しゃかい‐けん〔シヤクワイ‐〕【社会権】
社会権(しゃかいけん)(social right)
すべての人が人間らしく豊かに生活する権利を社会権と言う。平等権や自由権とともに、憲法に保証されている基本的人権のひとつだ。
社会権は、他の二つとくらべて発展が遅れた。たとえば、ルソーなどの啓蒙思想家の時代には、社会権は言及されていない。社会権を初めて明記したのは,ドイツのワイマール憲法(1919年制定)だ。それ以来、多くの国が社会権を憲法で規定するようになった。
今日、日本国憲法では3つの社会権が保障されている。具体的には、生存権,労働基本権,教育を受ける権利、のことだ。
生存権は憲法25条で定められる。「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」というのが、生存権について定めている条項だ。生存権では、働けなくて収入がない人でも、法律によって保護されることを決めている。具体的には、くらしに困窮すると、生活保護などを受けることができる。
教育を受ける権利は憲法26条で定められる。これは「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する」のように定められている。教育を受ける権利では、子供が学校で学ぶことを保証することを決めている。これに対応して、教育基本法(1947年制定)がある。9年の普通教育を義務教育とすること、男女共学、教育の機会均等、などが決められている。
労働基本権は憲法27条で定められる。「すべて国民は勤労の権利を有し,義務を負う。」というのが労働基本権を定めている条項だ。労働基本権は、「誰でも働いて収入を得て、人間らしい生活を営むことができる」権利だ。これに対応して,労働基準法,労働組合法,労働関係調整法の労働三法がある。また特に、労働組合法では,労働者の地位を高めるために,団結権,団体交渉権,団体行動権を保障している。
(参考)
そのほか、環境権、知る権利、プライバシー権なども、近年は新しい人権として主張されている。
(2000.10.14掲載)
社会権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/27 23:08 UTC 版)
社会権(しゃかいけん)とは、基本的人権の分類の一つで、社会を生きていく上で人間が人間らしく生きるための権利。
- ^ a b 小嶋和司 & 立石眞 2011, p. 72.
- ^ 樋口陽一 et al. 1994, p. 176.
- ^ a b c 小嶋和司 & 立石眞 2011, p. 73.
- ^ a b c 樋口陽一 et al. 1997, p. 139.
- ^ 樋口陽一 et al. 1994, pp. 177–178.
- ^ 樋口陽一 et al. 1997, p. 140.
- ^ 小嶋和司 & 立石眞 2011, p. 151.
- ^ a b c 樋口陽一 et al. 1997, p. 141.
- ^ 樋口陽一 et al. 1997, pp. 141–142.
社会権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:43 UTC 版)
国家に対して一定の施策を求めることのできる権利。国家による自由ともいわれる。積極的権利。代表的なものが生存権、社会保障を受ける権利。
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