本筮法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 06:06 UTC 版)
朱熹の本筮法を筮竹あるいは蓍の使用に限って説明すれば以下のようである。 繋辞上伝には「四営して易を成し、十有八変して卦を成す」とあり、これを四つの営みによって一変ができ、三変で1爻が得られ、それを6回繰り返した18変で1卦が得られるとした。さらに4営は伝文にある「分かちて二と為し以て両に象る」を第1営、「一を掛け以て三に象る」を第2営、「これを揲(かぞ)うるに四を以てし以て四時に象る」を第3営、「奇を扐に帰し以て閏に象る(「奇」は残余、「扐」は指の間と解釈される)」を第4営とした。 第1変50本の筮竹の中から1本を取り、筮筒に戻す。この1本は使用せず、49本を用いる。この1本は太極に象る。 第1営 - 残りの筮竹を無心で左手と右手で2つに分ける。これは天地に象る。 第2営 - 右手の中から1本を抜き、左手の小指と薬指の間に挟む。この1本は人に象り、あわせて天地人の三才に象る。 第3営(1) - 左手分(天策)の本数を右手で4本ずつ数える。これは四時に象る。 第4営(1) - その余り(割り切れる場合には4本)を薬指と中指の間に挟む。これは閏月に象る。 第3営(2) - 右手分(地策)の本数を左手で4本ずつ数える。 第4営(2) - 残った余り(割り切れる場合は4本)を中指と人差し指の間に挟む。第2営からここまでの5操作のうちに閏月を象る残余を挟む操作が2度あることは五歳二閏(5年に約2回閏月があること)に象る。 左手の指の間に挟みこんだ残余の筮竹の総和を求める。必ず9本か5本になる。(なお、第1変では後述のように陰陽に大きな偏りが出るため占いに使うのは適当ではない。偏りを避けるため、占筮には簡略化した中筮法・略筮法・擲銭法を使うべきである。ただし、占いの結果が均等であるべきとの決まりがある訳ではない。結果の偏りも含めて、それが本来の筮法であると解釈する事も可能である。) 第2変 - 49本から第1変の結果の9本か5本を抜いた44本または40本の筮竹で四営を行う。すると左手の指に挟みこまれた筮竹の総和は8本か4本になる。 第3変 - 第2変の結果の8本か4本を抜いた40本か、36本か、32本の筮竹で四営を行う。すると左手の指に挟みこまれた筮竹の総和は8本か4本になる。 画爻 - ここで第1変・第2変・第3変の残数により初爻が決まり、それを記録する作業が行われる。これは筆で板に4種類の記号を書き込むが、卦木(算木)で表すこともできる。残余の数は9本か5本、8本か4本であり、これを多いか少ないかによって区別すると、3変とも多い「三多」、2変が少なく1変が多い「二少一多」、2変が多く1変が少ない「二多一少」、3変とも少ない「三少」となる。これらの総和をそれぞれ最初の49本から引くと数えた筮竹の総数に当たるが、これは四時の4と陰陽の数を相乗じることによって得られるとされる。すなわち老陽の9、少陰の8、少陽の7、老陰の6である。ここで導かれた陰陽の属性を表す記号(重・折・単・交)を初爻の位置に記録する。ここで少陽・老陽は陽爻であるが、少陽が不変爻であるのに対し、老陽は陰への変化の可能性をもった変爻である。また少陰・老陰は陰爻であるが、少陰が不変爻であるのに対し、老陰は陽への変化の可能性をもった変爻である。 筮竹爻残余の多少数の意味属性数記号三少 5+4+4=1349-13=36=4*9 老陽 9 □(重) 二少一多 5+4+8または5+8+4または9+4+4=1749-17=32=4*8 少陰 8 - -(折) 二多一少 9+4+8または9+8+4または5+8+8=2149-21=28=4*7 少陽 7 ─(単) 三多 9+8+8=2549-25=24=4*6 老陰 6 ×(交) 第4変〜第18変 - 上記と同様の操作を続け、初爻の上に下から上への順に第2爻から上爻までを記録し、6爻1卦が定まる。 占断 - 以上の操作で定まった卦を「本卦(ほんか)」といい、さらに本卦の変爻(老陰・老陽)を相対する属性に変化させた卦を求め、これを「之卦(しか)」という。ここではじめて『易経』による占断がなされる。占いの結果は本卦と之卦の卦辞を踏まえたうえで、本卦の変爻の爻辞に求められる。なお2つ以上の変爻がある場合には本卦の卦辞によれ(『春秋左氏伝』)あるいは2変爻であれば本卦のその2爻辞(上位を主とする)により、3爻辞であれば本卦と之卦の各卦辞によれ(朱熹『易学啓蒙』)とされる。例えば、左手の指に挟んだ残数が第3変までで9・8・4、第6変までで9・4・8、第9変までで5・8・8、第12変までで9・8・8、第15変までで9・4・4、第18変までで5・8・4であったとすると、¦¦×||| と記録され、本卦は¦¦¦|||泰、之卦は¦¦||||大壮となる。これを「泰の大壮に之(ゆ)く」といい、占断は泰・大壮の卦辞を参考にしつつ泰卦の変爻、六四の爻辞によって行われる。
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本筮法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 12:57 UTC 版)
十八変の筮法。『周易』繋辞上伝の記述をもとに南宋の朱熹が復元したもの(『周易本義』筮儀)。最も古い方法だが、余りにも時間が掛かり、集中力を維持するのが困難、という事情もあり、現在ではあまり行われない。易経#占法を参照。
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