問責決議
政治家・閣僚の不信任を表明し、政治的責任を問う決議。衆議院において「問責決議案」として提出され、衆院本会議で議決される。
同様の不信任表明には、内閣総理大臣をはじめ内閣全体を不信任とする「内閣不信任決議」がある。内閣不信任決議が衆議院で可決された場合は、法の規定に従い、衆議院の解散、もしくは、内閣総辞職を行わなくてはならない。問責決議の場合には法的に辞職などを強制されることはないが、何らかの形で不信任の表明に応えることが通常とされている。
2011年6月、菅直人・内閣総理大臣を退陣に追い込む「菅おろし」の動きが野党内で激化しており、内閣不信任決議案の提出に続いて問責決議案も提示する二段構えの攻勢で倒閣を進める動きが検討されている。
もんせき‐けつぎ【問責決議】
問責決議(もんせきけつぎ)
内閣総理大臣(首相)やそれぞれの国務大臣について、不適任だと判断したときに、参議院で行われる決議だ。衆議院の権限である内閣不信任決議と同様に、国会の内閣に対する意思表示を決議する。
首相や国務大臣がスキャンダルや監督責任を問われる形で決議されることが多く、特に野党が政権与党に対抗する手段として、問責決議案が提出される。内閣不信任決議が内閣全体に対する決議となるのに対して、問責決議は国務大臣個人の責任を問うものだ。
内閣不信任決議は、衆議院で行われることが憲法で規定されているが、参議院には、そのような権限は与えられていない。そのため、問責決議が参議院で可決されたとしても、内閣が総辞職したり閣僚が辞任したりする必要はない。
しかし、内閣は国会に対して連帯責任を負うことから、問責決議が可決されれば、何らかの形でこれに応えなければならないと考えられている。実際、内閣が問責決議を無視するようなことにでもなれば、国会審議が空転することになるだろう。
1998年10月には、防衛庁の不祥事に対する監督責任が問われ、額賀防衛庁長官(当時)に対する問責決議が可決された。その後、額賀長官は辞任に追い込まれている。
(2001.03.13更新)
問責決議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/07 02:20 UTC 版)
問責決議(もんせきけつぎ)とは、国または地方自治体の議会において、国務大臣などに対する個々の政治的責任を問うことを内容として行われる決議をいう。類似のものとしては不信任決議、解任決議、辞職勧告決議などがある。
- ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、156頁
- ^ a b 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、122頁
- ^ a b 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、842頁
- ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、123頁
- ^ a b 大西祥世 内閣の国会に対する責任と二院制 立命館法学 359, pp.52-74 (2015年)
- ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、122-123頁
- ^ 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、801頁
- ^ 各議院には運営等についての自律権が認められている(日本国憲法第58条第2項)。憲法第63条の大臣の議院出席の権利は国会法及び両議院規則に服することになる(佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、802頁)。
- ^ 問責決議可決ではないが、2008年3月に松島みどり国土交通副大臣は参議院予算委員会で委員長の鴻池祥肇より答弁の制止を無視して答弁を続行したため、鴻池委員長が職権で松島副大臣の予算委員会出入り禁止処分にした例がある。
- ^ 野党、首相に反発 問責2閣僚の続投方針表明で 朝日新聞 2011年12月9日
- ^ 野田首相:一川・山岡氏の続投明言…年明け国会、五里霧中 毎日新聞 2011年12月9日
- ^ “田中防衛相の問責決議可決、前田国交相に続き”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2012年4月20日) 2012年4月20日閲覧。
- ^ “首相問責決議、参院で可決…秋の解散観測強まる”. 読売新聞. (2012年8月29日) 2012年8月29日閲覧。
- ^ a b c 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、265頁
- 1 問責決議とは
- 2 問責決議の概要
- 3 地方公共団体首長に対する問責決議
問責決議と同じ種類の言葉
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