見島のカセドリとは? わかりやすく解説

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見島のカセドリ

名称: 見島のカセドリ
ふりがな みしまのかせどり
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 加勢鳥保存会
指定年月日 2002.02.20(平成14.02.20)
都道府県(列記): 佐賀県
市区町村(列記): 佐賀市蓮池町
代表都道府県 佐賀県
備考
解説文: 見島のカセドリは、佐賀県佐賀市蓮池はすいけ】町の見島地区行われている小正月行事で、笠を被りをつけたカセドリ呼ばれる青年二人が、夜に地区内の家々順番訪れ、手に持った青竹激しく畳や床に打ち付けて悪霊祓い、その年の家内安全や五穀豊穣祈願する行事である。
 蓮池町は、佐賀市東南部佐賀江【さがえ】川や城原じょうばる】川などが流れる、日本有数農業地帯である佐賀平野中央部位置している。蓮池町一帯は、かつては有明海干拓地であったが、寛永十六年(一六三九)に佐賀藩三支藩の一つである蓮池藩成立し初代藩主鍋島直澄なべしまなおずみ】によって蓮池城【はすのいけじょう】が整備されたのに伴って開墾進められ城下町として栄えようになった。しかし、当時井戸水海水混じり、夏になると疫病絶えなかったことから、藩主の直澄が紀州熊野三所権現勧請かんじょう】して熊野権現社を建立し当地鎮守として祀ったところ疫病途絶えたという。そして、これを機により一層加護祈念して始められたのが、このカセドリ行事であると伝えられている。毎年旧暦一月十四日行われてきたが、現在は、二月第二土曜日の夜行われている。
 カセドリ行事は、見島地区の人たちから構成される加勢鳥かせどり保存会によって伝承されている。カセドリは、神の使いとされる雌雄つがいので、加勢鳥表記されている。カセドリ役は、雄役と雌役のそれぞれ一名が、地区内に住む二〇前後未婚青年から選ばれるカセドリは、雌雄とも、を身につけ、頭には目と鼻と口だけを出して白手拭い巻き、その上から笠を被った姿をとり、手足には、手甲てっこう】、脚絆きゃはん】、白足袋をつける。そして、手には、長さメートルほどの青竹を持つ。この青竹は、下半分を縦に細かく割り裂いて、その上部に縄を二か所巻き付けて握る部分作ったもので、たたきつけるガシャガシャという音が出るようになっている
 カセドリのほかには、提灯持ち天狗持ち御幣【ごへい】持ち、籠担いなどの役割がある。これらの役も地区内に住む若者から選ばれ御幣持ち一名、その他は各二名ずつとなる。提灯持ちは、夜道先頭歩いて一行先導する役目で、青年層中でもカセドリ役を経験した比較年長者がその役につくことから、指導長とも呼ばれている。天狗持ちは、赤と青の一対天狗面、御幣持ちは、幣束それぞれ持つ役目で、籠担いは、各家を訪問したときにもらう祝儀や各家に渡す大福帳入れておく籠を棒に渡して担いで運ぶ役目である。
 こうした諸役選出カセドリが持つ道具類の製作などの準備は、年が明けた一月中に行われるカセドリ選ばれ二人青年は、行事一週間ほど前になると、地区年輩者たちの指導のもとに、竹を打ち鳴らす所作などの練習始める。
 行事当日は、夕方から、や笠などの衣装類や御幣天狗面などの道具が供え置かれている熊野権現社に一同参り、それらを受けてにつけた後、行事が始まる。カセドリ役の二人は、熊野権現社の鳥居の外で待機し拝殿前にいる提灯持ち合図で、雄役、次いで雌役の順で、割れた青竹の先を地面擦りつけながら拝殿内に走り込む。そして、カセドリは顔を伏せて屈んだ姿勢をとると、青竹拝殿の畳の上小刻みに激しく打ち付けて鳴らす。これは飛び立つときの羽音表現しているとも、またこの音で悪霊退散させるともいわれている。
 その後提灯持ち合図拝殿から出たカセドリ役は、青竹の先を地面擦りながら小走り熊野権現社の周囲右回りに三周し、最後に再び拝殿内へ駆け上がって青竹打ち鳴らす。この熊野権現社での儀礼終了すると、地区内の各家を訪問するため、提灯持ちカセドリ天狗持ち御幣持ち、籠担いの順で行列つくって神社出発する
 見島地区は、二三戸数があり、一年交替東回り西回りカセドリ一行家々を巡る順番決めている。カセドリは、この道中、青竹地面に引きずって音を立てながら暗い夜道歩いていき、各家を巡る間は無言で通す。そして、カセドリ一行は、屋敷内に入ると、まず提灯持ち一人がその家の主人挨拶行きカセドリ到着伝える。天狗持ち御幣持ち、籠担いは、屋敷の庭で待機している。その家の者が全員揃い用意が整うと、提灯持ち玄関口合図をし、カセドリ役が雄役、雌役の順で、青竹の先を地面擦りつけながら家内勢いよく走り込むかつては土間から座敷上がり込むことが多かったが、近年玄関口から飛び込んで上がりかまち青竹打ち鳴らすことが多くなっている。しばらく青竹を鳴らすと、ころあいをみてその家の者が酒やなどをカセドリ振る舞う

見島のカセドリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 07:15 UTC 版)

見島のカセドリ(みしまのカセドリ)は、佐賀市蓮池町の見島地区で小正月に行なわれる来訪神行事[1]




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