本筋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 01:08 UTC 版)
ある冬の日。御徒町に店を構える、河内屋金兵衛の店先に襤褸をまとった少年がやってきた。 「おとっつぁんが怪我をしました。血止めにするので、煙草の粉を少々ください」 その父親と言うのは目が不自由らしく、息子にすがり辛うじて立っている。同情した金兵衛は、親子を店の奥に上げ、傷薬を渡してあげた。 「ところで、息子の歳は何歳かね?」「六つです」「そうかい…」 金兵衛にも息子がいるが、甘やかして育てたせいか、我侭な性格に育ってしまっている。 「さっきも、子供の『袴着の祝い』をしていたんだが、好き嫌いが多くて大変だったよ。そうだ、残り物で申し訳ないのだが…もらって行くかね?」「有難うございます。では、ここに…」 そういって乞食が差し出してきたのは、何と『朝鮮鈔羅(ちょうせんさはり)の水こぼし』という高級品。 「これを面桶の代わりに? 恐れ入ったな…」「これは秘蔵品でございまして、零落しても売る気になれませんでした…」 その場で食事をすることになり、金兵衛の指示でお膳が運ばれてきた。 「八百善ですか。私も以前は、よく食べていました…」 味付けに文句ばかりをいい、料理人を困らせた報いでこのザマです…と乞食は笑う。 「しかし…。零落しても、家宝だけは手放さないとは。貴方は真のお茶人だ。何処の門人だい?」「川上宗治の門人でした」「貴方の名前は?」「大変いいにくいのですが…」 意を決した乞食が話し始める。 「私は、芝片門前に住まいおりました、神谷幸右衛門と申すものでございます」「え!? あの神幸さん? お上のご用達をなさっていた…」 変われば変わるものだ…と、金兵衛はしみじみとなった。 「そうだ。神幸さんには敵わないが、私も茶道をやっております。いかがでしょうか、一服立てますので、飲んでいただけませんか?」「それは有難うございます」 『お茶請けに』と用意してもらった大仏餅を、息子に一つ取ってもらい、感涙に咽びながら一口…喉につかえた。 「つかえた? 大変だ…」 慌てた金兵衛が、幸右衛門の背中をドンと一突き。 「ウプッ…有難うござヒました…」「お!? 貴方、目が開きましたよ!」「本当だ。でも、代わりに鼻が…」「無理もありませんよ。食べたのが大仏餅、目から鼻へ抜けたんです」
※この「本筋」の解説は、「大仏餅」の解説の一部です。
「本筋」を含む「大仏餅」の記事については、「大仏餅」の概要を参照ください。
「本筋」の例文・使い方・用例・文例
- 枝葉末節の議論はもうそろそろ止めにして、本筋の話に移りませんか。
- そろそろ話の本筋に入るべきです。
- (劇などの)本筋.
- まず上司に相談するのが本筋だと思います.
- 本筋よりあまり重要でない二次的な事件
- 本筋からそれる
- 物事の本筋からはずれること
- 物事の本筋からはずれたところ
- 物語の本筋と外れてはさみ込まれる話
- ある物事の本筋からはずれたところ
- 勝負事で,本筋の手
- 本筋からはずれた筋
- 物事の本筋からはずれた事柄
- 本筋からはなれた話
- 本筋からはずれた,あまり知られていない話
- 本筋からそれた方面
- ある事件に関する,本筋以外の短い話
- 物事の本筋から脇道へそれた余計な話
本筋と同じ種類の言葉
- >> 「本筋」を含む用語の索引
- 本筋のページへのリンク