来訪神とは? わかりやすく解説

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らいほう‐しん〔ライハウ‐〕【来訪神】

読み方:らいほうしん

異郷からやってきて人々歓待を受け、また帰ってゆく神。沖縄まゆんがなしなど。→客(まれびと)1

[補説] 男鹿(おが)のナマハゲ吉浜のスネカ米川(よねかわ)の水かぶり遊佐(ゆざ)の小正月行事アマハゲ)・能登(のと)のアマメハギ見島のカセドリ甑島(こしきしま)のトシドン薩摩硫黄島(さつまいおうじま)のメンドン悪石島(あくせきじま)のボゼ宮古島のパーントゥ10件の行事が、平成30年2018)に「来訪神 仮面仮装神々」の名称でユネスコ無形文化遺産登録された。


らいほうしん 【来訪神】

一年一度、時を定めて異界から人間界来訪し人々歓待される神の総称世界各地にこの信仰がある。秋田ナマハゲなどもその一つ作物豊穣や幸福をもたらす考えられている。→ まれびと

来訪神

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 22:31 UTC 版)

来訪神(らいほうしん)は、年に一度、決まった時期に人間の世界に来訪するとされるである。2018年(平成30年)には、日本の来訪神行事10件が「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。

概説

多くの場合、仮面仮装した異形の姿で現れ、豊饒や幸福をもたらすとされる。行事ではその地域の住民等が神に扮する。世界各地で行われるが、日本では折口学によりまれびととして提唱された。

日本の来訪神

来訪神:仮面・仮装の神々

日本における代表的な来訪神行事である鹿児島県薩摩川内市下甑島トシドンは、「甑島のトシドン」として、2009年(平成21年)に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された[1]。日本政府は、2016年(平成28年)に「甑島のトシドン」に他の来訪神行事を加えて8件に拡張した「来訪神:仮面・仮装の神々」の無形文化遺産登録をユネスコに提案した。しかし、審査が先送りされたため、2017年(平成29年)2月にはさらに10件に拡張して再提案し[2][3]2018年(平成30年)11月29日に登録(代表一覧表記載)が決定した[4][5][6]。登録に含まれる10件の来訪神行事は、以下の通りである。なお、これら10件の行事はいずれも重要無形民俗文化財に指定されている[7]

その他の来訪神行事

日本の来訪神行事には、無形文化遺産への登録が決定したもののほかに、以下のものがある[10]

このほか、「カセ鳥」などの小正月の訪問者も来訪する異形の者、という形式は類似している。

来訪神行事が伝わる地域はいわゆる「田舎」であり、少子高齢化が進む日本の中でも過疎が深刻な場合が多い。このため、来訪神に扮する人の年齢層を以前より広げたり、域外から訪れる人を加えたりする例もある[20]

脚注

  1. ^ 甑島のトシドン! ユネスコ無形文化遺産登録!!”. 薩摩川内市観光協会 (2009年). 2011年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月10日閲覧。
  2. ^ 無形文化遺産、「来訪神」10件で再申請へ 政府 日本経済新聞、2017年3月2日
  3. ^ 来訪神:仮面・仮装の神々” (PDF). 来訪神行事保存・振興全国協議会 (2017年11月). 2018年10月13日閲覧。
  4. ^ “ナマハゲ・アマメハギ…「来訪神」無形文化遺産に決定:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年11月29日). https://www.asahi.com/articles/ASLCP5JHPLCPUCVL01P.html 2018年11月29日閲覧。 
  5. ^ 「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録に当たっての総理メッセージ”. 首相官邸 (2018年11月29日). 2018年11月29日閲覧。
  6. ^ “「来訪神」が無形遺産に決定 ナマハゲなど10行事”. 日本経済新聞. (2018年11月29日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38307290Y8A121C1000000/ 2018年11月29日閲覧。 
  7. ^ 「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた再提案及び当面の対応について (PDF) 文化庁、2017年(平成29年)2月22日
  8. ^ 米川の水かぶり”. 宮城県 (2012年9月10日). 2018年10月13日閲覧。
  9. ^ 硫黄島 八朔太鼓踊り (鹿児島県指定無形民俗文化財)”. 三島村. 2018年10月13日閲覧。
  10. ^ 来訪神(らいほうしん)とは”. コトバンク. 2018年10月13日閲覧。
  11. ^ 日向の弥五郎人形行事記録保存調査委員会 2007.
  12. ^ 曽於市教育委員会 2011.
  13. ^ みやざきの神話と伝承101:来訪の神「メゴスリ」”. 宮崎県. 宮崎県. 2019年9月17日閲覧。
  14. ^ 森田 2009, pp. 3–13.
  15. ^ 鹿児島県教育庁文化財課 2018, pp. 255–258.
  16. ^ 石田晶子「沖縄におけるミルク信仰の現状:首里赤田町を事例に」『琉球アジア社会文化研究』第16号、琉球アジア社会文化研究会、2013年11月、30-59頁。 
  17. ^ 石垣島川平のマユンガナシ”. 科学映像館. 2018年10月13日閲覧。
  18. ^ 野村伸一. “マユンガナシの映像(1994年の記録)補遺”. 2018年10月13日閲覧。
  19. ^ 上野和男「波照間島の祖先祭祀と農村儀礼-ムシャ-マ行事を中心とする盆行事の考察(日本の農耕文化の諸問題-農耕文化研究会研究成果報告 1)」『国立歴史民俗博物館研究報告』第66号、国立歴史民俗博物館、1996年3月、179-212頁。 
  20. ^ 「来訪神 担い手いねがー/ナマハゲなど無形遺産勧告/過疎・高齢化、継承課題に」日本経済新聞』朝刊2018年11月14日(社会面)2018年12月31日閲覧。

参考文献

  • 日向の弥五郎人形行事記録保存調査委員会『日向の弥五郎人形行事調査報告書』都城市教育委員会、2007年3月。 NCID BA8166272X 
  • 森田, 清美『日置八幡神社デオドン(大王殿)再生事業調査研究報告書』日置八幡神社デオドン再生事業実行委員会、2009年、3-13頁。 NCID BA69370022 
  • 曽於市教育委員会『大隈「岩川八幡神社の弥五郎どん祭り」調査報告書(曽於市文化財調査報告書・鹿児島県指定無形民俗文化財)』曽於市、2011年3月。 NCID BB05551498 
  • 鹿児島県教育庁文化財課『かごしまの祭り・行事調査事業報告書』鹿児島県教育委員会、2018年3月、255-258頁。 NCID BB26103349https://www.pref.kagoshima.jp/ba08/maturigyouzi.html 

関連項目

外部リンク


来訪神

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 21:14 UTC 版)

年神」の記事における「来訪神」の解説

毎年正月に各家にやってくる来訪神である。地方によってはお歳徳(とんど)さん、正月様恵方神大年神大歳神)、年殿、トシドン年爺さん若年さんなどとも呼ばれる。 現在でも残る正月飾り物は、元々年神迎えるためのものである門松年神来訪するための依代であり、鏡餅年神への供え物であった。各家で年神恵方棚などと呼ばれる作り、そこに年神への供え物供えたトシドン鹿児島県薩摩川内市下甑島に伝わる年神である。 また陰陽家では、娑伽羅竜王しゃがらりゅうおう)の娘、女神頗梨采女(はりさいじょ)のことを年神といい、元旦来訪する神霊という。のちに、これに先祖霊加えられ習合した。

※この「来訪神」の解説は、「年神」の解説の一部です。
「来訪神」を含む「年神」の記事については、「年神」の概要を参照ください。

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