ガッツ一行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 17:43 UTC 版)
「ベルセルクの登場人物」の記事における「ガッツ一行」の解説
ガッツ 声 - 林延年(少年時代 - 福島おりね→三浦智子) / 岩永洋昭(少年時代 - 井之上潤) 本作の主人公。「黒い剣士」の異名を持つ、右目とボルコフに左腕を噛まれて失った全身傷だらけの剣士。首筋に「生贄の烙印」を刻まれたことによって悪霊・妖魔に命を狙われ続けながらも、ゴッドハンドと使徒への復讐のために各地を放浪している。苛烈極まる戦いの中で、キャスカを「守る」ことと、グリフィスに「挑む」ことを魂に問いつづけていく。 「ドラゴンころし」と名付けられた、身の丈よりも長大で分厚く鉄塊のような大剣(ゾッドは「斬魔刀」と後に呼んでいる)を背に佩び、左腕には大砲を仕込んだ鋼鉄製の義手を装着している。黒い剣士の異名の元となった黒い甲冑とマントを身に纏う。他に連発式ボウガンや投げナイフ、炸裂弾等の武器を携帯。肉体は極めて屈強で、巨大な剣を片手で難なく振り回し、前述の装備類一式を身につけたまま軽快な動作も可能な他、反射神経や動体視力など、身体能力全般に優れ、戦で培った機転にも長ける。人間離れした戦闘力と狂気を帯びた戦い振りから、魔でさえ畏怖する存在となる。傭兵団時代に受けた性暴力が元で(後述)体に馴れ馴れしく触られるのを嫌い、帯剣していないと落ち着かない。また、子供に敵意や殺意を向けると激しい嘔吐感に襲われる。後に「狂戦士の甲冑」を身に着けて戦った副作用として味覚障害、色覚異常、視野狭窄、震顫、頭髪の一部白髪化などが表れている。 髑髏の騎士によれば、死者から生まれ落ちた身の上に加え、グリフィスに烙印を刻まれたことで、世界の理の外側に身を置く者となっていると言う。シールケは、ガッツがドラゴン殺しを自在に扱い、生身で使徒と渡り合う(あまつさえ打ち殺す)ことが出来るのも、意思が実際の出来事に強く作用する、異界の住人となったことが大きな理由ではないかと想像している。 戦地で木に吊るされた母の骸の下に産み落とされ、ガンビーノ率いる傭兵団に拾われた。以後、傭兵団の中でガンビーノを養父として過ごし剣術を習い、幼少期から戦場に駆り出される。ガンビーノを親として慕っていたが愛情を受けることはなく、傭兵相手に無理やり売春をさせられたりしていた(体に触れられるのが苦手なのはこれが原因)。ガンビーノが片足を失って以降は戦で得た褒賞は取り上げられ、飼い犬のみを相手にするガンビーノにますます邪険に扱われていた。11歳の時、ガンビーノに襲われた際のはずみで誤って彼を刺殺、傭兵団から脱走せざるを得なくなる。以後はどこにも所属せず1人で戦地を転々とする。この時、小さな体で大人の振るう剣を長年使わされてきたため、いつしか身の丈よりも大きな武器を使うことに習熟し、成長した後も巨大なだんびらを愛用するようになった。 4年後、グリフィスに決闘で敗北し「鷹の団」に入団。果敢な戦い様で頭角を現し、鷹の団切り込み隊長に任命される。初めて仲間と居場所と言うべきものを団の中に見出し、100人斬りなどの武功で鷹の団最強の戦士として名を馳せ、グリフィスと無二の絆で結ばれるものの、グリフィスの夢に埋もれつつある現状に自問する一方で、キャスカと次第に想いを寄せあっていく。グリフィスと“対等の者”でありたいと考えた末、決闘でグリフィスを下し、キャスカの制止をも振り切って3年間在籍した鷹の団を脱退。鍛冶屋ゴドーの元で寄宿、遊歴や修行をし、剣を振るうことに存在意義を見出す。 1年後、キャスカが率いる鷹の団が逆賊として追われているとの情報を聞き、助太刀し合流。キャスカとは想いを確かめ合って結ばれるが、グリフィス救出遂行も束の間、蝕へと巻き込まれる。かつて仲間だった団員は一方的な虐殺に遭い、キャスカはガッツの目の前でグリフィスに犯され、ガッツ自身も左腕と右眼を失い「生贄の烙印」を刻まれた。辛うじて「蝕」から逃れたガッツとキャスカだったが、これにより(旧)鷹の団は壊滅した上に、常に魔に脅かされ続ける身になる。キャスカは極限の恐怖で発狂し、彼女の胎内に宿っていたガッツとの子供は魔に取り憑かれ、魔物となって姿を消してしまう(これも重なってキャスカは幼児退行まで起こした)。多くのものを失いつつも死の淵から這い上がったガッツは復讐の旅に出る。 その過去故に魔に向ける憎悪と憤怒は凄まじく、他者の事情や命を考慮しない無慈悲で冷淡な性格となるが、一方で捨てきれない人間性との間で葛藤し続けていた。復讐のために形振り構わず戦い続けた結果、各地に災厄と混乱をもたらし、法王庁教圏から異端の存在「黒い剣士」として追われるお尋ね者となる。 鷹の団の壊滅以降、2年間に渡り孤独な戦いを続けてきたが、常に危険に身を晒しながらどの様な死中にも活路を見出す強固な意志に惹かれ、新たな仲間が集まった。命がけの旅路において、彼らとの間に信頼関係が築かれていく中で、ガッツ自身もかつての「鷹の団」の仲間たちと重ね合わせるように心を開き始める。人格にも落ち着きが戻り、冗談を交わして笑いを浮かべられるほどに精神が安定した。しかし、狂気が凝り固まり顕在化した闇の獣(声 - 興津和幸〈『ベルセルク無双』〉)を自分の心底に抱えており、後の装備となった呪物「狂戦士の甲冑」の副作用によって、顕在化をより強めてしまっている。 父母の愛情に恵まれず育ったため、他者から寄せられる感情を受け止める事や、自らの思いを伝えることが苦手であり、それが結果としてグリフィスとのすれ違いを生み、心の傷に苦しむキャスカを置き去りにしたことに気付いた際には、大きなショックを受けていた。 根は繊細で心優しい性格であり、自らが父を奪う形となったテレジアの身を思って涙ぐんでいた。また、キャスカと思いを交わしあった直後、ドノバンに襲われた記憶がフラッシュバックしたために不審な行動をとってしまったが、彼女の気持ちを思いやって詫び、自らの過去を打ち明けている。少年時代には仲間を欲しがっていた妖精「チッチ」が、ガッツの傷を癒そうとして力を使い果たしてしまったことに罪悪感を覚えており、物語初期にパックへ投げつけた、エルフを軽蔑しているかのような言動は、その裏返しであった。 パック 声 - 渕崎ゆり子 / 水原薫 妖精郷出身のエルフ。羽精と言う風の精霊の一族。妖精郷に飽きて単身世界に飛び出した。旅芸人一座と旅をしていたが一座が盗賊(コカ城の首領の部下達)に襲撃されて捕らえられ、酒場でダーツの標的として玩ばれていたところをガッツに救われ、怪物見たさで勝手にガッツの鞄に住み着き行動を共にするようになる。その好奇心の旺盛さと騒々しさでガッツからは煙たがられ冷たくあしらわれていたが、懲りること無く同行を続け、やがて仲間と認められた。ガッツの右腰の鞄を住処にしている。 他者の憎悪や恐怖などの負の思念に過敏に反応し、気を探ることで人探しもできる。また、羽根の鱗粉には強力な治癒作用があり、満身創痍のガッツを幾度も治癒する。戦闘力はゼロに等しいため、基本的に戦うことは無いが、全身を強力に光らせて敵の目を眩ます「パックスパーク」で援護する他、自称「エルフ次元流7段」で栗のイガで作った「妖刀ざっくり丸」で殴ることもある(日に晒されて弱った悪霊なら何とか勝てる)。イシドロが仲間になってからはギャグの絡み相手をガッツからイシドロへと鞍替えしている。メタフィクションやコメディリリーフ的な活躍があり、ギャグ形態では二頭身で頭部が栗状の「くりパック」になり、よくコスプレをする。イシドロを「コソドロ」または「ドロピー」、セルピコを「ピコリン」、マニフィコを「マニ彦さん」と呼称。ガッツが所持するベヘリットを「ベッチー」と呼び、自分の玩具兼ペット兼抱き枕にしている。 キャスカ 声 - 宮村優子 / 行成とあ 「鷹の団」の女性剣士。褐色の肌と黒のショートヘアが特徴。紅一点でありながら千人長を担う実力者であり、副長的存在だった。ロングソードの腕前はガッツ、グリフィスに次ぐ鷹の団No.3。加入以前は貧農の6人兄妹の末子。12歳の時、口減らしのために貴族に売られ、乱暴されかけるが、偶然現場に居合わせたグリフィスに剣を投げられ、闘って自由を勝ち取るか否かを問われる。キャスカは初めて手にした剣で相手を殺すことでその問いに答え、鷹の団に入団。その経緯からグリフィスに対しては、崇拝に近い信頼を寄せていた。 ガッツとはグリフィスの存在を巡って何度もぶつかり、嫉妬心を抱くこともあったが、お互いを知る内に次第に離れがたくなる。ガッツ脱退後、ミッドランドから逆賊として追われることになった鷹の団を、部下に請われて団長代理として指揮。1年後、再会したガッツと結ばれる。しかし、直後に見舞われた「蝕」での恐怖と転生したグリフィスに凌辱されたことで精神が崩壊、記憶喪失と幼児退行に陥り、宿していたガッツとの子供もこの世ならざる存在となってしまった。以降、記憶力や学習能力は皆無に等しく、言葉になっていない喃語を発する。また幼児のように状況を考慮せず、勝手気ままに行動して失踪したことが数回ある。ただし、運動能力は変化しておらず機敏な動作が出来、輪姦目的で襲った盗賊3名から剣を奪って皆殺しにしている。 2年余りゴドーの坑道に身を寄せていたが、エリカと木の実摘みで外出した際に失踪。再生の塔付近にて徘徊していた所、魔女狩りで火刑に処されかける。ガッツの手で救出され、以後旅に同行する。世話係のファルネーゼに懐いている一方、旅疲れと夜毎繰り返される悪霊との戦いの結果、精神的に疲労し、一時的な狂気と劣情に駆られたガッツから傷つけられて以来、彼に対し警戒心と悪感情を露にするようになる。妖精郷へと向かう旅に際しては、シールケから託された銀の鎖帷子と巡礼服を着ている。生贄の烙印は左胸上部に刻まれている。 ファルネーゼ 声 - 後藤邑子 / 日笠陽子 本名は「ファルネーゼ・ド・ヴァンディミオン」。元聖鉄鎖騎士団団長。大富豪で名門貴族ヴァンディミオン家4子の末子で長女。物質的には恵まれた身分にあったが親から愛情を向けられず、哄笑を挙げながら深夜の庭園を徘徊したり、屋敷前の火刑に魅了され小動物を焼殺したりと鬱屈した幼少期を過ごす。16歳の時に結婚話を父から否応無く押し付けられた際には、錯乱して屋敷に火を放ち、一棟を焼失させている。この件で父から見棄てられ、「ヴァンディミオンの鬼子」と渾名される。この後、屋敷から出て修道院に入る。法王庁大審院の末席に就き、聖鉄鎖騎士団団長に就任。真摯な信仰心に生きようとしながらも己の弱い部分を律し切れずにいた。結果として教条的な思考にはまり込んでいたが、一方で己の穢れを哀しむ心根も持ち合わせていた。 異端の存在として追っていたガッツとの接触によって自分の無力さを知り、また魔の世界の一端を垣間見る。そして自力で抗い続けるガッツに真実と生きる術を求めようと還俗、旅の同行を願い出る。この際、禊(みそぎ)として髪を切っている。 セルピコにすべてを任せきりのお嬢様育ちだったために、当初は料理も洗濯もできず一行の足手まといとなっていた。しかし「何もできない自分」を知ることで自分自身を見つめなおし、トロールからキャスカを命がけで守り抜いたことをきっかけに、キャスカが唯一言うことを聞く相手となり、ガッツからも信頼を得てキャスカの身を任されるようになる。 シールケの活躍に感動し、彼女を「先生」もしくは「御師匠様」と呼び慕い、弟子として魔法の教えを受け始める。やがてシールケの助力を借りながらも、四方の陣の術を発動させることができるまでに成長を遂げていく。 一行が船を求めてヴリタニスに立ち寄った折、融通を求めて実父と交渉しようとヴァンデミオン家の屋敷に立ち寄るが、幼少のころからのトラウマを払しょくできず、威圧されて謹慎を命じられてしまう。しかし兄のマニフィコからは理解を寄せられ、その友人、”航海王子”ロデリックとの企みに協力することで、結果的に彼らを一行に加え、船を得ることに成功する。また、屋敷で再会した母から「あなたは居場所を見つけられれば誰より優しくなれる」との助言を受け、パーティ会場に現れた魔物との戦いを経て、自分の意思でガッツたちとの旅を選び取った。 ロデリックに対し悪感情は抱いていないが、ガッツにも言葉や態度にできない淡い想いを寄せている。イシドロとパックからは「ファルネーちゃん」と呼ばれている。武器は銀のナイフと銀の鎖帷子、敵を拘束できる棘の蛇。 セルピコ 声 - 水島大宙 / 興津和幸(少年時代 - Lynn) ファルネーゼに付き従う従者の青年。元聖鉄鎖騎士団員。フェディリコが侍女に産ませたファルネーゼの異母兄(四兄)にあたるが、彼女はこの事実を知らない。ファルネーゼに拾われる前は父が誰かを知らず、荒屋で病に臥せった母を1人で世話しており、見捨てられた身でありながら貴族に縁ある身であることを事毎に強調し、貴族としての振る舞いを躾けようとする母を、心中疎ましく思っていた。 「餌場」の縄張り争いを巡って暴行を受け、雪の中で行き倒れかけていた所をファルネーゼに拾われ、ヴァンディミオン家に小間使いとして仕えるようになる。少年期は主であるファルネーゼから、利己的で無茶な要求を強いられつつ、与えられた役割を淡々とこなしていた。やがて母から譲り受けた首飾りから、当主フェディリコの非嫡出子であり、血縁上ファルネーゼの異母兄にあたることがフェデリコ本人の知るところとなり、事情を口外しないことを条件に爵位を授かる。ある日、疎遠になっていた母がファルネーゼ指揮下で邪教徒として晒され、半強制的に実母の火刑に加担。この一件は彼に火に対するトラウマを刻み込んだ。 聖鉄鎖騎士団に所属していた時は紋章官の職にあったため、各国の紋章に精通しており、世情や政、国家間の力関係に対しても詳しい。過去の経緯から家事も得意。処世術に長け普段は茫洋として韜晦しているが、殺気を帯びるや表情が豹変する。断罪の塔以降、ファルネーゼを追って騎士団を抜けガッツ一行に加わったが、もしもファルネーゼが落命することがあれば、ガッツの殺害も辞さない旨を明言している。 元々感情の起伏が平坦だったが、ガッツが見せる不屈の闘志に感化されつつある。ガッツ一行との旅程に付き合うことで、世間知らずのお嬢様から少しずつ成長を遂げていくファルネーゼを好もしく見守っているが、その一方で「狂戦士の鎧」によるガッツの暴走が、いつか彼女の心身を傷つけるのではと危惧している。 普段は猫をかぶっているが戦闘能力、知能共に人並外れており、ガッツからも一目置かれている。ガッツとはその場の成り行きとファルネーゼに対する思いから2度に渡って決闘しているが、ヴァンディミオン家に仕えてから身に付けた高度な剣技と、卓越した頭脳による詭計を駆使し、2度とも彼の戦技を封じる策を講じてほぼ互角に渡り合った。武器はシルフェの剣とフードとレイピア。パックからは「ピコりん」と呼ばれている。 アザン 声 - 安元洋貴(アニメ第2作) 元聖鉄鎖騎士団副団長。「鉄棍鬼アザン」の異名を持つ。騎士道精神を体現する質実剛健で愚直な武人。愛用の武器である長大な鉄棍を自在に操り、その攻撃は強力にして正確(これが「鉄棍鬼」の二つ名の由来)。副団長だったころは団長のファルネーゼを補佐する立場にあり、部下からの人望も厚く、実質的に騎士団の要であった。僧籍にある身分として教えに沿い、壮年ながら独身を通している。橋に立ち往生していた老人を庇い、強引に橋を渡ろうとした100の騎馬隊相手に渡り合ったと言う逸話(ガッツ曰く「その老人を橋の袂まで担いで行けば済むだろうという笑い話」)から「橋の騎士」の異名も持つ。 元々は世俗の騎士団に所属していたが「守るべき者に裏切られた」ことにショックを受け、出家し僧侶となる。アルビオン寺院の怪異では崩れた門の下敷きになるが、鉄棍がつっかい棒になり、九死に一生を得る。断罪の塔以降、ファルネーゼ主従の脱退など一連の事態に対し、自ら責を負う形で教会から追い出されるように職を辞し、ヴリタニスでは食うや食わずの生活だったが、ガッツ一行が帆船に乗り込むために使った小船で寝ていたために一緒に乗船(結果的に無断無賃乗船の形)することになった。教会から追い出される形で脱退しているため、法王庁直下の者の前では体裁が悪く「黒髭の騎士」と名乗って(一応)身分を隠しており「海馬号」で人足として働く身。常時兜を被っていて暇があれば甲板上でイシドロに剣術の稽古をしている。 イシドロ 声 - 吉野裕行 / 下野紘 「最強剣士」を目指す少年。自称「ガキ」。パックとイバレラから特段に小馬鹿にされており、「コソドロ」「ドロピー」などと名前をまともに呼ばれない。山間育ち。 イシドロという名前が通称なのか本名なのかは不明。 噂話で聞いた「鷹の団切り込み隊長(ガッツのことだが、ガッツが鷹の団にいたことを知っても尚気づいていない)」への憧れから剣の道を志し家出する。家出をしたものの、集団に属するなど社会的適応力や経済能力は皆無に等しく、戦乱の中で大人に反抗し己の腹を満たすことだけしか考えていなかった。1年間、国中を放浪し窃盗を働いていたところガッツとバーキラカの戦闘に遭遇。勝手にガッツを剣匠及び当座の目標として特訓を要求し、ガッツ一行の旅に同行する。 集団を嫌う彼が、社会に出て初めて集団の一員として属したのがガッツ一行だった。以来、自己中心的だった彼が自分のためではなく、仲間のために剣を振るうようになる。 以前行っていた窃盗行為は度々行うもののガッツと出会ったことにより終息する傾向にある。窃盗犯罪の代わりに剣の道を志し、それが彼の精神を鍛える結果となる。弱い者を虐げる、髭骸骨の卑劣な犯罪行為を阻止したことがきっかけに正義感が芽生え、それを期に犯罪行為は行わなくなった。 戦闘中、咄嗟に状況を利用する頭の回転の良さは、並みの大人以上の才能だと髭骸骨に評価される。 威勢が良く勝気で目立ちたがり屋、かつ挑発的な性格のため、生真面目な性格の人間とは馬が合わない。そのせいでシールケとはよく諍いを起すが、一方でほのかな恋心を抱いてもいる。 悪ぶってはいるものの、己の身を投げ捨ててまで人を助けようとする正義感と、女性や年寄り相手には、守る気概を見せる一方で見栄を張るという、根っからの男性気質の持ち主。乱世においても定住の地に執着し、事なかれで耐え忍ぶ者らを軽蔑し、格式張った人間や居丈高な者を嫌い、度々諍いを起す。反面、自分の能力の至らなさも認めており、度々自分自身を「ガキ」呼ばわりしている。 歳相応の少年らしく性行為や女体に興味津々である。しかし、断罪編生誕祭の章では肉欲に溺れず(サバトの乱交現場に石を投げる、娼婦たちの誘いを断るなど)自らの夢を実現する道を選んだ。実際にもまだまだ羞恥心のほうが勝っており、イスマの裸を目の前にしたときも直視できなかった。 抜きん出た投石技術を持ち、百発百中の腕前を誇る。 剣の腕前は最初こそ経験の無さで未熟であったが、子供ゆえの非力さを俊敏性と武器であるサラマンデルの短剣の炎を使って補い、特訓や魔物との戦いの中で低位置から攻撃する短剣での我流の二刀流を体得。「低く、もっと早く」という戦法は、子供であることを受け入れた彼の生み出した技だった。その後はガッツ、セルピコと共に魔物戦で活躍し、一行の中でも十分な戦力だが人を斬ることに対しては躊躇を見せる。また、パックからエルフ次元流を習っている。最初は師弟関係を否定していたが、後に師弟を名乗るようになる。 作中何度かの服装の変更がある。度々上半身裸になるが、細身ながらしっかりとした筋肉を纏った体である。 シールケ 声 - ゆかな / 斎藤千和 霊樹の館に棲む魔女フローラの下で修行を積んでいた華奢で小柄な魔女見習いの少女。師の命でガッツ一行に同行する。見習いながら自分の能力に見合わぬ強大な精霊を幽界から呼び出し、翻弄されかけるなど危うい面もあるが、強力な魔術を使う他、呪物や呪文を使った結界、小動物への憑依、魔除けの護符、念じる事で放たれる火矢、自身の頭髪を媒介とする仲間らとの念話、などの多岐にわたる術を駆使しガッツ一行を援護する。時折本人の意思とは無関係に、その時に触れていた者の意思に憑依し介入、同調することができ、かつ魔法を発動できる。なお、魔法発動時は意識が体から離れ無防備な状態となるため結界か護衛が必須になる。 生真面目かつ優等生的な性格で、思考が魔術的常識に偏りがち。魔道を迫害し、争いも絶えない現世の人間やその社会に否定的でどこか厭世的な感情を抱いている。常に敬語を使い大人びた態度をしており、旅に同行するのは本人の意図するものでは無く半ば強引な成り行きだったこともあって、ガッツ一行に対しても居丈高な態度をとっていたが、旅を通じ新たな視点も得ていき、年齢相応の幼さも見せていく。 衣装は師から譲り受け大事にしている鍔広のとんがり帽子に外套と木の杖と言う典型的な魔女装束。魔法習得を申し出たファルネーゼから「先生」もしくは「御師匠様」と呼ばれ慕われている。旅の途上ファルネーゼ同様ガッツに淡い感情を抱いており、無茶な戦いをするガッツの身を案じつつ協力し、涙を流して警告し諌めている。また、とあるアクシデントでガッツに憑依、狂戦士の甲冑による悪影響を防いだことから、甲冑使用の際に魔法によって意図的に憑依することでナビゲーション及び制御弁的な役割も担っている。 イバレラ 声 - 田村ゆかり / 新井里美 シールケのお目付け役のエルフ。パックと同じく羽精の一族で、羽根に強力な治癒作用のある鱗粉を持つ。他人の恋心を敏感に察知して茶化す一方、横柄な性格であり、パックとイシドロを特に小馬鹿にしている。魔法発動時のシールケの補佐役。 マニフィコ 本名は「マニフィコ・ド・ヴァンディミオン」。フェディリコの三男。ブラージュ支店銀行業務及び商品取引業を請負う。小物で常識人だが、反面目端が利く野心家でもあり、母親曰く若い頃の父親に似てきているという。父に反発し、境遇の似ている妹ファルネーゼに同情を寄せている。ロデリックとは大学からの親友で外洋に大望を抱く仲。 ロデリックとファルネーゼを政略結婚させようとし、それを公の場で発表しようとするが失敗。クシャーン襲撃の最中、ロデリックが妹とその仲間たちを自分の船に乗せて旅立とうとした際、このまま居残っては失態で追及されると危惧し自分も船上の人となる。パックからは「マニ彦さん」と呼ばれ、絶好のからかい相手として目をつけられている。船酔いが酷い。 ロデリック 本名は「ロデリック・オブ・シュタウフェン」。北方の国イースの王位継承権第3位王族にして海軍士官であり艦長職。ガレオン船の舳先に馬の船首像を頂く「海馬号」船長。卓越した指揮力を持ち、1隻でチューダー軍船5隻を打ち負かした経歴などから「航海王子」の異名を持つ。 ファルネーゼとの婚約はマニフィコの企みによるものだが、ロデリック自身は彼女のユニークな気質に惚れ込んでいる。他国の干渉を嫌い、閉鎖的な政策を執る母国に見切りをつけ、マニフィコと共に外洋に目を向け新時代を築き上げようと意気込んでいる。気さくかつ豪胆な性格で、ガッツ一行の乗船を快く引き受ける。 イスマ ガッツ達が妖精島に向かう途中に立ち寄った島でイシドロ、シールケが出会った少女。ウェーブがかかった髪型をしていて、砕けた口調で喋る。泳ぎが得意で、銛を手に素潜り漁をしながら日々の糧を稼いで生活を凌いでいた。物心付いた時には既に母親は姿を消し、父親との2人で暮らしていたが海馬号到着4年前に父親が他界。以降、島民らから疎んじられ排他的な環境の中、孤独な生活の中で生きていた。病床に臥せった父親が今際の際、過去に人魚と付き合っていたと打ち明け、いつか母(人魚)が娘を迎えに来ると言い残し、看取ったという身の上を語る。島外からの来訪者に興味津々で物珍しさも手伝って自ら積極的に甲斐甲斐しく世話を買って出る。直後「海神」が暴れ出し、その「一部」と化した島民達に襲われたが、ガッツ達の助太刀もあり撃退。同時に自分が島民最後の生き残りであることを確信し、一抹の慚愧の念を感じつつ号泣しながら離島を決意した。 「海神」との戦いでイシドロが船から転落した際、身を挺して海に飛び込み救出を試みる。その時、どこからか聞こえてきた声に促されて自分の「真名」を唱えたことで人魚へと変身。水中に没した彼を助け出し、父が死の間際に打ち明けた「人魚の子」が事実であると確信、直後に「真名」を聞かせた人魚の母と再会を果たし、母と共に現れた大群の人魚と協力して「海神」を討伐し海馬号に同行する。
※この「ガッツ一行」の解説は、「ベルセルクの登場人物」の解説の一部です。
「ガッツ一行」を含む「ベルセルクの登場人物」の記事については、「ベルセルクの登場人物」の概要を参照ください。
- ガッツ一行のページへのリンク