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ツァラ【Tristan Tzara】


トリスタン・ツァラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/10 08:02 UTC 版)

トリスタン・ツァラ
Tristan Tzara
トリスタン・ツァラ(1932年)
誕生 サミュエル・ローゼンストック
Samuel Rosenstock
1896年4月16日
ルーマニア王国モイネシュチ
死没 (1963-12-25) 1963年12月25日(67歳没)
フランスパリ7区
墓地 モンパルナス墓地
職業 詩人
国籍  ルーマニア フランス
活動期間 1912 - 1963
ジャンル 抒情詩叙事詩自由詩散文詩パロディ諷刺
主題 美術評論文芸評論、社会批判
文学活動 象徴主義アバンギャルドダダイスムシュルレアリスム
署名
ウィキポータル 文学
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トリスタン・ツァラTristan Tzara1896年4月16日 - 1963年12月25日)は、ダダイスムの創始者として知られるフランス詩人。本名サミュエル・ローゼンストック(Samuel Rosenstock)[1]1925年に正式に改名。トリスタン・ツァラというペンネームは、リヒャルト・ワーグナー楽劇トリスタンとイゾルデ』への言及であり、フランス語の「悲しい(triste)」とルーマニア語の「故郷(ţară)」を合わせたもので、「故郷で悲しむ者」という意味がある[2]

生涯

ツァラはルーマニア北部のモイネシュチで裕福なユダヤ人家庭に生まれた。ツァラは象徴主義の影響のもと、実験的な詩を創作していたイオン・ヴィネア英語版と画学生のマルセル・ヤンコフランス語版らとともに雑誌シンボル (雑誌)英語版を創刊する[3]

ツァラは、ブカレスト大学で数学と哲学を学んでいたが第一次世界大戦中、ヤンコとともにスイスチューリッヒを訪れ、1916年リヒャルト・ヒュルゼンベックゾフィー・トイバーフーゴ・バルジャン・アルプハンス・リヒターらとともにチューリッヒ・ダダを結成し、「ダダ宣言1918」を発表[4][5][6]キャバレー・ヴォルテールを中心に行われた徹底的に言語の意味性を剥ぎ取る手法と挑発的なパフォーマンスで、ヨーロッパ中の芸術家に衝撃を与えた。

やがてパリのアンドレ・ブルトン、ルイ・アラゴンらが創刊した『リテラチュール』誌に寄稿するなど活動を共にし、1920年1月17日に渡仏、ブルトンとともにパリ・ダダを率いることになる[6]。だが、まもなくツァラとブルトンの対立が露わになり、運動内部の対立につながり、即興劇バレス裁判」を機にダダは衰退した[7][8]。数年間の沈黙を続けた後ブルトンと和解しシュルレアリスムに参加する。

ツァラは第二次大戦下ではフランスに留まりレジスタンス活動に身を投じた。戦後はフランスに帰化し、1947年にはフランス共産党に入党、1963年に亡くなる直前まで詩作を続けた。モンパルナス墓地に埋葬された[9]

著書

邦訳

  • 『トリスタン・ツァラ』浜田明訳、思潮社、1969年
  • 『ダダ宣言』小海永二鈴村和成共訳、竹内書店、1970年
  • 『ダダ・シュルレアリスム - 変革の伝統と現代』(Le Surréalisme et l’Après-guerre, 1947)浜田明訳、思潮社、1971年、1985年
  • 『ツァラ詩集』浜田明訳、思潮社、1981年
  • 『種子と表皮』(Grains et Issues, 1935)塚原史訳、思潮社、1988年
  • 『トリスタン・ツァラの仕事(Tristan Tzara II 詩篇)』塚原史・大平具彦共訳、思潮社、1988年
  • 『七つのダダ宣言とその周辺』小海永二、鈴村和成共訳、土曜美術社(セリ・クレアシォン)1994年
  • 『アンチピリン氏はじめて天空冒険ほか』(La Deuxième Aventure céleste de M. Antipyrine, 1916)宮原庸太郎訳、書肆山田、2001年
  • 『ランプの営み』(Lampisteries, 1963)宮原庸太郎訳、書肆山田、2010年
  • 『七つのダダ宣言』(Sept manifestes Dada, 1924)宮原庸太郎訳、書肆山田、2010年
  • 『ムッシュー・アンチピリンの宣言 - ダダ宣言集』塚原史訳、光文社光文社古典新訳文庫)2010年

脚注

  1. ^ Tristan Tzara” (英語). Encyclopedia Britannica. 2020年4月6日閲覧。
  2. ^ Christine Leşcu (2016年5月31日). “Tristan Tzara”. Radio Romania International. Radio România Internaţional. 2020年4月7日閲覧。
  3. ^ JANCO Marcel” (フランス語). Binoche et Giquello. 2020年4月7日閲覧。
  4. ^ Angela Lampe. “Portrait de Tzara” (フランス語). www.centrepompidou.fr. Centre Pompidou. 2020年4月7日閲覧。
  5. ^ 沢山遼. “ダダ”. artscape. 2020年4月7日閲覧。
  6. ^ a b Henri Béhar (2018年1月10日). “TZARA Tristan”. maitron.fr. Maitron. 2020年4月7日閲覧。
  7. ^ Carassus, Émilien (1985). “De quelques surréalistes et du «Procès Barrés» Lettres inédites de Louis Aragon et de Pierre Drieu la Rochelle à Maurice Barrés” (フランス語). Littératures 13 (1): 151–168. doi:10.3406/litts.1985.1370. https://www.persee.fr/doc/litts_0563-9751_1985_num_13_1_1370. 
  8. ^ Piégay-Gros, Nathalie (2012). “L'affaire Barrès : le théâtre du procès” (フランス語). Les Cahiers de la Justice N° 4 (4): 43. doi:10.3917/cdlj.1204.0043. ISSN 1958-3702. http://www.cairn.info/revue-les-cahiers-de-la-justice-2012-4-page-43.htm?ref=doi. 
  9. ^ TZARA Tristan (Samy Rosenstock : 1896-1963)”. www.landrucimetieres.fr. Cimetières de France et d'ailleurs. 2020年4月7日閲覧。

関連項目

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