プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調
サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | Concerto pour piano et orchestre No. 2 Op.22 | 作曲年: 1868年 出版年: 1868年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro sostenuto | 11分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Allegro scherzando | 6分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Presto | 6分30秒 | No Image |
作品解説
サン=サーンスは、名ピアニストとして、国際的に名を馳せていた。1868年、アントワーヌ・ルービンシュタインは、サン=サーンスをピアノ独奏者としてパリの演奏会に迎えた。ここで演奏されたのが、《ピアノ協奏曲 第2番 ト短調》である。時間に追われたため、わずか17日間で作曲され、練習にも十分な準備もできずに本番に臨んだ。完成された演奏ではなかったものの、演奏会は好評を博した。この協奏曲はサン=サーンス初期の代表作であり、彼の全ピアノ作品の中でも傑作のひとつとして数えらている。
ピアノ・ソロのヴィルティオーゾ的な見せ場も十分に用意されつつ、管弦楽とともにつくりあげられるその響きは曲に幻想的な魅力をもたらしている。情熱と叙情性に満ちた作品である。
第一楽章:アンダンテ・ソステヌート ト短調 4分の4拍子
自由なカデンツァに続き、ピアノソロにより提示される悲愴に満ちた第一主題は、サン=サーンスの弟子であるフォーレが作曲した主題を借用したものであるらしい。短い動機をつみかさねた経過部につづき、第二主題が変ロ長調でピアノによって示される。短いコデッタをはさみ、つづく中間部は、ソリストの見せ場である。分散和音の連続が非常に華やかでロマンティックな響きをつくりだす。ひき続き奏される音形が、音楽的な加速を促し、響きの大きな渦をうみだすが、これが管弦楽による主題の再現を絶妙に誘導している。ピアノのカデンツァの部分では第一主題、経過部の動機を用いながら、音楽が高揚し、序奏への喚起へと曲を導く。そして最後は断固とした和音により、序奏の再現が行われ、堂々と曲を閉じる。
第二楽章:アレグロ・スケルツァンド 変ホ長調、8分の6拍子
ソナタ形式によるスケルツォ月楽章。ティンパニの軽やかな跳ね返りをうけてピアノが溌剌とした第一主題を奏する。第二主題は、ファゴット、ヴィオラ、によって歌われ、これがピアノで繰り返される。この二楽章では、主題の交換、すなわち戯れのような掛け合いが非常に魅力的で楽しめる。この掛け合いの合間をぬって奏されるソリストの音階やアルペッジョは、音楽に華やかな彩りを与えている。
第三楽章:プレスト ト短調 2分の2拍子
ソナタ形式による。圧倒的な響きをもった4小節の導入部分につづき、リズミカルでおどけたようなピアノの第一主題が続く。第二主題はトリルをともないながら力強く示され、音数を増やしながらエネルギーを増していく。展開部ではそれぞれの主題がリズムを巧妙に重ね合わせながら展開し、再現部、コーダへ。音楽はその勢い、緊張感を緩めることなく、終結まで一気にかけぬける。
カバレフスキー:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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カバレフスキー:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | Concerto for piano and orchestra No.2 Op.23 | 作曲年: 1935年 |
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第2番 ト長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第2番 ト長調 | Concerto for piano and orchestra No. 2 Op.44 | 作曲年: 1879-80年 出版年: 1881年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro brillante | 21分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andante non troppo | 16分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro con fuoco | 8分00秒 | No Image |
作品解説
チャイコフスキーには、3曲のピアノ協奏曲がある。その中で圧倒的に人気を誇る第1番に対し、この第2番は、演奏される機会もほとんどなく、あまり知られていない。1879年から1880年にかけて作曲された。友人、ニコライ・ルービンシテインに献呈されたが、翌年1881年、彼は病気のため急死してしまった。よって初演は、1882年モスクワにて、タネーエフのピアノ、アントン・ルービンシテインの指揮で行われた。スケールの大きさ、華やかな演奏効果、息の長い旋律など魅力は多々あるものの、技巧的、形式的な側面が目立ち、第1番と比較すればやはり曲が与えるインパクトは弱い。タネーエフは、この曲について、第1、第2楽章が長すぎること、第2楽章でヴァイオリンとチェロに比重をかけすぎていることなどを指摘しており、これらの理由もまた、この曲があまり演奏されないことの要因になっているのであろうか。
全3楽章から成る。
第1楽章 ト長調 4分の4拍子 アレグロ・ブリランテ:弦とピアノの重厚な和音が曲の堂々した雰囲気を強める。ピアノのヴィルトゥオーゾ的な見せ場も多い。演奏所要時間は約20分。
第2楽章 ニ長調 4分の3拍子 アンダンテ・ノン・トロッポ:終始穏やかに奏される。ヴァイオリンとチェロによる二重奏が中心になっており、ピアノの出番はあまりない。長いわりには、盛り上がりに欠け、とりとめのない印象を与えがちであるかもしれない。演奏所要時間は約7分半。
第3楽章 ト長調 4分の2拍子 アレグロ・コン・フォーコ:力強さと軽やかな躍動感が魅力的。華麗なロンド楽章。ピアノと管弦楽が競うように協奏し、息をつく間もないほどのスリルが面白い。演奏所要時間は約7分。
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.2 d-Moll Op.40 O 11 | 作曲年: 1837年 出版年: 1838年 初版出版地/出版社: Novello 献呈先: Lucy Anderson |
ステンハンマル:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調
クラーマー:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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クラーマー:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.2, d-moll Op.16 | 出版年: 1797年 初版出版地/出版社: Noël |
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 | Concerto for piano and orchestra No.2 Op.18 | 作曲年: ca. 1900-01年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Moderato - Allegro | 10分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Adagio sostenutto | 11分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro scherzando | 11分00秒 | No Image |
作品解説
ラフマニノフの4曲あるピアノ協奏曲の中で、さらにいえば、ピアノ協奏曲というジャンルにおいても、最も人気のある最高傑作の一つ。わかりやすい旋律美、完璧な構造、ピアノスティックな華やかさなど、非常に魅力的な作品。1905年、グリンカ賞を受賞。
モスクワ音楽院卒業後、《前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2》で一躍有名になったラフマニノフは、新しい協奏曲の作曲を依頼され、1899年頃からこの曲にとりかかった。しかしその後、ラフマニノフは極度の神経衰弱に陥り、作曲が全くできない状態になってしまった。1901年、治療により病気が完治し、創作意欲を大いにとりもどした時期に、この曲が完成した。彼の病気を治療したダール博士に献呈された。
第1楽章:モデラート ハ短調 2分の2拍子 ソナタ形式
8小節にわたりピアノで奏される荘重な和音、その後、分散和音、アルペッジョに続き、登場する管弦楽の圧倒的な第一主題。大きなインパクトをもって聞き手を魅了する。変ホ長調の第2主題はラフマニノフならでは、センチメンタルで、大変甘美な魅力をもっている。
第2楽章:アダージョ・ソステヌート ホ長調 4分の4拍子 3部形式
どこか懐かしさを感じさせるような、抒情性あふれる旋律が魅力的な楽章。ピアノの3連音符にのせて、クラリネットが第一主題を吹奏する。この主題が、多声的に扱われた後、ウン・ポコ・アニマートの中間部へ。この後、ピアノが華やかに、そして、燦然とカデンツァを奏する。主部が反復され、ピアノ和音によるコーダとなり、最後は静かに曲をとじる。
第3楽章:アレグロ・スケルツォアンド ハ長調 2分の2拍子
管弦楽の序奏に続き、ピアノが中心となる主題を奏する。スタッカートで奏され、非常におどけた雰囲気が印象的である。オーボエとヴィオラによって奏される第二主題は、第一主題とは対照的に、ラフマニノフらしい叙情的な美しさにあふれている。展開部では、第一主題の変形、第二主題の要素の再現がみられる。勢いをもってコーダにむかい、最後は圧倒的な全合奏により堂々と曲を閉じる。
スタンフォード:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
メトネル:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メトネル:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 | Piano concerto No.2 Op.50 | 作曲年: 1920-27年 |
テレフセン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調
ルビンシテイン, アントン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ルビンシテイン, アントン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 | Piano Concerto No.2 in F major Op.35 | 作曲年: 1851年 出版年: 1858年 初版出版地/出版社: Bessel |
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 | Concerto for piano and orchestra No.2 Op.102 | 作曲年: 1957年 |
ダルベール:ピアノ協奏曲 第2番 ホ長調
ヴィークルンド:ピアノ協奏曲 第2番 ロ短調
ドホナーニ:ピアノ協奏曲 第2番 ロ短調
フィールド:ピアノ協奏曲 第2番 変イ長調
ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.2 B-Dur Op.83 | 作曲年: 1878-1881年 出版年: 1882年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro non troppo | 18分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Allegro appassionato | 9分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Andante | 12分30秒 | No Image |
4 | 第4楽章 Mov.4 llegretto grazioso | 9分30秒 | No Image |
作品解説
《ピアノ協奏曲第1番》が初期の代表作であるならば、この《第2番》はキャリアの最盛期に生まれたブラームスの代表作といっても過言ではない。ベートーヴェンの中期傑作郡をして「傑作の森」と呼ぶことがあるが、この時期のブラームスもまた彼の森に深く足を踏み込んでいた。
ヴィーン時代に母が逝去、それを受けて作曲した《ドイツ・レクイエム》の発表(1868)によりブラームスの作曲家としての評価は揺るぎないものになった。そして1876年には20年近い制作期間を経て《交響曲第1番》が完成、翌年には早くも第2交響曲が初演されている。ブラームスの交響楽がようやく作品として具体的な結実を見たこの時期に書かれた《ピアノ協奏曲第2番》は前作に較べて自ずと交響楽的側面を深めたものになっている。50分という演奏時間は当時の協奏曲の中でもかなり長い。しかしこの作品に対する評価は極めて高く、初演されるや否や各地で再演を重ねた。
モーツァルトによって確立された「緩―急―緩」という3楽章から成る協奏曲という枠組みはここではあっさりと外されており、第2楽章に情感深いスケルツォが配されているのが構造的な特徴である。また、演奏会の花形(オーケストラをバックに存分に腕を振るうヴィルトゥオーゾ)としての協奏曲や、自身の第1番のように独奏、室内楽、交響楽といった諸様式を聴かせるものとも異なり、しっかりと独立したソロを聴かせながらも基盤になっているのはあくまで交響楽的な構想である。第3楽章では主題を奏するのが独奏チェロであるところも耳を惹かれる。ピアノ対オーケストラという図式よりも、ピアノ付の交響曲とでもいうようなニュアンスが強い。
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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モーツァルト:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | Konzert für Klavier und Orchester Nr.2 B-Dur K.39 | 作曲年: 1767年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro spiritoso | 5分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andante | 5分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Molto allegro | 3分30秒 | No Image |
作品解説
モーツァルトのオリジナルなピアノ協奏曲は第5番からであり、1767年、11歳のときに生み出された第1~4番のピアノ協奏曲は、他人のピアノ・ソナタの編曲である。原曲は主にパリで活躍していたドイツ系作曲家のものであり、旅行中の交流によって、モーツァルトに強い影響を与えた。父レオポルトは彼らの作品の楽譜を持ち帰り、息子に協奏曲の作曲を練習させたのだろう。自筆譜には、父親の筆跡も残っている。
当時のパリはヨーロッパにおける文化的中心地であった。1760年代、各地を訪れていたモーツァルト父子がパリに滞在したのは63年11月からの5ヵ月間と66年5月からの2ヶ月間である。2度のパリ訪問を含むこの西方旅行によって、少年モーツァルトはさまざまな音楽を吸収し、作曲の幅も広げることになった。4曲のピアノ協奏曲はその成果のひとつといえよう。
各楽章の原曲は以下のとおり。
第1楽章=H. F. ラウパッハ(1728-78)、作品1-1(第1楽章)
第2楽章=J. ショーベルト、作品17-2
第3楽章=H. F. ラウパッハ、作品1-1(第3楽章)
ヘルマン・フリードリヒ・ラウパッハ(1728-78)は北ドイツに生まれ、サンクト・ペテルブルクで活躍した音楽家。モーツァルトと出会ったのは、ちょうどロシアを出てパリに来ていた1766年と思われる。パリで活躍していたヨハン・ショーベルト(c1735-67)は、少年モーツァルトに大きな影響をもたらし、《クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ》K. 6~9作曲のきっかけを与えたと考えられている。ただ、父レオポルトは彼に好印象をもたなかったらしい。
スコット, シリル:ピアノ協奏曲 第2番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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スコット, シリル:ピアノ協奏曲 第2番 | Piano Concerto No.2 | 作曲年: 1958年 |
スカルコッタス:ピアノ協奏曲 第2番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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スカルコッタス:ピアノ協奏曲 第2番 | Piano Concerto No.2 | 作曲年: 1937-38年 |
メリカント, アーレ:ピアノ協奏曲 第2番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メリカント, アーレ:ピアノ協奏曲 第2番 | Concerto for piano and orchestra No.2 | 作曲年: 1937年 |
ヒナステラ:ピアノ協奏曲 第2番
バルトーク:ピアノ協奏曲 第2番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バルトーク:ピアノ協奏曲 第2番 | Klavierkonzert Nr.2 Sz.95 | 作曲年: 1930-31年 |
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 | Concerto pour piano et orchestre f-Moll Op.21 CT48 | 作曲年: 1829-30年 出版年: 1836年 初版出版地/出版社: Leipzig, Paris and London 献呈先: Comtesse Delphine Potocka née de Komar |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Maestoso | 14分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Larghetto | 9分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Allegro Vivace | 8分30秒 | No Image |
作品解説
ショパン最初のピアノ協奏曲(第2番)は、1829年に着手され、翌年に完成された。ショパンは既に『ラ・チ・ダレム・ラ・マノの主題による変奏曲』や『クラコヴィアク』といった管弦楽を伴ってピアノの技巧を披露する作品を作曲しており、ワルシャワのみでなくウィーンでも成功を収めていた。しかし彼は、自身の更なる成功のためには3楽章構成の「協奏曲」が必要だと感じていた。それは、フンメルやフィールドといった当時のヴィルトゥオーゾたちが、古典的な形式によるピアノ協奏曲によって圧倒的な成功を収めていたことに大いに影響されてのことであり、ショパンのピアノ協奏曲は、当然ながら彼らの作品様式の延長線上に位置づけられる。
しばしば指摘されるオーケストラ部分の貧弱さは、ショパンのピアノ協奏曲がシューマンやブラームスといったシンフォニー作曲家のそれとは本質的に異なっているためであり、これを議論することは無益である。またヤン・エキエルが指摘しているように、作曲者自身がオーケストレイションを行ったという確かな証拠はなく、別人の手によって行われた可能性も高い。他方で、作品の構成面での薄弱さもつとに指摘されるところである。近年は、こうした作品の弱点を、若き天才の独創性などとして肯定的にとらえる傾向が認められるが、それは作品の本質を見誤ることになる。
例えば以下で述べるように、この協奏曲の第1楽章の調性構造は、ソナタ形式の基本原理と矛盾している。ショパンはこの協奏曲以前に、ハ短調の『ピアノ・ソナタ』や『ピアノ三重奏曲』などのソナタ形式をもつ楽曲を、習作という位置づけで作曲しているが、いずれにおいても調の設定が古典的なソナタ形式の規範を無視している。
このことは、ヘ短調協奏曲や、次作のホ短調協奏曲における調性構造の薄弱さと無関係ではなく、当時のショパンが未だ形式や和声の面で、古典を十分に消化できていなかったことを反映している。従って、こうした点を安易に「独創性」と肯定的に捉えることは、若きショパンの姿を歪めることになると言える。すなわち、ワルシャワ時代のショパンの美徳は、何よりもまずベルカント的な旋律美、そして華やかなヴィルトゥオーゾ・パッセージであって、楽曲の構成は二の次なのである。
このような理解は、作曲家としてのショパンを貶めるものではなく、演奏者が認識しておかなければならない重要な点であろう。
第1楽章 ヘ短調 4分の4拍子
しばしば協奏曲風のソナタ形式として説明されるが、ソナタ形式を前半における調性的対立を後半において解決するという調性的な枠組みを前提として理解する以上、この楽章は2つの主題の提示とそれらの再現をもつ3部分形式、ないし2部分形式である。
まずオーケストラのみによって、ヘ短調と変イ長調による2つの主題提示が行われ、続いて独奏ピアノが、装飾を加えながら両主題を繰り返す。こうした構成法は、たしかに協奏曲風のソナタ形式に典型的なものである。そして推移部が拡大され、独奏ピアノの技巧的なパッセージの見せ場となる。
展開部風の第2部(第205小節~)は、ヘ短調主題の動機を主とした推移的な部分である。オーケストラがこの動機をゼクエンツ風に繰り返すなか、独奏ピアノが即興的なパッセージを展開する。オーケストラの総奏が楽章の頂点を築くと、すぐに沈静化して冒頭の主題がピアノで再現される(第268小節~)。この楽章を3部分形式とすするならば、ここからが第3部ということになる。
ヘ短調主題に続いて、すぐに変イ長調主題が調性を移すことなくあらわれる。そして、技巧的なパッセージによる推移部となり、冒頭主題が回帰するコーダをもって楽章が閉じられる。
第2楽章 変イ長調 4分の4拍子
第1・3楽章に先立って成立した叙情的な楽章。作曲者自身の言説によれば、彼が当時「理想の人」と呼んだコンスタンツヤを思って作曲したのだという。
弦楽合奏の短い導入に続いて、独奏ピアノによってノクターン風の主題が歌われる。
楽章全体を通して、独奏ピアノが様々な装飾を駆使して旋律を歌ってゆく。最後に、導入部の主題が回帰して楽章を閉じる。
第3楽章 ヘ短調 4分の3拍子
ロンドと説明されることが多いが、舞曲形式が拡大した2部分形式とみるべきだろう。
クヤヴィアク風の主題が独奏ピアノによって提示される。オーケストラのエピソードに続いて、独奏ピアノによる技巧的なパッセージの連鎖が始まり、マズルカのリズムにのって次々と楽想が展開してゆく。とりわけ、8分3連音符と付点リズムが特徴的なユニゾン楽想(第145小節~)は、この楽章全体の民俗音楽的な雰囲気を一層高めることに貢献している。
冒頭主題が回帰して後半部分となるが(第325小節~)、オーケストラによるエピソードの末尾が変形されてヘ長調(同主長調)へと転じる。ピアノの技巧的なパッセージを経て、マズルカ風の楽想が回帰して楽曲を閉じる。
ピアノ協奏曲第2番
ピアノ協奏曲第2番
ピアノ協奏曲第2番 (1934年、1944年に改訂)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 07:56 UTC 版)
「ボフスラフ・マルティヌー」の記事における「ピアノ協奏曲第2番 (1934年、1944年に改訂)」の解説
ルドルフ・フィルクスニーの委嘱により作曲された。
※この「ピアノ協奏曲第2番 (1934年、1944年に改訂)」の解説は、「ボフスラフ・マルティヌー」の解説の一部です。
「ピアノ協奏曲第2番 (1934年、1944年に改訂)」を含む「ボフスラフ・マルティヌー」の記事については、「ボフスラフ・マルティヌー」の概要を参照ください。
ピアノ協奏曲第2番(セルゲイ・ラフマニノフ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:41 UTC 版)
「ブリザードアクセル」の記事における「ピアノ協奏曲第2番(セルゲイ・ラフマニノフ)」の解説
第18回白帝・フロストクイーン定例交流試合で、加藤がショートプログラムに使用。
※この「ピアノ協奏曲第2番(セルゲイ・ラフマニノフ)」の解説は、「ブリザードアクセル」の解説の一部です。
「ピアノ協奏曲第2番(セルゲイ・ラフマニノフ)」を含む「ブリザードアクセル」の記事については、「ブリザードアクセル」の概要を参照ください。
「ピアノ協奏曲 第2番」の例文・使い方・用例・文例
- ピアノ協奏曲
- その曲はピアノ協奏曲に編集された。
- 6月21日の本選で,上原さんはチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」とラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏した。
- そのとき,彼女は偶然,ラヴェルのピアノ協奏曲を聞き,自分と千秋(玉(たま)木(き)宏(ひろし))が舞台でその曲を一緒に演奏している姿を想像する。
- 千秋は彼女がショパンのピアノ協奏曲を演奏するのを見るためにはるばるプラハまで行く。
- 内田さんはクリーブランド管弦楽団と共演したモーツァルトのピアノ協奏曲の演奏で最優秀器楽ソリスト演奏(オーケストラとの共演)賞を受賞した。
- 浅田選手は,ショートプログラムではショパンのノクターンのうちの1曲,フリーではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に合わせて演技すると述べた。
- フリーについて,浅田選手は「私はラフマニノフのピアノ協奏曲がとても好きです。」と述べた。
- 翌日のフリーでは浅田選手はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」に合わせて滑った。
- 浄瑠璃などにおいて,第2番目の区切り
- 月の第2番目の日
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