参議院 構成

参議院

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/23 09:51 UTC 版)

構成

定数

議員定数日本国憲法第43条第2項の規定に基づき公職選挙法第4条第2項に明記されている。

1947年(昭和22年)5月3日日本国憲法施行後初めて召集された第1回国会は、施行直前の1947年(昭和22年)4月に行われた第1回参議院議員通常選挙で選出された議員により構成された。この選挙は新憲法に考慮して第91回帝国議会で制定された参議院議員選挙法(同年2月24日公布)に基づいて行われ、定数は250人(全国選出議員100人、地方選出議員150人)であった。

1950年(昭和25年)に参議院議員選挙法を廃止して、新たに「公職選挙法」を制定したが、選出方法・定数はそのまま引き継がれた。1970年(昭和45年)には沖縄の本土復帰に先立ち沖縄住民の民意を国政に反映させるべく、日本の国会が「沖縄住民の国政参加特別措置法」を制定、および同特別措置法を受け琉球政府立法院が「沖縄住民の国政参加特別措置法に基づく衆議院議員及び参議院議員選挙法」を制定し、沖縄県が新たに選挙区となったことで、地方選出議員が2増し定数は252人(全国選出議員100人、地方選出議員152人)となった。同特別措置法は沖縄が正式に本土復帰した1972年(昭和47年)、「沖縄の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律」に基づき廃止され、議員定数の規定はそのまま公職選挙法に引き継がれた。1982年(昭和57年)に公職選挙法を改正し全国区の選挙区を廃止し比例代表制を導入した際も定数に変更はなく252人(比例代表選出議員100人、選挙区選出議員152人)となった。

2000年(平成12年)、公職選挙法が改正され定数は10減(比例代表選出議員4減、選挙区選出議員6減)の242人(比例代表選出議員96人、選挙区選出議員146人)となった。上記特別措置法による変更を除けば、これが参議院にとって戦後初の定数変更である。ただし、参議院議員は3年ごとに半数が改選されるため、定数削減も2回の選挙に分けて段階的に行われた。具体的には、2001年(平成13年)に行われた公職選挙法改正後初めての選挙(第19回参議院議員通常選挙)でまず5減(比例代表選出議員2減、選挙区選出議員3減)がなされ暫定的に定数247人(比例代表選出議員98人、選挙区選出議員149人)になり、その次回の2004年(平成16年)に行われた選挙(第20回参議院議員通常選挙)で残り5減(比例代表選出議員2減、選挙区選出議員3減)がなされ定数242人(比例代表選出議員96人、選挙区選出議員146人)となった。

2018年(平成30年)には公職選挙法改正により特別措置法を除き戦後2回目となる定数変更が行われ、6増(比例代表選出議員4増、選挙区選出議員2増)の248人(比例代表選出議員100人、選挙区選出議員148人)となった。このときも、2000年の定数変更の際と同様に定数増加は2回の選挙に分けて段階的に行われた。具体的には、2019年(令和元年)に行われた公職選挙法改正後初めての選挙(第25回参議院議員通常選挙)でまず3増(比例代表選出議員2増、選挙区選出議員1増)がなされ暫定的に定数245人(比例代表選出議員98人、選挙区選出議員147人)になり、その次回の2022年(令和4年)に行われた選挙(第26回参議院議員通常選挙)で残り3増(比例代表選出議員2増、選挙区選出議員1増)がなされ定数248人(比例代表選出議員100人、選挙区選出議員148人)となった。これが現在の参議院議員の定数である。[22]                                                                                                  

2022年改選後の議席数
選挙区 定数148人(改選数74人)
148 / 248

 

比例代表 定数100人(改選数50人)
100 / 248

3年ごとの通常選挙で改選される参議院議員は定数の半分の124であり、衆議院議員総選挙で改選される465の4分の1に過ぎない。2013年の第23回通常選挙まで、この少ない改選数からさらに比例代表分48を差し引いた73のみを都道府県単位の47選挙区に割り振っていたが、各選挙区に最低1の改選数を与えるため、その余の26の配分を調整するだけでは選挙区間のいわゆる一票の格差を解消するのが難しく、2016年の第24回通常選挙からは、鳥取選挙区と島根選挙区、徳島選挙区と高知選挙区を合区参議院合同選挙区)してそれぞれ定数2(改選数1)とすることを含む10増10減による調整が実施されることとなった。しかし、選挙実施時には最大格差が3倍を超えると見られており、抜本的な解決にはなお遠い。

この問題についてはたびたび訴訟が起こされ、違憲状態とする判決が何度か出されている(一票の格差#参議院の「一票の格差」問題も参照)。

選挙

衆議院と同じく全国民を代表する選挙された議員で組織される(憲法第43条第1項)。3年ごとに総定数の半数ずつを改選する。都道府県単位(定数1~6)の選挙区制大選挙区制)と全国単位の比例代表制非拘束名簿式)の並立制であり、1人の人間が同時に双方へ立候補(重複立候補)することはできない。

比例代表制は1983年(昭和58年)の選挙から採用されている。その前は都道府県単位の選挙区制(地方区)と全国区制の2つが同時に行われていた。

現行制度の枠内で一票の格差是正のために各選挙区の定数調整を繰り返してきた結果、2016年の第24回通常選挙では改選数1の選挙区(一人区)が全45選挙区中32に上るに至る。衆議院の選挙制度(小選挙区比例代表並立制)と差が無くなってきたとも言われており、これもまた参議院の選挙制度の抜本的な見直しが求められる一因になっている。

2019年7月第25回参議院選挙から比例区の一部で1983年から1998年まで採用されていた拘束名簿式(厳正拘束名簿式)が「特定枠」として復活することになり、これによって比例区では拘束名簿式と非拘束名簿式の両方が混合することになる。

なお、第1回通常選挙では、憲法第102条に基づいて全議員が選出され、得票の多寡により任期3年の議員と任期6年の議員に分けられた。

選挙資格と被選挙資格

選挙資格及び被選挙資格は法律で定められる(日本国憲法第44条本文)。

  • 選挙資格:18歳以上の日本国民(公職選挙法第9条第1項)。(衆議院と同じ)
  • 被選挙資格:30歳以上の日本国民(公職選挙法第10条第1項第2号)。衆議院は25歳以上と規定されていることから、参議院も統一すべきとの意見も強くある。
    • なお、選挙区で300万円、比例区で600万円の供託金を納めなければならない。

任期

任期は6年で半数を3年ごとに改選する(日本国憲法第46条)。参議院は衆議院と異なり任期中の解散はない。

現在の院内勢力

衆参両院とも、慣例により議長と副議長は会派を離脱する。

参議院の構成[24] (2023年〈令和5年〉3月24日時点の議席)
第25回第26回参議院議員通常選挙による選出
任期:
第25回選出 (124名):
2019年(令和元年)7月29日 - 2025年(令和7年)7月28日
第26回選出 (124名):
2022年(令和4年)7月26日 - 2028年(令和10年)7月25日
会派 所属党派 党派別議員数 議席数
第25回
選出
第26回
選出
合計
与党 145
自由民主党 自由民主党 118 56 62 118
公明党 公明党 27 14 13 27
野党 94
立憲民主社民 立憲民主党 38 22 16 40
社会民主党 1 0 1
無所属 1 0 1
日本維新の会 日本維新の会 21 9 12 21
国民民主党新緑風会 国民民主党 10 5 5 13
無所属 3 2 1
日本共産党 日本共産党 11 7 4 11
れいわ新選組 れいわ新選組 5 2 3 5
政治家女子48党 政治家女子48党 2 1 1 2
沖縄の風 無所属 2 1 1 2
無所属・欠員 9
無所属 議長: 尾辻秀久(自由民主党)
副議長: 長浜博行(立憲民主党)
2 2 0 8
参政党 1 0 1
無所属 5 3 2
欠員 大分 1 1 0 1
合計 124 124 248


参議院における各種要件(参考)
人数 内容
50人 憲法改正原案の提出(国会法第68条の2)
憲法改正原案の修正の動議(国会法第68条の4)
20人 予算を伴う議案の発議(国会法第56条1項ただし書)
本会議での予算の増額あるいは予算を伴う法律案の修正の動議(国会法第57条)
本会議での予算の修正の動議(国会法第57条の2)
質疑終局の動議(参議院規則第111条)
討論終局の動議(参議院規則120条)
会期前に逮捕された議員の釈放の要求の発議(国会法第34条の3)
参議院の緊急集会前に逮捕された議員の釈放の要求の発議(国会法第100条第5項)
議員懲罰の動議(国会法第121条第3項)
10人 予算を伴わない議案の発議(国会法第56条第1項本文)
本会議での予算の増額あるいは予算を伴わない議案の修正の動議(国会法57条)
本会議の公開停止の発議(国会法第62条)
党首討論への参加要件(院内交渉団体の資格を満たす野党党首のみ)

注釈

  1. ^ 議長尾辻秀久(自由民主党)・副議長:長浜博行(立憲民主党)を含む[1]
  2. ^ 例えば、吉田武弘『戦後民主主義と「良識の府」-参議院制度成立仮定を中心に-』[18]にも由来は記載されていない。戦後、参議院設置を決めた日本国憲法の審議をした帝国議会の議事録には「良識の府」という語は登場せず、国会の議事録に初めて「良識の府」の語が登場するのは参議院設置後5年を過ぎた昭和27年7月2日参議院本会議の中田吉雄議員の発言である。

出典

  1. ^ 議員情報 会派別所属議員名一覧”. 参議院 (2022年8月5日). 2022年8月6日閲覧。
  2. ^ 会派別所属議員数一覧”. 参議院 (2023年3月15日). 2023年3月16日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 田中 嘉彦 日本国憲法制定過程における二院制諸案 レファレンス平成16年12月号、国立国会図書館
  4. ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、119-122頁
  5. ^ 前田 1997.
  6. ^ “参院に独自性は必要か 創論・時論アンケート”. 日本経済新聞. (2013年6月30日). http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXNASGH2700P_X20C13A6000000&uah=DF260620133648 2014年7月7日閲覧。 
  7. ^ いまさら聞けない参議院選挙の仕組み②選挙区と比例区 | 選挙ドットコム
  8. ^ [早わかり 参院選Q]組織内候補とは?…業界団体・労組の擁立候補”. 読売新聞 (2019年7月17日). 2022年6月12日閲覧。
  9. ^ a b c 押しボタン式投票 - 参議院
  10. ^ 児島襄 『史録 日本国憲法』 文春文庫 pp.152-154 (文庫版1986年5月,単行本1973年5月)
  11. ^ 日本国憲法の制定過程における各種草案の要点 衆議院憲法調査会事務局 (2000年)
  12. ^ 憲法改正要綱 - 国立国会図書館
  13. ^ 前田 1997, p. 8.
  14. ^ Record of Events on 13 February 1946 when Proposed New Constitution for Japan was Submitted to the Prime Minister, Mr. Yoshida, in Behalf of the Supreme Commander(「1946年2月13日に新憲法案が最高司令官に代理し吉田首相(実際は当時は外相)に提出された際の記録」チャールズ・L・ケーディス大佐ほか作成) "Dr. Matsumoto then said that most other countries have a two House system to give stability to the operation of the legislature. If, however, only one House existed, said Dr. Matsumoto, one party will get a majority and go to an extreme and then another party will come in and go the opposite extreme so that, having a second House would provide stability and continuity to the policies of the government. General Whitney then said that the Supreme Commander would give thoughtful consideration to any point such as that made by Dr. Matsumoto which would lend support to a bicameral legislature and that, so long as the basic principles set forth in the draft Constitution were not impaired, his views would be fully discussed."
    「松本氏はそして『他の多くの国は、立法府の活動の安定化のために二院制を取る。』と言った。『もし一院しかなければ、ある政党が多数を取れば一方の極に振れ、その後に別の政党が多数を取れば逆の極に振れるので、第2院が存在することにより政府の政策に安定性と連続性が与えられる。』と彼は言った。ホイットニー将軍は『最高司令官は、松本氏が出した二院制を支持する主張を熟慮するであろうし、憲法案にある基本原則が阻害されない限り、松本氏の考えは十分に議論されるであろう。』と言った。」
  15. ^ 二月十三日會見記略(松本憲法改正担当国務大臣の手記)
    「二院制の存在理由に付一応説明を為したる所先側に於ては初めて二院制の由来と作用を聴きたるかの如き観あり」
  16. ^ 憲法改正草案に関する想定問答(法制局)の「第4章第38条関係」(草案段階では第38条であったが、現行憲法では第42条に当たる)の3番目の問
  17. ^ 貴族院のなかの参議院 『歴史書通信』 2009 No.183 - 内藤一成
  18. ^ 吉田武弘「戦後民主主義と「良識の府」──参議院制度成立過程を中心に」(PDF)『立命館大学人文科学研究所紀要』第90号、立命館大学人文科学研究所、2008年3月、155-176頁、ISSN 0287-3303NAID 110009526362『立命館大学人文科学研究所紀要No.90』(2008年3月)目次ページ国立国会図書館サーチより 
  19. ^ “「良識の府」は幻想か”. 読売新聞. (2007年6月13日). https://web.archive.org/web/20080220062211/http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/election07/kikaku2/k2_07061301.htm 2017年10月14日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  20. ^ 竹中治堅『参議院とは何か』(中央公論新社) ISBN 978-4120041266
  21. ^ 後藤謙次「小沢一郎 50の謎を解く」(文春新書)
  22. ^ 参議院議員選挙制度の変遷(参議院関連資料集):資料集:参議院”.  . 2020年9月8日閲覧。
  23. ^ “選挙権年齢「18歳以上」に 改正公選法が成立”. 47NEWS. (2015年6月17日). https://web.archive.org/web/20150617032536/http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015061701001110.html 2017年10月14日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  24. ^ 会派名及び会派別所属議員数”. 参議院 (2023年3月24日). 2023年3月24日閲覧。
  25. ^ a b c d e 参議院役員等一覧”. 参議院. 2022年3月14日閲覧。
  26. ^ 参議院-今国会情報”. 2022年1月23日閲覧。
  27. ^ a b c 石倉賢一「国会会議録について」『大学図書館研究』第25巻、大学図書館研究編集委員会、1984年、39-44頁、doi:10.20722/jcul.769ISSN 0386-0507NAID 110004566590 






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