カザフスタン 経済

カザフスタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/01 02:29 UTC 版)

経済

IMFの統計によると、2017年のカザフスタンのGDPは1,594億ドル、一人当たりのGDPは推計8,762ドルであり、独立直後の経済状況(一人当たりGDP[1992年]:169ドル)に比べ、著しい飛躍を遂げている。旧ソ連崩壊後の厳しい経済状況の中、民営化を中心とする経済改革を推進、米国企業が参加するテンギス油田開発の始動などにより,1996年に独立以来初めてプラス成長を記録した。1998年には農業,重工業の低迷及びロシアの金融危機によりマイナス成長(前年比マイナス2.5%)に転じたものの、1999年以降は再びプラス成長に転じ、世界的な石油価格の上昇を追い風に、2000年以降年平均10%という好調な経済成長を維持した。但し、2007年以降は金融危機による世界的な景気の減退とともに経済成長率は鈍化し、2010年~2013年は5%前後の成長率で推移していた[28]

この経済成長は、鉱物資源の輸出によるものであり、天然資源依存型である。また、一人当たりGDPが10,000ドル以上になり(2008年頃)、マレーシアに並ぶ中進国となった。しかし、2014年ごろから原油価格下落していった。更に原油価格やロシア通貨ルーブル下落の影響を受け2015年8月に、為替相場を管理フロート制から変動相場制へ移行すると発表し、その後の1年間で、テンゲの対米ドル為替相場は、4割も下落した。こうしたテンゲの為替相場急落の影響で、インフレ率が急上昇し、これによる実質所得大幅減少のため、個人消費が落ち込んでしまい、景気は大きく失速し、2016年の一人当たりのGDPは推定10,000ドルを割った。2017年は前述した推計8,762ドルとなり、中国とほぼ同等となった[29]

通貨はテンゲである。

石油・天然ガス

カスピ海パイプライン
(テンギス油田 - ノヴォロシースク間)

国営企業カズムナイガスが中心となって、豊富な石油天然ガス資源を開発、輸出している。2016年11月、新たにカスピ海のカシャガン油田が商業生産を開始した[30]

その他鉱業

カザフスタンは石油、天然ガス、石炭、ウラン、銅、鉛、亜鉛等に恵まれた資源大国である。金属鉱業はカザフスタンにおける重要な経済部門の1つであり、GDPの約1割(石油・ガスは3割弱)を占め、石油・ガスを含む天然資源は、工業生産、輸出、国家歳入の約6割を支えている。その埋蔵量は、アメリカ地質調査所(USGS)によるとウランが世界の18%、クロムが同10%、マンガンが同5%、銅が同5%、銀が同5%、鉛が同9%、亜鉛が同8%であり、さらなる開発ポテンシャルを有している。ウランは恒常的に生産量が増加しており、特に世界金融危機を経てからは伸びが著しく、2010年の間には1万7803tU(金属ウラン重量トン)を産出して以降[31]、カザフスタンはウラン生産で世界第1位(1997年は13位)となった。今後、炭化水素、クロム、鉄は50~80年、ウラン、石炭、マンガンは100年以上の生産が可能であると言われている。一方、輸出の主要部分を占める非鉄金属及び貴金属鉱山の開発・生産は12~15年程度で枯渇する可能性が指摘されている。

カザフスタンは資源に恵まれている一方、品位の低さなどから開発に至った鉱山は確認埋蔵量の35%にすぎず、10種の鉱物(ダイヤモンド、錫、タングステン、タンタル、ニオブ、ニッケル、ボロン、マグネサイト、マグネシウム塩、カリウム塩)は未だ開発されていない。鉱床探査の不足により、近年は埋蔵量減少分が補填されず、質・量ともに低下していると指摘されており、地質調査部門の発展促進が課題となっている。

カザフスタンの鉱業における主要企業は、Tau-Ken Samruk(金属)、KAZ Minerals(銅、銀等)、Kazakhmys Corporatiopn(銅等)、 Kazzinc(亜鉛、銅等)、Eurasian Resources Group(旧:ENRC、クロム、鉄鉱石、アルミニウム、発電事業)、ArcelorMittal Temirtau (鉄鋼)、Kazatomprom(ウラン採掘を含む国営原子力公社) 等である[32]

有機鉱物資源では、石炭(約10,600万トン、世界第10位、世界シェア1.4%)[33]が優位である。品質が高いため同国で産出すると組み合わせて鉄鋼を生産している。燃料に向く低品質の亜炭はほとんど採れない[34]原油(約8,800万トン)の産出量は世界シェア2.0%に達する)[35]天然ガスは約300億と多くはない。

2017年時点における金属鉱物資源の採掘量、世界ランキング、世界シェアは以下の通りである[32]

色と面積で示したカザフスタンの輸出品目
  • ウラン(22.2千トン、世界第1位、世界シェア39.0%)
  • 鉱(745.1千トン、世界第9位、世界シェア3.7%)
  • 鉱(112.3千トン、世界第8位 2.3%)
  • 亜鉛鉱(347.0千トン、世界第9位、世界シェア2.6%)
  • ボーキサイト鉱(4,843.2千トン、世界第9位、世界シェア1.6%)
  • クロム(6,261.5千トン、世界第2位、世界シェア18.9%)
  • マンガン鉱(1,612.8千トン、世界第9位、世界シェア2.6%)
  • モリブデン鉱(0.5千トン、世界第12位、世界シェア0.2%)
  • 鉱(18,330.9千トン、世界第12位、世界シェア0.6%)
  • 鉱(85.3トン、世界第13位、世界シェア2.6%)
  • アンチモン鉱(400.0トン、世界第9位、世界シェア0.3%)
  • プラチナ鉱(0.1トン、世界第9位、世界シェア0.1%)
  • ビスマス鉱(50.0トン、世界第5位)
  • 鉱(1,028.5トン、世界第10位、世界シェア4.2%)

このほか、非金属鉱物資源として、硫黄(352万トン、世界第6位、世界シェア4.4%)とリン鉱石(150万トン)を採掘している[36]

エキバストス第一発電所のような電力事業も鉱業の傘下である。

農業




注釈

  1. ^ 現地では[кореец](ロシア語で「高麗人」の意)と呼ばれている。

出典

  1. ^ カザフスタン共和国基礎データ”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c d World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2019年3月10日閲覧。
  3. ^ Kazakhstan”. Britannica ∣language=英語. 2018年1月13日閲覧。
  4. ^ 田中洋之 (2014年2月8日). “カザフスタン:国名変更へ…スタン取り近隣諸国と違いPR”. 毎日新聞. オリジナルの2014年2月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222134216/http://mainichi.jp/select/news/20140209k0000m030025000c.html 2017年3月6日閲覧。 
  5. ^ “Kazakhstan will not change its name to get rid of the “stan” ending: Foreign Minister” (英語). Tengrinews. (2014年6月13日). https://en.tengrinews.kz/politics_sub/Kazakhstan-will-not-change-its-name-to-get-rid-of-the-stan-254165/ 2017年3月6日閲覧。 
  6. ^ ヘロドトス『歴史』巻4-13
  7. ^ ストラボン『地理誌』、アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』
  8. ^ 『史記』(大宛列伝)、『漢書』(西域伝)、『後漢書』(西域伝)、『三国志』(裴注『魏略』西戎伝)
  9. ^ 『魏書』(列伝第九十 西域)、『北史』(列伝第八十五 西域)
  10. ^ 松田壽男『古代天山歴史地理学研究』
  11. ^ 岩村 2007,p118
  12. ^ 山田信夫『北アジア遊牧民族史研究』
  13. ^ 小松 2005,p166-167
  14. ^ カザフスタンを知るための60章 312頁
  15. ^ カザフスタン国別評価
  16. ^ Statistics and Data>Crime data>Intentional Homicide>Intentional homicide victims”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
  17. ^ Statistics and Data>Crime data>Other Crimes>Robbery”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
  18. ^ Statistics and Data>Crime data>Other Crimes>Theft”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
  19. ^ カザフスタン:アクトベ州アクトベ市における銃撃戦の発生に伴う注意喚起外務省 2016年6月6日
  20. ^ カザフスタン:アクトベ州アクトベ市における銃撃戦の発生に伴う注意喚起(更新)外務省 2016年6月15日
  21. ^ カザフスタン、来年1月15日まで延長Qnewニュース 2016年8月16日
  22. ^ Blogspot.com,Wordpress.com
  23. ^ カザフスタンを知るための60章 253~254頁
  24. ^ 「シリア和平協議 捕虜交換議題に ロシア主導」『毎日新聞』朝刊2017年11月1日
  25. ^ IAEA、核燃料バンク施設完成 カザフスタンに設立共同通信2017年8月30日
  26. ^ a b http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kazakhstan/data.html
  27. ^ カザフスタン新首都アスタナ計画
  28. ^ “HP > 国・地域 > 欧州 > カザフスタン共和国 > カザフスタン基礎データ>経済>12 経済概況”. 外務省. (2019年3月5日). https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kazakhstan/data.html#section4 2019年3月10日閲覧。 
  29. ^ 堀江 正人 (2017年9月28日). “カザフスタン経済の現状と今後の展望~ シルクロードからオイルロードへ変貌する中央アジアの資源大国 ~”. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部. https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2017/09/report_170928.pdf 2019年3月10日閲覧。 
  30. ^ 【点検 成長企業】カズムナイガス■カザフスタン 国営石油、巨大油田で生産量底上げ『日経ヴェリタス』2017年12月17日号、12面(アジア)
  31. ^ Nuclear Energy Agency/ International Atomic Energy Agency, "The Red Book Retrospective" and "Uranium: Resources, Production and Demand"
  32. ^ a b “世界の鉱業の趨勢2018 カザフスタン” (PDF). 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC). (2018年12月26日). http://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2018/12/trend2018_kz.pdf 2019年3月10日閲覧。 
  33. ^ “グローバルエネルギー統計イヤーブック2018>石炭、亜炭>生産”. Enerdata. (2017年). https://yearbook.enerdata.jp/coal-lignite/coal-production-data.html 2019年3月10日閲覧。 
  34. ^ “平成 29年度海外炭開発支援事業 外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査 「世界の石炭事情調 「世界の石炭事情調 査- 2017年度 -」>第 1章 世界の石炭埋蔵量と需給動向等調査>1.2.2 石炭可採埋蔵量>(1)石炭の可採埋蔵量と可採年数(WEC 2013 に基づく)>表 1.2.2 主要な石炭資源国の可採年数(28ページ、PDF8ページ)” (PDF). 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC). (2018年3月). http://coal.jogmec.go.jp/content/300356612.pdf 2019年3月10日閲覧。 
  35. ^ “グローバルエネルギー統計イヤーブック2018>原油>生産”. Enerdata. (2017年). https://yearbook.enerdata.jp/crude-oil/world-production-statitistics.html 2019年3月10日閲覧。 
  36. ^ “MINERAL COMMODITY SUMMARIES 2019(2019年鉱産物概要)(硫黄 SULFUR:161ページ、PDF165ページ リン鉱石 PHOSPHATE ROCK :123ページ、PDF127ページ )”. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey(アメリカ内務省アメリカ地質調査所). (2019年). https://minerals.usgs.gov/minerals/pubs/mcs/2018/mcs2018.pdf#search=%27USGS%2CMCS2018%27 2019年3月10日閲覧。 
  37. ^ カザフスタンを知るための60章133~134頁,167頁
  38. ^ On Marriage (Matrimony) and Family, Legal information system of Regulatory Legal Acts of the Republic of Kazakhstan.
  39. ^ [1]
  40. ^ 日本人のほとんどが知らない中央アジアの基礎知識”. ハーバービジネスオンライン (2016年7月13日). 2016年8月24日閲覧。
  41. ^ カザフスタンを知るための60章 第52章305~309頁
  42. ^ カザフスタンを知るための60章308~309頁
  43. ^ NIKKEI ASIAN REVIEWから】カザフスタン/ローマ字移行 ロシアに背「欧米追従」一部に批判『日経産業新聞』2017年7月20日アジア・グローバル面
  44. ^ The results of the national population census in 2009 (The Agency of Statistics of the Republic of Kazakhstan) http://www.eng.stat.kz/news/Pages/n1_12_11_10.aspx





カザフスタンと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「カザフスタン」に関係したコラム

  • 株式の取引が行われる証券取引所の一覧

    2012年6月現在の日本の証券取引所、および、世界各国の証券取引所の一覧です。▼日本東京証券取引所(東証)大阪証券取引所(大証)名古屋証券取引所(名証)福岡証券取引所(福証)札幌証券取引所(札証)TO...

  • 世界の株価指数一覧

    株価指数は、証券取引所に上場している銘柄を一定の基準で選出し、それらの銘柄の株価を一定の計算方法で算出したものです。例えば、日本の株価指数の日経平均株価(日経平均、日経225)は、東京証券取引所(東証...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カザフスタン」の関連用語

カザフスタンのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



カザフスタンのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカザフスタン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2019 Weblio RSS