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ミヨー:世界の創造

英語表記/番号出版情報
ミヨー:世界の創造Le creation du monde Op.81作曲年1923年 

世界の創造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 14:06 UTC 版)

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世界の創造
La Création du monde
ボルラン版
構成 1幕
振付 J・ボルラン[1]
作曲 D・ミヨー
台本 B・サンドラール
美術・衣装 F・レジェ
設定 アフリカ
初演 1923年10月25日
シャンゼリゼ劇場
初演バレエ団 バレエ・スエドワ
主な初演者 【男】J・ボルラン
【女】E・ストランディンスウェーデン語版
ポータル 舞台芸術
ポータル クラシック音楽
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世界の創造』(せかいのそうぞう、La Création du monde) は、ダリウス・ミヨー1923年に作曲したバレエ音楽 (作品81a)、およびそれに基づく全1幕のバレエ作品。まれに『天地創造』とも訳される。

概要

ミヨーは1922年に米国訪問中にハーレムの道端で本場のジャズを初めて耳にし[2]、音楽観に大きな衝撃を受けた。パリで活動していたバレエ団、バレエ・スエドワ(スウェーデン・バレエ団)からバレエ音楽の新作を依嘱されると、ミヨーは翌1923年にいくつかの楽章にジャズを取り入れて『世界の創造』を作曲し、これを6つの連続した場面からなる全1幕のバレエとして上演させた。

アフリカ人から見た天地創造を主題としており、台本はブレーズ・サンドラールが担当。ジャン・ボルラン[1]振付、フェルナン・レジェ美術で、初演はバレエ・スエドワによって1923年10月25日にパリのシャンゼリゼ劇場において行われた。公演時間は約20分。

音楽はミヨーがロンドンハーレムで出逢ったジャズに感化された内容になっている。サクソフォーン独奏を含む17人の小オーケストラによって演奏されるが、後にピアノ五重奏版も作成された。P・コレールとR・デゾルミエールに献呈されている。

なおボルランによる振付はバレエとして普及せず、のちにN・ド・ヴァロア版(1931年・英国カマルゴ協会)、T・ボレンダー版(1960年・ニューヨーク・シティ・バレエ団)、K・マクミラン版(1966年・英国ロイヤル・バレエ団)などが作られた。

現在ではバレエとして上演されることは稀であり、純粋な管弦楽曲として演奏されることが多い。

経緯

ミヨーが最初にジャズと出会ったのは1919年、ロンドンのダンスホールにおいてであった。すでに『屋根の上の牛』でブラジルの大衆音楽を取り入れて一定の成功を収めていたミヨーは、次なる目標としてジャズを取り入れた作曲を考え始めていた。

なお当時のパリでは芸術に代表される上位文化とジャズに代表されるサブカルチャーの融合が随所で起こっており、加えてルネサンス時代から続く異国趣味として、1920年代には "Negrophilia" と称されたアフリカ風の趣味がパリを席捲していた[3]

ミヨーもこうした流れと無関係ではなく、自伝によれば1922年に訪米したのはジャズだけでなくアフリカの黒人芸能全般に対する興味からであったという[4]。しかしミヨーは本場のジャズバンドを聴くといたく感激し、以後マンハッタンハーレム地区のクラブやバーを梯子してジャズ・ミュージシャンと交流するようになった。

フランスに帰国後、ミヨーは彼の言うところの「ジャズの文法」をもった様式で作曲を始める。和声法旋律法ブルース風の変化をつけ、スウィング風のクライマックスとストンプ風のリズムを加えたほか、楽器編成もニューヨークでの見聞に基づいたものとなった。

ダンサーの衣裳と舞台装飾はフェルナン・レジェの手になるもので、アフリカらしい視覚的効果を狙ったものであったが、衣裳は非常に重くしなやかさに欠けていたため、動きづらく踊りにくかったといわれている。バレエは計12回上演された[5]が、ミヨーの意気込みにもかかわらず成功といえるものではなかった。当時のフランスの批評家の一人は「演奏会場や舞台よりも、食堂かダンスホールにふさわしい音楽」と酷評したという[6]

10年後の1933年12月、『世界の創造』はニューヨークでオーケストラ公演として上演された。すでにジャズが社会的に浸透していた米国では好意的に受け止められ、この作品がガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』(1924年)より先に作曲されていたことから、ミヨーを称賛する声が多かったという[7]

楽器編成

ティンパニ以外の楽器はドラムセットのように組み合わせて演奏する。

構成

所要時間は約15〜20分で、次の6つの楽曲が連続してあたかも1つの楽章であるかのように演奏される。

  • 序曲Ouverture
    サクソフォーン独奏のレガート奏法。
  • 創造の前の混沌Le chaos avant la création
    真っ暗な混沌の中に、ナーメ、メベール、ヌウア(ヌザメ、メデール、ンクワ)の3神が現れる。
    コントラバストロンボーン・サクソフォーン・トランペットが、ジャズ主題によるフーガを奏でていく。
  • 動植物の創造La naissance de la flore et de la faune
    神は植物、ついで象、亀、蟹、猿たちを創造する。新しい生き物が創造されるたびに舞台は明るくなっていく。
    再び冒頭のレガート主題に戻るが、今度はフルートがその旋律を奏でる。チェロによる第2部を経て、オーボエによるブルース演奏。
  • 男女の誕生La naissance de l'homme et de la femme
    創造された動物たちは神の周りを回り、神のあたらしい呪文によって男女の人間が創造される。
    2つのヴァイオリンファゴットの伴奏に乗ってケークウォークを演奏する。
  • 男女の色恋Le désir
    欲望にかられた男女の踊りは次第にテンポを速め、熱狂的になっていく。動物たちも人間とともに踊る。
    前半でピアノ弦楽器打楽器のリズミカルな伴奏に乗ってクラリネットのソロが活躍した後、序曲の旋律に戻るが、やがてリズム楽器による伴奏が熱狂的に勢いを増していく。
  • 春または充足感Le printemps ou l'apaisement) - コーダ:男女の口づけ
    野蛮な踊りが静まって動物たちは去り、舞台には恍惚の境地の男女が残される。
    終曲は三部形式であり、第1部と第2部の旋律はフラッタータンギング奏法によってフルートが演奏する。結びは穏やかなブルースによって閉じられる。

文献

  • Julio Moreno Gonzalez-Appling, "The ox in the concert hall: Jazz identity and La Création du monde," - A thesis submitted to the Graduate College of Bowling Green State University.
    修士による提出論文だが、ミヨーの旅行歴、他のジャズ風クラシック曲との比較、米仏で作品の評価が異なった理由などに触れている。

関連項目

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b ヤン・ベルリン (: Jan Börlin) とも。フランス国内で"Jean Borlin"と書いたため、「ジャン・ボルラン」と読まれることが多い。
  2. ^ "Milhaud - La création du monde" Archived 2006年9月1日, at the Wayback Machine., Pomona College, Department of Music, 1999.
  3. ^ 絵画と写真に描かれた当時の流行は次の展覧館ブログを参照。Musée d'Ixelles - Black Paris & Black Brussels.
  4. ^ Gonzalez-Appling, op. cit., p.34 (pdfではなく元論文の頁)
  5. ^ ibid., p.44
  6. ^ ミヨーが自著で指摘しているという。ibid., p.51
  7. ^ ibid., p.56
  8. ^ 『男とその欲望』は最初バレエ・リュスV・ニジンスキーのために作られたが、総帥のディアギレフに採用されなかったため、代わりにバレエ・スエドワに持ち込まれた。

世界の創造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:22 UTC 版)

モルゴス」の記事における「世界の創造」の解説

そして世界創造の歌、無数のアイヌア聖歌隊による音楽、即ちアイヌリンダレ歌われた際、主題が進むに連れメルコール心中に彼独自の、イルーヴァタール主題にそぐわぬことを織り込もうという考え起こしたメルコール自分割り当てられ声部の力と栄光を、さらに偉大なものにしたいという欲望湧き起こったのである。そして世界創造前に抱いた考え一部彼の音楽織り込んだであった。すると彼の周囲には不協和音生じ、他のアイヌア旋律乱し中にはメルコール音楽調子を合わせるアイヌア出始めた。こうして彼の不協和音イルーヴァタール主題とぶつかることとなった。するとイルーヴァタール第二主題提示し新たな音楽始まったが、またもメルコール不協和音がこれと競い合い最後に勝ちを制した。しかしイルーヴァタール提示した第三主題は全く相容れない二つ音楽同時進行するような仕儀となり、最後にイルーヴァタール主題メルコール同調者達の不協和音さえも取り込んで一つ音楽として完成するようになっていた。そしてこの時イルーヴァタールメルコール叱責したが、彼は恥じ入ったものの考え改めことなく、むしろ密かに心に怒り懐いたイルーヴァタールアイヌア音楽産物であるエア(Eä、アルダを含む世界全てを指す)を幻視させると、アイヌアの内最も力ある者の多くアルダ心を奪われたが、その最たるものメルコールであった。最も彼はアルダ赴いてイルーヴァタールの子らのために準備整えるよりも、実の所アルダ支配者なりたかったのであるが。そして歌の主題実在となって地球即ちアルダ誕生すると、彼が生じさせた極寒灼熱統御するという口実己自身信じこんで、アルダ降った多くアイヌア一人となった。そしてヴァラールアルダ仕上げるのは自分たちの仕事であると気づき、その大事業とりかかった時、メルコールアルダ我が物にしようとし、他のヴァラにそう宣言した。しかし兄弟であるマンウェ窘められて一旦は退き他の場所立ち去り、そこで自分好き勝手したものの、彼はアルダ支配諦めてはいなかった。そこでヴァラール目に見える諸力として肉体纏い美しく地上を歩く姿を見て嫉妬燃え、自らも肉体纏う同胞たちに戦い挑んだ。しばらくはメルコール優勢だったが、トゥルカス参戦するアルダからの逃走余儀なくされた。

※この「世界の創造」の解説は、「モルゴス」の解説の一部です。
「世界の創造」を含む「モルゴス」の記事については、「モルゴス」の概要を参照ください。

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