芝木好子とは? わかりやすく解説

しばき‐よしこ【芝木好子】

読み方:しばきよしこ

[1914〜1991小説家東京生まれ本姓大島。「青果の市」で芥川賞受賞戦後、「洲崎(すさき)パラダイス」以下の連作東京下町特飲街を描く。他に自伝的三部作湯葉」「隅田川」「丸の内八号館」など。


芝木好子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/07 18:12 UTC 版)

芝木 好子
(しばき よしこ)
六興出版社『小説公園』第7巻第8号(1956)より
誕生 芝木 好子
(しばき よしこ)
1914年5月7日
日本東京府北豊島郡王子町大字王子
死没 (1991-08-25) 1991年8月25日(77歳没)
日本東京都中央区
墓地 青山霊園
言語 日本語
国籍 日本
最終学歴 東京府立第一高等女学校卒業
ジャンル 小説随筆
主題 恋愛小説
代表作 『青果の市』(1941年)
『洲崎パラダイス』(1954年)
『湯葉』(1960年)
『青磁砧』(1972年)
『隅田川暮色』(1982-83年)
主な受賞歴 第14回芥川龍之介賞(1942年)
女流文学者賞(1960年)
小説新潮賞(1965年)
女流文学賞(1972年)
日本芸術院賞(1981年)
恩賜賞(1982年)
日本文学大賞(1984年)
毎日芸術賞(1987年)
配偶者 大島清
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芝木 好子(しばき よしこ、1914年5月7日 - 1991年8月25日)は、日本小説家。生まれ育った東京下町への哀惜を託した文章で知られ、芸術と恋愛の相克に苦しむ女性の生き方を描いた小説に独自の境地を拓いた。戦後の女流文学を代表する作家の一人である。日本芸術院会員。文化功労者。「文芸首都」同人。

経歴

文春歌舞伎『京鹿子娘道成寺』の一場面(1954年12月)。左から、森田たま平林たい子五味康祐、芝木好子、小山いと子平岩弓枝加藤芳郎[1]
1954年、林芙美子の三回忌に集まった女性の文学者たち。
前列左から、小山いと子森田たま、林芙美子の母、美川きよ川上喜久子円地文子大田洋子
後列左から、宇野千代大谷藤子三宅艶子城夏子壷井栄平林たい子由起しげ子村岡花子横山美智子佐多稲子、芝木好子、板垣直子大原富枝阿部光子、峯雪栄、森三千代

東京府王子町大字王子(現在の東京都北区王子)生まれ、7歳から浅草区浅草東仲町(現在の台東区雷門)に移住。東京市田原尋常小学校(現在の台東区立田原小学校)卒。東京府立第一高等女学校(現在の東京都立白鷗高等学校)卒。1941年5月に経済学者大島清と結婚、本姓を芝木から大島へと変える。大島清については『丸の内八号館』に当時の様子が書かれている。

1941年に発表した戦時下の統制された築地青果市場を舞台に家運再興の為懸命に生きる八重の姿を描く『青果の市』で、1942年に第14回芥川賞受賞[2]。大正生まれ初の受賞であった。戦後に書いた『湯葉』(1960年)、『隅田川』(1961年)、『丸の内八号館』(1962年)の3作品は自伝三部作と言われ、作風が確立される。

他の作品に『隅田川暮色』(1982-83年)、『洲崎パラダイス』(1954年)、『夜光の女』(1955年)『葛飾の女』(1966年)など。『洲崎パラダイス』は新珠三千代主演で『洲崎パラダイス赤信号』として映画化された。また、同じく洲崎の歓楽街を舞台にした『洲崎の女』が、溝口健二の遺作『赤線地帯』の原作の一つとなっている。

工芸や美術などに打ち込む女性と、それら芸術を通じた男性との恋情を哀感豊かに描く作品が多い。

1983年日本芸術院会員、1986年(昭和61年)勲三等瑞宝章、1989年(平成元年)文化功労者。1991年8月25日、乳癌のため国立がんセンターで死去[3]

受賞歴

著書

  • 『希望』和田堀書店 1946
  • 『支柱 小説』文化交流社 文学パンフレット 1946
  • 『流れる日』万里閣 1946 のち集英社文庫
  • 『真実』世界社 文芸叢書 1947
  • 『波紋』京都印書館 1947
  • 『六年の夢』労働文化社 1948
  • 『愛情区々』パトス社 1948
  • 『流離の唄』婦人春秋社 1948
  • 『緑の小筥』宮田たず子絵 偕成社 1950
  • 『洲崎パラダイス』大日本雄弁会講談社 1955 のち集英社文庫、ちくま文庫
  • 『夜光の女』河出新書 1955
  • 『女の青春』角川小説新書 1956
  • 『女一人』現代社 現代新書 1956 「女ひとり」集英社文庫
  • 『海のない町』現代社 現代新書 1957
  • 『慕情の旅』現代社 1957 のち集英社文庫
  • 『仮面の女』講談社 1959
  • 『薔薇の木にバラの花咲く』光文社 1959
  • 『湯葉・隅田川』講談社 1961 のち新潮文庫
  • 『狂った時計』集英社 1963
  • 『跳んでる娘』東方社 1964
  • 『流れる日』東方社 1964
  • 『丸の内八号館』講談社 1964 『湯葉・隅田川・丸の内八号館』講談社文庫 1987
  • 『夜の鶴』河出書房新社 1964 のち角川文庫、集英社文庫
  • 『海の匂い 芝木好子自選集』冬樹社 1965 のち集英社文庫
  • 『葛飾の女』河出書房新社 1966
  • 『奇妙な仲』東方社 1966 改題『花霞』集英社文庫
  • 『女家族』東方社 1967
  • 『染彩』中央公論社 1967 のち文庫
  • 『巴里の門』新潮社 1967 のち集英社文庫
  • 『下町の空』講談社 1968 のち文庫
  • 『明日を知らず』河出書房新社 1969 のち中公文庫
  • 面影筑摩書房 1969 のち集英社文庫
  • 『冬の椿』講談社 1970 のち集英社文庫
  • 『幻華』文藝春秋 1971 のち集英社文庫
  • 『女の庭』読売新聞社 1972 のち集英社文庫
  • 『青磁砧』講談社 1972 のち集英社文庫
  • 『築地川』講談社 1972 『築地川・葛飾の女』講談社文庫 1977
  • 女の橋』新潮社 1973 のち集英社文庫
  • 『心づくし』読売新聞社 1973
  • 『日本の伝統美を訪ねて』日本交通公社出版事業局 1974 のち河出文庫
  • 『鹿のくる庭』中央公論社 1975 のち文庫
  • 芝木好子作品集』全5巻 読売新聞社、1975-1976
第1巻 湯葉・隅田川
第2巻 夜の鶴・葛飾の女
第3巻 面影・築地川
第4巻 染彩・幻華
第5巻 青磁砧・牡丹寺 短編集
  • 『火の山にて飛ぶ鳥』中央公論社 1975 のち文庫
  • 『黄色い皇帝』文藝春秋 1976 のち文庫、集英社文庫(昆虫研究家の五十嵐邁をモデルとした小説)
  • 『杏の花』芸術生活社 1977
  • 『牡丹の庭』講談社 1977 のち文庫
  • 『折々の旅』読売新聞社 1978
  • 女の肖像』新潮社 1979 のち集英社文庫
  • 光琳の櫛』新潮社 1979 のち文庫
  • 『羽搏く鳥』中央公論社 1980 のち文庫
  • 『玉の緒』河出書房新社 1981 のち文庫
  • 『貝紫幻想』河出書房新社 1982 のち文庫
  • 『紫の山』講談社 1983 のち文庫
  • 『ガラスの壁』新潮社 1984 のち文庫
  • 『隅田川暮色』文藝春秋 1984 のち文庫、中公文庫
  • 『落葉の季節』読売新聞社 1985 のち集英社文庫
  • 『京の小袖』講談社 1985 のち文庫
  • 『春の散歩』講談社 1986 のち文庫
  • 『華やぐとき』読売新聞社 1987
  • 『雪舞い』新潮社 1987 のち文庫
  • 『奈良の里』文藝春秋 1988
  • 『美の季節』朝日新聞社 1988 のち文庫
  • 『群青の湖』講談社 1990 のち文庫
  • 『冬の梅』新潮社 1991 のち文庫
  • 『別れの曲』集英社文庫 1991
  • 『芝木好子名作選』上・下、新潮社 1997
  • 『湯葉 青磁砧』講談社文芸文庫 2000

編纂

再話

脚注

  1. ^ 週刊文春』1959年12月14日号。
  2. ^ 日本人名大辞典+Plus,367日誕生日大事典, デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,20世紀日本人名事典,日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル版. “芝木好子(シバキヨシコ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年7月7日閲覧。
  3. ^ 岩井寛『作家の臨終・墓碑事典』(東京堂出版、1997年)163頁
  4. ^ 『朝日新聞』1982年3月3日(東京本社発行)朝刊、22頁。

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