サンクチュアリ一覧
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「神域のカンピオーネス」の記事における「サンクチュアリ一覧」の解説
サンクチュアリ・トロイア ギリシア神話の神話世界。神域では、ギリシア神話最大級のエピソードの一つである10年間続いた大戦争・《トロイア戦争》が再現されている。詩人ホメロスの叙情詩『イリアス』『オデュッセイア』で描かれた「神話の戦争」を舞台とするため、オリュンポスの神々や怪物も各陣営に分かれて参戦しており、本来の筋書きではトロイアの陥落に続く神罰で都とギリシア軍の船が海に沈められることでサンクチュアリが崩壊すると考えられていた。 実際にあった「史実のトロイア戦争」が元になっている神話世界なので、場所は紀元前13世紀頃の地中海とエーゲ海周辺に、文化水準はミケーネ文明によく似ており、金属も青銅器が主流だが、神秘的な力で古代の技術レベルを超えた大型帆船も製造されている。気候は温暖かつ乾燥しており、高い樹木は少なめ。騎士道精神の発生から2000年以上前であることから、「美女は勝者のトロフィー」とされる風潮が一般的で、奴隷制も両陣営で採用されている。 イタリアのシチリア島タオルミーナ・トルコ領のキプロス島・インドネシア・日本の兵庫県神戸市ポートアイランド北公園の4カ所に出現した空間歪曲と結合する。ゼウスが引き起こした豪雨が地上にも波及して関西地方だけでも死者172名の被害が出ており、筋書きを改編してトロイア側を勝者に導くために蓮と梨於奈が派遣され、戦争の10年目、『イリアス』の終盤に当たる場面から神話に介入することになる。最終局面において『トロイの木馬』に潜入したギリシアの英雄と城塞外から侵入した2万の軍勢が、トロイア側の英雄や蓮が呼び出した『死の軍団』と交戦、神々まで直接参戦する事態となった。その最中にアテナがゴルゴンの呪詛を解き放ち、全ての人間を巻き込んでトロイア城塞全体が石化するも、都市を嵐と大波で洗い流す直前に蓮がアテナを撤退に追い込み、ギリシア兵の石像を船で海に流した後で梨於奈の《禍祓い》によって石化を解いたことで滅びの運命を免れた。トロイア 小アジアの古代都市国家であり、ダーダネルス海峡から3、4キロメートルほど離れた小高い丘の上にある難攻不落の城塞都市。四方を囲む日干し煉瓦製の城壁は高さ10メートル弱で、東西に約250メートル、南北に約200メートルの規模。“黄金の都”と呼ばれるだけあって非常に裕福で、史実のトロイア同様陸海の交易拠点となる商業都市として非常に栄えている。銀の粒が『通貨』として用いられ、市街には様々な人種が居て、長い戦争でほぼ籠城中の割に活気にあふれている。 王族はゼウスの血統を引く英雄一族なので、王女も含めて皆があらゆる武芸に通暁できる素養を持ち、神聖な血筋の名残なのか王家の者は少し耳が尖っている。アマゾンや東の大国ヒッタイトとも盟友関係にあった馬を神聖視する騎馬民族にルーツを持つ『馬飼い慣らす国』で、そのため王族でも弓馬の心得を持つ。 トロイア戦争においては、アフロディーテ、アポロン、アーレス、アルテミスといった非ギリシア圏の神々、所謂“外なる神”が味方についている。 ギリシア連合軍 ミュケナイ王アガメムノンを指揮官とするギリシア諸国の連合軍。パリス王子と駆け落ちした元スパルタ王妃のヘレネーを取り戻すという大義名分の元、交易で栄えるトロイアの財宝を狙うなど、実態はヒッタイトを滅ぼした『海の民』と同種の『海賊団の寄せ集め』に近く、梨於奈は「史実の海賊行為を美化したもの」という説を支持している。そのため数は十分でも内輪もめが絶えず、統率がゆるゆるなので、散発的にしかトロイアとその勢力圏を奪えない。英雄と呼ばれる者たちも含めて兵士全般が非常に野蛮で、殺した敵の妻子を奴隷にする行為が一般的に行われる。 トロイア戦争では、アテナ、ポセイドン、ヘラなどが味方についており、与する神々の数はトロイア方よりやや多い。 オリュンポス サンクチュアリ・トロイアにおいて最も天空に近く、神々が住まうとされる聖域。標高3000メートル近い平べったい山頂には神々が集う白亜の宮殿が存在し、その規模は屋外から大広間まで5キロメートル以上あるほど巨大。神王ゼウスを頂点とするオリュンポス十二神の他にも様々な神が所属しており、現状では中立を含めて3つの派閥に分かれて内戦状態にあるが、神同士での直接戦闘は極力避けようとする傾向にある。 サンクチュアリ・ミズガルド 北欧神話の神話世界。《ユグドラシル》という超弩級のトネリコの上に九つの世界が載っているかなり広大な神域。北欧神話の人間族の居住地域に由来する名を付けられている。太陽や月などの地球近傍に存在する天体は、宇宙空間に浮かぶ世界樹を中心に周回している。神秘の力を持つ種族として、アス神族とヴァン神族という2つの神族、アールヴと呼ばれる妖精たち、鍛冶と細工の技に長けた地底小人ドヴェルグ、《巨人(ヨトゥン)》などが存在する。 古代ゲルマン人の伝承をもとに中世(9世紀から13世紀)北欧の勇猛な海洋民族ヴァイキングたちが伝えていた神話が元になっているため、野蛮かつ質実剛健な風潮で、『くじけない心』と『死すら恐れず戦う闘志』が尊ばれる、いわば『修羅の国』のような世界である。誕生したばかりで海も陸地もなかった頃、ひとりの巨人が死に、死体が大陸となっただけでなく、屍からは草木や動物、人間、神々新たな巨人たちも生まれ、流れ出た血は海になった、という創世神話が存在する。最終的には3年以上続く冬の後で、神々と巨人や魔物の全面戦争《ラグナロク》によって世界の全てが焰に包まれ燃え尽き、ごく一部の生存者を除きほとんどのものが滅亡する運命にある。なお、最終戦争をオーディンに予言した巫女がいるため、アスガルドの神々は滅びの運命をすでに知っている。 かつてスペインのムルシア州に空間歪曲が出現したものの、内部はきわめて安定していてそこそこ平和な状態だったため、その時は20時間程度で収束しはじめた。しかしヴォバンが《詠う呪文書》に命じて《秘蹟の再誕》を行使させて再び門が開通し、本来ラグナロクの到来と同時に解放されるはずのフェンリルを侯爵が「定められた運命を変える」権能で解き放つ。これにより逆説的に冬が訪れると共にラグナロクが勃発してしまったため、事態の収拾に蓮たちも協力することになり、フェンリルを殺して運命を引き継いだヴォバンを蓮が受け持ったことで死すべき運命の神々にそれぞれ加勢ができ、そのおかげでラグナロクは神々の勝利となり神域は崩壊を免れた。しかし、3年以上も冬がつづき人々の心が荒廃しきったところで発生する本来の最終戦争とは違って、今回のラグナロクはショートバージョンだったようで、巨人や怪物たちも滅びていないため再発の芽は残っている。ミズガルド ユグドラシルの真ん中当たりのひときわ大きな枝に位置する人間族の居住地域。周囲を大海に囲まれた広大な大陸の中央部に存在する。水清く、農作物の実りも豊かな豊穣の世界。気候は寒冷かつ湿潤で広葉樹の森林が多く、自然だけを見れば風光明媚な印象を受ける。木造建築が主流で、泥炭煉瓦の家は少ない。田舎では貨幣経済が未発達で物々交換が主流。食文化は素朴で大雑把だが、地産地消が基本なので食材は新鮮。主食は大麦のおかゆ。原初の巨人ユミルの“まつげ”から生まれた人の背丈の10倍以上は高い『石の柱』状の防柵を国境とし、その東方と北方には《ヨツンヘイム》が広がり、地下には小人族と闇妖精の住む地底世界《ニザヴェリル》が存在する。人間たちの基本がヴァイキングであることに加え、周囲に危険が多い危険な世界なので、戦士たちはかなり野蛮である。ベルセルク 人間族の死をも恐れない狂戦士。なめし革や鉄の防具をまとい、毛皮を身につけ、中にはドヴェルグの魔剣・魔槍を所持する者もいる。人間を圧倒する巨体と怪力を持つ巨人を相手に一切怯まず、多くは返り討ちに遭うが、時にその蛮勇で強敵を強引に打ち倒してしまうことさえある。世界観的には男子の憧れの職業のような扱いとされている。 ヨツンヘイム ミズガルドの東方と北方に存在する巨人国。巨人と狼、怪物たちの住む荒涼とした危険な世界。暗い森と沼、草木のほとんど生えない凍てつく荒野ばかりで、一年中ほとんど雪の止まない地域も多い。東の果てには大海が存在し、リアス式海岸が十数キロメートルほど続いている。 ラグナロクではミズガルドオルムの上陸に伴い、海岸付近が大洪水に見舞われる。 アスガルド アス神族が住み、ユグドラシルの上の方にある枝に位置する第1の神界。虹の橋ビフレストの向こうに存在し、緑の野原、青い湖、紅葉に染まる山が広がる美しい『天空の島』。第2の神界ヴァナヘイムに住むヴァン神族との戦いに勝利し、彼らを譲歩させる形で講和した。ヴァルハラ アスガルドにある、神王オーディンが所有する壮麗な石造りの大宮殿。高さは5、6階相当で、質実剛健なサンクチュアリ・ミズガルドでは他に類を見ない、『城』と呼ぶにふさわしいサイズ感を持つ。白樺の屋根には黄金の盾が敷き詰められ、城壁には戦士たちが一斉に出陣するための540もの門がある。客室には客人に不自由させないよう素朴な木製家具が備え付けてあり、炉床では放置しても決して火事を起こさない魔法の焰が燃えている。ラグナロクに備えて集められた天上の戦士《アインへリヤル》が生活する場所でもある。 ラグナロクでは蓮とヴォバンの決戦の場となり、《ラグナロクの狼》が直撃したことで押しつぶされ、跡地には直径数百メートルのクレーターが穿たれた。 アインヘリヤル 主神オーディンの戦士として選ばれた総勢800余名の人間。ヴァルキュリエによってヴァルハラに招かれた『勇敢な戦いの果てに死んだ戦士』たちの死後の魂であり、『死せる勇士』とも呼ばれる。普段はヴァルハラで暮らし、毎日の練習試合で仲間と殺し合い、夜になると蘇って大量の肉料理と酒を飲み食いする豪勢な大宴会を開く日々を繰り返している。その使命はラグナロクが到来したとき、オーディンのしもべとして戦うこと。 ラグナロクでは神々やヴァルキュリエたちと共に虹の源へ出撃し、巨人たちが乗る船を迎え撃った。 ムスペルヘイム 北欧の最下層に存在する“焰の世界”。乾ききった炎暑の領域であり、灼熱の大地には草木がほとんど生えず、絶えず火花が散り、焰の柱が天を焦がし、河川の代わりに煮えたぎる溶岩が流れている。 地の果てに存在する底も向こう側も見えない広大な裂け目「ギンヌンガガップ」により、隣り合う氷の世界《ニヴルヘイム》と隔てられている。 サンクチュアリ・黄泉比良坂(よもつひらさか) 日本神話の神話世界。名前は、不慮の死を遂げた妻伊弉冉命を取り戻すため、伊弉諾命が黄泉の国に向かう時に通ったとされる、この世とあの世の境目にある坂・《黄泉比良坂》に由来する。時代的には奈良時代より前の、稲作が根付いた頃の日本に酷似しており、竪穴式住居や田んぼ、櫓に似た木造の神殿などが存在した。『神々の国』高天原のほか、地上には人や獣が住む葦原中つ国があり、地底に存在する黄泉国とは黄泉比良坂で繋がっている。 紀伊半島東端の七里御浜にある神宝《千引巌》をふたにして、地球と繋がっている。私怨で熊野鴉衆が巨石を移動させた時点で、ちょうどイザナギが黄泉比良坂を通ってイザナミがひきいる1500体の屍鬼の軍勢から逃走する場面が再現されていた。本来は、《千引巌》により冥府と葦原中つ国は永遠に隔てられるはずだったが、地球から冥府の扉を通って神域に侵入してきたアテナがイザナギを殺害したことで神話の筋書きが改変され、中つ国に帰還した女神イザナミが放った幾千、幾万の黄泉醜女と、その千倍、万倍もの黄泉軍勢によって生物が全て殲滅され、瘴気によって草木は枯れ、太陽は闇に呑みこまれ、ひび割れた大地は大津波に襲われるという形で終焉を迎え、荒れた海面は茶色く濁り、海底とつながりのない小島のような大地の破片が100個近く浮かび、食い殺された人間の屍だけが残っている。 その後、神域で成すことを終えたイザナミの手で、京都、大阪、兵庫、奈良の24箇所に《空間歪曲》が出現し、歪曲点1つにつき十数体から100体近くまでの範囲で《黄泉軍勢》(うち1割ほどは《黄泉醜女》)が放たれる。イザナミの力で太陽は登らなくなり、世界は闇に包まれる。屍鬼たちは周辺に居た者を捕食し、警察・自衛隊も基地や駐屯地付近以外では劣勢に追い込まれた。「未曾有の国難」が訪れる中、梨於奈が放った12体の“八咫烏もどき”が降らせた火の言霊によって敵の約8割が浄化され、取りこぼしには神祇院関係者が対処にあたることとなる。一度はイザナミを追い詰めるも、アテナの横槍で蓮たちは敗走し大阪から奈良まで撤退。だがイザナミの影響で活発化した死者の中から、《友達の輪》の効果で奈良亡霊軍団として厩戸皇子と役小角から支援を受けられることになり、誕生の言霊で新たに生み出した2万体以上もの黄泉醜女の群衆を梨於奈が大阪城天守閣ごと焼き尽くし、首謀者のイザナミと《同盟神》のスサノオが死亡したことで事態は収束した。 サンクチュアリ・ヒューペルボレア ギリシア神話に登場する、『北風の彼方』という意味のきわめて温暖な常春の国・ヒューペルボレアにちなんで名付けられた神話世界。別名・3092時空。一説では、貧しくみすぼらしい暮らしにあきれた旅人が、それ以上進むことをやめたという伝承も残るが、アポロンがオリュンポス山へ現れる前に1年ほどその地で暮らして、法を施き、人々に秩序をあたえたとも言われている。常に白昼で夜が来ず、アポロンを讃える頌歌にあふれ、国内を流れる大河の砂には黄金に輝く琥珀が数限りなく埋もれているという理想郷。歴史家ヘロドトスによると、アポロンの聖地デロス島にはヒューペルボレア人からの奉納品が届いたとされる。 『楽園伝説』として語られる神話とは違い、『海と島の世界』であり、気候はドイツやフランスの中北部ほどの冷涼さ、昼夜の変化もきちんと存在する。文明はおよそ紀元前3千年紀あたりの、新石器時代と青銅器時代の中間程度で、土器製作、石器加工はかなりの高水準、加工の簡単な金・銅製品はあるが、冶金技術が必要な鉄製品は存在しない。使用言語はトロイアよりも古いインド・ヨーロッパ語族の古代言語。住民の生活スタイルは半農半牧で、海が多いため釣りや漁もさかん。斧などの金属の工具はないので木造建築は掘っ建て小屋程度しかなく、牧畜民は天幕を住居とし、船も基本は骨組みだけが木製の皮船である。海上交易の拠点でも世帯数は500戸前後、人口5〜6000人とささやかで、ほとんどの島では村すら形成されず、1家族だけで暮らしている場合もある。通貨の概念はまだなく、交易は物々交換で行われる。大海原はおおむねきれいな群青色をしている。識字率は高くないが、地球で言う『楔形文字』に似た象形文字が使われ、手書きと『パピルス』に類似の製法で手作りされた紙により、貴重品として書物も作られている。なお、東西南北の概念があるので、地球産の方位磁石も機能する。 『非常に古いインド・ヨーロッパ語族の創世神話』を再現する、「大地をはぐくむ聖獣が死すことで、陸地を増やしていく」という法則が存在し、海に投げ込まれた獣の亡骸はまたたく間に膨張して立派な『島』となる。《犠牲の獣》と呼ばれるこれらの聖獣は、北欧神話の『はじまり巨人』、インド神話の原人プルシャ、ペルシア神話の原初の雄牛などの、「創世神話に登場する『獣』」に相当する。誕生した島には1時間も経たずに草花や木々が生い茂って森や川が形成され、鳥獣まで誕生し、時間が経てば人間も生まれてくる。聖獣は供物としてひんぱんに捧げられる『牛』が最も多く、鹿、馬、イノシシ、ゾウ、狼といった普通の動物のほか、百足の足が生えた芋虫のような怪物や、ぶよぶよした肉塊も含まれる。ギリシア神話に出てくる国の名前でしかなく「ヒューペルボレア神話」は存在しないにもかかわらず、ヒューペルボレアという名称が使われるのは、『世界の創造』の法則で生まれたばかりの島の住み心地の良さが理想郷を思わせることに起因している。元が人間に都合のいいあれこれが誕生する神話であることから、獣は“人の求めるもの”を次々と生み出すという法則があり、欲しいものはよく島を捜せば発見できるようになっている。 この神域は、インド・ヨーロッパ語族の民族移動で広まった洪水伝説の“その後”、つまり一般に神話では語られることの少ない大洪水で滅びたあとの世界である。羅濠の調査では、神々の怒りに触れて大洪水が起き、陸地はほとんど海底に沈んで海ばかりの世界となって、沈みゆく大地には水の竜、地の竜、悪鬼などが現れ、古き神々や英雄を打ち破ったとされている。敗死した神々の一部は『甦りの時』を待っており、ふさわしい『贄』が捧げられた時には復活できる。ここでは神の名は重要ではなく、称号で民に認知され、崇められるという、非常に古い信仰の形がごく素朴な形で残されている。また、滅ぶ前の世界の遺物は海に沈んでおり、『海から流れ着く』か『海底から拾ってくる』かして、文明レベルに不釣り合いなオーパーツの宝飾品も利用されている。神と人の距離がきわめて近く、神の血を引く人間が市井に紛れて普通に生活しており、誇張抜きで『ご町内に数名』は名匠が存在する。 聖域には《大地を広げる者》という称号で讃えられる神や英雄がしばしば現れ、最大の島にある洞穴から《冥府下り》を行い、無残な死を遂げた後に『火と光』の神性を得て復活し、一度は敗れた相手に逆襲を遂げることで《光を持ち帰りし者》の称号を授かる。ヒューペルボレアの冥府は、英雄たちの『死と復活』が運命の糸で定められた必然のごとく繰り返される場所で、力を以て他者を屈服させる戦神、英雄、悪魔、神殺しは等しく『死と再生』の対象になり、“力ある者”は十全に力を発揮できなくなっているため必ず苦難に見舞われ、よほどの僥倖に恵まれなければ敗北する。《運命の繰り糸》によって、《試練を乗り越え、死すらも克服する英雄の物語》を再現しやすくしているが、副葬品や魂、生け贄といった復活を促進させる準備もなく殺された場合は復活に失敗する恐れがある。地上も冥界も、ヒーローズ・ジャーニー及び『死と再生の物語』がほとんど自動的に幾度も繰り返される土地であることから、梨於奈は《英雄界》と例えた。 アポロンによると、かつてのヒューペルボレアは石器時代のコーカサス地方(現代のジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンなど)に存在していたという。ヒューペルボレア人は、ゴブスタンに《聖なる神々》である『動物たちの絵』を描いた者と同一の牧畜の民で、彼らは青銅のあつかいさえも知らず、石を削って道具や武器としていた。幾千年もかけて新天地を求め、馬を飼い慣らして馬車を駆る騎馬の民となって東、西、南へと旅立っていったことから、ギリシア神話、インド神話、ペルシア、北欧、ケルト神話の神様の故郷とも言える場所であり、幾多の文明と神々を生みだした原郷でもある。 アイーシャが作った『通廊』が、空間歪曲として小アララト山のふもとに残っている。たしかな位置を伝える神話は当代には残っていないが、アポロンは忘我の境地に至ったカサンドラの力でゴブスタンに残る図像の『未来』の変化を幻視させ、神域の門を開くための『鍵』とした。 神話世界の中でもかなり特殊な位置付けにあるとされ、この神話世界を訪問したアレクサンドルは『神々と神殺しが入り乱れる箱庭にして闘技場』と形容し、時代や世界の壁を飛び越えて神殺しが何人も集まりつつある。本来石器と青銅器程度の文明しかなかったが、神殺したちが文化英雄となって『もっと未来の知識、概念、技術』を伝えてしまったことで、恐ろしい速さで文明が発展。最古の神話が改変されてしまったせいで『最後の王』を生み出すはずの後世の物語も歪み、いくつもの世界が滅亡に追いやられながらも勇者降臨のシステムが機能しなくなってしまう。冥府(めいふ) ヒューペルボレアの地の底に存在する、死者が暮らす土地。ヒューペルボレアで最も大きな島の山肌に空いた洞穴から地続きになっている。洞穴の中は人や獣畜の行き来があるためか、どうにか馬車でも進める程度の路面になっている。殺風景で、恐ろしく荒涼とした灰色の大地ばかりがひたすらつづき、たまに岩山や枯れ木がある程度、空は毒々しい紫色で薄暗い。乾いた大地の地割れから魔竜が出現するだけでなく、黄泉醜女に類する犬歯の鋭い小鬼たちも生息している。死の在り方、肉体と魂の行く末は地上とちがっていて、生ある者はどんな神に加護されていようと、冥府の門をくぐったときに“仮の死”を迎えて時間が止まり、“2度目の死”を迎えても亡骸は腐らず、『過去と現在の因果』を操る権能の影響も受けやすい。 女神の島 《水の乙女》が住まいとする島。自然の恵みゆたかで、草地と森、小川があり、あちこちで可憐な花が咲き乱れ、ウサギやシカが生息している。周囲の海は栄養過多で濁り、青緑の海藻や苔、白い泡などが浮いている。 島のあちこちでヴァハグンに捧げるための篝火が焚かれており、その『焰の道』はヴァハグンの聖域へと通じている。神域の洞窟には『戦士の獲物』である竜や獣の壁画が描かれ、錆びついた剣とヴァハグンの八つ裂きにされた遺体を納めた8個の壺が安置されている。また、島内には地球のトルコ領東端へ繋がる空間歪曲が存在する。
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