オートマティスム【(フランス)automatisme】
オートマティスム
【英】:AUTOMATISM
自動(記述)法と訳される。厳密には「シュルレアリスム宣言」に「理性によるいっさいの統制なしに、かつ美学的、倫理的ないっさいの先入観なしに行われる思考の真実の書きとり」とあるように、意識下の世界を探求するために用いられる方法。この用語はピカビアのインクのしみとか、紙切れを無造作に落すアルプの方法などのように、意図的に偶然の要素を開発する方法にも適用され、1940年代初期のニューヨークのシュルレアリストたちに重要な原理として引き継がれた。その後のアクション・ペインティング、アンフォルメル芸術は、どちらも絵をかく過程を自動的な精神の即興、つまり画家の内的な心の状態を表現する手段とみなしていたので、オートマティスムを自らの特質として受け入れた。
自動書記
(オートマティスム から転送)
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自動書記(英: Automatic writing、仏: Écriture automatique)とは、あたかも何か別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識、意思によらず身体が動く自動作用のうち、文字や絵などを描く現象のこと[1]。自動書記、自動記述とも。スピリティズムではサイコグラフィ―、シュルレアリストの詩作の実験ではオートマティスムとも呼ばれている。
- 1 自動書記とは
- 2 自動書記の概要
オートマティスム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 20:55 UTC 版)
「シュルレアリスム」の記事における「オートマティスム」の解説
シュルレアリスムの基本概念はオートマティスムであり、オートマティスムは本来、生理学・精神医学用語であったが、ブルトンは「理性による監視をすべて排除し、美的・道徳的なすべての先入見から離れた、思考の書き取り」という心的オートマティスムとして再定義した。これは言語の自動記述だけでなく、絵画表現においても同様であり、たとえば、アンドレ・マッソンは人為的なトランス状態で「自動デッサン」を制作し(1924年から25年にかけて『シュルレアリスム革命』誌に発表)、イヴ・タンギーは、制作時に完全に自由になって思いがけない表現が生まれるように、事前に下絵を描くことはなかった。また、偶然性を狙ったコラージュ、フロッタージュ、デカルコマニーなどの技法も意識の介入を排除して、無意識を表出させようという試みである。実際、言語の自動記述が直接的であるのに対して、絵画の場合は描く行為・イメージ化において意識が介在するため、ピエール・ナヴィルは「絵画のオートマティスムは不可能である」と語っていた。 最初の自動記述の試みは、シュルレアリスムの運動が本格的に始まる前の1919年にブルトンとスーポーによって行われた。フロイトの自由連想法の影響を受けた自動記述は、理性に制御されない純粋な思考を表現するために、できるだけ無意識に近い状態で浮かんでくる言葉を書き付けて行った。次第にその速度を上げることで、主語(主体性)が排除され、内容も前後の脈絡のない抽象的な言葉やイメージの連続になる。スーポーとブルトンはこの実験を毎日8時間から10時間にわたって行った。この結果は同年10月から12月の『リテラチュール』誌(第8号から第10号)に「磁場」として発表され、翌1920年にシュルレアリスムの出版社オ・サン・パレイユ(フランス語版)から刊行された。自動記述の著書としては、1930年にエリュアールとブルトンによって発表された『無原罪の御宿り』も重要である。ここには自動記述の試みとして、神経衰弱疑似症の実験、強烈な偏執狂の疑似症の実験、全身麻酔疑似症の実験、表現錯乱疑似症の実験、早発性痴呆症疑似症の実験などについて記述され、表紙にはダリのエロティックな絵が掲載された。だが、一方で、こうした自動記述の試みは、多くの場合、催眠状態で行われたため、危険を伴うものであった。1922年9月に行われた催眠実験は、バンジャマン・ペレ、ルネ・クルヴェル、ロベール・デスノスが被験者になり、催眠状態に入った3人が他の参加者の質問に答えるという霊媒実験(心霊実験)を模した試みであった。この様子についてブルトンが「霊媒の登場」と題する一種の報告書を書き、『リテラチュール』誌第2シリーズ第6号(1922年11月)に掲載した。だが、催眠実験(睡眠実験)がエスカレートすると、被験者が自分自身や参加者に危害を加える恐れがでてきた。クルヴェルは自殺を企てようとし、デスノスは周囲の友人にナイフを持って襲いかかったという。こうした危険性は、離人症や幻覚に伴う死の危険とともに、ブルトン自らが1934年の『ミノトール』誌第3・4合併号掲載の「自動メッセージ」と題する記事で明らかにし、事実上、これ以後、自動記述の実験は行われなくなった。
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