マ‐メール‐ロワ【(フランス)Ma Mère l'Oye】
ラヴェル:マ・メール・ロワ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラヴェル:マ・メール・ロワ | Ma mère l'oye | 作曲年: 1908-10年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 眠りの森の美女のパヴァーヌ "Pavane de la belle au bois dormant" | 1分30秒 | No Image |
2 | 親指小僧 "Petit Poucet" | 3分00秒 | No Image |
3 | 女王の陶器人形レドロネット "Laideronnette, impératrice des pagodes" | 3分00秒 | No Image |
4 | 美女と野獣の対話 "Les entretiens de la belle et la bete" | 4分00秒 | No Image |
5 | 妖精の園 "La jardin féerique" | 3分30秒 | No Image |
作品解説
おとぎ話に基づく5つの小品を集めたもので、ラヴェルが親しくしていたゴドフスキ夫妻の2人の子供のために書かれたピアノ連弾曲。
この組曲を書くにあたってラヴェルはシャルル・ペロー(1628-1703)、ドーニア伯爵夫人マリー・カトリーヌ(1650-1705)、マリー・ルプランス・ド・ボーモン(1711-1780)ら三人の作家の子供向けの物語を参照した。タイトルは、ペローの作品『マ・メール・ロワ(フランス語で、「マザーグース」の意味)のお話(1697)』から採られたものである。
子供向けに作曲されたため、技巧的にも親しみやすいものになっているが、ラヴェルならではの語法や個性が、洗練された形で生きている。
この曲は、ラヴェルによって管弦楽用に編曲され、さらに、「紡ぎ車の踊り」と「間奏曲」の二曲を加えてバレエ音楽にも改作された。
1.眠りの森の美女のパヴァーヌ / "Pavane de la belle au bois dormant"
イ短調、遅く。
2.親指小僧 / "Petit Poucet"
ハ短調、極めて中庸に。
森で道しるべに散らしたパン屑が、帰りには鳥に食べられていたため、おやゆびトムはびっくり。
3.女王の陶器人形レドロネット / "Laideronnette, impératrice des pagodes"
嬰へ長調、行進曲の速さで。
彼女が衣服をぬいで、お風呂に入ると、人形達が、くるみやアマンドでつくった楽器をひいて歌い始める。
4.美女と野獣の対話 / "Les entretiens de la belle et la bete"
ヘ長調、極めて中庸なワルツの早さで
容姿は醜いが心は美しい野獣と美女の恋の物語。
5.妖精の園 / "La jardin féerique"
ハ長調、遅くそして厳かに
マ・メール・ロワ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/22 09:20 UTC 版)
『マ・メール・ロワ』(仏: Ma Mère l'Oye)は、モーリス・ラヴェルが「マザー・グース」を題材にして作曲したピアノ四手連弾の組曲。また、それをベースとした管弦楽組曲およびバレエ音楽。
ピアノ連弾版
オリジナルの連弾曲は、子供好きの(しかし独身であった)ラヴェルが、友人であるゴデブスキ夫妻[注 1]の2人の子、ミミとジャンのために作曲し、この姉弟に献呈された。
1908年から1910年にかけて作曲され、1910年4月20日、パリ・ガヴォーホールで開かれた独立音楽協会(SMI)の第1回演奏会において初演された。本来はミミとジャンが弾くことを想定して作曲されたが、それでも幼い姉弟が演奏するには難しかったため、マルグリット・ロンの弟子、ジャンヌ・ルルーとジュヌヴィエーヴ・デュロニーが演奏した。
「親指小僧」「パゴダの女王レドロネット」「美女と野獣の対話」には、原作から短文が引用・付記されている。
- 第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ(Pavane de la belle au bois dormant)
- 4分の4拍子 Lent(ゆっくりと)
- シャルル・ペローの童話集『マ・メール・ロワ(マザーグース)』の「眠れる森の美女」から。
- 第2曲 親指小僧(Petit Poucet)
- 4分の2拍子 Très modéré(とても中庸に)
- 『マ・メール・ロワ』から。曲名に関しては「一寸法師」という訳があてられることもある。
- 第3曲 パゴダの女王レドロネット(Laideronnette, impératrice des pagodes)
- 4分の2拍子 Mouvement de marche(マーチのリズムで)
- ドーノワ伯爵夫人マリー・カトリーヌ(1650年頃 - 1705年)の『緑の蛇』から。パゴダとは塔を意味し、そこに住む中国製の首振り陶器人形の物語。
- 第4曲 美女と野獣の対話(Les entretiens de la belle et de la bête)
- 4分の3拍子 Mouvement de Valse très modéré(とても中庸なワルツのリズムで)
- マリー・ルプランス・ド・ボーモン(1711年 - 1780年)の『子供の雑誌、道徳的な物語』からの「美女と野獣」に基づく。
- 評論家ロラン・マニュエルは、エリック・サティの「ジムノペディ」の影響を指摘している[1]。
- 第5曲 妖精の園(Le jardin féerique)
- 4分の3拍子 Lent et grave(ゆっくりと荘重に)
- 「眠りの森の美女のパヴァーヌ」と同じくペローの「眠れる森の美女」から。眠りについた王女が王子の口づけで目を覚ますシーン。
管弦楽版
- 編成
- ホルン(F管)2
- 編入楽器
組曲版
管弦楽組曲版は、連弾組曲をそのまま管弦楽編曲したもので、1911年初頭に編曲された。終曲「妖精の園」はラヴェル一流のオーケストレーションによる壮麗な大団円で全曲が締めくくられる。
演奏時間は約17分。
バレエ版
テアトル・デザール(芸術劇場)の支配人、ジャック・ルーシェ(Jacques Rouché)からの依頼により、1911年から翌1912年初頭にかけて編曲。曲順を入れ替え、新たな曲(前奏曲、紡車の踊り、複数の間奏曲)を付け加える形で編曲された。初演は1912年1月28日、ラヴェル自身の台本、ジャンヌ・ユガール夫人の振付、ガブリエル・グロヴレーズの指揮による。バレエ版は依頼主のジャック・ルーシェに献呈された。
- 前奏曲(Prélude)
- (間奏)
- 第1場 紡車の踊りと情景(Danse du rouet et scène)
- 「眠れる森の美女」の情景
- 第2場 眠れる森の美女のパヴァーヌ(Pavane de la belle au bois dormant)
- (間奏)
- 第3場 美女と野獣の対話(Les entretiens de la belle et de la bête)
- (間奏)
- 第4場 親指小僧(Petit Poucet)
- (間奏)
- 第5場 パゴダの女王レドロネット(Laideronette, impératrice des pagodes)
- (間奏)
- 終曲 妖精の園(Le jardin féerique)
演奏時間は約27分。
関連作品
- 『子供の情景』(ロベルト・シューマン)
- 組曲『ドリー』(ガブリエル・フォーレ)
- 『子供の領分』(クロード・ドビュッシー)
- 歌曲集『子供部屋』(モデスト・ムソルグスキー)
メディア
脚注
注釈
出典
- ^ アービー・オレンシュタイン、井上さつき訳『ラヴェル 生涯と作品』音楽之友社、2006年、219ページ
外部リンク
マ・メール・ロワ(Ma Mère l’Oye)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 22:49 UTC 版)
「美女と野獣」の記事における「マ・メール・ロワ(Ma Mère l’Oye)」の解説
1910年頃。モーリス・ラヴェルによるピアノ連弾組曲。この組曲の第4曲が「美女と野獣の対話」である。
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