トウモロコシを原料とした製造工程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:43 UTC 版)
「バイオマスエタノール」の記事における「トウモロコシを原料とした製造工程」の解説
トウモロコシをバイオマスエタノールの原料とする場合、トウモロコシの実に含まれるデンプンを酵母が代謝できる糖に糖化する工程が必要になる。トウモロコシの実からはもともと高純度のデンプンを効率よく取り出すことができるが、最近では乾式製法(下記参照)によるエタノールの生産により適したハイブリッド品種が開発され、エタノール生産の効率性向上に貢献している。 トウモロコシを原料としたバイオマスエタノールの生産には湿式製法(wet milling)と乾式製法(dry-grind process)とがある。湿式製法は、トウモロコシの実を水と亜硫酸ガスに浸した後で粉砕し、デンプン、グルテン、繊維質、胚などに分離し、それぞれを加工する方法で、加工工程で得られるデンプン溶液が糖化され、発酵原料となる。これに対し、乾式製法ではとうもろこしの実を乾燥した状態で丸ごと製粉し、その粉に水を加えたマッシュを糖化・発酵させる。最近では工程の標準化もあって乾式製法のコストが下がっており、米国で新設されるトウモロコシを原料とするバイオマスエタノール工場は全て乾式製法の工場である。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}湿式製法にせよ乾式製法にせよ、副産物として飼料などが生産されるので、バイオマスエタノールと食料との競合という場合にはどのように競合しているか注意が必要であるという意見もある。例えば、トウモロコシから生産される飼料はトウモロコシに含まれるタンパク質(グルテン)が主な原料となっており、エタノール生産のためにトウモロコシの処理量が増えれば自動的に増産される。また、食用油(トウモロコシの胚芽油、いわゆる「コーン油」)についても、湿式製法でエタノールを生産する場合には、副産物として生産され得るので、エタノールの増産が食用油の増産に繋がる可能性がある。他方、乾式製法においても、食用油のような有用成分を発酵滓から分離する研究が進められている[要出典]。 一方でそれは詭弁であり、上記の例で言えば、飼料グルテン生産の結果、副生されたデンプンをエタノール醸造ではなく食料に回せば貧困者の食料難が緩和されるように、可食部分を醸造原料に使う限りエタノールは食料と競合するので、バガスや麦わら、稲わらなどを使った第二世代エタノールでなければ、貧困国の食料難を悪化させるという意見や、環境政治家が農民票を稼ぐためにメタノールよりコストの高いエタノール醸造に補助金をばらまき、国税収入を浪費して、穀物相場を押し上げて貧民の食料を奪っているという批判もある[要出典]。 なお、湿式製法においては発酵滓が「distillers grains」と呼ばれる飼料として利用されており、これがエタノール生産の採算向上に貢献している。反面、飼料としての鮮度保持のために滓を乾燥させる過程で多くのエネルギーが消費され、最終的なエネルギー収支を悪化させている。
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