メインメモリ
【英】main memory
メインメモリとは、プログラムやデータを一時的に蓄えておくための装置で、CPUの命令で直接アクセスできる装置のことである。ノイマン型コンピュータを構成する五大要素(制御装置、演算装置、主記憶装置、入力装置、出力装置)の中の主記憶装置に相当する。
メインメモリは半導体素子を利用して電気的に記録を行っている。そのためCPUがダイレクトに読み書きすることが可能で、また動作も非常に高速であるという利点がある。ただし電源を切ると内容が失われる(揮発する)という欠点がある。記憶できる容量あたりの単価も非常に高くつく。
コンピューターには、メインメモリの難点を補うための記憶装置として、メインメモリの他にハードディスクやフロッピーディスクなどの外部記憶装置(補助記憶装置)が装備されている。メインメモリと外部記憶装置を使い分け、データの加工はメインメモリで高速に行い、他方で保存を目的とする場合には外部記憶装置に収める仕組みがとられている。
処理中のデータでもメインメモリが記憶しきれないものは、外部記憶装置に保管され、必要に応じて呼び出されている。あまり多くのアプリケーションを実行すると、一旦保管したデータを呼び出す時間がかかり、コンピュータの処理速度が遅くなる。メインメモリは高価だが、増設すればするほど多くのデータを同時に扱うことができる。音声や動画の処理などには多くのメモリ容量が必要となるため、画像処理専用のメモリとして用意される場合もある。
主記憶装置
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2020年6月) |

主記憶装置(しゅきおくそうち)は、記憶装置の分類で、コンピュータのメインバスなどに直接接続されている記憶装置のこと。比較的CPUから近い位置にあるため、一般に外部バスなど比較的CPUから離れていて大容量だが低速な記憶装置である「補助記憶装置」と比較すると、高速(低レイテンシかつ高スループット)だが小容量である。特に、CPUが入出力命令によって外部のインタフェースを操作するのではなく、「ロード・ストア命令」や、さらには通常の加算などの命令において直接読み書きできる対象であるものを指す。メインメモリ、一次記憶装置[注釈 1]とも。
汎用CPUのパッケージに内蔵されているキャッシュメモリよりは低速だが大容量であり、ソフトウェアのプログラムデータを補助記憶装置から読み込んで展開したり、CPUに処理させるデータの読み出し・書き込みをプログラマが明示的に制御可能な作業領域として使われたりする。
21世紀前半において一般的に使われているノイマン型コンピュータでは、フォン・ノイマン・ボトルネックが生じるため、計算負荷が高くなることが想定される場合には可能な限り高速なメインメモリを搭載する必要がある。
概要
コンピュータが初期の頃には、水銀遅延線、ブラウン管記憶装置(ウィリアムス管)(1950年代)、磁気ドラムメモリ、あるいは磁気コアメモリ(1960年代)等が利用されていたが、現在では通常は半導体メモリを利用している。
磁気コアメモリを用いた主記憶装置は、電源の供給が切れても記憶の内容が保持できる。これを不揮発性メモリと呼ぶ。一方、通常の半導体メモリを使ったRAMでは、ハードディスクドライブなどの補助記憶装置と比べて動作が高速ではあるものの、記憶容量が小さく、また電源の供給が切れると記憶の内容が消えてしまう性質がある。これを揮発性メモリと呼ぶ。そのため、記憶の内容を補助記憶装置に適宜書き出しておいて、必要なときに再度読み込んで利用するという方式が取られる。
書き込み可能なRAMには、(リフレッシュ動作をせずに)ある程度の時間が経つと記憶の内容が消えてしまうダイナミックRAM(DRAM)と、電気が供給されている限り記憶の内容が保持できるスタティックRAM(SRAM)の2種類がある。通常、SRAMはDRAMよりもアクセスが高速であるが、両者の構造上の違いから、DRAMの方がビットあたりの必要なトランジスタの数が少なく済み、記憶容量あたりの価格が安くなるので、現在の多くのコンピュータでは主記憶装置にSRAMではなくDRAMを採用している。なお、容量よりも高速性が要求されるキャッシュメモリにはSRAMが採用されている。
最近[いつ?]のプロセッサ(以下、特にCPUについて記述)は、CPU内部の処理速度は極めて高速化したにもかかわらず、主記憶装置を構成するDRAMへのアクセス速度の向上はそれに追いついていないため、主記憶装置とCPUとの処理速度のアンバランスが生じている(ノイマンズ・ボトルネック参照)。そのために、両者のギャップを埋め、より高速にデータを得るため、DRAMで構成された主記憶装置へのアクセスを直接行わず、高速動作が可能なSRAMで構成されたキャッシュメモリを経由してアクセスすることが多い。「Pentium 4」や「Athlon」など、おおよそ2000年以降に出回ったCPUでは、2段階およびそれ以上の段階のキャッシュメモリを経由して主記憶装置へアクセスする方式を採用している。
なお、UNIXでプログラムが異常終了したときの動作を「コアダンプ」というが、これは、主記憶装置が磁気コアメモリを利用していた時代(1960年代)の名残である。
パーソナルコンピュータ (PC) が普及を始めた時代の初期(1980年代)では、8ビットまたは16ビットCPUを使っていた。これらは通例16ビットのアドレスバスを持ち、そのアドレス空間は216バイトすなわち64KiBに制限される。しかし当時であっても、この程度のアドレス空間では拡大を続けるソフトウェアの要求に応えることはできず、すぐにCPUのアドレス空間が不足するようになった。これに伴い、バンク切り換え、セグメント方式、EMSなど、実際のCPUのアドレス空間よりも広い主記憶装置の利用を可能にする技術が使われるようになった[1]。ただし、これらの技法はソフトウェアの複雑化やシステムの不安定化を招く要因にもなった。
32ビットCPUになってからは、アドレス空間が232バイトすなわち4GiBに拡大され、シンプルな形態で大容量メモリを扱えるようになったため、主記憶切り替え機能はいったん廃れたが、さらなるメモリ容量への需要に伴って、仮想記憶機能と連動して、一部の32ビットCPUでは、アドレス範囲が32ビットを超えたメモリのアクセスを可能とするような機能が提供されている。[要出典]
2024年現在は64ビットCPUの普及が進んでおり、サーバーやワークステーションやPCだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスでも64ビットアーキテクチャへの移行がほぼ完了している。アドレス空間は264バイトすなわち16EiBに拡大されているが、搭載可能な物理メモリ量は理論的なアドレス空間よりもずっと小さく制限されている。これは、現状ではオペレーティングシステム (OS) もアプリケーションソフトウェアもそこまでの巨大なメモリ空間を必要としているわけではなく、また64ビットアドレス空間をフルサポートするようなハードウェアを実装しようとすると、必要以上にトランジスタ数が増えてしまうからである[2]。
主記憶装置の使われ方
現代的な多くのコンピュータシステムでは、オペレーティングシステムとメモリ管理ハードウェア[注釈 2]の連携により、プロセスごとに保護された主記憶装置のメモリ空間を仮想的に割り当てる、仮想記憶を採用している。そのため、主記憶装置の空間を一定の単位に区切って管理しつつ利用するメモリ管理機能が利用されている。その方法には、セグメント方式やページング方式がある。
本来の主記憶装置の容量で足りない時は外部の容量を主記憶装置代わりとすることもある。これは仮想メモリとも言われる。
故障
サーバやパーソナルコンピュータのハードウェアで、故障が最も発生し易いものの一つが主記憶装置である。従ってWindows 10などのOSでは「Windowsメモリ診断」ツールが利用できる。主記憶装置が故障すると以下のような事象が発生する。
- 電源を投入してもOSが立ち上がらずブルースクリーンが表示される。
- OSの起動途中に再起動し繰り返す。
- OSが立ち上がってPCを一定時間操作している途中で、画面がスノーノイズのようになって操作不可能になる。
PCに複数の主記憶装置を装填している場合、1つでも故障した主記憶装置があると他の主記憶装置が正常でも上記のような不具合が発生する。主記憶装置を1つ1つ抜いてどの主記憶装置が故障しているかを特定する必要がある。
脚注
注釈
出典
関連項目
- メモリアドレス
- SIMM (Single Inline Memory Module)
- DIMM (Dual Inline Memory Module)
- 転送速度
- 容量の壁
- 記憶媒体
- 補助記憶装置:HDD・SSD
- CPU
外部リンク
メインメモリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 07:55 UTC 版)
前述通り真空管の信用性が低いため、水銀遅延管を使用した。水銀タンクは直径10cm、長さ1m45cm。容量255word(1word=33bit)。
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