【空挺部隊】(くうていぶたい)
Para-trooper
空挺降下による展開を想定して編成された歩兵部隊。
敵戦線や山岳・大河・海などを越えて空挺降下し、敵地の後方に浸透する事を主任務とする。
その後は現地に空挺堡を構築して防御戦闘を行いつつ、可能なら兵站破壊や敵前線の包囲にかかる。
輸送機の性質上、あまり重量のある兵器は展開できず、装備はあまり潤沢でない。
現代では車輌を降下させる事も可能だが、重量制限は非常に厳しい。
友軍との連携が断たれればすぐさま敵中に孤立し、玉砕や投降の憂き目を見ることもままある。
危険で過酷な任務を受け持つため、訓練もそれを想定して高度かつ過酷なものとなる。
入隊時の審査も厳しく、精鋭部隊・エリート部隊とみなされる事も多い。
また、空挺降下任務の性質上、特殊部隊の母体となる事もある。
関連:ジェロニモ マーケット・ガーデン作戦 ヘリボーン
各国の主な空挺部隊
空挺兵
(空挺部隊 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/15 09:10 UTC 版)

空挺兵(くうていへい、英語: paratrooper)は、空挺部隊に属する兵士のことである。パラシュートやグライダーなどによるエアボーン戦術を実施する能力を備えている。このために厳しい訓練を行っており、また空中投下可能な装備を有することから、エアボーン戦術を用いない作戦でも、即応・空輸可能な精鋭軽歩兵部隊として投入されることもある[1]。
空挺とは、航空機を用いて部隊をすばやく機動展開させる空中機動作戦の1つで、空中挺進の略語である[2]。「挺進」を「挺身」と書く場合があるが、挺身には「身を捨てる」という意味があり、危険を顧みず自身の身を捨てて敵陣中に降下する姿を形容した語である[3]。
空挺降下
パラシュートによる戦闘降下には3つの形態がある[4]。このうち、1930年代から空挺部隊の標準的パラシュート技術とされているのが自動開傘索方式で、主力部隊の展開に用いられる[4]。これに対し、主力部隊に先行して降下する降下誘導部隊 (Pathfinder) や、少人数で隠密潜入を行う特殊部隊では、高高度降下低高度開傘(HALO)および高高度降下高高度開傘(HAHO)方式による自由降下を行う[3][4]。
陸上自衛隊の第1空挺団が自動開傘索方式で降下する場合、2014年以降は、新しく国内開発した13式空挺傘を使用する[3]。これは重量15キログラムの主傘と7キログラムの予備傘から構成されており、主傘を背負い、予備傘を腹部側に取り付ける形となる[3]。背嚢は一般隊員用とは異なる形状のものが採用されており、降下中は脚の間に吊り下げておいて、着地後に背負って行動する[3]。また89式5.56mm小銃も折曲銃床式のものが支給され、降下時には布製のケースに収納する[3]。これに加えて、カールグスタフ無反動砲や吊下げ嚢を携行する場合もあるが、これらは降下中は体から離して吊り下げておくことで、人体に過度の着地衝撃がかからないようにしている[5]。なお、このように背嚢に加えて主傘・予備傘を装着するため、空挺兵は横幅より前後幅のほうが大きくなり、また降下前の点検等動作のためのスペースも必要となるという特性があり、輸送機に搭乗する場合は配慮を要する[6]。例えば航空自衛隊のC-1輸送機の場合、一般兵であれば60名が搭乗可能であるのに対し、空挺兵であれば45名に減少し、また特に貨物室長を決定する際には空挺兵の特性が考慮された[6]。
一方、自由降下を行う場合は操縦性能に優れた自由降下傘を使用するほか[注 1]、4,000メートル以上という高高度から降下するため、高度が人に与える影響に対処するための特別な装備を使用する[4][3]。例えばHAHOでは高高度を長く滑空するため、酸素吸入を行うことが多い[4]。これに対し、HALOでは速やかに高度を下げるため酸素の所要量が少ないかわり、自由落下時に激しい風を受けるため、保温への配慮が必要となる[4]。陸上自衛隊での標準的な降下手順としては、HAHOの場合は高度2,000メートル以上の地点で開傘し、パラシュートを操縦しながら約10キロメートルを滑空するのに対して、HALOの場合は跳び出し後約60秒間は自由落下し、高度約1,000メートル地点で開傘して、パラシュートを操縦しながら目標地点に着地する[3]。
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自由降下を行うイギリス陸軍パスファインダー小隊
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降着地帯を確保したパスファインダー小隊
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上空の状態確認用のバルーンの準備
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演習において大規模降下を行うアメリカ陸軍部隊
空挺部隊
第二次世界大戦の終結までに空挺部隊を保有したことのある国は限られていたが、大戦後には飛躍的に普及した[7][注 2]。また輸送機や空中投下技術の進歩、そしてヘリボーン戦術の登場によって、空挺部隊の戦力や選択肢も飛躍的に向上した[7]。
各国の空挺部隊は、その国の国防方針や用兵思想に基づいて編成・運用されており、一様ではない[9]。第1挺進集団(帝国陸軍)と第1空挺団(陸上自衛隊)の両方で勤務した田中賢一(陸士52期。陸軍少佐、陸将補)は、空中機動作戦による迅速な展開を重視する「即応型」、装甲部隊との連携を重視する「重戦力型」、対戦車戦闘の重点形成や戦線の間隙の閉塞・翼側の援護などに用いる「限定戦術任務型」といったタイプに分類し、それぞれアメリカ陸軍、ソビエト連邦軍、西ドイツ陸軍を例とした[9]。
各国の空挺部隊
独立軍種である場合
空挺兵の先駆者であるソビエト連邦軍では、空挺兵を地上軍などと同格の、独立した軍種として扱っていた[10]。ソビエト連邦の崩壊後の独立国家共同体(CIS)諸国でも、同様の体制を踏襲している場合が多い。
空軍に所属している場合
世界で初めて大規模なエアボーン作戦を実施したドイツ国防軍では、輸送機との連携の観点もあって、空挺兵(降下猟兵)は空軍の所属とされていた[11]。また中国人民解放軍でも、空挺兵(空降兵)は空軍の所属とされている[12]。
陸・海軍に所属している場合
多くの場合、空挺兵は陸軍や海軍陸戦隊などの陸戦を所掌する軍種において、特殊技能の一つとして扱われている。
脚注
注釈
出典
- ^ Wragg, David W. (1973). A Dictionary of Aviation (first ed.). Osprey. p. 209. ISBN 9780850451634
- ^ “【陸上自衛隊】第1空挺団の降下訓練に密着”. アームズマガジンウェブ. 2022年8月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 臼井 2017.
- ^ a b c d e f g McNab & Fowler 2003, pp. 329–337.
- ^ 田中 1986, pp. 154–165.
- ^ a b 油井, 河東 & 熊谷 1972.
- ^ a b c 田中 1986, pp. 46–55.
- ^ Theotokis 2020, pp. 137–139.
- ^ a b 田中 1986, pp. 114–118.
- ^ 田中 1986, pp. 127–132.
- ^ 田中 1986, pp. 24–35.
- ^ 田中 1986, pp. 152–153.
参考文献
- McNab, Chris、Fowler, Will『コンバット・バイブル―現代戦闘技術のすべて』小林朋則 (訳)、原書房、2003年(原著2002年)。 ISBN 978-4562036240。
- Theotokis, Nikolaos (2020). Airborne Landing to Air Assault: A History of Military Parachuting. Pen & Sword Books Limited. ISBN 978-1526746993
- 臼井総理「行け! 落下傘!! 陸上自衛隊 第1空挺団!!!」『MAMOR』第124号、扶桑社、2017年6月、 NAID 40021233338。
- 江畑謙介「ヘリボーン・オペレーション」『軍用ヘリのすべて』原書房〈メカニックブックス〉、1987年、22-42頁。 ISBN 978-4562018925。
- 田中賢一『現代の空挺作戦―世界のエアボーン部隊』原書房〈メカニックブックス〉、1986年。 ISBN 978-4562017010。
- 油井一、河東桓、熊谷孜「国産中型ジェット輸送機の開発」『日本航空宇宙学会誌』第20巻第224号、1972年、476-489頁、doi:10.2322/jjsass1969.20.476。
関連項目
空挺部隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 06:38 UTC 版)
氷上竝生(ひがみなみうみ) 空挺部隊副隊長。元第九機動室隊員。空々空の秘書兼、世話係。コードネーム『焚き火』。 武力:9 行動力:7 知力:7 勘:7 経験値:7 対人能力:7 信頼:9 生命力:7 良心:7 運:7 『悲痛伝』にて空々の部下となる。弟の氷上法被と同じく、左右左危博士によって「炎血」を手に入れている。しかし、弟に比べるとその威力は落ちる。その代わり、「炎血」の発火を抑え、低音を維持することで「氷血」という冷たい炎も操る。四国ゲームにおいて、左博士に促される形で魔法少女のコスチュームを嫌々着ることになる。しかし、その後も、救助船「リーダーシップ」から脱出するときや、人工衛星「悲衛」の中での魔法と科学の融合実験など着る機会が多くなり、「悲終伝」では公式で気に入ってコスチュームを着ていることにされた。好藤覧からは「変態のねーちゃん」と呼ばれている。 悲恋(ひれん) 人造人間。 武力:10 行動力:10 知力:1 勘:1 経験値:10 対人能力:6 信頼:8 生命力:1 良心:1 運:5 『新兵器』。空々が四国の謎を解決出来なかった場合一週間に四国を沈めることになっていた。七つのステップを踏みで発動する予定だったが、工程をすっ飛ばしてステップ3で発動し四国に向かう。平泳ぎで桂浜に上陸し、そこに偶然居合わせた空々の指揮下に入る。その後、「春秋戦争」で、魔法少女「ワイヤーストリッパー」(竿沢芸来)の不意打ちから空々空を守ったり、魔法少女「フローズン」(花綵まなこ)の上半身を潰したりと圧倒的な戦力を見せつける。「悲録伝」で四国を破壊する爆弾だと言うことが明かされる。しかし、爆発する直前、魔法少女「スペース」(虎杖浜なのか)の酸素操作と魔法少女「スパート」(灯籠木四子)の火炎操作によって爆発を最小限に抑えられる。「悲亡伝」では、花屋瀟の人格をインストールして救助船「リーダーシップ」にて潜入捜査を行う。「悲球伝」では空挺部隊のメンバーを救出するために、杵槻鋼矢とともに「リーダーシップ」内で救助作戦を行った。「悲終伝」においては空々空と花屋瀟、剣藤犬个として最後の対面をする。 灯籠木四子(とうろぎ・よんこ) 魔法少女「スパート」固有魔法「火」元絶対平和リーグ、チーム『白夜』リーダー。 武力:10 行動力:1 知力:5 勘:2 経験値:7 対人能力:3 信頼:3 生命力:5 良心:2 運:2 『悲亡伝』では好藤覧と共にイギリスに向かう。『悲衛伝』では空々の惑星たちの交渉に協力する。その際、四国で『地球』から『大いなる悲鳴』の予告を受けたことを告白する。また交渉のため空々と付き合うふりをすることになる。『悲終伝』では自身のコスチュームが破れてしまい落ち込む。その後はスウェットで過ごす。 虎杖浜なのか(こじょうはま・なのか) 魔法少女「スペース」固有魔法「風」元絶対平和リーグ、チーム『白夜』。 武力:10 行動力:3 知力:5 勘:3 経験値:7 対人能力:8 信頼:7 生命力:5 良心:3 運:2 空々が初めて会ったチーム『白夜』のメンバー。徳島県の大鳴門橋で出会い、四国から脱出しようとした空々と鋼矢を通せんぼする。その後愛媛県の松山市にある絶対平和リーグ総本部跡に向かう。『悲報伝』で再び鋼矢と会い情報を渡す。 『悲亡伝』では空々と共にアメリカに向かう。自身が飛行出来るにもかかわらず飛行機が苦手。『悲衛伝』で宇宙船に乗るもやはり苦手でフラフラになる。 好藤覧(すいとう・らん) 魔法少女「スクラップ」固有魔法「土」元絶対平和リーグチーム『白夜』。 武力:10 行動力:4 知力:5 勘:2 経験値:7 対人能力:7 信頼:4 生命力:5 良心:4 運:2 『悲報伝』にて空々の戦いを見ていた。空々に春秋戦争を終わらせるように頼む。『悲亡伝』では灯籠木四子と共にイギリスに向かう。『悲終伝』では月を動かす。
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