ピアノ協奏曲第1番
カバレフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 イ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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カバレフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 イ短調 | Concerto for piano and orchestra No.1 Op.9 | 作曲年: 1929年 |
エルツ(ヘルツ):ピアノ協奏曲 第1番 イ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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エルツ(ヘルツ):ピアノ協奏曲 第1番 イ長調 | Grand Concerto pour piano avec orchestre Op.34 | 作曲年: 1828年 初版出版地/出版社: Hofmeister, Kistner, Simrock, Weinberger, Lemoine, Ricordi |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 アレグロ・モデラート Mov.1 Allegro moderato | 12分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 ラルゲット Mov.2 Larghetto | 5分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 アレグロ・モデラート Mov.3 Allegro moderato | 8分30秒 | No Image |
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 Op.25 O 7 | 作曲年: 1830-31年 出版年: 1832年 初版出版地/出版社: London 献呈先: Delfine von Schauroth |
テレフセン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調
ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 d-Moll Op.15 | 作曲年: 1854-1858年 出版年: 1861/74年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Maestoso | 23分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Adagio | 14分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Rondo: Allegro non troppo | 12分00秒 | No Image |
作品解説
ブラームス初期の代表作である。初演は1859年1月ハノーファー、自身の独奏により行われている。
初期の作品が持つ熱情、情緒、またそれらを彩るロマンティシズムは、幼少時に学んだベートーヴェンのドイツ精神と、シューマンの憧憬にも似た様式の学習が体現させた結果であるが、青年期の彼のプライヴェートをその背景に求める向きもある―――〈新しい道〉と自分を導いたシューマンへの敬意、その妻クララに抱いた慕情、そしてシューマンの逝去と《第一ピアノ協奏曲》初演直前のアガーテ・フォン・ジーボルトとの婚約破棄といったふたつの喪失―――など。いずれにせよそうした彼のエモーショナルな創造的構想を作品に昇華させるにはブラームスは技術的精神的にまだ若かったといえる。
もうひとつの《ピアノ協奏曲》あるいは一連の交響曲で聴くことのできる驚異的な構築力はまだ見えない。しかしそれ故に剥き身にされた旋律とアンサンブルの美しさは彼のカタログの中でも傑出しており、代表作に数えられる所以である。
当初から協奏曲として書かれたものではなく、2台ピアノのソナタや交響曲としてもアイデアが練られた経緯があり、結果として自身としては初めての協奏曲として完成した。古典派までの協奏曲に顕著であった「独奏楽器とオーケストラ」という図式から若干離れて、器楽、室内楽、交響楽とそれぞれ独立した部分をもたせ、その上で共生させるなど、様々な試みが聴かれる。また、ティンパニやホルン、中低弦の扱いなどブラームスの楽器の嗜好性が早くもみてとれる。
尚、第二楽章ではラテン語による祈祷文が引用されており、シューマン夫妻(またはそのいずれか)に宛てられていると考えられている。
カルクブレンナー:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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カルクブレンナー:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 | Klavier Konzert Nr.1, d-moll Op.61 | 出版年: 1823年 初版出版地/出版社: Paris, London and Bonn |
サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ長調 | Concerto pour piano et orchestre No. 1 Op.17 | 作曲年: 1858年 出版年: 1875年 |
作品解説
サン=サーンスは、幼い頃からピアノやオルガン演奏、作曲において天才的な才能を発揮しており、モーツァルトとも比較されることの多い作曲家である。5曲のピアノ協奏曲を残しているが、これらは彼のピアノ独奏曲よりも、演奏される機会は多い。
作曲において、彼はとりわけ様式の純粋性、形式の完璧性の追求に力を注いでおり、伝統的なスタイルをもつ音楽への傾倒が強くみられる。当時のパリにおいて、そのような傾向はあまり好まれなかった。サン=サーンスは1864年(当時29歳)、作曲コンクールに挑戦するも、一位であるローマ大賞を得ることはできなかった。
《ピアノ協奏曲 第1番 ニ長調》は、その翌年1965年に作曲された作品であるとされる(1858年に作曲されたという説もある)。彼の数ある協奏曲の中では、特に習作的な性格が強い作品である。全3楽章。演奏所要時間は約25分。
第一楽章:アンダンテ―アレグロ・アッサイ ニ長調 4分の4拍子
トロンボーンによる呼びかけにはじまり、のどかな雰囲気が広がる簡潔な序奏。
ピアノ・ソロがアルペッジョで華やかな彩りを添える。ピアノの高まりに導かれて、アレグロ・アッサイへ。オーケストラで奏されるのがこの曲の第一主題、若々しいエネルギーを感じさせる。第二主題はイ長調。華やかな提示部を経て、展開部へ。ここでは主にオーケストラが主題の展開を、ピアノがアルペッジョで装飾、誘導していく形で曲が進む。最後は再びニ長調に戻り、力強く曲を閉じる。
第二楽章:アンダンテ・ソステヌート・クアジ・アダージョ ト短調 4分の4拍子
オーケストラの伴奏にのせてピアノで歌われる第一主題。憂いを帯びた旋律が表情豊かに歌われる。アルペッジョとトリルが美しいピアノのカデンツァは、甘く幻想的な響きをうみだしている。アッサイ・ドルチェでオーケストラによる第二主題が示され、それをピアノが受け継いでいく。
第三楽章:アレグロ・コン・フォーコ ニ長調 2分の2拍子
雰囲気を一変させて、決然とはじまる第三楽章。第一主題がピアノからオーケストラに受け渡され、軽快なリズムをもって曲は進行していく。自問を繰り返すような第二主題で、勢いは弱められるが、オーケストラとピアノのリズミカルな掛け合いの中で活気は増してゆき、再び第一主題へ。オーケストラが歌う第二主題にのせて、ピアノが奏でるアルペッジョは、華やかな響きをつくり、クライマックスへの足がかりになっている。最後はフィナーレにふさわしい高揚と華やかさをもって堂々と曲を閉じる。
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 | Concerto for piano and orchestra No. 1 Op.35 | 作曲年: 1933年 |
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 C-Dur Op.15 | 作曲年: 1793-95 revised 1800 年 出版年: 1801年 初版出版地/出版社: Mollo |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 1.Satz Allegro con brio | 17分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 2.Satz Largo | 11分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 3.Satz Rondo - Allegro Scherzando | 9分00秒 | No Image |
作品解説
第2番の協奏曲と平行して作曲された。1795年3月29日にウィーン芸術家協会において行なわれたベートーヴェンのウィーンでのデビューコンサートで、サリエーリの指揮のもと初演されたものと考えられている。
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ ハ長調 4分の4拍子
主音の同音反復、上行するスケールという明晰な主題である。長いトゥッティののち、ピアノが第2主題の変形した優雅な音型で入るが、これは第3楽章の伏線となっている。
第2楽章 ラルゴ 変イ長調 2分の2拍子
管楽器はクラリネット、ホルン、ファゴットのみの温かい音色が特徴的だ。全体は3部形式からなり、ピアノが美しい旋律をのびやかに歌い上げる。
第3楽章 ロンド アレグロ ハ長調 4分の2拍子
明るく軽快な主題が何度も顔を出す、ロンド形式。
スコット, シリル:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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スコット, シリル:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 | Piano Concerto No.1 in C major | 作曲年: 1915年 |
ウェーバー:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調
グラズノフ:ピアノ協奏曲 第1番 ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グラズノフ:ピアノ協奏曲 第1番 ヘ短調 | Concerto for piano and orchestra No.1 Op.92 | 作曲年: 1910-11年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro moderato | 13分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Theme with Variations | 21分00秒 | No Image |
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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モーツァルト:ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 F-Dur K.37 | 作曲年: 1767年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro | 5分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andante | 5分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro | 5分00秒 | No Image |
作品解説
モーツァルトのオリジナルなピアノ協奏曲は第5番からであり、1767年、11歳のときに生み出された第1~4番のピアノ協奏曲は、他人のピアノ・ソナタの編曲である。原曲は主にパリで活躍していたドイツ系作曲家のものであり、旅行中の交流によって、モーツァルトに強い影響を与えた。父レオポルトは彼らの作品の楽譜を持ち帰り、息子に協奏曲の作曲を練習させたのだろう。自筆譜には、父親の筆跡も残っている。
当時のパリはヨーロッパにおける文化的中心地であった。1760年代、各地を訪れていたモーツァルト父子がパリに滞在したのは63年11月からの5ヵ月間と66年5月からの2ヶ月間である。2度のパリ訪問を含むこの西方旅行によって、少年モーツァルトはさまざまな音楽を吸収し、作曲の幅も広げることになった。4曲のピアノ協奏曲はその成果のひとつといえよう。
各楽章の原曲は以下のとおり。
第1楽章=H. F. ラウパッハ、作品1-5(第1楽章)
第2楽章=不明
第3楽章=L. ホーナウアー、作品2-3(第1楽章)
ヘルマン・フリードリヒ・ラウパッハ(1728-78)は北ドイツに生まれ、サンクト・ペテルブルクで活躍した音楽家。モーツァルトと出会ったのは、ちょうどロシアを出てパリに来ていた1766年と思われる。レオンツィオ・ホナウアー(c1730-c90)はパリで活躍し、高い評価を受けていたドイツ人音楽家である。
ルビンシテイン, アントン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ルビンシテイン, アントン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 | Piano Concerto No.1 in E minor Op.25 | 作曲年: 1850年 出版年: 1858年 初版出版地/出版社: Bessel, Peters |
ヴィークルンド:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調
ドホナーニ:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調
アルベール:ピアノ協奏曲 第1番 ロ短調
ダルベール:ピアノ協奏曲 第1番 ロ短調
リスト:ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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リスト:ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 S.124/R.455 H4 | 作曲年: 1835-56年 出版年: 1857年 初版出版地/出版社: Haslinger |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro maestoso. Tempo giusto | 5分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Quasi adagio | 5分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegretto vivace | 4分00秒 | No Image |
4 | 第4楽章 Mov.4 Allegro marziale animato | 4分30秒 | No Image |
作品解説
リストはピアニストとして活躍していたためにピアノ作品は非常に多いが、ピアノ協奏曲と呼ばれる作品は、2曲しか残されていない。この2曲のピアノ協奏曲は、いずれもピアノの華やかな技巧が前面に押し出されており、演奏時間にして20分前後という比較的小さめの規模で、いくつかの楽章(部分)を連続して演奏される点に特徴がある。
この第1番の協奏曲は1830年に作曲が始まっているが、大部分は1846年頃から1849年にかけて作曲され、初演後も何度か改訂された。初演はベルリオーズの指揮とリスト自身のピアノで1852年にワイマールで行われたが、これを聴いた批評家ハンスリック(1825~1904)は第3楽章のトライアングルが活躍する部分を皮肉って‘トライアングル協奏曲’と呼んだというエピソードが伝えられている。いずれにせよ、第2番の協奏曲に比べてピアノのきらびやかなテクニックが散りばめられ、またオーケストラも充実した書法を見せ、ロマン派のピアノ協奏曲の中でも最も好んで演奏される1曲となっている。
・第1楽章 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調 4分の4拍子
自由なソナタ形式で書かれ、衝撃的で力強く登場する冒頭部やカデンツァの多用など、華々しい協奏曲の幕開けとなる。
・第2楽章 クワジ・アダージョ ロ長調 8分の12拍子
3部形式による緩徐楽章。優美なノクターン風なメロディが流れるが、やがて様々な楽器とやり取りを始めて、華いでいく。
・第3楽章 アレグレット・ヴィヴァーチェ 変ホ長調 4分の3拍子
自由な形式のスケルツォ。軽快なピアノとトライアングルが交互に登場、後に第1楽章冒頭の音型が現れて、続く楽章へと突入する。
・第4楽章 アレグロ・マルチアーレ・アニマート~プレスト 変ホ長調 4分の4拍子
自由な形式のフィナーレ。これまでに登場したメロディが次から次へと顔を出し、豪華なクライマックスへ発展する。
フィールド:ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 | Concerto for piano and orchestra No. 1 Op.23 | 作曲年: 1874-75, revised 79, 88年 出版年: 1879年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro non troppo e molto maestoso - Allegro con spirito | 20分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andantino semplice - Prestissimo | 7分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro con fuoco | 7分00秒 | No Image |
作品解説
1874年から、チャイコフスキーは全力をかけてこの協奏曲の作曲にとりかかった。
この曲はもともと、友人のニコライ・ルービンシテインに献呈されるはずであった。ところが最初にこの曲をニコライにきかせたとき、彼はこの曲の出来をひどくこきおろし、書きかえなければこれを演奏しないと言ったそうだ。自尊心を傷つけられ腹をたてたチャイコフスキーはこれを断り、そのままの形で譜面を印刷することを宣言した。
結局チャイコフスキーはこれを改めて仕上げ、名ピアニスト兼指揮者、ハンス・フォン・ビューローに献呈した。1875年、ビューローはボストンにて初演し、大成功をおさめた。
また、モスクワでの初演は、ニコライ・ルビンシテインの指揮によって行われ、その後、ニコライ自身も、この曲のソリストとして、作品の普及に努めている。
1879年と1888年に、二度にわたって改訂がなされている。
全3楽章からなる。
全体に協奏曲の伝統的な形式にとらわれることなく、自由な形で作曲されている。
現在も、数あるピアノ協奏曲の中で極めて人気の高い一曲であろう。
第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ―アレグロ・コン・スピリート:ソナタ形式。冒頭に雄大な序奏があるが、この始めの部分でピアノが鐘のように重い和音を弾き鳴らし、その背後で第一ヴァイオリンとチェロが、主題を奏でる。これがこの楽章で中心的な主題になる。第一主題は変ロ短調、おどけたようなリズム旋律が鼻歌のように歌われる。この旋律はウクライナで耳にした民謡からとられたといわれている。第2主題は抒情的で、力強い発展をみせる。展開部では、ピアノと管弦楽が対等に渡り合い、それぞれの主題が絡みをみせながら、圧倒的なエネルギーをもって協奏される。繊細な表情に富んだ再現部は雄大なカデンツァへ。ピアノのきかせどころである。終結部では最後に向けて再び大きな盛り上がりをみせ、堂々と曲を閉じる。演奏所要時間は約20分。
第2楽章 アンダンティーノ・センプリーチェ:8分の6拍子、やわらかいピッチカートの伴奏にのせて、フルートの主要旋律がしなやかに歌われる。そこに暖かな音色で登場するピアノパート。そのひかえめなテクスチュアも、曲の叙情性をより深めている。ワルツ風の中間部は、フランスの古いシャンソンがもとになっているといわれている。ピアノの軽快さ、華やかさがみせどころであろう。演奏所要時間は約7分半。
第3楽章 アレグロ・コン・フォーコ:ロンド形式。躍動感、生命力あふれる終楽章。ピアノの技巧的な華やかさも随所にちりばめられている。二つの主要主題から成っており、第一の主題は、ウクライナに古くからある快活な舞曲からとられたもので、それはロシア農民の春の喜びを表している。第ニの主題は、優美で、穏やかな性格をもつ。しかしこれは、曲の最後では圧倒的なスケールをもって、生命への賛歌と発展する。曲全体をしめくくるにふさわしい豪華絢爛なフィナーレだ。演奏所要時間は約7分。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 | Concerto for piano and orchestra No.1 Op.1 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Vivace | 12分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andante | 5分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro vivace | 6分30秒 | No Image |
作品解説
4曲あるピアノ協奏曲の中では、あまり知られていない。ラフマニノフがモスクワ音楽院に通っていた時期、1890年~91年にかけて作曲された。音楽院のピアノの師、アレクサンドル・ジロティに献呈された。1917年、ラフマニノフはこの曲の改作にとりくみ、現在演奏されている形になった。改作といっても非常に徹底的な改作であり、原作とは大きく異なる作品になっているようだ。ラフマニノフは、この改作を最後に、ロシアを離れ、アメリカに移り住むことになった。
第1楽章:ヴィヴァーチェ 嬰へ短調 4分の4拍子
ファンファーレに続く冒頭部分は、グリーグの協奏曲を思い起こさせる。ヴァイオリンからピアノにうつされる第1主題は哀愁を帯びており、美しい。ヴァイオリンで奏される第2主題はピアノで装飾されながら、もりあがりをみせる。展開部では自由な変化をみせながらクライマックスを形成する。後半、53小節にわたるピアノ・ソロはききどころであり、この後コーダに入る。
第2楽章:アンダンテ 二長調 4分の4拍子
はじめにピアノがソロで奏でるまとまった旋律がこの曲の中心になっている。全体的におだやかで幻想的な楽章。全体を通して、一つのモティーフが使用されている。
第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ 嬰へ短調
冒頭、8分の9拍子と8分の12拍子が交替に登場し、独特のリズムが印象的である。4拍子の軽快な主題がピアノで登場し、その後管弦楽とかけあいながら発展をみせる。中間部でみられる主題は、ラフマニノフらしく、センチメンタルで美しい。再現部を経て、華やかなコーダを形成し、最後は力強く曲をしめくくる。
バルトーク:ピアノ協奏曲 第1番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バルトーク:ピアノ協奏曲 第1番 | Klavierkonzert Nr.1 | 作曲年: 1926年 |
スカルコッタス:ピアノ協奏曲 第1番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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スカルコッタス:ピアノ協奏曲 第1番 | Piano Concerto No.1 | 作曲年: 1931年 |
ヒナステラ:ピアノ協奏曲 第1番
ヴィラ=ロボス:ピアノ協奏曲 第1番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ヴィラ=ロボス:ピアノ協奏曲 第1番 | Piano concerto No.1 | 作曲年: 1945年 |
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 | Concerto pour piano et orchestre e-Moll Op.11 CT47 | 作曲年: 1830年 出版年: 1833年 初版出版地/出版社: Leipzig and Paris 献呈先: Friedrich Kalkbrenner |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro Maestoso | 21分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Romanza Larghetto | 11分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Rondo Vivace | 10分30秒 | No Image |
作品解説
ヘ短調協奏曲(第2番)を完成したショパンは、それほど時を置かずに第2の協奏曲(第1番)の作曲に着手した。1830年中に着手、完成されたホ短調協奏曲は、前作に比してより技巧的であり、楽曲の規模も多少広がりをもっている。しかし、ヘ短調協奏曲にもみられた楽曲構成面での薄弱さは、前作には見られなかった動機の徹底的な使用などによって克服されつつあるとはいえ、完全に払拭されているわけではない。
なお、オーケストレイションについては、ヘ短調協奏曲と同様に作曲者自身の手によるものであるという確証はない。2管編成にバス・パートの補強としてトロンボーン1本を加えるという特徴的な楽器編成が一致していることからも、同一人物が手掛けた可能性が伺える。
ヘ短調協奏曲と同様に、ピアノ協奏曲として多くの弱点を持ちながらも、これらの作品が今日の協奏曲レパートリーの中核を成すものとして存続しているのは、勿論、旋律美やヴィルトゥオーゾ・パッセージの華やかさなど、作品に内在する他の様々な魅力があってのことである。しかし一方で、同時代に数多と生産された同様式の協奏曲のほとんど全てが忘れ去られたことを考えるならば、作曲者の故国ポーランドが国の威信をかけて開催しているピアノ・コンクールの存在があることも念頭に置かねばなるまい。
第1楽章 ホ短調 4分の3拍子
協奏曲風のソナタ形式を模した構造を採っており、提示部が調的対立を構成原理としていないため、ヘ短調協奏曲の冒頭楽章と同様に、ソナタ形式というより大きな3部分形式である。
冒頭、まず刺繍音形と分散和音上行を特徴とするモティーフ(ホ→嬰ニ→ホ→ト→ロ)と、付点リズムで下行する躍動的なモティーフによるホ短調の主題が提示される。前半のモティーフは、楽章を通していたるところにあらわれる。続いて哀愁を帯びたカンティレーナ風の主題があらわれる(第25小節~)。低声部には先ほどの冒頭モティーフが持続低音のように鳴り響いており、このモティーフによる推移を経て、ホ長調(同主長調)の、やはりカンティレーナ風の主題が歌われる(第61小節~)。2つのカンティレーナ風主題は、1フレーズがおおよそ1オクターヴ以内にとどまっており、順次進行を基本としてアーチ状の旋律線を描いている点で共通している。ショパンのベルカント的な旋律美の面目躍如といったところだろう。
やはり冒頭動機による推移の後、独奏ピアノの登場となる(第139小節~)。まずホ短調の2つの主題を、技巧的な装飾をともないながら再提示する。これに続く推移(第179小節~)は、ピアノの即興的なパッセージの連鎖によって拡大されているが、その中には冒頭モティーフの刺繍音形や、下行音形が編み込まれている。
「情熱的にappassionato」と指示された旋回音形に導かれて、ホ長調主題が再提示される。これに続いて、休みない技巧的パッセージの連鎖を経てコデッタとなる。
展開部風の第2部(第385小節~)は、2つ目の主題(ホ短調のカンティレーナ)をハ長調(VI度調)に移して開始される。続いてピアノの技巧的なパッセージを「背景」として、オーケストラが冒頭モティーフをゼクエンツ風に反復した後、長く引き延ばされた属和音をともなって急速に下行するピアノの半音階が主題の再現を導く。
主題を再現する第3部(第486小節~)は、オーケストラが冒頭主題を、独奏ピアノが2つのカンティレーナ主題を担当する。長調のカンティレーナ主題は主調の平行調であるト長調へと移されている(第573小節~)。これは明らかに主調のコーダを導くためのものであり、形式上の独創性などではなく、戦略的な調設定として理解すべきであろう。
ホ短調へのドミナント進行によって主調へ回帰し、第1部と同様に技巧的な推移部にオーケストラのコーダが続いて楽章を閉じる。
第2楽章 ホ長調 4分の4拍子 ロマンス
弦楽合奏による模倣風の12小節間の導入の後に、独奏ピアノによって主題があらわれる。楽章を通して、弦楽合奏は和声付けに徹しており、ピアノ・パートはノクターン風の独奏曲の趣である。
属調であらわれる第2主題、美しい装飾をともなった主題の回帰、平行調での第2主題の技巧的な展開と続き、最後に弦楽合奏が奏でる主題を、独奏ピアノの半音階と分散和音の即興的なパッセージが飾る中で楽章が閉じられる。
第3楽章 ホ長調 4分の2拍子
嬰ハ短調(平行調)による短い導入の後、独奏ピアノによる躍動的な主題が提示される。ヘ短調協奏曲のフィナーレにはマズルカの要素が取り込まれていたが、今回はクラコヴィアクの要素が用いられている。
ロンド風に作曲されているが、楽想が次々とあらわれて自由に展開する部分が大半を占めており、大きな2部分形式とみることができる。
独奏ピアノによるロンド主題やクープレ主題の合間に、オーケストラによるエピソードが挿入されるという形を採っており、ロンド主題をオーケストラが演奏することは1度もないことも特徴的である。また、楽章中に2度あらわれるユニゾンの旋法的な主題は、楽章全体の民族舞踊的な性格を高めると同時に、その特徴的な響きが第2の主題としての機能を果たしている。
楽曲の前半部分は、ロンド風に展開する舞踊主題と、この旋法的なユニゾン主題の前後を、独奏ピアノによる即興的で自由なパッセージがつなぐ。
後半への接続部分は極めて印象的かつ、創意工夫にあふれている。主調の属和音を引き延ばし(第268~271小節)、主和音への解決と同時に主題の再現を期待させるも、半音階を上って到達するのは、半音低められた変ホ長調(第272小節~)。さらに主和音の第2転回形という不安定な和声の上に、舞踊主題がカンティレーナ風に再現される。これが一瞬変ホ短調へと傾斜し(第278小節)、異名同音の読み替えによって主調へ復帰して完全な主題再現となる(第280小節~)。
後半部分は、前半部分にほぼ対応しており、舞踊主題とユニゾン主題の前後を技巧的なパッセージがつなぎ、コーダへと突入する。音階と分散和音が目まぐるしく駆け巡るコーダによって、楽曲は華麗に締めくくられる。
ピアノ協奏曲第1番
ピアノ協奏曲第1番 (1925年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 07:56 UTC 版)
「ボフスラフ・マルティヌー」の記事における「ピアノ協奏曲第1番 (1925年)」の解説
1925年の夏にポリチカで作曲された。1928年に初演され、成功を博した。
※この「ピアノ協奏曲第1番 (1925年)」の解説は、「ボフスラフ・マルティヌー」の解説の一部です。
「ピアノ協奏曲第1番 (1925年)」を含む「ボフスラフ・マルティヌー」の記事については、「ボフスラフ・マルティヌー」の概要を参照ください。
「ピアノ協奏曲 第1番」の例文・使い方・用例・文例
- ピアノ協奏曲
- その曲はピアノ協奏曲に編集された。
- 6月21日の本選で,上原さんはチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」とラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏した。
- そのとき,彼女は偶然,ラヴェルのピアノ協奏曲を聞き,自分と千秋(玉(たま)木(き)宏(ひろし))が舞台でその曲を一緒に演奏している姿を想像する。
- 千秋は彼女がショパンのピアノ協奏曲を演奏するのを見るためにはるばるプラハまで行く。
- 内田さんはクリーブランド管弦楽団と共演したモーツァルトのピアノ協奏曲の演奏で最優秀器楽ソリスト演奏(オーケストラとの共演)賞を受賞した。
- 浅田選手は,ショートプログラムではショパンのノクターンのうちの1曲,フリーではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に合わせて演技すると述べた。
- フリーについて,浅田選手は「私はラフマニノフのピアノ協奏曲がとても好きです。」と述べた。
- 翌日のフリーでは浅田選手はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」に合わせて滑った。
- 11月の第1番目の酉の日
- 文章の大きな段落の第1番目
- 等級などの第1番目
- 甲という,日時や方角を表す干支で,十干の第1番目
- 成績が第1番の席次
- 組織や集団の中で第1番の地位
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