武器商ココ・ヘクマティアルとその私兵
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「ヨルムンガンド (漫画)」の記事における「武器商ココ・ヘクマティアルとその私兵」の解説
親族が経営するHCLI社のヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門の一翼を担う。非常に裁量が大きく、ほとんどココの独断で行動している。作中の会話によると、経営上はココをオーナー、レームを社長とするPMCとなっている。 当初は思い思いの銃で武装していたが、後に使用弾薬(とその弾倉)を統一するため、マグプルMASADAとシグザウエルSP2022を支給した(ただし、SP2022は使用弾薬の統一のみが目的だったため、既にSP2022と同じ9x19mmパラベラム弾を使用する銃を使っている者は更新していない)。 (※注意事項:本項キャラクターの設定に関しては、『月刊サンデージェネックス』2006年12月号掲載の、連載前に作成されたと思しきキャラ表に基づくため、連載進行と共に変化した可能性がある) ココ・ヘクマティアル(Koko Hekmatyar) 声 - 井上麻里奈 / 伊藤静 本作の主人公(本来はヨナも主人公であるが、ヨナとココの2人を併せることによって「主人公」像を描写する手法が取られている)。 プラチナブロンドに薄い碧眼をもつ20代前半の白人女性。カリスマ性を持ち、分隊の若手には「お嬢」と呼ばれる。海運の巨人と称されるフロイド・ヘクマティアル(未登場)の御曹子であり、HCLI社ヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門の現場担当の一翼を担う。双子ではないが、顔がそっくりの兄・キャスパー(後述)がいる。劇中の描写では、少女時代から既に武器商人としての仕事を始めていた模様。その生い立ちから兵器に関する知識は非常に豊富。 かつてはレーム曰く「ムスっとしたガキンチョ」だったが、ある時期からは分隊の長として士気を高め、常に笑顔を絶やさないようにしている。これはかつて命を落としたエコーとの約束でもあり、微笑みの裏であらゆるものを隠し通す。その一方で当時の隊の中ではバルメに一番懐いており、一般で言う姉、それ以上の信頼を寄せている。普段は鉄仮面をつけたまま笑顔で振舞っているが、多量の酒が入ったり仲間を失うことがあると唯一彼女を支えとする。 分隊の新入りであるヨナを気に入っているようで、暇さえあればベタベタしている。 学校に通った経験はないと言うらしいが、実業家としてのビジネスマナーに加えて高い教養を備えている。全ての欧州の言語はもちろん、その他の言語も話すことが可能。また技術においても優秀(詳細は後述)。ただし酒癖は悪く、酔うと動くもの全てにプロレス技をかける。これをくぐり抜けると、ココの裸踊りを見られるらしい(第2集の「ムンムンガンド」より)。 武器を売るのは本人曰く「世界平和のため」。人間に絶望し世界を忌み嫌いながらも、武器を売る行為の犠牲に報いるため、「ヨルムンガンド計画」(後述)を推し進めた。Dr.マイアミには、ヨナへの執着が計画の障害になるのではないかと懸念を抱かれ計画に数年の誤差を設けられていた。 しかし実際にはヨナをそばに置くことで理性を保ち、計画の過剰な推進を抑制していた。 相手が何者であろうと、有利な交渉に持ち込む精神力を持つ一方で、常に命を狙われるストレスから、護衛なしで屋外に出ようとすると一歩も動けなくなる一面もある。交渉においてビジネスマナーをわきまえない人間に対しては容赦がなく、交渉相手のマフィアが武器購入代金としてヘロインを代価としてきた際には怒りを露にしていた。 閉塞的な一面もあり、過酷な状況に陥ると不平不満を漏らし、一通りそうした後に小声でブツブツと独り言を呟く(第1集の「ムンムンガンド」では「東京ディ●ニーランドに行きたい」などと呟いた)。本人は否定しているものの「ココが空を飛ぶとアブナイ」というジンクスがあり、実際にT共和国では「バルドラ」勢力から手酷い対空攻撃を受けている。 武器には相当詳しい一方、軍用車以外の自動車の知識はイマイチである。 基本的に交渉などを担当するため銃の使用は稀だが、射撃に関しては一流の技術を持ち、撃つ際には容赦なく撃つ事ができる(現時点ではシリーズを通して使っているのは拳銃のみ。デザートイーグルおよびグロック17。使用後、デザートイーグルはウゴに、グロック17はマオに渡している。また、射撃訓練でSP2022の試し撃ちをしていた)。本人曰く、「顔に鉄仮面を心に鎧をまとえ」と言う父の言葉と「ボスってのは常に笑っているべき」と言うかつての仲間の言葉を芯とし鋭く行動しているつもりではあるが、バルメのような本当に大切な者には素顔を晒す事もあるという可愛らしい一面もある。 ヨルムンガンドを発動させるとともに、強制的世界平和を実現するための新世界を構築する力を得ることができる(キューバ国境付近での戦闘時、ヨルムンガンドの力の極一部を実際に実験的にではあるが使用し、電子機器を撹乱することに成功している)。 作者の同人誌「空中楼閣4」では、デビュー作である『Ordinary±』の主人公・伊万里に、ココがポリゴナル・バレルを渡すという短編が掲載されている(頒布されたのは連載決定のかなり前、2003年夏のコミックマーケット64である)。 ヨナ(Jonah/本名:ジョナサン・マル) 声 - 園崎未恵 / 田村睦心 隊の新参として加わる、銀髪と浅黒い肌をした西アジア系の少年。主人公の1人で、口数の少ない元少年兵。左目の下に切り傷の痕がある。 常に無愛想で無表情、むっつりとしていて感情の起伏を示すことは少ないが、稀に子供らしい表情を見せたり笑い声を上げたりするなど、感情が欠落しているわけではない様子。ココやメンバー達からは「ヨナヨナ」「ヨナ坊」などの愛称で可愛がられている。 西アジア某国の山岳部隊出身。部隊の中では孤児達の世話役をしていたが、HCLI社員ガスードと部隊の副司令官によって孤児の1人であるマルカを殺された事に激昂して、たった1人で部隊を全滅させる。その後ガスードの上司であるキャスパー(後述)とその私兵達によって確保され、要人警護のプロとしてココ分隊に入隊する。 基地育ちであるため学校教育を受けておらず、ココ分隊に入隊して以降は各隊員から授業を受ける。「英語はなかなかのもの」と評される反面、理数系は嫌いで2桁同士の掛け算にも苦戦し、よく授業を脱走して担当者を困らせている。しかし本来の知能自体は優れていて、敵軍の作戦や練度を即座に見抜くことも。また、バルメの復讐を支援して連れ戻すためにたった1人でエジプトから隣国まで国境を超えて旅するなど、子供離れした行動力もある。 過去に兵器で両親を殺されたことから、武器とそれに携わる者を激しく憎む一方で、武器に頼らなければ生きていけなかった境遇から、その恐ろしさと頼もしさを共に理解している。戦闘能力・経験値はともに高く、特に山岳戦や夜戦ではその能力をフルに発揮する。反面大人の兵達に比べると体格差はカバーしきないため白兵戦には対処出来ず、バルメとのゴムナイフを使った訓練や敵との格闘戦はもちろん、戦闘要員ではないスケアクロウにも蹴られて吹っ飛び、海に突き落とされていた。 「手術が怖いわけじゃないけど注射が怖い」ため長らく尻の中の弾丸を放置していたが、「ヨルムンガンド計画」が本格化して世界中を慌ただしく飛び回るのに「空港で金属探知機に反応するのが面倒」(ココ談)という理由で摘出された。 「計画」について明かされた際はココに銃を向けるほど拒絶を示し、そのまま脱走に近い状態で隊を離脱。2年の間キャスパーのもとに身を寄せる。 だが、武器商人という生業を肯定的に享受するキャスパーのもとでの任務に対しストレスが限度に達し、袂を分かって荒野を放浪していたところでココに再び拾いあげられる。そして「計画」は発動した。 入隊の儀式(「全てを一新したタマゴ君」ということで、タマゴ料理を作る)では、人によって味の変わる珍妙な卵焼きを作った(第1集の「ムンムンガンド」にて詳しく記述。味は言及されているだけでも、苦い(レーム)、辛い(ココ)、酸っぱい(バルメ)、甘い(ヨナ)。噛みしめていても味が変わるらしく、ココはだんだん美味しく感じ、バルメはだんだん幻覚が見えてきた)。アニメでは前述の4人以外の分隊員達も食べており、ヨナ以外はマズさのあまり悶え苦しんでいた。 愛銃はFN FNCとFN ハイパワー Mk.3。 レーム(Lehm/本名:レーム・ブリック) 声 - 石塚運昇 / 同左 ココ分隊のリーダー格である壮年の白人男性。元デルタフォース。古参兵の風格を漂わせ、実戦における司令塔として分隊員に指示を出す立場に回る事も多い。9巻でワイリの回想するデルタ時代には「レームブリック」と名乗っている。年齢設定は「40近い」とのこと(これに関しては連載開始時に変更された模様)。 飄々とした性格と「実にオッサンくさい」物腰が特徴。喫煙者で、嫌煙家のバルメにはたびたび嫌な顔をされる。 ソマリア内戦及び湾岸戦争に従軍経験がある。普段は自らを「超神兵」と不自然に讚えるなど、分隊の中でも人一倍ひょうきんな性格だが、それに見合うだけの実力を持ち、一度戦闘となると長年の経験に裏打ちされた冷徹さと熟練した戦闘術を発揮する。特に狙撃に関する技術はルツが一目置くほど。本人曰く、相手に反撃する暇も与えないような一方的な「殺し」こそ兵士としての理想だという。 かつて少年少女の兵士に仲間を殺されたことから、敵が子供であろうとも引き金を引く覚悟をしており、戦いや殺しに快楽を見出すタイプの敵には愛想を尽かすなど、戦場で過ごす者の壮絶な人生を垣間見せる人物である。 前述のキャラ表によれば「何でもソツなくこなす超傭兵」。ココについていく理由を「おもしろいから」と語っているが、真偽は不明。チェキータとは、結婚と離婚を繰り返しているという。 湾岸戦争後、少佐に昇進したにもかかわらずなぜか軍を退役。HCLI社においてフロイド・ヘクマティアルのボディガードを務めた後、フロイドの指示によりチェキータと共に幼いココとキャスパーの部下兼護衛へ転属する。 ヨナに対しては概ね寛容で兵士としても高く評価するが、唯一、入隊間もないヨナが捨て身の攻撃を仕掛けた際には、上述の理由から彼を止めその戦術を咎めた。ココの「計画」を知ったヨナが彼女に銃を向けた時は素早く反応し、自らもヨナに銃を向けた。だがその後はココの「計画」やヨナの離脱などに関しては1人だけ何も意思表明することなく、無表情に空を眺めながら紫煙を吐いていた。 米系銃器を愛用。コルト M733、レミントン M24、H&K Mk.23など。 バルメ(Valmet/本名:ソフィア・ヴェルマー) 声 - 藤村歩 / 大原さやか 黒髪のフィンランド出身の女性。見た目年齢は20代前半から30代前半くらいのいわゆる「誇るべき綺麗な姉」である。黒髪直髪で、過去の負傷により常に右目に医療用眼帯を着用している。作中で何度も言及されるほどの豊満な胸を持ち、左肩から肩胛骨にかけて翼とナイフを握る手のタトゥーを彫り込んでいる。元フィンランド軍の少佐であり、確かな戦闘技術と基本的に冷静沈着な性格から、分隊の面々からは「アネゴ」と慕われている。その身体は筋肉質で、ココの私兵の中では一番マッチョなウゴよりも格段に「ちからもち」である。背も高く、体が女性としては比較的大きい。 祖父の代から続くフィンランド軍家系の生まれであるとされ、フィンランド国防軍緊急展開部隊(FRDF:英語版)・機械化猟兵隊に所属していたが、海外派遣先のアフリカで「銃剣を付けた二挺拳銃の男」によって部隊は壊滅、自身もその際負傷し、長らく右眼を失う。 生き残って基地に収容された彼女のもとに突如現れたココによりスカウトされ、ココ分隊に加わる。ココに対する第一印象は「最悪」だったが、現在では分隊の誰よりもココと親しく、ヨナが部隊に加わった当時は唯一の女性隊員と言うこともあって、彼女の身辺警護を務めることも多い。ココから見ても、バルメは護衛や親族、教師を超えた存在である様子。ココのあらゆる言動に肯定的で、彼女に反対・批判的な全てを敵視する。レズビアンではないらしいが、ココと接する際には顔を赤らめ鼻血を出すこともあるなど、以前は見せなかったほどの強い愛情を抱いているようだ。そのため、当のココがヨナにべったりである事にずいぶんジェラシーを感じているらしい。とは言うものの、ヨナ個人に対しては他のメンバーと同じく親しく接しており、甥のように可愛がっている。 戦闘経験は非常に豊富で、特にナイフ戦では右に出る者がいないほどの最高の腕前を誇り、立体視ができないはずである隻眼という大きなハンディキャップを感じさせない。一方ではココと共に過ごす時間が他のメンバーより多く、また、近接距離での戦闘が多いせいか、劇中では負傷率は分隊内でもっとも高い。ナイフ戦に関しては一家言あることから時折「説教モード」に入ることもある。 匂いがつくのが嫌という理由で大の煙草嫌い、そのため、レームが車内で煙草を吸うのを咎めるシーンが複数ある。 ココの「計画」に対する自らの考えを語ろうとしたが、その場にいたメンバー全員から「聞くまでもない」(要約)とあしらわれた。 戦闘はほぼナイフ戦。主にオンタリオ Mk.3(いわゆるマーク3ナイフ)を使用している。グロック17、ステアー AUG A1、ミニミ軽機関銃などの銃器も使用している。 ルツ(Lutz) 声 - 江口拓也 / 羽多野渉 金髪のドイツ系白人男性。20代後半で、元警察対テロ部隊の狙撃手。普段は軽口が目立つお調子者でもっぱらからかわれ役に回ることが多い。 狙撃の腕を買われて主に精密狙撃を担当している。「ムジカ・エクス・マキーナ」ではブレイザーR93強装弾を使った900mの長距離射撃により標的である「師匠」への連続狙撃(不注意に路上に現れたところでハートショット→膝をつき崩れたところにヘッドショット)を冷静に達成し、「モンド・グロッソ」では不安定な船上から川幅270m先にいる敵の銃器のみを破壊。「Pazuzu」でエクスカリバー社と交戦状態に陥った際は、先制攻撃を受けたにもかかわらず速やかにトレーラーの連結器部分に脱出した上でバイポッド固定狙撃により丘上に潜んでいる狙撃手の右目をスコープごと撃ち抜いた。 他のメンバーとは毛色の異なる警察出身であるためか野戦を苦手としており、森林で元山岳兵のヨナから特訓を受けた時などは散々に打ち負かされている。専任の狙撃においても「女子供を撃つために狙撃の腕を磨いたわけではない」と主張しており、実際女性や少年兵を相手にした際は攻撃を躊躇うなど、警察官としての信条を捨て切れない一面を持つ。また、南アフリカでカレンの部隊と戦闘した際に尻に被弾してから物語終盤まで、本人も「呪われているのか」と思うくらい何度も同じ所を負傷している(銃創以外にも様々な傷を負っているが、いずれも命に別状はない)。 「計画」が本格化するにつれ、変容していく任務にヨナ同様困惑を示していたが、その内容が明かされた後は一転して賛同した。ヨナが離脱してる間中、ずっとイジられ役にされていたらしい。 出自のためか、ドイツ系のブレイザーR93やH&K MP5等の銃器を愛用する。 マオ(Mao) 声 - 高橋英則 / 四宮豪 浅黒い肌のアジア系男性。35歳。温厚で実直な性格。分隊では唯一の家族持ちで、祖国に妻と一男一女を残している。アジア某国の砲兵部隊出身で、事故により部隊が解散、クビになったところをココに拾われたという。家族には軍の仕事のために国外を飛び回っていると嘘をついており、現在でこそ落ち着いているものの、それを負い目に感じていた。 自身を「レーム達のような精鋭と違って、普通の兵士」と語っているが、レームが「後片付け」を実施する際に度々彼を同行させていることから、十分信頼される実力を備えているとみられる。またプラニナ空港からの脱出作戦時、輸送機貨物室からの緊急対地砲撃というイレギュラーな状況でありながら高度で精密な計算に基づき時限式拡散弾(フレシェット榴散弾)を目標手前で起爆・拡散させ「バルドラ」勢力の対空部隊への攻撃を成功させており、砲兵としても非常に高度な技倆を示している。 ヨナへの「授業」では理科を担当するが、話をはぐらかされて授業が捗らなかったり、船内で逃亡される場面もある。 「計画」には完全にビジネスとして参加。故に態勢はブレないとのこと。 愛銃はグロック17とH&K G36K。 ウゴ(Ugo) 声 - 小野友樹 / 勝沼紀義 筋骨たくましい白人の大男。キャラ表によれば年齢「30歳くらい」とある。分隊では唯一、軍属・警務関連以外の出自(元マフィア)という経歴を持つ。 かつてイタリアンマフィアの下で運転手をしていたが、所属していたグループがココとの取引に代金として麻薬を提示したため交渉が決裂。他の構成員はその場で皆殺しにされるも、弟を麻薬で失っているウゴの「麻薬を出したときの嫌そうな顔」がココの目に留まり、1人だけ助命され運転手としてスカウトされる。 腕力に優れ、同じぐらいの体格の大男を押しのけて建物の壁をぶち破っている。 自動車運転の卓越した技量を持ち、各種車両のハンドルを握る。カーチェイスでは曲芸さながらの運転で危機を脱することもしばしばで、ココの送迎兼ボディーガードも専ら彼の仕事である。車好きであるため、好みの新車を与えられると子供のように喜び、愛用のボルボが南アフリカに置き去りになった際は、ひどく意気消沈していた。 「計画」に対する立ち位置はワイリと同じく、支持不支持を超えて自らの能力を生かす場所とした。 分隊小銃を統一した後も、ミニミ軽機関銃を腰だめに持って火力支援をする場面がある。オートマチック拳銃としては世界最大の口径を誇るデザートイーグルを片手で使いこなしていることからも、その腕力が伺える。 アール(ロメロ=R/本名:レナート・ソッチ) 声 - 樋口智透 / 小西克幸 白人の若いイタリア人男性。いかにもイタリア人らしく酒好きの女好きで、よくバルメにちょっかいを出しては蹴り飛ばされたり投げ飛ばされたりしていた。第2集の「ムンムンガンド」ではココの裸踊りを目当てに酒を飲ませたが、バルメに漁夫の利をかっさらわれ失敗。『GX』本誌ハシラでの紹介文によれば、「二枚目担当」。 元イタリア陸軍情報担当少尉(「と、いうことになっている」)。ベルサリエリの軍曹時代にボスニアに駐留。その際、CIAのジョージ・ブラック(後述)に公式に協力、さらに情報提供者の生命をブラックに救われたことから彼に心服、後にCIAエージェントとなりやがてブラックが「右腕」と頼むまでの人材となる。 ココの監視と篭絡を任務とする「アンダーシャフト計画」の重要な駒として、ブラックの命を受けて戦死したエコーの補充要員という形でココの私兵に加わる。以後、分隊員としての任務を果たしながらココにヒューミントの一環として浸透。エコーの最後の言葉を知らなかったこともあり、「お嬢は何を考えているのか解り辛い、いつも笑っている必要はない」という意見をココに直言し、彼女の心を大きく揺るがす。しかし彼らも知らぬ水面下でブラックの「左腕」であるヘックスが暴走、チェコ市街へとココをおびき出す。彼女が目論むヨナ暗殺が「ヨルムンガンド計画」に対する枷の破壊に繋がりかねないこと、さらにアール自身がココと分隊員にエージェントの枠を超えた思い入れをいつしか抱いていたことから、立場的に分隊員・CIA双方の援護を頼れないまま、アールは単身ココとヨナの救出を試みる。ブックマンに警告されても攻撃の手を休めないヘックス麾下のパラミリ部隊との銃撃戦の最中、ココと負傷したヨナを逃がすため、自らCIAのスパイであることをココに明かしたうえでヘックスとの一騎討ちに持ち込むも、相討ちの形で頭部に致命弾を受けてしまうアール。最期に彼の脳裏をよぎったのは(みんな……。)という、私兵隊員達への想いであった。分隊のムードメーカーだった故、その死に際しレームをして「君が居なくなるのは辛い」と言わしめた。彼がスパイであったことを知るのはココのみであり、分隊員には伏せられたまま母国イタリアに葬られた。 CIAのエージェントとして、またココの護衛としてその任務を命と引換えに果たしたアールであったが、皮肉なことに、彼もまたヨルムンガンド計画の枷であった事実を知ることはなかった。 なお、TVアニメ『ヨルムンガンド PERFECT ORDER』において彼が死亡した回である「Dance with Undershaft phase.2」はエンディングが特殊バージョンとなっており、テーマソングとして流されたやなぎなぎの「真実の羽根」はアールとエジプト神話の「アアル」とをかけたバラードとなっている。 ココの私兵としてはステアー AUG A1、軍時代はベレッタAR70/90をそれぞれ使用。 トージョ(Tojo/本名:東條 秋彦(とうじょう あきひこ)) 声 - 興津和幸 / 箭内仁 日本人の若い男性で、眼鏡を着用している。生真面目そうな風貌だが、アールやルツと一緒にバルメにちょっかいを出すなど意外とスケベ。かつては自衛官であり、事故死扱いで諜報組織SR班に所属していたが、力を持て余して妄動を繰り返すSR班がキューバで情報提供者を見殺しにして撤収した事に激発し辞職した20分後、あからさまに狙いすましていたキャスパーにジャカルタの食堂でヘッドハントされ、彼の分隊を経てココの私兵となる。SR班以前に中央システム管理隊と北部方面隊の電子隊に所属していたことがあることから情報処理を担当することが多く、かつてはキャスパーの下でも同様の仕事をしていたという。ココに代わって交渉を担当することもある。SR班時代に「怖気づいたオタク」とバカにされたことがあったが、バルメの「トージョは自分で戦える」という評価や、東欧某国の山岳兵をバルメと一緒に音もなく制圧・チェコ市街ではCIAのイリーガルエージェントに対しウゴやマオとともにマグプル MASADAを連射しながら並列進撃、SR班とのカーチェイス及び銃撃戦でヨナに指示しながらハンドルを握るなど、他の分隊員に劣らぬ技量を示している。 「嘘の城」において、敵対することとなったSR班について「ヨナにもわかるようにかいつまんで説明するように」とココから命じられた際には故意に詳らかに説明し(5ページ強、アニメでは2分以上)、他の部隊員たちを閉口させるとともにヨナに至っては立ったまま居眠りに陥らせてみせた。 35歳とのこと。彼もバルメ同様設定が変わったのか、連載準備段階の横顔よりも若干若く見える。 ヨナへの「授業」では算数を担当するが、理数系が苦手なヨナには巧妙に逃げられている。 「計画」には素直に賛同。日野木(後述)曰く、「(ココに)振り回されるのが楽しくて仕方がない」様子。 ベレッタ 92とステアー AUG A1を愛用。 ワイリ(Wilee/本名:ウィリアム・ネルソン) 声 - 田中一永 / 乃村健次 丸眼鏡姿の黒人男性(38歳)。こめかみに剃りを入れたクルーカットが特徴。工兵出身で、トラップ解除並びに爆弾の解体と再構成を特技とする。ルツとコンビを組んで長距離狙撃のスポッター(観測手)役を務める事もある。マオと同じく、レームの「後片付け」によく同行するメンバーで、最古参の分隊員の1人(回想でワイリ、チェキータ、レームの3人が幼き日のココと共に描写されている)。 ヨナへの「授業」では語学を担当。 ヴァージニア大卒で、祖父の代から関わりのある建築学を専攻していたが、何の因果か米軍に所属、湾岸戦争にも第18空挺軍第20工兵旅団の戦闘工兵として参戦していた。当時デルタフォースで大尉であったレームに建築爆破学の腕を買われて化学兵器工場の爆破要員としてデルタの作戦に参加要請を受け、爆薬が不足する状況で手近な化学薬品を連鎖爆発させることにより任務を達成する。一方で、その作戦でデルタに見惚れて数年後にデルタフォースの一員になった。その後、憧れのレームを追ってココと出会い、その魅力に惹かれ分隊員となった。耳の上の剃り込みは爆破作戦の爆弾設置中に流れ弾が掠ったのが原因(本人曰く「毛が生えなくなったから反対側も剃り込んだ」らしい)。 前述の通り爆薬の扱いは米軍在軍中から一流で、当時の異名は「ワイリー・コヨーテ」。ココの護衛になってからは様々な爆弾魔を全て「クールに爆破を見せる」事を信条としながら迎え撃っていた事により「何故かココを狙った爆破テロが全て失敗し、しかも常に爆発物設置者が自分の爆弾により自滅している。爆破事故の周辺では必ずウィリアム・ネルソンが目撃されておりどう考えても怪しいのだが、彼が爆弾を仕掛けた形跡が一切ない」という不可解な状況が相次ぎ、最終的にFBIのブラックリストに(分隊員ではココを除いて)唯一記載されるほど危険視されている。前述のとおり、爆弾を再構成して設置者を爆殺する戦術を好み(レーム曰く「そのまんま返し」)またレームからは「爆破で遊ぶ悪い癖」があると言っており、最もこの癖はレームは「湾岸戦争の時に、べた褒めしたのが発端だと思っている」とヨナに語った。なお、この「クールな爆破」は当時感情表現に乏しかった幼少期のココをも大いに喜ばせたとも言う。バルドラとの戦闘では「後片付け」として使い残したフレシェットを再利用し、即席で地雷を作成。車列の前後のみを爆破することで人質の救出とバルドラの身柄確保を行った。エクスカリバー社の襲撃の際には敵中真っ只中での自動車爆弾無力化とその爆薬を用いての敵陣壊滅・人間爆弾の無力化および社長へ仕掛け直しての起爆等、ワイリの手口を一通り見たヨナを心底から脅えさせた。我に返ったワイリは「これのせいで普段からサボりがちなヨナが自分の授業を一層まともに受けてくれなくなってしまうかもしれない」と内心恐れたものの、逆にヨナは「ワイリの授業だけはちゃんと受けないと。ヤバいから」と普段以上に抑揚の失せた口調で呟いた(ちなみに、アニメでこのエピソードが放送された際、作中のレームの台詞を真似た「ワイリヤバい」という言葉がインターネット・ミームとして流行した)。 「計画」に関しては自分が職人気質である事を自覚し、その技術をココの役に立てるべく「計画」に参加した。 コルト M4A1を愛用。 エコー(エッカート) 声 - 浜田賢二 白人の若い男性。回想シーンにのみ登場する。アールやヨナがココの私兵となる以前に部隊に参加していたが、ヘックスらCIAの部隊の襲撃を受けた際にココを守って被弾し、死亡する。常日頃からココに対して「ボスとはどんな時でも笑っているべきだ」と諭しており、エコーの死以降ココは常に笑顔でいるようになった。 デルタフォース出身で、湾岸戦争においてはレームらと共にワイリを連れて化学兵器工場の爆破作戦に参加していた。当時の階級は少尉。自称「エコー」がNATOフォネティックコードの「E」と被るため、レームからやめるように忠告されていたが、聞く耳を持たなかったらしい。ワイリがデルタフォース入隊資格を得たあとに訪ねてきた折にはレームが退役したことを告げている。 デルタフォース時代はコルト M733、ココの私兵時代はベクター CR21をそれぞれ使用している。
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