バター 代用バター

バター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 14:24 UTC 版)

代用バター

マーガリン」は 植物油など他の材料から作られ、バターの安価な代替品として使われる場合がある。マーガリンは冷蔵庫内などの低温下においても固くならない性質があり、使用しやすい面がある。多くのマーガリンには香料が使用されており、加熱すると風味が飛んでしまうが、バターは却って風味が増す。口語ではマーガリンを指してバターと呼ぶこともあるが、誤用である。

ピーナッツバターのように用途や外観は似ているがバターを含まない食品や、バターピーナッツなど実際にはパーム油などが使われるがバターに似た風味を持たせた食品に名前が使われることもある。マーガリン等と区別するため、本来のバターを「本バター」と呼称することもある。

その他の類似のものとして、ジアセチルという食品用香料もあり、バター風味のポップコーンなどに多く用いられている。

生産地と生産量

インド 433万トン、EU圏 206万トン、アメリカ 82万トン、ニュージーランド 47万トン、日本 6.3万トン。(2011年)[17]

インドではヒンドゥー教の教義によって、牛肉の食用が制限されているため、菜食主義者が多い。彼らは足りない栄養を主に殺生せずに得られる牛乳やバターで補う。

バター不足

日本

日本では2007年末からバターの原材料である生乳(酪農家が牛から搾る乳)生産量の減少によりバター不足が業界各メーカーで発生している。これは以前の牛乳余剰を原因とする2006年度からの生産調整で乳牛が削減されているのに加え、国内の猛暑や輸入元のオーストラリアやヨーロッパの旱魃により生産が減少したためである。各メーカーでは出荷数量の制限や価格の改定を実施している。

小売店においても特売の減少や一人当たりの購入数量の制限、在庫切れによる販売中止など、一般消費者にも影響が生じている。またバターを使用したケーキ類の値上げなどの影響も出た。

これらのバター不足に対して当時の農林水産大臣だった若林正俊は、乳業メーカーに対してバターの増産を要請した。また、農畜産業振興機構は業務用の冷凍バターの輸入を前倒しして実施し、追加輸入を行う等の対策を行った(バターは日本では関税割当制指定物品)。これらの対策の結果、少し時間はかかったもののバター不足は収まった。

その後も年によってはバター不足が散発的に発生し、その都度、緊急輸入が行われた[18]。2016年も深刻なバター不足に陥ったため、農林水産省は2017年度のバター輸入量を前年度比約2倍の13,000トンに設定している[19]

北欧

第一次世界大戦中、中立国デンマークは交戦国へバターの輸出を強化。この結果、同国では子供を中心に乳脂肪不足による眼球乾燥症が多発した[20]

ノルウェーフィンランド等の北欧諸国では2011年秋からバターの供給不足による価格高騰が発生した。当年の夏の長雨が原因で生乳の生産量が落ち込んでバターの供給量が減少[21][22]。加えて炭水化物抜きダイエットアトキンスダイエット)の流行が冬場のクリスマスシーズンを直撃したためである[21][22]。北欧ではクリスマスに大量の焼き菓子を作る風習があることと[22]、高カロリーの食事を摂らないと冬の寒さをしのげないためバターの消費が増加する。これらの国では乳製品市場が特定企業による寡占状態であり、バターの輸入にかかる関税の高さもあって品薄状態が解消される目処が立たっていない[22]。バターを密輸しようとして拘束される者も出た[21][22]

象徴

西洋では、生活の象徴として「バター」という言葉が用いられることがある。「大砲かバターか」という言葉は軍事(大砲)か生活(バター)のどちらを優先するか、という意味で用いられる。

バターは神聖な、魔術的な食料と見なされていた。民話の赤ずきんがお見舞いにバターの壺を持っていくように、ブルターニュではバターに病気を吸い取る力があるとされ、患者のベッドの傍らにバターを置いた。そして患者が亡くなるとバターも土に埋める風習があった。『リグ・ヴェーダ』では火中にバターを焚き神に祈ったとある。酸敗したヤクのバターから作るチベットバター茶も神聖な飲み物として飲まれる[23]

また、脂肪分の多い物の象徴ともなっており、例えば、ペカンは脂肪分の多いナッツが採れることから、「バターの木」と比喩される[24]。 他にも、アボカドは果肉に脂肪分が約16%も含まれているのが特徴だが、これほど果肉に脂肪が豊富なことは、いわゆる「果物」の範疇に入るものとしては珍しい[25]。このために「バターフルーツ」とも「森のバター」とも比喩される。

日本では、「バター」が西洋風の象徴として扱われ、西洋の物や西洋かぶれに対して「バタ臭い」と形容することがある。


  1. ^ USDA National Nutrient Database
  2. ^ a b デジタル大辞泉
  3. ^ 香料ジアセチルの安全性について 日本香料工業会 2007年9月3日
  4. ^ バターとは|バター研究室 雪印メグミルク
  5. ^ 乳のうまみのかたまり「バターラボ研究編」|食べよう!乳製品|食を知る|明治の食育 株式会社 明治
  6. ^ ギリシア語ラテン翻字: buturum
  7. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。
  8. ^ トゥーサン=サマ 1998, pp. 118–122.
  9. ^ Soyer, Alexis (1977) [1853]. The Pantropheon or a History of Food and its Preparation in Ancient Times. Wisbech, Cambs.: Paddington Press. p. 172. ISBN 0-448-22976-5.
  10. ^ 歴史の謎を探る会・編『江戸の食卓』61頁、河出書房新社
  11. ^ 【食のフロンティア】食材の風味豊かな「食べるバター」安納芋、ウニ…見た目も鮮やか『日経MJ』2020年3月2日(フード面)
  12. ^ : buttercream
  13. ^ 「バター‐クリーム」『大辞泉小学館
  14. ^ 「bútter・crèam」『ランダムハウス英語大辞典』
  15. ^ 「バタークリーム」『情報・知識事典imidas集英社
  16. ^ 国王陛下主催のバターランプ点火式から小学生のマーチまで―ブータンの人びとも被災者を応援―
  17. ^ USDA FAS『Dairy: World Markets and Trade』
  18. ^ 農水の緊急輸入発動は小手先 バター不足“慢性化”の深刻週刊ダイヤモンド』(2014年11月4日)2017年2月5日閲覧
  19. ^ 「バター輸入1万3千トンに 農水省17年度計画国内生産不足で倍増方針」どうしんweb・北海道新聞(2017年1月27日)2017年2月5日閲覧
  20. ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p322 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  21. ^ a b c クリスマスが迎えられない!” (2021年12月15日). 2021年6月5日閲覧。
  22. ^ a b c d e ノルウェーのバター不足危機は新ダイエット法の流行が原因?” (2011年12月17日). 2021年6月5日閲覧。
  23. ^ トゥーサン=サマ 1998, p. 123.
  24. ^ 印南 敏 監修『Cook 料理全集別巻 材料の事典』p.141 千趣会 1979年発行
  25. ^ 印南 敏 監修『Cook 料理全集別巻 材料の事典』p.143 千趣会 1979年発行


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