ラフマニノフ:スケルツォ(メンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」より)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラフマニノフ:スケルツォ(メンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」より) | Scherzo (Mendelssohn: A Midsummer Night's Dream) |
作品解説
メンデルスゾーンの劇音楽《真夏の夜の夢》をピアノ独奏曲に編曲された作品。ラフマニノフ自身がピアニストであったため、コンサートのレパートリー(通常はアンコール)としてこよなく愛し、演奏していたようだ。
曲の構成は8分の3拍子のト短調、アレグロ・ヴィヴァーチェで書かれている。メンデルスゾーンの細かいスケール的なメロディー、16分音符中心の休みのない急がしいスケルツォであるが、ラフマニノフはピアノ小品ながら、原曲のオーケストレーションを感じさせ、ダイナミクスや装飾、和声感、技巧をこらした作品に編曲されている。
スケルツォ
バッハ:スケルツォ ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:スケルツォ ニ短調 | Scherzo d-Moll BWV 844 |
作品解説
19世紀に作成された「小トッカータ」と題される筆写資料に伝えられる。ここには、《5曲のプレリュードとフゲッタ》の〈プレリュード ニ短調〉BWV899/1、および〈フーガ ホ短調〉BWV900/2、《プレリュード ロ短調》の初稿BWV923a、《スケルツォ ニ短調》BWV844、《アンダンテ ト短調》BWV969、《プレスト ニ短調》BWV970が順に収められている。選ばれた曲種と配列から、これらがまとまりを持った曲集として構成されたことは明らかだが、バッハが通例用いた曲種や構成とはいえない。むしろ、19世紀に好まれた小品によくみられるようなものばかりである。残念ながら、このうち確実なバッハの真作はBWV899のみである。
《スケルツォ》はシンコペーションを主題に持つが、全体のリズムが単調で、主題の特徴的なリズムが生かし切れていない。ホ短調の初稿BWV844aも残されているが、長男フリーデマンの作と考えられる。
メンデルスゾーン:スケルツォ ロ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メンデルスゾーン:スケルツォ ロ短調 | Scherzo h-Moll U 69 | 作曲年: 1829年 |
作品解説
1829年に作曲され、同年6月の音楽新聞『Berliner Allgemeine Musikalische Zeitungに掲載された作品。全2ページで1分強の小曲。両手で交互に8分音符を奏する歯切れのよい部分と、ペダルでの響きを用いて旋律的な動きをきかせる部分が対比的におかれており、曲に面白みを与えている。ダイナミックレンジも、ppからffまであり、短いながらも変化を楽しむことができる。
ボロディン:スケルツォ 変イ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ボロディン:スケルツォ 変イ長調 | Scherzo | 作曲年: 1885年 出版年: 1885年 初版出版地/出版社: Bessel |
作品解説
ボロディンは、グリンカのロシア民族主義の精神を受け継いだ、ロシア国民楽派の「五人組」の一員である。そして、他の4人(バラキレフ、ムソルグスキー、キュイ、リムスキー=コルサコフ)があまり向かい合うことのなかった交響曲の分野に積極的に取り組んだ作曲家である。そのことを冠して、チャイコフスキーとともに、ロシアにおける交響曲の創始者として捉えられることもある。貴族の私生児として生まれたボロディンは、ピアノ、チェロ、フルートに加え、医学と科学も学んでいる。とりわけ、化学の研究のために派遣されたイタリアとスイスにおいて、19世紀ロマン派を代表する作曲家の作品に触れ、徐々に傾倒していったことが、作曲活動にとって1つの転機となったと考えられている。そして、亡くなるまで化学者としての活動と作曲家としての活動を両立させた稀有な音楽家として知られている。
この作品は、晩年の作曲活動の円熟期、1885年に52歳の年で作曲された。同年に、サンクト・ペテルブルクから出版されている。当初はオーケストラ作品として構想された作品を、ボロディン自身がピアノ・ソロのために編曲したものである。ボロディンの死後、グラズノフ(1865-1936)が《小組曲 作品1》をオーケストレーションした際に、この作品もオーケストレーションを行い、組曲のフィナーレとして置かれた。アレグロ・ヴィヴァーチェの8分の12拍子で音楽が運ばれ、3部形式の形をとっている。また、フラット系とシャープ系のいずれかに偏ることのない調号の変化が見られる。尚、この作品は、リストが非常に好んだとされている。
ブラームス:スケルツォ 変ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブラームス:スケルツォ 変ホ短調 | Scherzo Op.4 | 作曲年: 1851年 出版年: 1854年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel |
作品解説
ブラームスが18歳のときに作曲した、唯一の独立したスケルツォである。ちょうど彼が作曲活動に力をいれはじめた頃の、初期のピアノ作品。1851年8月ハンブルクで完成、1854年2月に出版された。ブラームス生前に出版された作品のなかでは、記念すべき第一作目にあたる。ブラームスはシューマンを訪問する前に、ヴァイマルのリストのもとを訪れていて、そのときに持参した自作の曲の楽譜のなかにこのスケルツォも含まれていた。リストが、その自筆譜を、初見で演奏して、ブラームスを感嘆させたというエピソードが知られている。
この曲の第一主題は、ショパンの『スケルツォ第一番』の主題にかなり似ており、このことはリストからも、指摘された。しかし、当時ブラームスはショパンの曲を何も知らなかったという。ただしブラームスの師マルクスゼンがショパンの音楽に親しんでいたことは事実である。
また、この曲はハインリヒ・マルシュナーのオペラ《ハンス・ハイリング》の序曲からの引用も指摘されている。曲は2つのトリオをもつA-B-A-C-Aといったロンドふうの構成をとる。楽譜は、ブラームスの友人、ピアニストのヴェンツェルに献呈された。
スケルツォ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/16 18:42 UTC 版)

スケルツォ(scherzo)は、楽曲の区分に用いられる名前のひとつ。イタリア語で「冗談」を意味し、語源的にはふざけた音楽を指すが、その意味あいは形骸化していった。諧謔曲(かいぎゃくきょく)。
スケルツォは、メヌエットに代わって多楽章形式の器楽作品に組み込まれるようになり、室内楽曲にハイドンが導入したり、器楽ソナタや交響曲にベートーヴェンが導入したのをきっかけに、頻繁に用いられるようになった。その後、ショパンが独立した楽曲として芸術性を高めた。
楽曲の性格を現す語であり、特定の形式や拍子テンポに束縛されないが、一般的に3拍子で速めのテンポを持つものが多い。交響曲や、室内楽曲でソナタ形式を持つ多楽章の曲に組み込まれる場合、4拍子のスケルツォもあり得る。初期のものは、テンポが速いことを除けば、3拍子だったり、舞踏的な性格を持ったり、トリオ(中間部)を持つ複合三部形式をとったりと、メヌエットの性質を借用していることが多い。主部は「舞踏的な性質」「歌謡的性質の排除」「強拍と弱拍の位置の交代」「同一音型の執拗な繰り返し」「激しい感情表現」などが目立ち、中間部は逆に「歌謡的な性質」「牧歌的な表現」が目立つことが多いのは、緩徐楽章との対照を狙っていると考えられている。
主要曲
- ハイドン - ロシア四重奏曲:全曲にメヌエットのかわりにスケルツォがおかれているが、メヌエットとの違いは曖昧。
- ベートーヴェン - 第8番を除く交響曲の第2楽章または第3楽章。ピアノソナタ全32曲のうちの多く。
- シューベルト - 2つのスケルツオ
- メンデルスゾーン - 劇付随音楽『夏の夜の夢』より第1曲「スケルツォ」
- ロベルト・シューマン -序曲、スケルツォと終曲 より第2楽章「スケルツォ」
- ショパン - 4曲のスケルツォ(Op.20, Op.31, Op.39, Op.54)
- リスト - スケルツォとマーチS.177
- アルカン - 悪魔的スケルツォ Op.39-3
- デュカス - 交響的スケルツォ『魔法使いの弟子』
- チャイコフスキー - ワルツ・スケルツォ
- ブラームス - スケルツォ変ホ短調 Op.4
- ドヴォルザーク - スケルツォ・カプリチオーソ Op.66
- ブルックナー - 全ての交響曲(番号無しのヘ短調とニ短調を含む)にスケルツォと明記された楽章がある。トリオも明記され、ダ・カーポで冒頭に戻った後、フィーネで終わるかコーダの指示がある。交響曲第4番の一般的によく演奏される第2稿の第3楽章は「狩りのスケルツォ」と呼ばれるが、4拍子のものである。交響曲第8番、交響曲第9番、弦楽五重奏曲では第2楽章にスケルツォが配置されている。
- マーラー - 1、2、4、5、6、7、10番の交響曲にスケルツォ楽章がある他、3、9番の交響曲にもスケルツォ的性質の楽章がある。
- ピエール・シェフェール - スケルツォ(Musique De Notre Temps: Reperes 1945/1975)。
- 矢代秋雄 - 交響曲のスケルツォは「テンヤテンヤテンテンヤテンヤ」という変拍子のリズムに基づく。
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