普遍性を擁護するという立場が欧米ではコンセンサスを得つつある。[8]

出典

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