ジアセチル【diacetyl】
ジアセチル
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ジアセチル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/19 17:02 UTC 版)
ジアセチル(diacetyl, IUPAC名 2,3-ブタンジオン 2,3-butanedione)は、2つのアセチル基がカルボニル基の炭素同士で結合した有機化合物である。ジケトンの一種で、化学式 C4H6O2 で表される。かつて醸造業界では前駆体や同族体を含めダイアセチルとも呼ばれた[2]。食品の品質低下時の特徴的な臭気として捉えられている[2]。
- ^ Merck Index, 11th Edition, 2946.
- ^ a b 井上喬「食品とジアセチル : 古くて新しいトピックス」『日本醸造協会誌』第99巻第5号、日本醸造協会、2004年5月、315-323頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.99.315、ISSN 09147314、NAID 10012968048。
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- ^ 松井宏, 原武史, 志水弘典「2P-118 老化初期の男性に生じる体臭成分ジアセチルの発生機構とその制御(代謝工学,一般講演)」『日本生物工学会大会講演要旨集』第65巻、日本生物工学会、2013年、134頁、NAID 110009737784、NDLJP:10534115。
- ^ de Man, J. C. (1959). “The formation of diacetyl and acetoin from α-acetolactic acid”. Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas 78 (7): 480-486. doi:10.1002/recl.19590780703 .
- ^ Chuang, L. F.; Collins, E. B. (1968). “Biosynthesis of Diacetyl in Bacteria and Yeast”. J. Bacteriol 95 (6): 2083-2089. doi:10.1128/jb.95.6.2083-2089.1968 .
- ^ van Rooy, Frits G. B. G. et. al. (2007). “Bronchiolitis Obliterans Syndrome in Chemical Workers Producing Diacetyl for Food Flavorings”. Am. J. Respir. Crit. Care Med 176 (5): 498-504. doi:10.1164/rccm.200611-1620OC .
- 1 ジアセチルとは
- 2 ジアセチルの概要
- 3 毒性
ジアセチル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/30 00:25 UTC 版)
ジアセチルは汗中の乳酸と皮膚常在菌の表面反応に由来し、頭部や首筋など汗をかきやすい部位から比較的多く放散される。またジアセチルの放散量は、30代~40代の男性で特に高く、香粧品分野では中年男性に特有のにおい成分として注目されている。ミドル脂臭とも呼ばれる。
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ジアセチル
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「マロラクティック発酵」の記事における「ジアセチル」の解説
ジアセチル(2,3-ブタンジオン)はシャルドネの「バターのような」香りの原因となる化合物として知られているが、マロラクティック発酵を経ているワイン全てに影響を与えている。嗅覚で検知できるしきい値は白ワインで0.2 mg/L、赤ワインで2.8 mg/Lであり、この程度の濃度ではかすかなバターやナッツのような香りと受け止められる。5~7 mg/L (5~7 ppm)以上の濃度になるとワインの他の香りよりも圧倒的に強く感じられ、ワインにとっては悪影響となる。 乳酸菌が糖やクエン酸を代謝することでジアセチルが生成される。クエン酸はブドウ中にも元々存在するが極めて少量しか含まれないので、ほとんどの量は醸造時に意図的に添加することでまかなわれる。リンゴ酸とクエン酸がともに存在するときは両方を乳酸菌は代謝するが、リンゴ酸のほうがはるかに早く消費される。クエン酸の消費量に対してどの程度ジアセチルが生成するかは菌株による(例えば、オエノコッカス・オエニの多くの菌株ではラクトバシラス属やペディオコッカス属よりもジアセチルの生成量は少ない)ほか、ワインの酸化還元電位にも依存する。酸化還元電位が低い、すなわち樽が隙間なく充填されていないなどの理由で酸化的な環境になっている場合はクエン酸が消費されやすく、ジアセチルの生成も増える。アルコール発酵中で酵母の数がピークに達していてワイン中に二酸化炭素が高濃度に飽和しているときのような、酸化還元電位が高い場合は、ジアセチルの生成は極めて遅くなる。酵母はジアセチルを分解しアセトインやブチレングリコールに替えるため、ジアセチル濃度を低く保つ働きがある。 ジアセチルの生成には18~25℃の温かい環境下での発酵が好ましい。また、pHが低いとき(3.5以下)に生成量が増加する傾向があるが、3.2を切ると多くの乳酸菌の活動が妨げられてしまうことが一般的である。菌を植え付けず野生の乳酸菌でマロラクティック発酵を行った場合は、培養菌を用いたときよりもジアセチルが多く生じることがあるが、これは培養菌を用いる場合は初期の接種量は通常1ml当たり106コロニー形成単位であり、誘導期において菌の細胞数が少ないからである。アルコール発酵後にマロラクティック発酵を行うときもジアセチルの生成量は多くなることが多い。シャルドネからワインを造る場合はバターのような香りをつけるために高いジアセチル濃度に仕立てることが多いため、アルコール発酵後の樽での発酵を遅らせたり野生の乳酸菌を用いることがある。このシュール・リー製法によりワインは還元的な環境下で澱に数週間から長くて数か月接触することになり、ジアセチルが生成する。ただし、シュール・リー製法では実際はジアセチルは減少するという研究結果もある。これは生き残った酵母がジアセチルを代謝するためであり、それを踏まえるのであればマロラクティック発酵は澱を取り除いてから行うのが望ましいといえる。 ワインに過剰な量のジアセチルが存在しているときは二酸化硫黄が加えられることがある。二酸化硫黄がジアセチル分子と結合することで、ジアセチルの30~60%が感知できなくなる。この結合は可逆的であり、瓶内やタンク内でわずか数週間が経過しただけでジアセチル濃度は元の高い状態に戻ってしまう。二酸化硫黄をマロラクティック発酵の早い段階で添加すれば、乳酸菌の活動を抑えジアセチルの生成を止めることができる。もっとも、発酵全てが止まってしまうため、リンゴ酸が乳酸に変換されることもなくなってしまう。
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