春日一番編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:14 UTC 版)
「龍が如くシリーズの登場人物」の記事における「春日一番編」の解説
ナンバ / 難波 悠(なんば ゆう) 声 - 安田顕 薬を闇取引した事で免許を剥奪された元看護師で、伊勢佐木異人町の公園をねぐらにしているホームレス。41歳。黒の長靴にグレーのスウェット、カーキ色のフード付きパーカーに作業上着、首にはマフラーを巻き、指無しの毛糸手袋をはめ、ボサボサ髪にサーモントタイプのめがねを掛けている。伝説の超高級ウイスキー「レジェンドモルト」のボトルを一見で判別し、天童のプロボクサー時代の経歴や沢城が扱う武術を見抜くなど何かに付けて博識である。また、紗栄子に対して好意を寄せているような節もあり、不満を言いながらも買い出しの付き添いに行ったりしている。バトルスタイルはビニール傘などステッキ状のもので殴打するほか、アルコール度の高い酒を口に含み、吹きながらライターで火を付ける「熱気ブレス」や「クサい息」「物乞い」などホームレスとしての境遇から培った技を駆使する。本人はホームレス時代から潔癖症である事を語っているが、その割には矛盾した行動が多い為、何処まで本意かは定かでない。 小学生時代に読んだナイチンゲールの伝記に感銘を受けて看護師を志し、それでも実際は過酷な労働を強いられて理想と現実とのギャップから次第にやる気を無くし始めていたが、中年に差し掛かった頃に同じ動機で看護師を志した水恵という同僚と出会い、仕事に一切手を抜かない彼女の直向きさと家庭の事情を知り、改心して仕事に真面目に取り組むようになる。その後、水恵が薬の横流しに手を染めていたことを目撃しながらも事情を勘案して黙認するが、後日に一向に犯人の目星が付かない状況に業を煮やした院長が警察に被害届を提出することを知り、水恵を庇うために自らが犯人だと名乗り出たことで病院を解雇され、看護師免許も剥奪されることとなった。(春日と出会った初期は前述の通り、自分が汚職をしたと語っていたが、改めて友好を深めた後、春日に免許剥奪に至った本当の出来事を明かしている。)また、同時期に実弟の秋葉正一が異人町の偽札造りを探った果てに「コミジュルに監視されている」という報せを最後に連絡を断ったことから弟の行方を捜す手かがりを探すために伊勢佐木異人町の公園にホームレスとなり、監視するようになる。その後は撃たれて重傷を負った春日を治療し、当初は面倒に巻き込まれることを嫌ってつれない態度を見せるも、食事を分けてやったり、金稼ぎの方法を教えたりとなんだかんだで世話を焼き、ホームレスとしてのいろはを教える。その後も気落ちする春日に異人流ヒレ酒を振る舞うなどどん底の春日を最初に救うきっかけを作り、彼から強く感謝されるようになったが、ホームレス生活の中で偶然にも春日が偽札を所持していることを知り、弟を捜す手かがりになると考えて行動を共にするようになる。その後、コミジュルアジトに潜入することに成功し、そこで偽札作りに確信を得るもソンヒによって常にアジトを窺っていたことや本当の目的を暴露され、春日達にも知られることとなった。その後は春日達の手助けによりその場から逃げ出すことが出来たが、弟を捜したい一心で偽札のことをブリーチジャパン現代表の小笠原に話してしまい、肉の壁を崩す大きな抗争のきっかけを作る。その後、小笠原やデモ隊に紛れた近江連合と共に春日達と戦うも返り討ちに遭い、更には偽札作りの現場も隠滅されたことで落胆してしまったところをソンヒの口から弟がコミジュルアジト地下にある居住区にて軟禁されていた事を知らされ、対面を果たした。その後は町から出て行った方が良いと言い残し、一度は春日達の前から去って行ったが、慶錦飯店にて石尾田と春日らが対峙した際には救援として駆けつけ、春日達を裏切ったことを詫びると共に再度仲間に加わることができると涙ぐみながら感謝した。また、再会した弟から軟禁状態にありながら世話をしてくれた女性と恋仲になった上に結婚する話まで聞かされたことでコミジュルに対しての怒りは無くなったと言い切る。 また、サブストーリーでは前述の横流しの一件で身代わりとなった水恵が病院の海外派遣制度を利用して海外へ旅立つ日が近いことを思い出し、見送りたいという願いを春日に吐露したが、春日の伝手によって異人町の新人ホステスの双葉が水恵であることや同時に家庭の事情ではなく私欲を動機に薬の横流しをしていたこと、自身が庇ったことに味を占めて罪を重ねた挙句に逮捕の末に失職した事などを知る事となり、それでも春日達を傷つけまいとあえて騙された振りをし、「海外に旅立つ看護師を演じた水恵」と偶然を装って再会を果たした。その後、春日に対して気遣いの上で動いていてくれた事に感謝を述べた。 劇中、牛乳の早飲みが得意で周囲から吐く事を心配されたり、マスコットキャラである小野ミチオを巡る騒動を聞かされて、「黄色い着ぐるみを着て殴られたらたまらない」と呟いたり、エビ料理に嫌な思い出がある事を仄めかしたりしているが、これはナンバ演じる安田が出演していたバラエティ番組水曜どうでしょうでの出来事をパロディ化した物であると考えられ、同番組ディレクターである藤村忠寿と嬉野雅道も自身のYouTube公式チャンネルにて取り上げている。 向田 紗栄子(むこうだ さえこ) 声 - 上坂すみれ 伊勢佐木異人町にある野々宮がオーナーを務めるキャバクラ店の雇われママ。常にベージュのミニスカートに同色で全体縁とポケット縁、袖口が黒のジャケット、中には黒のキャミソール、金のネックレスに、ピンヒールの高い黒のパンプス姿をしており、髪型はボブショートヘアーで、常に右耳に髪の毛を掛けている。春日に対して聞こえない程の小声で「ありがと」と言うなど素直になりきれないシャイな一面や春日達に夜食を振る舞うなど料理好きな一面、上半身裸の春日を目の前にしても「男の裸は見慣れている」とうろたえる事もなく自身もバスローブ一枚姿のままでいるなど男っぽい一面がある。春日と足立から「ツンデレだが本当は優しくて照れ隠しをしている」と茶化された事もある。また、買い出しに行く際にはナンバや春日を誘うなど非力と見れる一面があり、ナンバからは「愛情の裏返し」だと誤解を受ける事もあってナンバからは好意的を寄せられているかのような発言もあるが、自身は春日に好意を寄せているような節も見せている。以前は同店に勤めるNo.1キャバクラ嬢だったと自負しており、春日やナンバ、酒豪の足立らと酒を共にしても「寝酒程度」と豪語し、足立が「あんな酒に強い女見た事がない」と敬服するほどのかなりの上戸であり、また愛煙家でもある。また、春日達からは「サッちゃん」や「紗栄子」と呼ばれている。バトルスタイルは持っているハンドバッグで殴打するほか、様々な美容器具を用いて敵にダメージを与えつつ追加効果を与えたり、自己強化を行う。 我が強く教育熱心なところがある故に病弱且つ寝たきりの母親に頼られていたためや稼ぎが少ない父親を助けるために中学卒業後はバイトをして家計を助けていたが、「家族の家計を支えている」という信念の元で母が亡くなってからいっそうその想いが強くなり、正反対の性格であった菜乃葉に苦労することなく安定した生活を送ってもらいたいという一心で進学や就職に口出しをした挙句に双子の妹である菜乃葉の彼氏の桂川に対してまで必要以上に口出しをしてしまったことで菜乃葉の怒りを買い、またそれがきっかけで「自分より稼ぎが良い」という肩身の狭い思いをしていた父親からも反論出来ずにいた反動から泣き出され、自分が家族から疎まれていると気付いて7、8年前に家を飛び出す。その後、桂川が元暴走族且つ星龍会に出入りする半グレであることを知ってずっと気に掛けており、家を飛び出してからも、菜乃葉とは連絡を取り合っていたが、何かと理由を付けて対面は果たせずにいた。馬淵達に殺される直前の野々宮と電話で話していたが、そこで犯人が馬淵である可能性が高いという証言を電話越しに聞いており、野々宮の死に不満を持った事がきっかけで野々宮の葬儀で春日達と出会う。その後、厄介者と知りつつも殺された疑いがある野々宮の事を「自殺」としてロクに調べようともしない警察に憤るのと同時に自分の非力さを嘆いたが、春日達に「一緒にやろう」と言われた事に喜悦し、それ以降は常に最後まで行動を共にする事になる。また、菜乃葉との問題が解決した後は連絡は取らない方が良いと思い、今後は店のキャバ嬢達から様子を伺って彼女の事を把握することに決めた。 また、サブストーリーでは店のキャバ嬢たちの調べで菜乃葉が桂川と会っていたことやヨリを戻そうと言い寄られていたこと、桂川の目的が菜乃葉が乙姫ランドで働いて稼いでいる事を知った上で経営するコンサル会社の業績不振と言い寄って金を騙し取ることなどを知り、これ以上は菜乃葉が金を取られたり、酷い目に遭わないように春日の助言で菜乃葉に成り済まし、桂川の元へ別れる事と返金を迫りに春日と共に会いに行ったが、桂川に拒否される。その後、桂川の日頃の行いに不満を持っていたことに加えて密かに菜乃葉に想いを寄せてきっかけがあれば助け出したいと思っていた山下が味方に加わり、結果として春日共々桂川の怒りを買って襲われたが、春日と山下の助けもあって逆に桂川を懲らしめる事に成功する。その後は山下が「桂川は事業を失敗して街を出た、借りていた金は預かっている」と菜乃葉に伝えて返金したことで何とか騒動を収め、また山下の事を「とりあえず合格」と認めた。また、最後の最後まで菜乃葉の幸せを願いつつも菜乃葉に知られないように動いていた事や「自分が父親のためにソープで働いていた事は姉は知らない」という菜乃葉の気持ちを知らないという事を隠し通して会わないことを決意した。 足立 宏一(あだち こういち) 声 - 大塚明夫 元・神奈川県警刑事。59歳。グレーとカーキ2色のスニーカーに、濃いベージュのチノパン、白いTシャツの上に、ドカジャン風の茶色いファーの付いた青い革ジャンを着ており、指無し革手袋をはめ、白髪交じりのオールバック調の髪型をしている。元刑事だけあって法律に詳しいが、道路交通法については部署柄なじみが無かったためか、あやふやな部分が目立つ。また、無類の酒好きで、コンビニで購入したカップ酒を好んで飲んでおり、行きつけの「サバイバー」のマスターに内緒で店に持ち込んで飲んだり、アジトへ帰ろうとしたり、一度落ち着くと「一杯やろうぜ」と誘う程であるが、「あんな酒の強い女見た事がない」と息巻くなど紗栄子の酒豪っぷりには一目置いている。白の5ドアタイプの軽自動車を所有している。また、武器を左手に持つことから左利きと思われる。常に金欠で、酒を購入する金も無い時は水を飲んで誤魔化していた。ビールも大好きだが、健康診断で尿酸値に引っかかってからは数値が下がるまで控えるようにしていた。しかしその結果を知る前に無職となってしまった為、成果を把握する事は出来ず、さらにその話を聞いた途端に春日達が一斉にビールをおかわりし始めた為、「お前ら性格が悪過ぎる」と嘆いて自分もビールを飲んだ。性格は豪快だが天然めいたところがあり、うっかり失言をしては周囲に怒られる事も多い。また、警視庁組織犯罪対策第四課の刑事である伊達真とは先輩後輩の間柄であり、数少ない信用出来る警察仲間とも語っており、伊達のことを「まこっちゃん」と呼んでいる。戦闘では柔道や力技を活かした逮捕術を用いる他、敵を挑発して怒り状態にさせて自分だけに攻撃するように仕向けることができる。 20年前に担当していた事件の真犯人を巡り、当時の神奈川県警本部長だった堀ノ内に楯突いたことで免許センター職員へ理不尽な左遷を受けてしまう。その後、堀ノ内への復讐機会を窺っていた時に荒川から堀ノ内へ賄賂が流れていたことを突き止め、荒川組組員だった春日に協力依頼するために春日の出所時に出迎える形で出会ったが、春日と荒川を会わせるために神室町の平安樓神室町支店に忍び込もうとしたことがバレてしまう。その後は建造物侵入や傷害、公務執行妨害で逮捕と送検はされなかったが、懲戒免職を受けて定年間近で無職になってしまい、春日が撃たれて行方不明になって一旦はぐれてしまう。 その後、春日が伊勢佐木異人町で一命をとりとめて難波と共に住所を得た頃、渡してあったスマホのGPSから春日の居場所を探し当てて合流し、以降は再び堀ノ内への復讐のために行動を共にする事となる。その後、戦いが終わった後は沢城丈が荒川組本部に残したデータにより近江連合が堀ノ内へ送った賄賂を暴くことに成功しており、堀ノ内を呼び出して連行し、勝利宣言を突き付けた。 また、サブストーリーでは20年前の事件において誤認逮捕をして釈放させてやることが出来ずに獄中で自殺してしまった久住への遺憾の念と罪滅ぼしから施設に送られた久住の息子である隆史に送金していることや本名を名乗っては「父親を誤認逮捕した刑事」と疎まれて受け取りを拒否されると思って「社会貢献が趣味の資産家・山田」という偽名で送金していること、弁護士を目指して司法試験に合格するまで送金しようと決めていたことが判明し、そんな中で「高級外車に傷を付けてしまい修理費100万円が必要で用立てて欲しい」という手紙を受け取るが、春日の助言により詐欺だと睨んだ。その後、隆史と車の所有者である長谷川とサバイバーで会う約束をしたが、話があやふやだったために詐欺だと見抜き、異人町の牛丼屋で春日と食事中に偶然居合わせた隆史と長谷川の二人がグルで金を巻き上げようとしていたことを知るに至り、また長谷川に襲われたところを返り討ちにした。その後は現れた「本物の隆史」と会い、隆史だと思い込んでいた男は隆史と共に弁護士を目指して勉強していたルームメイトの康介であることや康介が司法試験を諦めてチンピラ連中と付き合うようになったこと、隆史に成り済まして仲間から詐欺話を持ちかけられて足立から金を騙し取るためにやっていたことを知るが、隆史から山田が自身であることは以前から気付いていたことや司法試験に合格したことを聞かされ、更には何より最後まで父親の冤罪を信じて釈放を訴えて動いてくれていたことを感謝された。 ハン・ジュンギ/キム・ヨンス 声 - 中村悠一 「コミジュル」の参謀で、かつて『6』で登場した韓国系マフィア「真拳派」のボスであるハン・ジュンギの影武者であった男。33歳。モッズコートにカーゴパンツ、ミリタリーブーツを全て黒で統一した装いとシルバーアッシュに染めた髪が特徴。冷静沈着に物事を見極めて判断し、感情を表に出す事もほとんど無く、また相手の言動や気持ちに直接反論せず尊重しながら伝え、どんな相手であろうと常に敬語で話すなど紳士的な面も持ち合わせている。一方で敵対者と見なした者には慇懃無礼で皮肉屋な面を露わにする。また、ソンヒから「それは彼次第だ」と判断を委ねられたり、自分の代わりに「頼りになる男だ」と同行させていたりとソンヒから全幅の信頼を寄せられていた。定期的にソンヒと連絡を取り合っているらしく、彼女からの情報を春日達に伝える役目も担っている。また、本名が「キム・ヨンス」であることが語られている。戦闘では本物のハン・ジュンギ同様のボクシングを主体としながらもメリケンサックを装着して戦う他、二挺拳銃による射撃や刃物、薬品といった武器を使用した攻撃も駆使する。 1980年代に起こった東城会との抗争に幾度も敗れたことで任務を果たせず本国への帰還も許されず居場所を無くした「はぐれジングォン派」の子として生まれたため、一般の在日コミュニティからも受け入れられず「マフィア崩れの半端者」として父どもども爪弾きにされ、更には酒に逃避した父親からも暴行を受けて苦しい少年期を過ごしていた。しかしある日ハンに取り入ろうとした父親の手により眠っている間に「本物のハン・ジュンギ」そっくりに顔を変えられ、「影武者」として立てられてしまう。その後は困惑されながらもハンから影武者として受け入れられ、振る舞いを覚えさせるための一環として常に彼の側に置かれるようになり「居ることが許される場所」という実感を初めて得ながら、本来は主従関係にありながらも長い時間を経てハンと双子の兄弟のような関係を築き上げた。その後、ジングォン派が広島の極道組織との抗争となった際にはハンと行動を起こし、影武者として神室町の敵対組織に睨みを利かせる役目を担うが、その最中にハンが死亡した事で組織は事実上の壊滅状態になってしまい、ハンの死が露見する前に報復を恐れて僅かに残っていた構成員と共に神室町から逃げ出した。その後は在日コミュニティに駆け込むものの、マフィアの一員である事を理由に拒まれたことで逆上して騒ぎを起こし、通報されて現場に駆けつけた警察官に逮捕されてしまうが、その警察官の正体はコミジュルの構成員であった事から難を逃れる。その後、伊勢佐木異人町に連れてこられた後はソンヒの口から「本物のハン・ジュンギ」が広島の極道組織に雇われた殺し屋に銃殺されたことを聞かされ、更にはその殺し屋も殺されて仇を討つ機会も無くしたことで抜け殻のように失意の中にいたが、ソンヒから励まされ、いつしか「兄と慕う本物のハン・ジュンギに代わる姉」として忠誠を誓って慕うようになる。その後、馬淵に捕らえられて監禁されていた春日達を助けるが、後に「お手並み拝見」と称しながら部下に命は取らないように厳命し、春日達に襲撃を掛けるように命じた。その後はソンヒの命で構成員らと共にナンバを連れ出そうとするも春日達に阻止された上に返り討ちにされてしまい、それでも逃走したナンバを捕まえるためにコミジュル構成員らに探し出すように命令した。また、馬淵によるクーデターでアジトが襲撃を受けた際は春日達が時間稼ぎをする間にソンヒと共に証拠隠滅に奔走した。その後、捕らえたブリーチジャパンの代表である小笠原肇を尋問に掛けるためにホームレス街へと連れ出し、ソンヒや春日達と共に同行した。その後は共闘を願い出た春日の意向を聞かされて共に行動しようとするソンヒに対して不安に駆られる構成員やシステム復旧の陣頭指揮を執るためにアジトに戻って欲しいと懇願して聞き入れられたが、代わりに春日達と共に行動するようにとの命を受け、それ以降は最後まで春日達と行動を共にする事になり、春日達のアジトで寝食を共にするまでの仲になる。 また、サブストーリーでは伊勢佐木異人町に来てからジングォン派の残党達に命を狙われていることをコミジュルの情報網で知ったが、敢えてその誘いに乗るように残党達の追跡に乗る形で対面し、ボスの名を騙る影武者及びジングォン派を乗っ取るつもりでいると思い込んだ残党達に襲われたところを春日と共闘して返り討ちにした。その後、散り散りになった残党達をコミジュルに迎え入れたかったことや居場所が掴めない為に向こう側から自分に接触してくるようにするため敢えて今も「ハン・ジュンギ」と名乗り続けていたこと、また顔も変えずにいたことを打ち明け、最終的には自身の想いを知った残党達と和解してコミジュルに迎え入れる事に成功した。また、一人では太刀打ちするのは困難なために密かに後を付けていた春日に協力を求めた事を機に春日の実力も認めるようになる。 風貌から口調まで本物のハンと瓜二つだが、「体脂肪率5%を維持する」という目標を達成した事を自慢げに語ったり、胡瓜のたたきに合う飲み物としてブランデーを注文した春日を凄まじい剣幕で問い詰めたり、紗栄子のケーキを盗み食いした足立とのやり取りに便乗して「自分にもケーキを奢れ」とボケるなど、本物では表さなかったユーモラスな場面を垣間見る事が出来る。 趙 天佑(ちょう てんゆう) 声 - 岡本信彦 横浜流氓(ハンピンリュウマン)の若き総帥。ラウンドフレームのサングラス、両耳に金色リングタイプのピアスに金のネックレスに、黒のブーツに黒革のハーフパンツ、中には黒タイツ、黒下地に金色柄のシャツに、黒革のジャケットというスタイルをしている。気さくでありながらも本心が読めず、飄々とした食えない言動をしているが、本気になった時は相手に対して声を潜める。反面では欠点も多く、自分を良く思わない野心家の馬淵に手を焼いており、それでも仲間だと信じている自分が甘いとさえ評している。また、言動や行動とは裏腹に馬淵のクーデターで横浜流氓に混乱が起きているにも関わらずにコミジュルを案じて春日達に助っ人に行って欲しいと懇願した事から荻久保への恩義や仲間を思うなど信じる者への忠義心に熱い一面も見せていた。父親が先代総帥だった故に後を引き継ぐことが決まっていたものの、自身は世襲制は合理的ではないと否定的な見方をしている。また、幼少時は勉強もスポーツも万能な上、悪知恵も働きケンカも相当強かったと自負しているが、何事にも「やる気」は無く、「器用貧乏の性」と自ら分析している。青龍刀の扱いと料理の腕は超一流で、特に手料理に関しては星野やソンヒ、春日らに振る舞うこともある。また、コーヒー好きであり、モカを最も好む。戦闘では中国武術の華麗な刀術と体術を駆使し、能力値低下や状態異常を付与する攻撃技を豊富に持つ。 「蛇華」が日本組織との抗争に敗れた末に壊滅して撤退した頃に総帥就任には乗り気ではなかったが、父親から当代総帥を引き継ぎ、同時に異人三の偽札についても知らされる。その後、異人町を手に入れようと躍起になる若い構成員を押さえつけようと弱腰を見せないように振る舞うが、そんな振る舞いが向上心旺盛な馬淵の反感を買って煽るきっかけとなってしまい、それでも馬淵を高く評価して信じていたことや内輪揉めを良く思わなかったこと、何よりも組織の未来を潰すことになるということから馬淵を消そうと動き出した先代総帥や古参幹部達に生涯で一度きり土下座をして頼み込むことで阻止した。その後は一時的に馬淵に捕まり、拷問を受けて死の淵を彷徨うが、荒川から春日への伝言を伝えるように命を受けた安村の独断により助け出され、春日達と合流した。その後、最後まで行動を共にするようになり、総帥を降りた事で「慶錦飯店」には住めないと春日達のアジトで寝食を共にするようにもなる。横浜流氓の総帥時代は好戦的で危険な人物である態度を隠さなかったが、春日達と行動を共にするようになってからは普段の言動に陽気さが増し、ちょっとした意地悪を仕掛けてからかったり、仲間達の言動に冷静なツッコミを入れたりしている。また、自分の所に残った構成員達やその家族の生活と居場所を案じていたが、コミジュルの総帥であるソンヒに懇願したことでソンヒの預かりとなったため安堵する。 また、サブストーリーでは異人町に戻ってきた馬淵の誘いに乗り、春日と共に対面したが、自分の気持ちも知らずに春日の忠告にも耳を貸さずに更なる野心を持ち続けて自分の首を取ろうとする馬淵にようやく愛想を尽かし、襲いかかってきた馬淵と手下達を春日と共に返り討ちにした。(この時、春日に「キャラ変わるかもしれないけど、みんなにはオフレコで」と断った上で、普段の態度から一変し、感情に身を任せた怒声をあげた)その後は再び異人町を離れるように最終通告をし、それでも尚も抵抗を続ける馬淵に対して「馬淵を殺したくない」という本心を汲み逃していることやどれだけ自分を嫌っていても馬淵が腐っていても仲間であること、仲間を殺したくはないし死んで欲しくはないという本心をソンヒに代弁して貰うが、自身は「後はおまえ次第だ」と生涯最後の別れを言い残し、最後には膝から崩れ落ちる馬淵を見ることなくその場を去った。 『ロストジャッジメント』にも登場。 鎌滝 えり(かまたき えり) 一番製菓の社長。経営者としての腕前は高いが、想定外の事に対面すると動揺してしまうなどメンタルが弱いところがある。戦闘では事務用品を武器にさながら忍者の如き身のこなしで戦い、攻撃範囲の広い技や状態異常を付加する効果を持つ技を多く持つが、自身は気絶に弱いといった弱点を抱えている。亡き父の跡を継いで会社を切り盛りしていたところを宝生の口車に乗って会社の財産の大半を騙し取られてしまい、それでも会社を存続させようと奮闘するが、倒産寸前にまで追い込まれて巻き返しが出来ず、更には相談相手だった野々宮までも殺害された事を春日達から聞いてしまい、強いショックを受けて倒れてしまう。その後、春日達の助けで目を覚ました後は店を畳もうとしたが、自身に同情した春日とニックが会社の立て直しに協力すると申し出た事で自身は秘書として春日をサポートする立場に回り、春日達と共に一番製菓を立て直していく中でかつて自身を陥れた張本人である宝生と対面し、最終的には宝生を倒して横浜最大の企業の座を勝ち取った。その後は改めて自身の店を救ってくれた春日に感謝し、一番ホールディングスを世界一の企業にするために経営を続けて欲しいと懇願した。また、春日に助けられた恩返しをするために春日達の戦いに参加する決意を固める。 荒川 真斗(あらかわ まさと)/ 青木 遼(あおき りょう) 声 - 鳥海浩輔 『7』に登場する荒川真澄の一人息子。生後間もなく重い低体温症を患った事により車椅子の使用を余儀なくされており、春日一番は真斗の世話係をしていた。春日をこき使ったり、荒川組の組長である父親を見下すなど極道の存在を嫌悪しているものの、拳銃や日本では使用が禁じられている薬物を常に所持していたり、父の金を托みに遊びで常軌を逸した散財を行うなど自身の思想とは矛盾している行為を行なっている。 2000年の大晦日に行きつけのキャバクラで後に警視総監となる堀ノ内とひと悶着を起こすが、この直後に自身が想いを寄せていたキャバ嬢の夢乃が陰では堀ノ内を慕いながら真斗をこき下ろしていた様子を目撃する。それで自暴自棄になって街を彷徨っていた時に絡んできた東城会系直系坂木組組員の鈴森を射殺してしまうが、これは父の真澄が手を回して春日に身代わりを頼んだことで真斗自身は難を逃れた。 その後については対外的(出所後の春日含む)には病状の悪化で死亡したとされていたが、実は死亡していたのではなく、留学先のアメリカで肺の移植手術を受けて持病を完治させている。同時に、「ヤクザの息子」としての立場が自身の足かせとなることを厭い、荒川組の力と金を使って引きこもりの青年「青木遼」の戸籍を買って別人になりすまし、元の「荒川真斗」は死亡したという噂を流していた。 「青木遼」となってからは、裏社会との太いパイプを持ち、金銭的に恵まれながらも幾多の挫折を味わった経験から「表の力」すなわち人気を渇望し始め、表では清廉潔白な人物を装いながら、裏ではわずかでも自身にとって不確定要素となる者を始末したり、身内を平気で手駒にして利用するなど手段を選ばない性格になっていく。この性格は権力を手にするにつれてエスカレートしていき、荒川や春日からは「一度どん底に落ちなければ破滅してしまう」と危惧されていた。 「表の力」の象徴として東京都知事となる遠大な計画を立て、手始めに帰国後に留学中に知り合った小笠原肇と共にブリーチジャパンを創設。若年層の支持を得つつメディアにも積極的に出演し、その人気を全国的なものにしていく。2010年の参議院議員選挙に民自党公認候補として初出馬・初当選を果たした後は2017年に東京都知事選挙にも立候補し、当選。そして当選してすぐに「神室町3K作戦」を実施し東城会を壊滅させ、政治家としての人気を不動のものにした。東城会を壊滅させた神室町には「神室町の治安維持」の名目で警察にも手を回しつつ近江連合を呼び込み、自身の手足のように使っていた。 ここまで上り詰めてもまだ自分に屈しない権力者として民自党幹事長である荻久保を残していたが、荻久保の弱みが伊勢佐木異人町にあると睨んで警察、近江連合、ブリーチジャパンという手駒を使ってコミジュルのアジトを襲撃、荻久保の生命線である偽札事業を壊滅させる事に成功。一気に力を失った荻久保の代わりに若さでも現職都知事との兼任としても異例の民自党幹事長に就任、民自党をも影響下に置く。 最後に残る障害として春日たちとその協力者である星野龍平、ひいては父親の真澄をも一掃するため、近江連合と東城会の同時解散によって浮足立つ近江連合残党に「東京近江連合」代表の椅子をちらつかせる事で石尾田や沢城、天童に外部からミラーフェイスといった面々を刺客として差し向けるが、これらはことごとく失敗。石尾田・ミラーフェイスを捨て駒にしたビルごとの爆破さえも生き延びられ、衆院選の民自党立候補者への応援演説に乱入してきた春日に「沢城に真澄の殺害を依頼した音声データが荒川組事務所に残っている」というブラフを流され、看過できなくなる。天童らを差し向けて荒川組事務所を探させる。 天童に荒川組事務所を探させている頃では、自らが幹事長を務める民自党の衆院選での選挙結果の速報会見に臨んでいたが、その席でニック・尾形による「青木遼に逮捕状」という偽のニュースや自身が「荒川真斗」であることを暴露されたことで動揺し、荒川組事務所に自身も乗り込む。 事務所に到着した時点では天童の足元に春日たちが倒れ伏している状況であり、天童から「音声データは存在しなかった」と聞かされたために春日達の殺害・死体の処理をその場で命じてしまう。しかしこれは春日および離反していたミラーフェイスによる芝居で、このシーンを物陰に隠れていたハン・ジュンギと紗栄子に録画されネット拡散されてしまう。逆上して春日達と対決するが護衛を全て倒されて逃走し、追いかけてきた春日と単身で決闘するも敗北。駆けつけてきた警官に取り囲まれるも銃を奪い警官の一人を人質に取ってなおも逃走、新宿駅のコインロッカー前まで逃げ延びる。 コインロッカー前まで追ってきた春日には堀之内と夢乃にまつわる顛末を自嘲気味に吐露し、拳銃で自殺を図ろうとするが、春日の必死の説得に思い留まって自首を決める。しかしその直後に自身が騙して唆してきた久米に刺されて致命傷を負い、今際の際には春日に「お前だけは生きろ」と告げつつも「どん底からやり直すか、いいものだよな」と春日の望んだ未来を肯定しながら息を引き取った。
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