クリスマス 日本のクリスマスの歴史・行事

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クリスマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/27 05:45 UTC 版)

日本のクリスマスの歴史・行事

歴史

明治維新以前

1552年(天文21年)に周防国山口(現在の山口県山口市)において、カトリック教会イエズス会)の宣教師であるコスメ・デ・トーレスらが、日本人信徒を招いて降誕祭のミサを行ったのが、日本で初めてのクリスマスである[注釈 4]。しかし、その後江戸幕府禁教令によってキリスト教は禁止されたことで、明治の初めまでの200年以上の間、隠れキリシタン以外には全く受け入れられることはなかった。

一部の例外として、長崎出島オランダ商館に出入りするオランダ人たちは、キリスト教を禁止する江戸幕府に配慮しつつ、自分たちがクリスマスを祝うため、オランダの冬至の祭りという方便で「オランダ正月」を開催していた。これには幕府の役人や、通訳蘭学者などオランダ人と付き合いのある日本人も招かれた。また、長崎に住むオランダ通の日本人たちの間でも、これを真似て祝うことがあった。オランダ商館の者たちは、江戸に出仕する事もあったが、彼らを迎え入れる江戸の役人たちは、オランダ正月を参考に、オランダの料理や文物などを用意して、オランダ人たちをもてなしたとされる。

明治・大正時代

子供之友』1914年12月号挿絵

日本でクリスマスが受け入れられたのは、1900年[29](明治33年)に明治屋が銀座に進出し、その頃からクリスマス商戦が始まったことが大きな契機であった。

大正時代になると、児童向け雑誌や少女雑誌の12月号には、表紙をはじめとしてクリスマスにまつわる話や挿絵がたくさん導入された。1925年(大正14年)に日本で初めてクリスマスシール(結核撲滅の寄付切手)が発行される。

昭和(戦前)

明治以来、皇位継承に伴って日が変更される休日には天長節天皇誕生日)と先帝祭(先帝崩御日)の2つがあった。1926年(大正15年)12月25日の大正天皇崩御に伴い、1927年昭和2年)3月4日に当時の休日法「休日ニ関スル件」が改正され、昭和時代の先帝祭にあたる大正天皇祭(12月25日)が設定された。日本でクリスマスの習慣が広く普及したのは12月25日が休日となっていたこの時代からとされている。1928年(昭和3年)の朝日新聞には「クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースは立派に日本の子供のものに」と書かれるまでに普及していた[30]

昭和初期の頃、銀座渋谷道玄坂から浅草にいたるまでの多くのカフェや喫茶店においてはクリスマス料理の献立を用意し、その店員はクリスマスの仮装をして客を迎えた。この様子を1931年(昭和6年)12月12日都新聞は、「七千四百余のカフェと二千五百余の喫茶店に華やかにクリスマスが訪れサンタ爺さん大多忙を来たす」と報じた。

第二次世界大戦の最中、1944年に撮影された『加藤隼戦闘隊』では、前線部隊の食堂でクリスマスツリーが飾られているシーンが映っているなど、戦争中でもクリスマスを祝う者はいたようである。

昭和(戦後)以後

1948年(昭和23年)7月20日に「国民の祝日に関する法律」が施行され、大正天皇祭は休日から外されたが[注釈 5]、以降もクリスマスは年中行事として定着し、行事も盛大に行われるようになった。また、12月23日生まれである明仁が皇位にあった平成年間には、クリスマス・イヴが天皇誕生日振替休日となる年もあった(1990年2001年2007年2012年2018年)。

東京・丸の内ビルディング(2006年)

商業施設では早いところは11月上旬からクリスマスツリーが飾られ、クリスマスセール等が行われる。店内にはクリスマスソングが流れ、洋菓子店ではクリスマスケーキが販売される。街中では街路樹に豆電球2010年代以降は省エネに配慮してLED照明)が飾り付けられる(イルミネーション)。庭のある家庭では、庭木などに電飾を施すこともある。商業施設などの場合、12月24日のクリスマス・イヴにイベントなどを開くことがある。

イギリスおよび英連邦諸国では、12月26日に使用人や配達人などにプレゼントを渡すボクシング・デーがあり、1月6日までをクリスマス期間ともしている[注釈 6]のに対して、日本では12月26日になると、クリスマスの飾りが一転して門松などの正月飾り(日本の神道式)に付け替えられたり、小売店などでも正月準備用や大掃除用商品の陳列・販売が中心となる、BGMも『お正月』が流れる、という点が世界的に見て特徴的である。これは「クリスマス」を神聖な宗教行事としてではなく、商業行事としてみなすだけで、正しい理解を示さないがために起こる状況である[31]。近年では、1月1日の「カウントダウンイベント」が盛んになる12月31日深夜まで、イルミネーションがそのままにされているところも出てきている。

日本でもクリスマスは大きなイベントとして定着したが、やはり本場のキリスト教圏と比べるとその規模は小さいという指摘もある。2014年に旅行サイトのスカイスキャナーが発表した「宗教的あるいは個人的、思想的な理由などでクリスマスを祝う習慣がなく、クリスマスの大騒ぎを避けたいと思っている」人に勧める「クリスマスを避けるために行く国トップ10」のランキングでは、イスラム国家サウジアラビアアルジェリアイランや、仏教国のタイ社会主義国家の中国北朝鮮などを押さえ、日本が1位となっている[32]。「サンタをたまに見かけるかもしれないが、日本はクリスマスが祝日でなく、12月25日も人々は普段通り仕事をする」ためである[32]

個々の場合

教会でのクリスマス

日本のキリスト教教会(日本基督教団甲南教会)のクリスマス讃美礼拝

キリスト教教会は一般に、キリスト教徒であるか否かに関係なく門戸を開いており、教徒でない人もクリスマスの礼拝に出席することは可能である。日本各地の、正教会の晩祷聖体礼儀や、カトリック教会ミサに出席し参加することができる。また、聖公会プロテスタントの諸教会でも、非信徒をも歓迎しているところが多い(各教会堂の掲示板に「クリスチャンでない方もお気軽にどうぞ」と掲示が出る)。

家庭のクリスマス

日本人男女を対象とした2006年平成18年)の統計調査によると、クリスマスは誰と過ごすか、との質問に対し「家族」との答えが約6割と圧倒的多数を占め、またクリスマスの過ごし方は「家でのんびりする」が群を抜いて1位(66%)となるなど、日本人がクリスマスを家庭で過ごす傾向が明らかになった[33]。また子供たちにとってはサンタクロースがプレゼントを持って来てくれる嬉しい日である。

独身者のクリスマス

家族と過ごす人、恋人と過ごす人、友人と過ごす人、家で独りで過ごす人など、クリスマスの過ごし方は様々である[34]

しかし、1930年代から、パートナーのいる人にとっては着飾ってパートナーと一緒に過ごしたり、プレゼントを贈ったりする日となっている。1931年(昭和6年)には、パートナーのいない"不幸な青年たち〔ママ〕"独身者には方々のレストランが「一円均一」のクリスマスディナーを売り出すなどして歓迎した、とも報じられた[35](現在の相場に換算すると約3,000円。例えば、朝日新聞朝刊購読料が昭和6年で約1円の時代)。

2005年(平成17年)11月に行われた1都3県の20〜39歳の独身男女計474名のインターネット利用者を対象とした調査では調査対象者の約7割が「クリスマスは恋人と過ごしたい」と考えていると回答した[34]

2006年(平成18年)、インターネットリサーチ会社、DIMSDRIVE『クリスマスの過ごし方』に関するアンケートでは、30歳代女性の43.5%が「自宅でパーティーなどをする」と回答している[36]

これらの風潮について批判もあり、イタリアの「ベネルディ」誌は2010年12月24日、『クリスマスの東京 愛を祝う』と題した記事で、“人口の僅かしかキリスト教徒が居ないのに、多くの人がプレゼントを交換しあうほか、男女の愛の祭りとなっている”と評した[37][注釈 7]。多くの日本人は、宗教行事としてイベントを行ってはいない。

教育機関のクリスマス

クリスマス行事は幼稚園保育所小学校などでも行われることがある(通常冬休みの直前に行うため、12月24・25日ではないことがほとんどである)。祈りを伴った正式の形で行われるのはいわゆる“ミッション系”に限られている。

スポーツの場合

クリスマスに大一番が有る時には、どの大会でも聖夜決戦と呼ばれる事がある。中央競馬有馬記念(グランプリ)がクリスマスに行われる場合はクリスマス・グランプリと言われることがある。

祝日化

12月24日若しくは25日又は1月6日若しくは7日にクリスマスが祝日と定められていない国

クリスマスは多くの国で祝日となっており、日本でも祝日にしようという動きもある。クリスマスの後に年末年始休暇となるため、有給休暇などを活用すれば、長期休暇が取りやすいという利点がある。しかし、多くの企業にとって、年末はいわゆる「繁忙期・かき入れ時」であることもあり、実現の見通しは全く立っていない。さらに、日本国憲法が規定する政教分離の原則から、特定の宗教の記念日を祝日とすることは難しい。

なお、平成時代においては天皇誕生日12月23日であったため、クリスマスを祝日にした場合は両日に挟まれた24日が自動的に国民の休日となり、3連休が発生するケースがあった。明仁2019年4月末で退位したことに伴い実現はしなかった(明治天皇や昭和天皇と違って指定は解かれ残らなかった)。

キリスト教が後世に伝来した、日本以外のアジア諸国は、クリスマスを法定祝日とする国では、古くから信仰される宗教への配慮から、他の宗教の記念日も、クリスマスと同等に法定祝日とする場合がある。




注釈

  1. ^ 一部の教派で、「誕生」ではなく「降誕」の語を用いる。
  2. ^ a b マドリード首都圏での発音。
  3. ^ イスラム教の預言者生誕祭は年の前半で、ヒジュラ暦に基づく
  4. ^ これを記念し、山口市では1997年より「日本のクリスマスは山口から」というイベントを開催している。
  5. ^ 先帝祭は休日から外されてしまったものの、宮中祭祀では変わることなく行われている。1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇崩御に伴い、平成時代の先帝祭にあたる昭和天皇祭が、ユリウス暦を採用する正教会のクリスマスと同日の1月7日となり、2代続けてクリスマスにまつわる日となっている。
  6. ^ カトリック教圏では、クリスマスプレゼントはクリスマス期間初日の12月25日ではなく、12日目の最終日である1月6日に渡されることが多い[要出典]アルメニア教会では1月6日当日がクリスマスにあたる。
  7. ^ イタリアは言うまでもなくカトリックの総本山・バチカンを抱える。

出典

  1. ^ クリスマス』 - コトバンク
  2. ^ a b キリスト教大事典 改訂新版』350〜351頁、教文館、1977年 改訂新版第四版
  3. ^ 百貨店業界など小売業界を中心に盛大に祝われる。東京ディズニーリゾートにとっても重要なお祭りである。 質問:クリスマスは12月25日?ロシアでは1月7日に祝うと聞いたのですがニコライ堂
  4. ^ 正教会では降誕祭は1月7日で祝われると教えられましたが、教会の予定表では12月25日ですね、どうしてですか名古屋ハリストス正教会
  5. ^ 正教会の出典:正教会の復活祭 2003年復活祭フォトレポート名古屋ハリストス正教会
  6. ^ カトリック教会の出典:四旬節 断食(大斎・小斎) カーニバルカトリック中央協議会
  7. ^ 聖公会の出典:復活祭を迎える日本聖公会 東京教区 主教 植田仁太郎)
  8. ^ プロテスタントの出典:『キリスト教大事典』910頁、教文館、1973年9月30日 改訂新版第二版
  9. ^ ​3. なぜ12月25日にイエスの誕生を祝うのですか。」『』。2018年4月6日閲覧。
  10. ^ Laudate | キリスト教マメ知識 女子パウロ会
  11. ^ a b 許油「釈迦とイエスに関する類似性と差異性について」『アジア・キリスト教・多元性 現代キリスト教思想研究会』第3号、京都大学キリスト教学研究室、2005年、 pp. 97-99。
  12. ^ "Christmas", The Catholic Encyclopedia, 1913.
  13. ^ a b Middle English Dictionary
  14. ^ Griffiths, Emma, "Why get cross about Xmas?", BBC website, December 22, 2004.
  15. ^ 例えば、Kempe, Alfred John, "The Loseley Manuscripts", London: John Murray, 1836, p.81, 90 や Safford, William H., "The Blennerhassett Papers", Cincinnati: Moore Wilstach Keys, 1861, p.572 など。
  16. ^ 例えば Akerman, John Yonge, "Moneys Received and Paid for Secret Services of Charles II and James II", London: Camden Society, 1851. p.12 参照。
  17. ^ 安岡孝一:『X'mas』か『Xmas』か、人文情報学月報、第39号
  18. ^ 研究社の英和辞典
  19. ^ 星新蔵 『あやまりやすい英語表現』 1965年
  20. ^ 『Manuscripts and Other Rare Documents』 1836年 John Murray
  21. ^ 『4 X'mas』 2008年 George Cameron Grant
  22. ^ 『PHOTOVIDEOi』 2006年12月号
  23. ^ ジェリー・ボウラー著 『図説 クリスマス百科事典』笹田裕子・成瀬俊一訳、中尾セツ子監修、柊風舎、2007年、550-553頁。
  24. ^ 藤高 (2018), pp.148-149
  25. ^ 「クリスマスさまざま 共産党へのお祭りに力こぶ」『朝日新聞』昭和25年12月25日
  26. ^ All About 2005年12月20日『クリスマス休暇中の運行・営業時間に注意
  27. ^ 月刊しまね いわみマガジン『石見男Noviからのミシガン便り 日本は祝日が多い!?
  28. ^ 米の企業、クリスマス休暇
  29. ^ First Christmas Clara D. Lepore
  30. ^ クラウス クラハト、克美・タテノクラハト『クリスマス〜どうやって日本に定着したか』角川書店、1999年、ISBN 4-04-883598-X
  31. ^ そもそも日本はクリスマスに限らず、バレンタインデーハロウィンにも同じ事が言えるように、宗教行事の神聖性を軽視し、おしなべて商業行事として捉える傾向が非常に強い
  32. ^ a b “「クリスマス騒ぎを避けるための国」トップ10、日本が第1位”. AFPBB News. (2014年12月20日). http://www.afpbb.com/articles/-/3034674 2015年1月4日閲覧。 
  33. ^ 楽天リサーチのインターネット調査。全国18歳から69歳の男女計720人を対象に行った。|市場調査・マーケティングリサーチ会社の【楽天リサーチ】” (日本語). 楽天インサイト(旧:楽天リサーチ) (2006年12月8日). 2011年11月4日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月2日閲覧。
  34. ^ a b 「独身男女のクリスマス動向調査」 (PDF) マッチ・ドット・コム インターナショナル リミテッド社調べ(2005年11月調査、2006年11月発表)
  35. ^ 1931年(昭和6年)12月25日付 報知新聞
  36. ^ DIMSDRIVE『クリスマスの過ごし方』に関するアンケート
  37. ^ 伊誌、日本のクリスマスを特集 「愛の祭」「教徒わずか」 共同通信 2010年12月25日
  38. ^ 「クリスマス、深く内省を」 ローマ法王、経済紙に寄稿 朝日新聞 2012年12月24日 ローマ支局・石田博士記者





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