兵士
兵士(へいし、soldier/enlisted[1])は、古代から現代まで国家の軍隊の軍人や、それに準ずる戦闘組織の構成員であり、将官や将校といった指揮官からの命令に従って任務をこなす。個人や部族社会の戦士とは異なり、公然と戦闘のために組織に属している場合に使われる。
日本の古代、律令制においては、中国の唐の兵制を参考に編成され、人員を年齢別に記載した戸籍である正丁から一定の割合で徴発された。兵士は軍団に所属し、有事の際の出兵や辺境防備のための防人、衛士として各地へ派遣された。792年(延暦11年)に一部を除いて原則的に廃止され、任務は健児に継承される。
日本語の兵士は現代軍隊における、上位の下士官、士官に対する言葉を指すことが多い。あるいは朝鮮人日本兵を指すときのように、軍人の総称として用いられることもあり、いずれにせよ制度的な用語ではない。士官と下士官を併せて将兵、将士と呼ぶことがある。
軍隊制度を採るキリスト教会の救世軍は、信徒を「兵士」と称している[2]。
兵士の分類
近代以降の兵士について大まかな分類を列挙する。
従軍の理由
年齢
少年兵、老兵など。特に幼い少年兵は正規の少年兵と区別するため、子ども兵士(チャイルドソルジャー)などとも呼ばれる。
軍歴
新兵、熟練兵、古参兵など。退役した兵士は単に退役軍人と呼ばれることが多いが、予備役についている兵士は予備役兵と呼ばれる。
兵種
歩兵、騎兵、砲兵、工兵、憲兵、水兵など、所属する部隊の種類によって大別される。
技能
衛生兵など特技を習得している兵士に専門の呼称が与えられることがある。
役割
斥候、狙撃兵、守備兵、警備兵など果たしている役割で呼ばれる場合の呼称。
ソルジャーの語源
ソルジャー(英語:soldier)の語源は、古代ローマ時代には兵士の給与は広く利用されていた通貨であるソリドゥス金貨で支払われたため、「ソリドゥス金貨のために戦う者」を指すラテン語から来ている[3][4]。また初期には当時は生活必需品だった塩(Sal)で支払われており、これが給与(英語:salary)の語源とされる。現物支給は効率が悪いため、後に支給される塩と同額の俸給がソリドゥス金貨で支払われるようになった。
出典
- ^ “enlistedの意味・使い方”. eow.alc.co.jp. 2020年1月7日閲覧。
- ^ 軍隊形式について|救世軍
- ^ soldier(Online Etymology Dictionary)
- ^ English Etymology 著者: George William Lemon soldier項
関連項目
兵員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 01:52 UTC 版)
「ナチス・ドイツの軍事」の記事における「兵員」の解説
「国民擲弾兵」も参照 第一次世界大戦とその後の不況の影響で、兵役適格年齢者の人口は非常に逼迫していた。このため陸・海・空、そして武装親衛隊の間で兵員の獲得競争が起きた。武装親衛隊はこうした抗争で非常に低い割り当てを受けていたこともあり、ドイツ国外からの兵員補充に動くようになった。特に人員を必要としたのが陸軍であり、1942年9月20日には12万人の空軍兵士を陸軍に移し、青少年からなる民兵部隊に高射砲部隊を任せるよう指令された。 かわって不足した高射砲の運営要員には中学校や高等学校に通う満15歳以上の少年少女を動員する計画が立てられた。文部大臣のベルンハルト・ルストはこの方針に強く反発したが、ヒトラーユーゲント指導者アルトゥール・アクスマンはヒトラーユーゲントの活動阻害にならない範囲では賛成した。党官房長マルティン・ボルマンはこれらの意見をふまえてゲーリング提案に反対し、空軍は再度提案を練り直して提出した。1943年1月には動員地域の学校に通う男子生徒のみが動員されることとなり、2月から防空補助員(ドイツ語版)として動員された。この措置で34000人が動員されたが、空軍はなおも人員の増員を求めた。文部省はこれ以上生徒の動員は不可能であると拒絶し、かわって職に就いている青少年46000人が動員されることとなった。 1944年9月には16歳以上60歳までの国民を国民突撃隊として動員する命令が下された。11月には1928年生まれの空軍補助員を解任して国民突撃隊として動員し、東部外国人や国防軍などで不適格と判定された人材を防空補助員に代替する方針が決定されたが、すでに国内は混乱しており、どの程度実行されたかは定かではない。 労働力の国防軍への動員状況1939年1940年1941年1942年1943年1944年1944年9月新規召集兵数(百万人)1.4 5.7 7.4 9.4 11.2 12.4 13.0 指数100 407 529 671 800 886 929 前年度増加比率- 307% 30% 27% 19% 11% 5% 就労可能者に対する召集兵の割合3.5% 14.0% 18.3% 23.1% 27.0% 30.0% 31.4%
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「兵員」の例文・使い方・用例・文例
- それは五千人の兵員の擁する大部隊なのです。
- わが方は兵員数で敵よりも勝っている.
- 兵員輸送車[船, 機].
- 最少の兵員で戦わなければならない.
- 日本の将校は兵員給料の上前をはねるようなことはしない
- 刻下の必要に応じて兵員を増減する
- 兵員は健康状態好し、健康状態悪し
- (兵員は)銃弾雨注の下に最も冷静に立ち働いた
- 敵弾の雨下する下に立って兵員は冷静沈着に立ち働いた
- 兵員簿
- (兵員の)非常召集を行う
- 兵員は綿の如く疲労しておった
- 銃弾の雨下する下に立って兵員は冷静沈着に働いた
- 兵員の給養を減ずる
- 必要に応じて兵員を増減する
- 兵員は戦闘準備をしている
- 兵員は指定の部署に就いている
- 軍の兵員と彼らの装備を輸送する(通例装甲した)軍用車両
- 守備兵員を守るための壕
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