社会構造と縄張り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 16:38 UTC 版)
ボブキャットは明確な縄張り範囲を持ち、行動範囲はその内側に限られている。自分の縄張りは木に付けた爪の痕や尿、便の臭いでマーキングする。縄張りの中には、通常自身がねぐらとする場所の他に、縄張りの外縁にもいくつかの予備のねぐらがある。ねぐらは朽ちた丸太の洞や積み重なった枝、藪、または岩棚の下などに作られ、ボブキャット特有の強い臭いがする。 ボブキャットの縄張りのサイズは性別や獲物の分布により大きく変わる。国際自然保護連合 (IUCN) によると0.02 - 126平方マイル(0.6 - 326平方キロ)と言われている。カンザス州のある調査ではオスは約8平方マイル(20平方キロ)、メスではその半分以下という資料も出ている。また、遊牧するタイプのボブキャットは広範囲の縄張り(22平方マイル・57平方キロ)を持つが、その範囲はあまり明確ではない。子供の縄張りが最も狭く、およそ3平方マイル(7平方キロ)ほどである。調査によると妊娠中のボブキャットの縄張りはオスと共に分布していることが分かっている。 季節的な違いについての調査結果は曖昧である。ある調査によればオスの縄張りは夏に16平方マイル(41平方マイル)で冬には40平方マイル(100平方キロ)という大きな差があることが分かっている。更に別の調査でも、特に繁殖が盛んな時期のメスでは冬になると縄張りが広がるが、オスでは季節による変化があまり見られなかったという過去の調査結果に似たデータも出ている。その他のアメリカのいくつかの州の調査結果では季節による大きな変化はあまりないともされている。 他のネコ科の動物と同じく、ボブキャットは多くの場合単独行動を取り、その縄張りは他個体と重複している。しかしネコとは異なり、オスは他と縄張りが重なっていることについて寛大であるが、メスは他の縄張りには滅多に足を踏み入れることはない。メスは縄張りの範囲が小さいため、2 - 3匹のメスが一匹のオスの縄張りで生活していると考えられる。オスの縄張りが重複している場合では通常個体間に上下関係が形成され、時には自分の好きな場所を譲り一時的に場所を変えることもある。 縄張りサイズの推定にばらつきがあるため、個体数の密度の推定値にも10平方マイル(26平方キロ)あたり1 - 38匹と大きな開きがある。平均では5平方マイル(13平方キロ)あたり1匹と言われている。個体数の密度と性比との間には相関があることが分かっている。カリフォルニア州におけるある調査では、個体数密度が高い集団では雌雄比はメス一匹に対してオスが2.1匹であったのに対して、個体数密度が低下すると メス一匹に対してオスは0.86匹となった。他の調査でも似たような比率が出ていることから、個体密度が増加して競争が激しくなると何らかの理由でメスよりオスの生存率が高くなり、個体密度が再び低下するまで繁殖頻度を抑える役割があるのではないかと考えられている。
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