シュールレアリスムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 美術 > 芸術運動 > シュールレアリスムの意味・解説 

シュールレアリスム

シュールレアリスム(surrealism)とは、20世紀初頭にフランスで生まれた芸術運動である。この運動は、夢や無意識の世界表現することを目指し現実非現実境界曖昧にする特徴がある。シュールレアリスムの作品は、不条理奇妙なイメージ状況描き出し視覚的な驚き混乱引き起こすことが多い。 シュールレアリスムは、絵画だけでなく、彫刻映画文学など多岐にわたる芸術分野影響与えた。特に、シュールレアリスムの手法は、映画広告などのビジュアルメディアにおいて、視覚的なインパクト与え手段として頻繁に用いられるまた、現代のインターネットカルチャーにおいても、シュールなユーモラスな表現としてその影響を見ることができる。

シュール

別表記:シュルレアリスム、シュールレアリスム、シュールリアリズム

「シュール」とは、フランス語シュルレアリスムの略で「現実離れ」や「超現実的」「奇抜な」といった日常生活目にすることのない並外れた様子のことを意味する表現。シュールレアリスムの略。シュールレアリズムシュールリアリズムなどと表記されることもある。近現代では現実感無視した作風への傾倒として用いられたが、日本において特に若者使用する際は、明らかな奇抜さだけではなくちょっとした違和感独特な雰囲気に対して用いことがある

シュールの語源

シュールの語源は、日本で「超現実的」と訳されるフランス語である。この言葉最初に使ったのは、フランス詩人ギヨーム・アポリネールであるといわれている。1917年上演されコクトーによる前衛バレエ作品パラード」のプログラム序文使用したとされ、1918年上演されアポリネール自身戯曲ティレジアスの乳房」は、シュールレアリスム演劇先駆けといわれている。
シュールレアリスムの語が有名になったきっかけは、1924年刊行された、フランス作家アンドレ・ブルトンによる「シュールレアリスム宣言」という書物にある。第一次世界大戦中ブルトンは、当時フランスではあまり有名ではなかったフロイト心理学触れ、「人間にとって意識氷山の一角にすぎない」「夢こそが願望充足である」というその深層心理学大きな影響を受ける。そしてブルトンは、理性によって支配され現実世界ではなく夢・幻想など潜在意識的な世界表現することで人間開放目指すという思想を「シュールレアリスム宣言」として発表した

シュールレアリスム宣言影響受けた多く画家が、現実無視したのような絵画発表するようになり、いつしか「シュールレアリスム」は芸術運動の名前となっていった。まるで夢の中見ているような非現実感のある芸術作品発表したサルバドール・ダリマックス・エルンストルネ・マグリットなどがシュールレアリスムを代表する画家として知られるまた、ピカソも後にシュールレアリスムに傾倒したという。そうして、シュールレアリスムに影響受けた芸術家たちは「シュールレアリスト」と呼ばれた

シュールとダダイズム

シュールレアリスム宣言は、第一次世界大戦中から大戦後にかけて欧米起こったダダイズム」という芸術運動にも影響受けているが、戦争対す抵抗感虚無感抱えたまま、常識攻撃したり、破壊するような、いわば「現実否定」していたダダイズム対し、シュールレアリスムは「現実超える」ものであった

シュールレアリスム宣言日本芸術家たちにも影響与えることになる。西脇順三郎友部正人といった詩人シュールレアリスム宣言影響受けた詩を発表小説では安部公房漫画ではつね義春の「ねじ式」などにシュールレアリスム的な表現見られた。画家では、古賀春江福沢一郎北脇昇写真家では山本悍右などが影響受けたとされる

しかし、現在の日本では「シュールレアリスム」という単語ではなく、「シュールな」という形容詞として使われることが多い。バラエティ番組で、お笑い芸人現実的ではない発言に対してシュールなボケ」、ありえない設定コントに対してシュールな設定」など、ただただ現実離れしているという意味で使用されることが多い。まさしく「シュールレアリスム」から「レアリスム」がなくなったような状態である。本来の「シュールレアリスム」とは別の意味を持つ言葉になっており、「あの光景シュールだったね」「シュールな漫画だった」など、大人から若者まで幅広く使われるようになっている

近年日本一般的に現実離れしている」という意味で使われる「シュール」という言葉反対語は「現実といえるまた、本来のシュールレアリスム「超現実」の反対語も「現実」と考え向きもある。

シュールレアリスム【(フランス)surréalisme】

読み方:しゅーるれありすむ

20世紀代表する芸術思潮の一。1924年刊行されブルトンの「シュールレアリスム宣言」に始まる。ダダイスム思想受け継ぎつつフロイト深層心理学影響を受け、非合理的なものや意識下世界追求芸術革新企てたブルトンのほかに文学のアラゴン・エリュアール、美術のエルンスト・ミロ・ダリなどが代表的超現実主義シュールリアリズムシュール


シュルレアリスム

(シュールレアリスム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/09 18:54 UTC 版)

シュルレアリスム[注 1]: surréalisme[注 2]: surrealism[注 3])は、戦間期フランスで起こった作家アンドレ・ブルトンを中心とする文学・芸術運動である。すでに1919年から最初のシュルレアリスムの試みである自動記述が行われていたが、1924年にブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表し、運動が本格的に始まった。ブルトンはこの宣言でシュルレアリスムを「口頭、記述、その他のあらゆる方法によって、思考の真の動きを表現しようとする純粋な心的オートマティスム理性による監視をすべて排除し、美的・道徳的なすべての先入見から離れた、思考の書き取り」と定義した[1]。シュルレアリスムはジークムント・フロイト精神分析カール・マルクス革命思想を思想的基盤とし、無意識の探求・表出による人間の全体性の回復を目指した。ブルトンのほか、ルイ・アラゴンポール・エリュアールフィリップ・スーポーバンジャマン・ペレらの詩人を中心とする文学運動として始まったが、ジョルジョ・デ・キリコマックス・エルンストらの画家マン・レイらの写真家が参加し、1920年代末頃からスペインベルギーからもサルバドール・ダリルイス・ブニュエルルネ・マグリットカミーユ・ゲーマンスフランス語版らが参加。分野もダリとブニュエルの『アンダルシアの犬』に代表される映画などを含む多岐にわたる芸術運動に発展した。




「シュルレアリスム」の続きの解説一覧

シュールレアリスム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 09:59 UTC 版)

アメリカン・ダッド」の記事における「シュールレアリスム」の解説

このアニメプロットはシュールレアリスムとナンセンス満ちている。登場人物降りかかる出来事や彼らを取り巻状況、そして彼らのの言動は、奔放なまでに不条理ナンセンス非論理的であるその例として、変装好きのロジャー身体的特徴まで著しく変えてしまう時があることが挙げられる。たとえば"Spelling Bee My Baby"という回変装する際、彼は自らの顔を広げ、体のほかの部分見えるようにし、『ブクブク太った人がハワイアン服装をした』ような姿になった前述Stan's Food Restaurantロジャーは、しわだらけの老サラリーマン扮装したシュールさが目立つかはほかにもあり、"Hurricane!"で獰猛な熊がスミス家流れ着いた際、スタン様々な方法をためし最終的には銛で熊をやっつけようとして誤ってフランシーン刺してそのまま壁に打ち付けたのを見た熊が、ジト目首を横に振った場面挙げられる。 "Why Can't We Be Friends?"という回で、覆面をしたロジャージェフ待ち伏せたり金を盗んだ強姦しようとして返り討ち遭う場面背景薄暗く危なっかしいゲットー路地のようになっていた 。"The Missing Kink,"という回では、スティーブと金クラウス1対1バスケットボール興じ1110と言う僅差スティーブ勝利する場面があった。また、この回ではスミス家地下一家友人知人パーティーバカ騒ぎをする場面があった。そして、The Full Cognitive Redaction of Avery Bullock by the Coward Stan Smithという別の回では、スミス家のそばの土地地下中央管理室があることが明かされた。この部屋ドアおおわれており、外からではわかりにくくなっている。この部屋中には最新鋭設備備わっており、例えスタン手を伸ばす地面から部屋に入るための掌紋読み取るための装置伸びてくるという仕組みになっている 話の脱線 番組内使用されるシュールな要素として、脱線ギャグ英語版)がある。 かつてこのやり方は、番組内プロットが、その回とは無関係人物によって主題からそれた時に用いられた。 このやり方は、メインキャラクター焦点あてられた後、先ほどまで出てこなかった本筋とは直接関係のない人物によって締めくくられるという形で用いられた。 たとえば、シーズン1の"Homeland Security"という回場合メインキャラクター行動焦点あてられる中、黄金化したロジャー排泄物手に入れた知らない人々運命についての描写なされている。 また、"The Missing Kink"では、本筋に交じって、薬物中毒と、フランシーンさえずり内容理解して応答する能力持っていることについて描写されている。

※この「シュールレアリスム」の解説は、「アメリカン・ダッド」の解説の一部です。
「シュールレアリスム」を含む「アメリカン・ダッド」の記事については、「アメリカン・ダッド」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「シュールレアリスム」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「シュールレアリスム」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



シュールレアリスムと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シュールレアリスム」の関連用語

1
Andre Breton デジタル大辞泉
100% |||||


3
Andre Masson デジタル大辞泉
100% |||||

4
アポリネール デジタル大辞泉
100% |||||

5
超現実主義 デジタル大辞泉
100% |||||

6
シュール デジタル大辞泉
100% |||||



9
Georgia OKeeffe デジタル大辞泉
100% |||||

10
Luis Bunuel デジタル大辞泉
100% |||||

シュールレアリスムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シュールレアリスムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2024実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
徳島県立近代美術館徳島県立近代美術館
Copyright:徳島県立近代美術館.2024
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシュルレアリスム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのアメリカン・ダッド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS