社会構造と知識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/05 15:50 UTC 版)
「ダイバージェント 異端者」の記事における「社会構造と知識」の解説
政府によってある集団が分割されている状況はヤングアダルト小説ではよく用いられる舞台装置である(ロイス・ローリーの『ザ・ギバー 記憶を伝える者』が有名)。アシュレー・アン・ヘイズは自らの修士論文において、『ハンガー・ゲーム』と本作の社会集団の分割は対照的なものであると主張した。本作は外部の力によって分割された社会の構成員に自分たちの社会は民主主義的であると錯覚させることによってその構造の複雑性を増していると述べている。 批評家の中には、本作における社会構造の描写が浅く、現実的ではないと批判している人もいる。「Kirkus Reviews」は本作における社会構造を「ありえない前提条件の上に成り立っている」と批判している。「ブックリスト」は「あまりにも単純な構造だ。」と述べている。なお、作者であるヴェロニカ・ロス自身は「『ダイバージェント 異端者』における社会構造の描写は、最初に思いついたものをさらに展開させたものだ。「キャンダー」(高潔)をグループに加えたのは小説の世界観に足りないものを補うためだった。」と述べている。 登場人物が行き来できるような5つの社会グループを設定して社会全体を分断したことが本作の主題に最も大きな影響を及ぼすこととなった。アリス・カリーはこの影響を分析し、「『ダイバージェント 異端者』における5つのグループとそのグループ内における構成員の教化は、意図的に、異なるグループに所属する人間同士の知性に差異を生じさせるものである。通過儀礼のために、他のグループで重視される価値観・知識に無関心・無知になる。トリスは「ダイバージェント」であるため、幅広いタイプの情報・知識を利用することができる。そのことが、読者を感心させるのである。。」と述べている。また、カリーは「「エリュアダイト」内部におけるジェニーンのリーダーシップは学問における「象牙の塔」の表象である。つまり、ジェニーンのリーダーシップは他のタイプの知性を疎外するようなものなのである。『ダイバージェント 異端者』は学問が専門分化に甘んじることを批判し、トリスが体現しているような幅広い学識を推奨しているのだ。」とも述べている。
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