【空挺降下】(くうていこうか)
輸送機が着陸せずに飛んだまま兵員・車両・物資などを投下する事。
投下されたものはパラシュートなどを用いて軟着陸する。
初期はハンググライダーで降下していた場合もあったが、現在ではほとんど用いられていない。
陸上移動が困難で、近隣に滑走路を確保できない場合の緊急輸送に用いられる。
最前線への救援や浸透任務、山岳や離島への展開が必要な場合などに行われる。
降下中は発見されやすく無防備であるため、交戦が想定される場合は迅速な降下が必要となる。
このため、空挺降下用のパラシュートは安全に着地できる限界速度で降下するよう設計される。
空挺部隊の降下では、パラシュートを開いた時に6~12Gの衝撃を受けるという。
これは一般的な成人男性に耐えられる限度を超えており、空挺部隊に属する将兵は、頑健な肉体と厳しい継続的訓練を必要とする。
関連:第1空挺団 ファストロープ HAHO HALO LAPES SAS
空挺降下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 06:03 UTC 版)
パラシュートによる戦闘降下には3つの形態がある。このうち、1930年代から空挺部隊の標準的パラシュート技術とされているのが自動開傘索方式で、主力部隊の展開に用いられる。これに対し、主力部隊に先行して降下する降下誘導部隊 (Pathfinder) や、少人数で隠密潜入を行う特殊部隊では、高高度降下低高度開傘(HALO)および高高度降下高高度開傘(HAHO)方式による自由降下を行う。 陸上自衛隊の第1空挺団が自動開傘索方式で降下する場合、2014年以降は、新しく国内開発した13式空挺傘を使用する。これは重量15キログラムの主傘と7キログラムの予備傘から構成されており、主傘を背負い、予備傘を腹部側に取り付ける形となる。背嚢は一般隊員用とは異なる形状のものが採用されており、降下中は脚の間に吊り下げておいて、着地後に背負って行動する。また89式5.56mm小銃も折曲銃床式のものが支給され、降下時には布製のケースに収納する。これに加えて、カールグスタフ無反動砲や吊下げ嚢を携行する場合もあるが、これらは降下中は体から離して吊り下げておくことで、人体に過度の着地衝撃がかからないようにしている。なお、このように背嚢に加えて主傘・予備傘を装着するため、空挺兵は横幅より前後幅のほうが大きくなり、また降下前の点検等動作のためのスペースも必要となるという特性があり、輸送機に搭乗する場合は配慮を要する。例えば航空自衛隊のC-1輸送機の場合、一般兵であれば60名が搭乗可能であるのに対し、空挺兵であれば45名に減少し、また特に貨物室長を決定する際には空挺兵の特性が考慮された。 一方、自由降下を行う場合は操縦性能に優れた自由降下傘を使用するほか、4,000メートル以上という高高度から降下するため、高度が人に与える影響に対処するための特別な装備を使用する。例えばHAHOでは高高度を長く滑空するため、酸素吸入を行うことが多い。これに対し、HALOでは速やかに高度を下げるため酸素の所要量が少ないかわり、自由落下時に激しい風を受けるため、保温への配慮が必要となる。陸上自衛隊での標準的な降下手順としては、HAHOの場合は高度2,000メートル以上の地点で開傘し、パラシュートを操縦しながら約10キロメートルを滑空するのに対して、HALOの場合は跳び出し後約60秒間は自由落下し、高度約1,000メートル地点で開傘して、パラシュートを操縦しながら目標地点に着地する。 自由降下を行うイギリス陸軍パスファインダー小隊 降着地帯を確保したパスファインダー小隊 上空の状態確認用のバルーンの準備 演習において大規模降下を行うアメリカ陸軍部隊
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