トウモロコシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/23 08:54 UTC 版)
トウモロコシ | |||||||||||||||||||||
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![]() トウモロコシ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Zea mays L. subsp. mays (1753)[1] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
米: corn、英: maize |
米・小麦と伴に、トウモロコシは主食として食べられる世界三大穀物の一つ[3][2]。日当たりのよい畑地で栽培されている。アメリカ大陸の原産で、15世紀末に新大陸を発見したコロンブスがヨーロッパに持ち帰って広まり、日本へは16世紀終わりごろに伝来し全国に広まった。
コーン とも呼ばれる。語源となった英語'corn'は穀物全般を指すが、現在の北米・オーストラリアなど多くの地域では特に断らなければ'corn'は主にトウモロコシを指す。イギリスではトウモロコシを主にメイズ (maize。タイノ語語源のスペイン語マイース (maíz) に由来) と呼ぶ。
日本語では、地方により様々な呼び名(地方名)があり[4]、トウキビまたはトーキビ(唐黍)[5]、ナンバ、モロコシ[5]、トウモロ、モロキビ、などと呼ぶ地域もある(詳しくは後述)。
リンネの『植物の種』(1753年)で記載された植物の一つである[6]。
名称
日本語で標準的に用いられている「トウモロコシ」という名称は、トウは中国の王朝名である唐に[注釈 1]、モロコシは唐土(もろこし)から伝来した植物のモロコシ(タカキビ)に由来する[7]。日本に渡来した当時、最も似ている植物がキビであったため、北海道から北関東までの地域では「とうきび」、西日本では「なんばんきび」とも呼ばれる[7]。関西などの方言でいう「なんば」は南蛮黍(なんばんきび)の略称であり、高麗(こうらい)または高麗黍と呼ぶ地域もあるが、これらはいずれも外来植物であることを言い表している。これはヨーロッパにおいても同じ状況であり、フランスでは別名として「トルコ小麦」(blé de Turquie)、カナダのフランス語圏では「インド小麦」(blé d'Inde)、トスカーナでは「シチリア穀類」 (grano siciliano) 、シチリアでは「インド穀類」 (grano d'India) と呼ばれるなど、主に「インド(アメリカ)の穀物」あるいは大まかに「外国の穀物」という意味の各種名称で呼ばれていた[8]。
中国植物名は「玉米」(ぎょくべい)である[5]。
『日本方言大辞典』[要文献特定詳細情報][要ページ番号]には267種もの呼び方が載っており、主な呼び方には下記のものがある。
- あぶりき - 福井県大野郡
- いぼきび - 鹿児島県甑島
- うらんだふいん - 沖縄県竹富島(「オランダのモロコシ」の意)[9]
- かしきび - 新潟県中越地方、佐渡島など
- きび - 長野県南部、鳥取県、高知県など
- きみ - 北海道南部、青森県、岩手県など。アイヌ語でも「キミ」と呼ばれる。
- ぎょく - 千葉県の一部
- ぐしんとーじん - 沖縄本島南部など
- こうらい - 岐阜県の一部、福井県の一部、三重県の一部、滋賀県の一部
- こうらいきび - 愛知県尾張地方、岐阜県
- こーりゃん - 香川県大川郡
- さつまきび - 岡山県備前地方
- さんかく - 熊本県の一部
- せーたかきび - 新潟県の一部、和歌山県日高郡
- たかきび - 鹿児島県種子島
- とうきび・トーキビ - 北海道、山形県北部、石川県、福井県、香川県、愛媛県、山口県西部、九州、群馬県、埼玉県、愛知県奥三河地方など(昭和前半期[いつ?]まではこの「とうきび」が全国で一般に使われていた。)
- とうきみ - 北海道南部(渡島地方)、山形県南部、福島県西部、群馬県北部など
- とうたかきび - 香川県高見島
- とうとこ - 島根県北部など
- とうなわ - 岐阜県、富山県
- とうまめ - 新潟県上越地方、長野県の一部など
- とうみぎ - 宮城県、福島県、栃木県、茨城県など
- とうむぎ - 栃木県南部
- とうもろこし - 関東地方、沖縄県、島根県東部など
- とっきび - 山形県・秋田県の一部
- とっきみ - 秋田県
- ときび - 秋田県
- なきぎん - 鳥取県の一部
- なんば - 近畿地方、三重県伊賀地方、岡山県、徳島県など
- なんばと - 愛知県三河地方
- なんばん・なんばんきび - 愛知県東部、京都府北部、山口県東部など
- はちぼく - 三重県伊勢地方、岐阜県の一部、滋賀県の一部
- ふくろきび - 長野県の一部、和歌山県の一部
- まごじょ - 宮崎県の一部
- まめきび - 新潟県の一部、岐阜県岐阜市、長崎県の一部など
- まるきび - 岐阜県の一部
- まんまん - 広島県、島根県南部など
- もろこし - 長野県、山梨県など
- やまととーんちん - 沖縄県首里(「大和唐黍」の意)
- 嫁女黍(よめじょきび) - 『広辞苑』に記載されている異称
植物の特徴
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中南米の原産で、高温で、日照の多い条件下でよく育つ[10]。数多くの品種があり、食用や飼料用の作物として畑で広く栽培されている[11]。多くは粳性であるが、ごく少数ながら糯性のものもある[12]。大型のイネ科の一年草で、茎は単一で直立し、高さ2メートル近くに生長する[13]。葉は互生して下部は鞘となって茎を包む[11]。イネ科としては幅の広い葉をつける。一生のうちに付く葉の数や背丈は品種によってほぼ決まっており、早生品種ほど背丈は低く葉の数も少ない[14]。
熱帯起源のため、薄い二酸化炭素を濃縮する為のC4回路を持つC4型光合成植物である。多日照でやや高温の環境を好む。大型の作物であるため、育成期間中を通して10アールあたり350 - 500トンの水を必要とする[14]。
雌雄同株[13]。風媒花で他家受粉する[15]。発芽から3か月程度で雄花(雄小穂)と雌花(雌小穂)が別々に生じる。雄小穂は茎の先端から葉より高く伸び出した円錐花序で、雄花だけがついた小穂を密につけ、ススキの穂のような姿になる[11]。雌小穂は茎の下方の節あたりにある葉腋に出た円柱状の穂状花序で、雌花は全体的に包葉(苞)に包まれていて、上端から絹糸と呼ばれる長い雌しべの花柱だけが、ひげ状に長く束になって外に伸びだして顔を出す[11][13]。トウモロコシのひげはこの雌しべにあたる[2]。
花粉は風媒され、下の雌花からひげのように出ている雌しべに受粉すると、雌花の付け根が膨らみ種子(可食部)が形成される[13][2]。完熟するころにはひげのような雌しべが茶色に変色して枯れる[2]。イネ科では珍しく、種子が熟すと穎の中から顔を出す。種子の色は黄・白・赤茶・紫・青・濃青など。トウモロコシの可食部となる実は果実でなく種子そのものであるため、実の形質形成には花粉DNAの力が優勢に働くキセニアの影響を強く受ける[15]。
栽培・繁殖は、日当たりがよい畑地で[13]、種子を春から夏に蒔いて行われる[11]。作物としての旬は夏で、日本では6 - 9月頃に出荷され、特に7月頃に多く出回る。日本でのトウモロコシの代表的な害虫は、蛾の幼虫「アワノメイガ」で、雄花に集まりやすいので人工授粉で雄花を切ってしまうと、食害が少なくなる[16]。
注釈
出典
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