クリスマス 世界のクリスマス

クリスマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/27 05:45 UTC 版)

世界のクリスマス

フランスでは多くの教会堂内武または外部に「降誕場面」が飾られる。

キリスト教の中でもカトリックの影響の強いイタリアポーランドフランススペインなどでは、クリスマスは12月25日に始まり、1月6日公現祭(エピファニア)に終わる。クリスマスの飾り付けは23日頃に行う。24日はクリスマス・イヴとして夜を祝う。

フランスの多くの教会堂の内部あるいは外部で「降誕場面」(フランス語で「クレーシュCrèche、キリスト生誕時の情景を表した模型)が飾られ、それを見て人々はその出来事に想いを馳せる。大人たちは、12月初旬からクリスマスにかけて、愛情を込めた言葉を記したクリスマスカードを郵送しあう。子供達がプレゼントを貰うのは1月6日である。

イタリアのほとんどの地域ではプレゼントを持って来るのは、魔女ベファーナとされる。これらの国々でのクリスマス期間は12月24日から公現祭までで、飾り付けは1月6日を過ぎてから取り払われる。

オランダドイツの一部地域などでは、12月6日がニコラウスの日で、子供達はプレゼントをもらう。ドイツでプレゼントを持ってくるのは北部ではヴァイナハツマン(Weihnachtsmann、「降誕祭の男」)、南部ではクリスト・キントChristkind、「キリストの子」)と呼ばれている。プレゼントを貰えるのは、それまでの1年間に良い子だった子供だけで、悪い子は石炭を与えられたり、木の枝で打たれることになっている地域もある。

北欧のクリスマスはユールと呼ばれ、聖ルチア祭から始まる。古代ゲルマン冬至祭の影響を色濃く残しており、ユール・ゴート(ユールブック)と呼ばれる、ワラで作ったヤギを飾ること、妖精がプレゼントを持って来てくれることなど、独自の習慣が見られる。また、クリスマスの時期は真冬であるため、小鳥たちがついばめるように、ユールネックというの穂束を立てる習慣もある[23]

イギリスやアメリカのクリスマスではサンタクロースが強調されるが、この原型はシンタクラースまたはミラのニコラオスだと考えられている

アメリカ合衆国では、イギリス流のクリスマスが一般的で、日本のクリスマスもイギリス流を受け継いでいる。この日の前に、クリスマスの挨拶にとクリスマスにちなんだ絵はがきカードグリーティングカード)を送る習慣がある。

イギリスやアメリカでは、クリスマスは基本的に自宅で家族と過ごすものであり、クリスマスのずいぶん前から一緒にリースクリスマスツリーを作ったり、家を飾り付けるなどの協同作業をすることで家族で一緒に過ごす喜びを確認し、クリスマスの当日には家庭料理を味わうのが一般的であり、あえて外出するのはクリスマスミサに参加するため、教会に行くくらいである。

イギリスではサンタクロース(Father Christmas)が12月25日にプレゼントを持って来る。アメリカ合衆国では、プレゼントを家族全員で交換し合う習慣がある。クリスマスの日には台所周辺にヤドリギが飾られる。19世紀のイギリスを中心に、ヤドリギの下に偶然女性が立った場合、その女性にキスをしてもよいとする習慣があった[24]

ソビエト連邦時代のロシアでは、クリスマスは伝統的な祭りとして禁止こそされなかったものの政府側は良い顔を見せず、キリスト教的な考えを壊そうとする、ソビエト共産党の意向沿ったものにするなど政治色の強いものとなっていた。特にヨシフ・スターリンの時代では、クリスマスがスターリンの誕生日の四日前ということもあり、クリスマスツリーにスターリンの写真をつるすといったことも行われた。子供は、サンタクロースに手紙を書く代わりにクレムリンに平和への感謝を記した手紙を書くように強いられた[25]

1990年代からアメリカ合衆国では、宗教的中立の観点から[注釈 3]、またユダヤ教の祭日ハヌカーがほぼ同じ時期であることもあり、クリスマスを祝わない立場の人に対して「メリー・クリスマス」の代わりに「ハッピー・ホリデーズ(Happy Holidays)」(「楽しい休日・祝日を」)の挨拶を用いる場合がある(ポリティカル・コレクトネスを参照)。

1990年代後半から、政教分離の原則のもと、公共の空間に飾られたクリスマスツリーを「ホリデーツリー」と言い換えるケースが出てきたが、キリスト教右派団体から批判を受けている。また、1960年代からアフリカ系アメリカ人の間で、クリスマスの翌日からアフリカ民族の伝統を祝うクワンザーという行事を家庭で行うことが増えている。

欧米諸国、さらに大韓民国中華人民共和国香港特別行政区、同マカオ特別行政区では、クリスマスは法定祝日である。ヨーロッパでは12月24日(イヴ)から1月1日(元日)までクリスマス休暇が続く(曜日配列の関係で12月22日もしくは12月23日から始まったり、或いは1月2日もしくは1月3日まで続く年もある)。12月25日(24日の終電から26日の始発まで)は、ロンドン地下鉄ロンドンバスは全線運休になる[26]

一方、アメリカでは25日と1月1日だけが祝日で、後は個人で各々有給休暇を取得して休むのが一般的である[27][28]も休暇となり、基地や宿営地は閉鎖され、派兵中でない兵士達は自宅へ帰宅する。

オーストラリア南米など南半球の国々では、クリスマスは真夏となる。そのためクリスマスパーティーは、屋外やプールなどで開催されることも多い。

正教会圏に含まれるロシアでは、クリスマスは「冬祭り」、サンタクロースは「マロース爺さん」(ロシア語で、マロースは「吹雪」の意味)と呼ばれており、スネグーラチカ(雪娘)を連れているとされる。ロシア正教会セルビア正教会など、ユリウス暦を使う正教会の降誕祭(クリスマス)は、1月7日(ユリウス暦で12月25日)である。

宗教弾圧が行われていたソビエト社会主義共和国連邦は、表向き大々的に降誕祭が祝われることは無かったが、ソ連崩壊後の旧ソ連諸国で、降誕祭が大々的に祝われるようになった。




注釈

  1. ^ 一部の教派で、「誕生」ではなく「降誕」の語を用いる。
  2. ^ a b マドリード首都圏での発音。
  3. ^ イスラム教の預言者生誕祭は年の前半で、ヒジュラ暦に基づく
  4. ^ これを記念し、山口市では1997年より「日本のクリスマスは山口から」というイベントを開催している。
  5. ^ 先帝祭は休日から外されてしまったものの、宮中祭祀では変わることなく行われている。1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇崩御に伴い、平成時代の先帝祭にあたる昭和天皇祭が、ユリウス暦を採用する正教会のクリスマスと同日の1月7日となり、2代続けてクリスマスにまつわる日となっている。
  6. ^ カトリック教圏では、クリスマスプレゼントはクリスマス期間初日の12月25日ではなく、12日目の最終日である1月6日に渡されることが多い[要出典]アルメニア教会では1月6日当日がクリスマスにあたる。
  7. ^ イタリアは言うまでもなくカトリックの総本山・バチカンを抱える。

出典

  1. ^ クリスマス』 - コトバンク
  2. ^ a b キリスト教大事典 改訂新版』350〜351頁、教文館、1977年 改訂新版第四版
  3. ^ 百貨店業界など小売業界を中心に盛大に祝われる。東京ディズニーリゾートにとっても重要なお祭りである。 質問:クリスマスは12月25日?ロシアでは1月7日に祝うと聞いたのですがニコライ堂
  4. ^ 正教会では降誕祭は1月7日で祝われると教えられましたが、教会の予定表では12月25日ですね、どうしてですか名古屋ハリストス正教会
  5. ^ 正教会の出典:正教会の復活祭 2003年復活祭フォトレポート名古屋ハリストス正教会
  6. ^ カトリック教会の出典:四旬節 断食(大斎・小斎) カーニバルカトリック中央協議会
  7. ^ 聖公会の出典:復活祭を迎える日本聖公会 東京教区 主教 植田仁太郎)
  8. ^ プロテスタントの出典:『キリスト教大事典』910頁、教文館、1973年9月30日 改訂新版第二版
  9. ^ ​3. なぜ12月25日にイエスの誕生を祝うのですか。」『』。2018年4月6日閲覧。
  10. ^ Laudate | キリスト教マメ知識 女子パウロ会
  11. ^ a b 許油「釈迦とイエスに関する類似性と差異性について」『アジア・キリスト教・多元性 現代キリスト教思想研究会』第3号、京都大学キリスト教学研究室、2005年、 pp. 97-99。
  12. ^ "Christmas", The Catholic Encyclopedia, 1913.
  13. ^ a b Middle English Dictionary
  14. ^ Griffiths, Emma, "Why get cross about Xmas?", BBC website, December 22, 2004.
  15. ^ 例えば、Kempe, Alfred John, "The Loseley Manuscripts", London: John Murray, 1836, p.81, 90 や Safford, William H., "The Blennerhassett Papers", Cincinnati: Moore Wilstach Keys, 1861, p.572 など。
  16. ^ 例えば Akerman, John Yonge, "Moneys Received and Paid for Secret Services of Charles II and James II", London: Camden Society, 1851. p.12 参照。
  17. ^ 安岡孝一:『X'mas』か『Xmas』か、人文情報学月報、第39号
  18. ^ 研究社の英和辞典
  19. ^ 星新蔵 『あやまりやすい英語表現』 1965年
  20. ^ 『Manuscripts and Other Rare Documents』 1836年 John Murray
  21. ^ 『4 X'mas』 2008年 George Cameron Grant
  22. ^ 『PHOTOVIDEOi』 2006年12月号
  23. ^ ジェリー・ボウラー著 『図説 クリスマス百科事典』笹田裕子・成瀬俊一訳、中尾セツ子監修、柊風舎、2007年、550-553頁。
  24. ^ 藤高 (2018), pp.148-149
  25. ^ 「クリスマスさまざま 共産党へのお祭りに力こぶ」『朝日新聞』昭和25年12月25日
  26. ^ All About 2005年12月20日『クリスマス休暇中の運行・営業時間に注意
  27. ^ 月刊しまね いわみマガジン『石見男Noviからのミシガン便り 日本は祝日が多い!?
  28. ^ 米の企業、クリスマス休暇
  29. ^ First Christmas Clara D. Lepore
  30. ^ クラウス クラハト、克美・タテノクラハト『クリスマス〜どうやって日本に定着したか』角川書店、1999年、ISBN 4-04-883598-X
  31. ^ そもそも日本はクリスマスに限らず、バレンタインデーハロウィンにも同じ事が言えるように、宗教行事の神聖性を軽視し、おしなべて商業行事として捉える傾向が非常に強い
  32. ^ a b “「クリスマス騒ぎを避けるための国」トップ10、日本が第1位”. AFPBB News. (2014年12月20日). http://www.afpbb.com/articles/-/3034674 2015年1月4日閲覧。 
  33. ^ 楽天リサーチのインターネット調査。全国18歳から69歳の男女計720人を対象に行った。|市場調査・マーケティングリサーチ会社の【楽天リサーチ】” (日本語). 楽天インサイト(旧:楽天リサーチ) (2006年12月8日). 2011年11月4日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月2日閲覧。
  34. ^ a b 「独身男女のクリスマス動向調査」 (PDF) マッチ・ドット・コム インターナショナル リミテッド社調べ(2005年11月調査、2006年11月発表)
  35. ^ 1931年(昭和6年)12月25日付 報知新聞
  36. ^ DIMSDRIVE『クリスマスの過ごし方』に関するアンケート
  37. ^ 伊誌、日本のクリスマスを特集 「愛の祭」「教徒わずか」 共同通信 2010年12月25日
  38. ^ 「クリスマス、深く内省を」 ローマ法王、経済紙に寄稿 朝日新聞 2012年12月24日 ローマ支局・石田博士記者





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