サンクチュアリ・黄泉比良坂
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「神域のカンピオーネス」の記事における「サンクチュアリ・黄泉比良坂」の解説
伊弉冉命(いざなみのみこと) 日本神話の女神。天の神々からの命令で、海にただよう脂じみたものを夫の伊弉諾命と共に神具《天之逆鉾》でかきまわし、日本列島を形作ったと語られる国生みの母。土地を作り終えると次に子作りしてせっせと神様を増やしていくが、火の神《火之迦具土》を生むのとひきかえに命を落とし、地底にある黄泉国で食物を口にしたことで穢れを受けて死の国の女王となった。生前は黒髪に黒目、薄幸そうな細面、肢体はほっそりとした柳腰で、ひどく華奢だが、逆にそこが婀娜っぽいような容姿をしていたが、死後はところどころ肉が腐り落ちて白骨がむき出しになり、五体には無数の蛆虫が這いまわり、全身から黒い雷の火花を放つ。 黄泉津大神としての能力で、誕生の言霊を謡うことで地中から呼び出した《黄泉醜女》や《黄泉軍勢》といった屍鬼の軍勢を使役し、冥界の瘴気を発生させて周囲の生物を殺し、草木を枯れさせ、大地を乾かし水を腐らせて『穢れた土地』へ変え、呪詛と穢れの言霊を聴覚より内側に入りこませ、活力や命をまたたく間に食い尽くす。さらに、全身に黄泉国で生んだ八雷神という8柱の子供たちを宿し、彼らを8筋の黒き雷光として放つことで攻撃する。また、黄泉の女王として亡者に対する支配権を有し、生前に人界では突出した術者だったとしても、亡霊になった状態ではイザナミの命に逆らうことはできない。白鳥に変化し、空を飛ぶこともできる。しかし、「日本国の母」でしかないため戦いにはあまり慣れておらず、たいした武器も持っていないのが弱点で、例として八雷神の雷撃はヴォバンの《疾風怒濤》に比べればはるかに格下。加えて、《死の女神、負の存在》なので、命の源である太陽の霊気にきわめて脆弱である。なお、黄泉国から葦原中つ国に戻った際に膿み腐れた体は生前のものへと治癒しており、身にまとう衣も、襤褸切れから筒袖の青い『袍』と黒の『裳』へと変わっている。 黄泉国から逃げ帰るイザナギを追っていた時、アテナからの援護を受けて葦原中つ国へ帰還。屍鬼の軍勢を放って神域を瞬く間に滅ぼすと、イザナギの民を根絶やしにするべく無数の《空間歪曲》を発生させ日本に侵攻、自らは大坂城を拠点として関西地方を黄泉醜女と黄泉軍勢で溢れかえらせる。不慣れな戦闘で蓮と梨於奈に追い詰められたところをアテナに助けられて、彼らが撤退している間に城内に大量の屍鬼を生み出す。だが、再戦で軍勢を梨於奈に一撃で焼滅されたため、八岐大蛇を生け贄にして息子《建速須佐之男命》を《同盟神》として召喚、焼け野原となった大阪城公園の地中に《天之逆鉾》の力で隠れ、奈良亡霊軍団を始末しようとしたが芙実花に妨害され、居場所を特定した梨於奈に《金鵄之大祓》で焼き払われる。命を落とす直前に息子の権能で保護されたが、蓮の策で息子の切り札『千の劔』を浴びて死亡する。黄泉醜女(よもつしこめ) イザナミに仕える存在であり、ゾンビの日本神話バージョンと言える鬼女。体つきは女人だが、身の丈3メートル、唇は大きく裂け、ぼさぼさに乱れた長いざんばら髪、牙も爪も鋭く獰猛きわまりない。肌は死体さながらに白く、鼻を刺す腐臭が全身から立ちのぼる。またたく間に千里を駆けるとされており、動きは稲妻のように俊敏。肉食性。 黄泉軍勢(よもついくさ) イザナミに仕える和製ゾンビ。八雷神にひきいられる、腐乱した凶猛な死者の軍勢。怪物の中では珍しく、車両の突撃や銃火器でも殺せるが、通常の銃弾では急所にあたる頭部や心臓に一撃を受けなければ倒れない。数が非常に多く、1箇所につき黄泉醜女が1割に対し、黄泉軍勢は9割も出現する。 伊弉諾命(いざなぎのみこと) 日本神話で、妹であり妻であるイザナミと共に国土を誕生させた国生みの父神。《千引巌》を1人で動かす剛力を持つ強壮な神で、魔除けの髪飾りと櫛を所有する。古代シュメールのタンムズ、北欧神話のヘルモーズ、ギリシア神話の詩人オルフェウスや英雄ヘラクレスなどと同じ「冥府下り」を行った神であり、死した妻を求めて黄泉の国に降りるが、待ちきれずに約束を破って彼女の腐敗し穢れた姿を見てしまい、開きなおって怒ったあとでかつての妻を置き去りにして逃げ出し、1500体の黄泉軍勢に追われながら葦原中つ国に帰りつくと道返之石でイザナミを黄泉の国に閉じ込め、即座に川で身を清めるという逸話を持つため、アテナには「不実にして身勝手なる夫」と評される。 サンクチュアリ・黄泉比良坂にて再現された神話の一節で、イザナミから逃走し《千引巌》によって冥府と地上を永遠に隔てようとしていたが、地球から侵入してきたアテナが投じた黄金の槍に貫かれ命を落とす。 建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと) 日本神話でも最高の大英雄神。黄泉の国から帰還したイザナギが禊を行なった際、その鼻から生まれたとされる三貴子の末子。とんでもないマザコンで、亡き母イザナミを求めて全身全霊を懸けて号泣、これによって山の草木は枯れ果て、海も川も涸れ、悪しき神々が世にあふれるという禍いを起こしたと言われている、途方もなく傍迷惑な問題児であった。狼藉三昧のために高天原を追放されるが、地上をさすらう日々の中で成長、親切心から八岐大蛇と戦って勝利し、大蛇の屍から見つけた神刀を姉に捧げた後は、出雲国を治める王になったとされる。 黒髪を美豆良の形に、動きやすいよう手首と膝の下を紐で絞った貫頭衣を身につけて、腰には倭文布の帯を巻き、勾玉の首飾りをさげるという古墳時代の貴人の装いをした屈強な青年。顔の造り自体は端正だが、粗暴さと精悍さがはっきりと表れている。 荒っぽい逸話が多いが、単なる猪突猛進の闘士というわけではなく、だまし討ちもできる策士である。大蛇の尾から得た神刀《天叢雲劍》を疾風そのものの速さで振るい、神刀に宿る数々の霊験を使いこなす。闘気を激しい突風として放出し、周囲の敵を十数メートルも吹き飛ばすこともできる。また、八岐大蛇との戦いで《奇稲田姫》を『櫛』に変化させた伝説から、大切な誰かを櫛に変え、身につけることで守護する権能を持つ。さらに、姉の天照大神に反旗を翻したときに、城塞の代わりとして一千の剱を大地に突き立てたという古事記や日本書紀には記されない異聞を元に、一千振りもの刀剣を宙に浮かせ雷のように降らせる『千の剱』という切り札がある。ただし、この切り札は魔力をしぼり出さなければ発動できず、剣を御するために全精力を傾けるので咄嗟に中断することも難しい。 大阪における2度目の戦いで、八岐大蛇を生け贄としてイザナミの《同盟神》として地上に召喚される。だまし討ちとすぐれた剣技で蓮と戦い、イザナミを先に倒そうとした梨於奈から母を救うことで相手の思惑を覆す。《翼の契約》で魔力を大きく消耗した蓮を八岐大蛇の術と切り札によって追い詰めたが、蓮の策略に嵌り母を変化させた櫛を自らの術で砕いて殺してしまう。動揺して術を止めた隙に反射された自らの“光の刃”で重傷を負い、それでも復讐のために蓮へ立ち向かうが、彼が第4の権能を得ることを危惧するアポロンの光の矢によって頸を背後からつらぬかれ死亡する。 なお、《ユニバース235》にも別の速須佐之男命という元・まつろわぬ神が存在するが、こちらの建速須佐之男命とは違って日本の呪術界を統括する『正史編纂委員会』に影響力を及ぼす《古老》の一柱として、同胞の《玻璃の媛君》や《黒衣の僧正》と共にカンピオーネである草薙護堂に対して協力的である。また、容姿も青年ではなく老人である。 八岐大蛇(やまたのおろち) 日本国の八頭八尾の蛇神。日本神話でも最高クラスにメジャーな怪物。全長は4、50メートルとまさに『怪獣』と呼べる巨大さで、16個の目はホオズキのように紅く輝く。女神クシナダヒメを生贄に求めて彼女の住む村を苦しめていたが、地上をさまようスサノオに酒で酔わされ、寝込みを襲われるというだまし討ちで退治された。 《火》と《鉄》に深い関わりを持つ神霊。火に対する強力な耐性があるので火焰による攻撃は決定打になり得ず、口からは8筋の火焰放射を1キロメートル近く飛ばすことができる。さらに黒い砂鉄を西風に乗せて飛ばし、砂鉄同士を磁力で引き合わせ、その重みで敵を拘束することもできる。また、巨体の割に意外なほどすばやく、長い尾を振るい剣のごとき斬撃を放つ。 アテナの力で目覚めさせられ、イザナミの助太刀として大川に現れる。アテナの結界で《翼の加護》を失った梨於奈に重傷を負わせ、一行を撤退に追い込んだ。再戦では巻きついていた大阪城天守閣ごと梨於奈の紅蓮の焰で焼かれ、護法童子や鬼の武器で傷つけられるが、死亡する前にスサノオを顕現させる生け贄としての役割を果たした。
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