東京創元社とは? わかりやすく解説

東京創元社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/20 02:19 UTC 版)

株式会社東京創元社
Tokyo Sogensha Co., Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本
162-0814
東京都新宿区新小川町1番5号
設立 1954年7月16日
業種 情報・通信業
法人番号 6011101014980
事業内容 出版業
代表者 渋谷健太郎(代表取締役社長)[1]
資本金 3000万円
純利益 5,025万6,000円
(2024年7月期)[2]
総資産 18億8,777万8,000円
(2024年7月期)[2]
従業員数 40名(2024年3月現在)[3]
外部リンク www.tsogen.co.jp
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株式会社東京創元社(とうきょうそうげんしゃ)は、日本出版社

概要

1925年に矢部良策が大阪に創元社を設立し、東京支社も併設した[4][5]1948年に創元社(同名別会社)として独立[4]1954年に改組し、東京創元社を創立[5]。現在の社名は、当時の屋号、創元社東京支社にちなむ。

吉田満戦艦大和ノ最期』(1952年)、谷川俊太郎『二十億光年の孤独』(1952年)、田村隆一『四千の日と夜』(1956年)などを刊行したことでも知られる[6]

現在では翻訳推理小説、翻訳SFの老舗出版社として知られ[7]、多くの叢書を送り出している。特に創元推理文庫はミステリ専門の文庫としては日本の草分け的存在であり(1980年代までは海外作品専門)、古典的名作から最新話題作まで多数の作品を紹介しつづけている。当初は背にマークが付けられてジャンルを示しており、この文庫の特徴とされていたが1991年になくなり、同時に、ジャンルのひとつであったSF部門は創元SF文庫と改称された[8]

1984年10月には文庫では初めての国内ミステリとして「日本探偵小説全集」第1回配本『江戸川乱歩集』を刊行[8]。単行本では1988年5月に初の書き下ろしミステリ『五つの棺』(折原一)を刊行した[8]。以降、国内推理小説の新人作家・旧作の発掘ともに力を入れている。1990年から鮎川哲也賞1994年から創元推理短編賞(現在のミステリーズ!新人賞)を主催し[8][9]芦辺拓加納朋子近藤史恵愛川晶北森鴻大倉崇裕加藤実秋梓崎優美輪和音らを輩出。

また2007年より国内SFの旧作の刊行を始め、2009年からは新たな日本SFの書き手を発掘する創元SF短編賞を主催し[8]松崎有理高山羽根子宮内悠介酉島伝法らを輩出している。

創立当初カラーテーマミステリ、SF、ファンタジー、ホラーを主力としていたが、2022年から一般文芸の取り扱いも開始した[10]

小説以外には漫画や画集を出版している。

ノンフィクションも取り扱っており、ミステリやSFのガイドブック、囲碁のレーベル「碁楽選書」がある。

文庫本は、天(本の上部)のみ化粧裁ちせずに残す天アンカット方式を採用している。

創立60周年

1954年に東京創元社が創立してから2014年で60周年を迎えた[11]。それに先がけて、60周年記念キャラクターが2013年10月に誕生した。キャラクターデザインイラストレーターの加藤木麻莉。キャラクター設定は、黒毛に青い目のの子猫で、であるがウサギのふりをしている。2013年10月4日から11月4日を募集期間としてキャラクター名が公募され、11月15日に「くらり」に決まった。これは東京創元社の「創」の字を「倉+刂」と分解して読んだもの[12][13]。当初60周年記念のみのキャラクターの予定だったが、好評を得て翌2015年、東京創元社公式キャラクターとなった[14]

4月、創立60周年記念として、創元ファンタジイ新人賞の募集を開始[15]

沿革

不祥事

翻訳文無断公開、モラハラ

2024年3月18日、「〈ワニ町〉シリーズ著者公認ガイドブック」について、翻訳者に無許諾で4章分を無断公開したとして、翻訳者の島村浩子氏に謝罪した[22][23][24]。翻訳者によれば、編集者からのモラハラが原因だとされる。

出版物

発行中の文芸誌
  • 紙魚の手帖[21](2021年 - )
  • 創元推理コーナー(文庫の付録として不定期に刊行)
刊行中の文庫
刊行中の叢書
  • Key library(1980年 - )
  • 創元クライム・クラブ(1991年 - )
  • 海外文学セレクション(1994年 - )
  • ミステリ・フロンティア(2003年 - )
  • 創元ブックランド(2004年 - 、海外ヤングアダルト)
  • 創元日本SF叢書(2011年 - )
  • 創元海外SF叢書(2014年 - )
発行していた文芸誌・ムック
刊行していた文庫
刊行した叢書

新人発掘

主催する新人文学賞
主催していた新人文学賞

主な編集者

  • 谷口正元 - 元編集長。翻訳家としての筆名は曽根元吉
  • 厚木淳 - 翻訳家、創元推理文庫編集長。元・取締役編集部長
  • 戸川安宣 - 元・編集長・社長・会長。退任後、特別編集顧問、相談役、顧問。ミステリ専門書店「TRICK+TRAP」店主。1990年代の「新本格ミステリ」ブームの功労者として、本格ミステリ大賞特別賞を宇山日出臣とともに受賞
  • 新藤克己 - SF、ゲームブック担当
  • 長谷川晋一 - ホラー、幻想文学担当。前社長。かつては「長谷川並一」名義で漫画執筆、著作活動も
  • 井垣真理 - 海外文学、ミステリ他担当
  • 小浜徹也 - SF担当
  • 松浦正人 - ミステリ担当。のち退社して書評家に
  • 牧原勝志(ペンネーム・植草昌実) - ミステリ、ホラー担当。のち退社して雑誌『ナイトランド』『幻想と怪奇』編集
  • 小林甘奈 - ファンタジー、YA担当
  • 佐々木日向子 - 海外文学、ミステリ他担当
  • 隆慶一郎 - 創元社時代の編集者
  • 宮崎嶺雄 - 創元社時代の編集長
  • 天野祐吉 - 宣伝部社員として所属
  • 知念榮喜 - 創元社時代の編集者。田村隆一等を担当。詩人。H氏賞受賞

脚注

  1. ^ 株式会社東京創元社 第65期決算公告
  2. ^ a b 株式会社東京創元社 第70期決算公告
  3. ^ 厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システムより
  4. ^ a b 会社案内|東京創元社
  5. ^ a b 矢部良策(やべ りょうさく)とは - コトバンク
  6. ^ 四千の日と夜 : 1945-1955 詩集 (東京創元社): 1956|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
  7. ^ WEBマガジン出版翻訳 原田勝の部屋-翻訳ミステリの老舗に聞く、編集者はここを見ている
  8. ^ a b c d e 年譜|東京創元社
  9. ^ 鮎川哲也(あゆかわてつや)とは - コトバンク
  10. ^ a b 創元文芸文庫”. 東京創元社 特設サイト. 2024年4月18日閲覧。
  11. ^ 2014年もよろしくお願いいたします | 東京創元社60周年
  12. ^ キャラクター名募集中です | 東京創元社60周年
  13. ^ 60周年 - 東京創元社
  14. ^ 「くらり」が東京創元社公式キャラクターになりました!”. お知らせ|東京創元社. 2021年8月26日閲覧。
  15. ^ 賞金は印税全額:東京創元社が創立60周年を記念した「創元ファンタジイ新人賞」を開催 - ITmedia eBook USER
  16. ^ 鮎川哲也賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  17. ^ 創元推理短編賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  18. ^ 創元推理評論賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  19. ^ ミステリーズ!新人賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  20. ^ 創元ファンタジイ新人賞”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  21. ^ a b 紙魚の手帖Vol.01 加納 朋子(著/文) - 東京創元社”. 版元ドットコム. 2021年8月26日閲覧。
  22. ^ 島村浩子>「趣味は読書?」>「無料電子ブックにわたしの訳文が無断で大量に使用されてしまいました」
  23. ^ 「弊社刊行物に関するお詫び」【東京創元社】2024年3月18日付
  24. ^ 「東京創元社が翻訳者に謝罪 無料電子ブックで訳文を無断使用 原因はモラハラか」【ITmedia】2024年3月19日付
  25. ^ 東京創元社が満を持して贈る総合文芸誌『紙魚(しみ)の手帖』を創刊!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2022年12月2日閲覧。

関連項目

外部リンク


東京創元社(創元推理文庫)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/18 18:02 UTC 版)

鈴木直人 (作家)」の記事における「東京創元社(創元推理文庫)」の解説

ドルアーガの塔1986年悪魔に魅せられし者 魔宮の勇者たち 魔界の滅亡 同名コンピュータゲーム原作にした、鈴木直人デビュー作魔法アイテムキャラクターゲームシステムなど、全体オリジナル要素多く、その重厚な内容から国産ゲームブック最高峰一つみなされている。中でもオリジナルキャラクター魔道士メスロン鈴木作品世界重要な位置占めるようになり、幾つかの作品主役務めることとなった三巻ともドルアーガの塔舞台としているが、作者本人も「あとがき」で認めているように、各巻で赴きがかなり異なる。第一巻は、迷路構成され各フロアを順に登っていくという点で、原作ゲーム雰囲気もっとも近い第二巻は、二人仲間とともに冒険進める点や、商店船着場などの、迷路構成されていないフロア多数存在し果ては一時的に塔の外に出ることができる場面まであり、オリジナルゲームから一番乖離した内容となっている。第三巻は、下から順にフロアを登っていくのではなく複数フロア跳び越して他のフロア通じ階段使って上下しながら謎を解いていく、一種立体迷路となっている。また、隠しエンディング」が存在している。 スーパー・ブラックオニキス1987年コンピュータRPGザ・ブラックオニキス」のゲームブック化。とはいえ原作から引き継いでいる部分はわずかで、殆ど鈴木オリジナルと言って良いシステム面では、仲間パーティー組んで冒険することを大きなテーマとしており、仲間の選択戦闘死亡扱いなどが特徴的である。著者曰くドルアーガ三部作第二巻において一時的に仲間とともに冒険をすることになったが、これを発展させて1作品できないか、との試みから本作生まれたとのことである。 パンタクル1989年魔道士メスロン主人公にしたオリジナル作品東洋想起させる世界観の下に書かれており、登場する生き物の名前が仏教密教から取られていたり、魔法漢字表記される名前を持っていたりする。 「ソーサリーシリーズや、「ドルアーガ三部作では、数多く魔法存在しているものの、魔法使用する場面で選択できる魔法は、選択肢示された5~6種程度限定されしまっていたが、本作では、すべての種類魔法選択できるようにシステム練られている。 ティーンズ・パンタクル1990年現代日本舞台にしたパンタクル外伝女子高生大島いずみが主人公パンタクル21991年オリジナル作品前作との繋がりは特にない。ドルイド教団を相手冒険する内容であり、作品雰囲気はむしろドルアーガの塔に近い。作品中で、続編があることを前提とした描写があるが、続編未刊

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