こくさい‐しぜんほごれんごう〔‐シゼンホゴレンガフ〕【国際自然保護連合】
読み方:こくさいしぜんほごれんごう
国際自然保護連合(IUCN)
自然保護と天然資源の保全に関心をもつ各国政府機関,NGOなどの関係者の協力を図る目的で1948年設立された国際団体で,本部はスイスにある。国連機関やWWF(世界自然保護基金)などの援助,協力の下に,自然保護に関する情報交換,調査研究,啓発活動など幅広く行っています。国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう) International Union for Conservation of Nature and Natural Resources
国際自然保護連合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 14:36 UTC 版)
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IUCNロゴ
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IUCN本部(スイス)
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略称 | IUCN |
---|---|
設立 | 1948年10月5日 |
種類 | 国際非政府組織, 学術出版社 |
目的 | 自然及び自然資源の保全に関わる国家、政府機関、国内及び国際的非政府機関等の協力促進 |
本部 | グラン |
事務総長 | ブルーノ・オベール |
ウェブサイト | https://www.iucn.org |
国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう、英:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources、IUCN)とは、1948年に創設された[1]、国際的な自然保護団体である。
国家、政府機関、NGOなどを会員とする。本部はスイスのグランにある。
日本は1978年に環境庁が日本の政府機関として初めて加盟、1995年に国家会員として加盟した。また、日本国内の18団体(NGOなど)が加盟している。
1993年には、旭硝子財団よりブループラネット賞が贈られた。国連総会オブザーバー資格を取得している[2]。大正大学内に「IUCN日本リエゾンオフィス」が設けられている。ラムサール条約の事務局をになっている[3]。自然遺産候補を専門機関として調査している[4]。
組織運営と活動資金
組織運営
最高の意思決定機構は世界自然保護会議(英: World Conservation Congres)と称して会長以下、会員団体の総会を4年に一度開き、次の4年間の事業計画と予算を立てる[5]。
主要な統治組織をIUCN評議会と呼び、活動の戦略方向性を与え、方針の課題を協議したり財政と会員増強に関して指針を示す。会長以下、副会長4名(評議員の互選)、監査役、6つの委員会の委員長、8つの法定地域を代表する地域評議員3名ずつに加え、本部を置くスイスから1名が派遣される。2023年7月時点の会長はラザン・アル・ムバラク[6][7](アラブ首長国連邦の元アブダビ環境庁長官[8])。同じく事務総長はブルーノ・オベール[9]、前任者はインガ・アンダーセン。
事務総長の任命権は評議会にあり、IUCNの管理と事務局運営全般を委嘱する。設立以来、歴代の事務総長を一覧にする[10]。
歴代のIUCN会長
任期 | 国籍 | 氏名 | 出典 |
---|---|---|---|
1948–1954 | ![]() |
Charles Jean Bernard | [10] |
1954–1958 | ![]() |
ロジェ・エイム | [10] |
1958–1963 | ![]() |
ジャン・ジョルジュ・ベーア | [10] |
1963–1966 | ![]() |
François Bourlière | [10] |
1966–1972 | ![]() |
ハロルド・ジェファーソン・クーリジ・ジュニア | [10] |
1972–1978 | ![]() |
Donald Johan Kuenen | [10] |
1978–1984 | ![]() |
ムハンマド・アブデル・ファト・アル・カーサス | [10] |
1984–1990 | ![]() |
モンコンブ・スワミナサン | [10] |
1990–1994 | ![]() |
シュリダス・ランファル | [10] |
1994–1996 | ![]() |
Jay D. Hair | [10] |
1996–2004 | ![]() |
ヨランダ・カカバドス | [10] |
2004–2008 | ![]() |
モハメド・ヴァリ・ムーサ | [10] |
2008–2012 | ![]() |
アショーク・コシュラー | |
2012–2021 | ![]() |
章新勝 | |
2021–現職 | ![]() |
ラザン・アル・ムバラク | [6] |
-
ジャン=ポール・ハロワ
-
ヒュー・エリオット
-
インガ・アンダーセン
-
ブルーノ・オベール
IUCNによる自然保護地域カテゴリー
国際自然保護連合は、世界各国の政府・法人・個人が保護している地域に対して、以下のようなカテゴリー化を行っている。これらのカテゴリーは、保護された自然区域の管理の度合いを示すものである。自然保護地域を国立公園と国立公園以外に分類すると、世界の152の国で国立公園以外の自然保護地域を指定し、その総数は7994件であった(1997年時点[11])。
- 厳正保護地域(Ia)
- 特出したもしくは代表的な生態系や、地理的なもしくは生理学的な特徴あるいは種を有し、原則として科学的研究あるいは環境観察のために開かれている土地あるいは海域。
- 原生自然地域(Ib)
- 手つかずもしくはそれに近い状態で保たれていて、その自然の性格と作用を保ち、恒久的あるいは重要な棲息を持たず、その自然状態を保つために保護され運営されている広大な土地あるいは海域。
- 国立公園(II)
-
以下を意図した土地あるいは海域の自然地域。
- 現在のそして未来の世代のために一つあるいはそれ以上の生態系の完全環境を保護すること
- 私的利用もしくは地域の保護目的に反する土地所有を排除すること
- 精神的な、学術的な、教育的な、レクリエーション的なそして訪問などの機会ための土台が提供されていて、それが環境的にそして文化的に矛盾していないこと。
- 天然記念物(III)
- その独自の希少性、代表的なもしくは美的な特性、もしくは文化的重要性によって、一つあるいはそれ以上の特出したもしくは独特の価値を持つ、明確な自然のもしくは自然文化の特徴を含む地域。
- 種と生息地管理地域(IV)
- 生息動物の保持を確認するためあるいは特定の種の要求を満たすため、運営目的のために精力的な介在に属する土地もしくは海域。
- 景観保護地域(V)
- 人間と自然の何代にもわたる交流が、重要で美的な、環境的な、文化的な価値を伴いそして多くは高度に生物学的な多様性を伴った、他では見られないような特徴を持った地域を作り出した海岸や海域を伴った土地。この伝統的交流の完全保護がかかる地域の保護、維持、発展に非常に重要であること。
- 資源保護地域(VI)
- 自然生産の持続的流れとコミュニティーの要求を満たすをことを同時に提供している一方で、長期の保護を確保し、生物学的多様性を維持することで運営している、主に手つかずの自然形態を含む地域。
この類型区分に従うと、カテゴリーIV「種と生息地管理地域」は1997年に3764ヵ所で全体の47%を占めた[11]。
以上のようなカテゴリー区分は日本においても行われている。ユネスコの世界遺産に登録された白神山地[12][13][14]は、「(Ib)原生自然地域」として分類されている。
参考文献
保全状況 (IUCNレッドリストカテゴリー) |
---|
絶滅 |
絶滅 (EX) 野生絶滅 (EW) |
絶滅危惧 |
絶滅寸前 (CR) 絶滅危惧 (EN) 危急 (VU) |
低リスク |
保全対策依存 (CD) 準絶滅危惧 (NT) 低危険種 (LC) |
その他 |
データ不足 (DD) 未評価 (NE) |
関連項目 レッドリスト 国際自然保護連合 絶滅危惧種 |
主な執筆者名順。本文の典拠の詳細。
- 和文
- 「世界の国立公園と自然保護地域の指定状況に関する研究」『千葉大学園芸学部学術報告』第51号、1997年3月、87–101頁。
- 青森県史編さん自然部会 編「コラム 世界遣産とIUCN」『青森県史』 自然編 生物、青森県、2003年、729頁。全国書誌番号:20405757。
- 吉岡斉 編『「新通史」日本の科学技術 : 世紀転換期の社会史 : 1995年~2011年』 別巻、原書房、2012年。全国書誌番号: 22072241。
- 英文
- Hesselink, Frits; Čeřovský, Jan (6 September 2011). “Annex 4. IUCN Presidents, Director Generals, General Assemblies” (pdf). Learning to Change the Future. IUCN. pp. 21-28. オリジナルの2018-10-15時点におけるアーカイブ。 2011年1月24日閲覧。
脚注
- ^ “国際自然保護連合(IUCN)の概要”. www.env.go.jp. 2023年2月25日閲覧。
- ^ “国際自然保護連合(IUCN)”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2023年2月25日閲覧。
- ^ “国際機関、国際条約との連携 - IUCN日本委員会”. iucn.jp. 2023年2月25日閲覧。
- ^ “公益社団法人日本ユネスコ協会連盟”. 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟. 2023年2月25日閲覧。
- ^ “第7回IUCN世界自然保護会議の結果概要について”. 環境省 (2021年9月14日). 2023年9月8日閲覧。 “(前略)第7回世界自然保護会議(WCC7)が、令和3年9月3日(金)から9月11日(土)までの9日間、フランス・マルセイユで開催され(中略)環境省、外務省に加え、国際自然保護連合日本委員会などのNGOも参加(略)。会員総会では、役員選挙、動議の採択や功労者への表彰式等が実施されました。環境省は政府機関会員として会員総会に出席するとともに、イベントやポスター展示を通じて我が国の取組を発信しました。”
- ^ a b “Director General [事務総長]” (英語). IUCN (2021年9月8日). 2022年2月15日閲覧。
- ^ “参加者募集:10月6日開催「気候変動アクション日本サミット2023」 – 気候変動イニシアティブ – Japan Climate Initiative – JCI”. 気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative). 2023年9月8日閲覧。 “ラザン・アル・ムバラク 国連COP28気候変動ハイレベルチャンピオン”
- ^ キャロル・スミス(国連大学) (2011年6月29日). “絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト”. ourworld.unu.edu. OurWorld(国連大学ウェブマガジン). 国連大学. 2023年9月8日閲覧。
- ^ “事務総長” (英語). IUCN (2015年8月31日). 2019年8月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m Hesselink & Čeřovský 2011, pp. 21–28, "Annex 4. IUCN Presidents, Director Generals, General Assemblies"
- ^ a b 油井 1997, pp. 87–101
- ^ 青森県 2003, p. 729, 「コラム 世界遣産とIUCN」
- ^ 吉岡 2012, p. (4) 534, 「白神山地」
- ^ 吉岡 2012, p. (4) 525, 「IUCN」
関連項目
- レッドリスト
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約):アメリカ合衆国連邦政府と IUCN が中心となって作成。
- 世界遺産:自然遺産の候補は、IUCN が現地調査を担当。
- 移動性野生動物種の保全に関する条約
- ラムサール条約
- 環境教育:IUCNによって初めて用いられた用語とされている。
- 世界の侵略的外来種ワースト100:IUCNの種の保全委員会が作成。
- 公海の世界遺産
- 世界自然保護基金:WWF
外部リンク
国際自然保護連合 (IUCN)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 23:44 UTC 版)
「インガー・アンダーセン」の記事における「国際自然保護連合 (IUCN)」の解説
2015年1月に国際自然保護連合 (IUCN) の事務局長に任命されると、アンダーセンは職責において世界中の50以上の事務所でIUCNの業務を担当した。 IUCNはアンダーセンのリーダーシップの下、米国ハワイ州で2016年世界自然保護会議を開催し、会議の正式な開会の前夜にハワイ入りしたバラク・オバマ大統領が出席者を歓迎する挨拶を行った。同国が初めて主催国として開催するIUCNの会議であり、アンダーセンは「自然保護のオリンピック」とも呼ばれる世界最大の国際環境保護会議を成功に導いた。 IUCN在任中、アンダーセンは持続可能な開発を達成する取り組みにおける自然保護の重要性を次のように強調した。「自然は人間の願望の障害ではなく、不可欠なパートナーであり、すべての取り組みに貴重な貢献を提供します。」
※この「国際自然保護連合 (IUCN)」の解説は、「インガー・アンダーセン」の解説の一部です。
「国際自然保護連合 (IUCN)」を含む「インガー・アンダーセン」の記事については、「インガー・アンダーセン」の概要を参照ください。
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