まれびととは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > まれびとの意味・解説 

まれ‐びと【客/賓/人】

読み方:まれびと

《まれに来る人の意》

民俗学で、異郷から来訪する神をいう。人々歓待受けて帰る考えられた。折口信夫の用語。

まろうど」に同じ。

「—の饗応なども」〈徒然二三一〉


まれびと 【客・賓】

マラヒトの転で、稀に来る人の意。江戸初期までは清音マロウドとも)大空・海の彼方常世国などから来て々をめぐり、富や齢をもたらし、その年に行うべきことを予告する信じられている神。「なまはげ」のように異形であったり、祖先神であったりする。

まれびと

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/07 10:11 UTC 版)

まれびとマレビト(稀人・客人)は、時を定めて他界から来訪する的もしくはの本質的存在を定義する[1]折口学の用語。折口信夫思想体系を考える上でもっとも重要な鍵概念の一つであり、日本人信仰・他界観念を探るための手がかりとして民俗学上重視される。まろうどとも[2][3]

概要

外部からの来訪者(異人、まれびと)に宿舎や食事を提供して歓待する風習は、各地で普遍的にみられる。その理由は経済的なものが含まれるが、この風習の根底に異人を異界からの神とする「まれびと信仰」が存在するといわれる。

「まれびと」の称は1929年昭和4年)、民俗学者の折口信夫によって提示された。彼は「客人」を「まれびと」と訓じて、それが本来、神と同義語であり、その神は常世の国から来訪することなどを現存する民間伝承記紀の記述から推定した。折口のまれびと論は「国文学の発生〈第三稿〉」(『古代研究』所収)によってそのかたちをととのえる。右論文によれば、沖縄におけるフィールド・ワークが、まれびと概念の発想の契機となったらしい。

常世とは死霊の住み賜う国であり、そこには人々を悪霊から護ってくれる祖先が住むと考えられていたので、農村の住民達は、毎年定期的に常世から祖霊がやってきて、人々を祝福してくれるという信仰を持つに至った。その来臨が稀であったので「まれびと」と呼ばれるようになったという。現在では仏教行事とされている行事も、このまれびと信仰との深い関係が推定されるという。

まれびと神は祭場で歓待を受けたが、やがて外部から来訪する旅人達も「まれびと」として扱われることになった。『万葉集東歌や『常陸国風土記』には祭の夜、外部からやってくる神に扮するのは、仮面をつけた村の若者か旅人であったことが記されている。さらに時代を降ると「ほかいびと(乞食)」や流しの芸能者までが「まれびと」として扱われるようになり、それに対して神様並の歓待がなされたことから、遊行者の存在を可能にし、貴種流離譚(尊貴な血筋の人が漂泊の旅に出て、辛苦を乗り越え試練に打ち克つという説話類型)を生む信仰母胎となった。

来訪神のまれびとは神を迎える祭などの際に、立てられた柱状の物体(髯籠・山車など)の依り代に降臨するとされた。その来たる所は海の彼方(沖縄のニライカナイに当たる)、後に山岳信仰も影響し山の上・天から来る(天孫降臨)ものと移り変わったという。

オーストリアの民族学者であるアレクサンダー・スラヴィクは、友人の岡正雄により日本における「まれびと信仰」の実態を知り、ゲルマン民族やケルト民族における「神聖なる来訪者」の伝説や風習と比較研究した[4]

脚注

  1. ^ 福田アジオ「日本民俗学の開拓者たち」(山川出版社 2009年 ISBN 978-4-634-54706-3) 71ページ
  2. ^ 新村出編『広辞苑』(第五版)岩波書店、1998年。
  3. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)『まろうど』 - コトバンク
  4. ^ A・スラヴィク『日本文化の古層』未来社、1984年、84-86p頁。 

文献情報

関連項目

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「まれびと」の関連用語

まれびとのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



まれびとのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのまれびと (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS