福原麟太郎とは? わかりやすく解説

ふくはら‐りんたろう〔‐リンタラウ〕【福原麟太郎】

読み方:ふくはらりんたろう

[1894〜1981英文学者随筆家広島生まれ東京教育大学教授。著「チャールズ=ラム伝」「文学文明」など。


福原麟太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/04 13:45 UTC 版)

福原 麟太郎
1949年
人物情報
生誕 (1894-10-23) 1894年10月23日
日本広島県福山市
死没 1981年1月18日(1981-01-18)(86歳没)
出身校 東京高等師範学校
学問
研究分野 英文学
研究機関 東京高等師範学校東京文理科大学
学位 文学博士
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福原 麟太郎(ふくはら りんたろう、1894年10月23日 - 1981年1月18日[1])は、日本の英文学者随筆家翻訳家福山市名誉市民[2][3]

生涯

出生から修学期

1894年、広島県沼隈郡神村(現・福山市)で生まれた。1912年、広島県立福山中学校(現・福山誠之館高校)を卒業し、東京高等師範学校英語科に進学した。在学中、G・K・チェスタトン推理小説を訳し、『英語青年』に掲載。1917年に卒業。

1917年9月から翌1918年3月まで、静岡県立静岡中学校に英語教諭として赴任[4]。1920年、東京高等師範学校研究科を修了。この間、『英語青年』の編集に携わった。

英文学研究者として(戦前)

1921年、母校の東京高等師範学校助教授に就いた。著書、訳註を何冊か刊行した後、1929年に文部省在外研修員としてイギリス・ロンドン大学ケンブリッジ大学に留学し、トマス・グレイ作品を研究。ヨーロッパ、アメリカ旅行を経て、1931年に帰国。帰国後は、東京文理科大学助教授となった。1939年に教授に昇格し、英文学研究の指導的立場に立った。

太平洋戦争

戦後まもない1946年から1953年まで日本英文学会会長。1949年、学制改革に伴い新制大学東京教育大学の教授、また文学部長も務めた。1953年3月に東京教育大学を定年退官。退任後は、共立女子大学教授を務め、英文学者として多くの著作を刊行。1953年8月から9月には吉田健一河上徹太郎池島信平と共に英国旅行を行った。1960年に『トマス・グレイの英詩』で東京教育大学から文学博士号授を取得[5]。1963年4月から1969年3月には、中央大学文学部教授を務めた。

1981年に死去。墓所は雑司ヶ谷霊園にある。

受賞・栄典

研究内容・業績

代表作は『福原麟太郎著作集』(研究社出版)にまとめられている。英文学研究に加え、随筆家(エッセイスト)として『読書と或る人生』『われ愚人を愛す』など多数著し、晩年を経て、その文学活動は円熟味を増し高く評価された。没後に『福原麟太郎随想全集』(福武書店)が刊行された。なお初期の日本エッセイスト・クラブ賞選考委員でもあった。

福原賞(福原記念英米文学研究助成金)

没後約10年を経て「福原賞」[8]が設けられた。

著作

著書

  • 『英文学の輪廓』研究社 1923
  • 『詩心巡礼』研究社 1924
  • 『近代の英文学』研究社 1926
  • 『英文学を如何に読むか』研究社 1927
  • 『英文学の修業』研究社 1929
  • 『メリ・イングランド』文教閣 1934
  • 『春興倫敦子』研究社 1935
  • 『鏡山先生伝:父の憶ひ出』(私家版) 1937
  • 『叡智の文学』研究社 1940
  • 『新しい家』研究社 1942
  • 『文学の世界』河出書房 1946
  • 『日本の英学』生活社 1946
  • 『英国的思考』洋々書房 1947
  • 『英文学旅程』玄理社 1948
  • 『英語教育論』研究社 1948
  • 『英文学研究法』新月社 1949
  • 『英文学六講』金子書房 1950
  • 『英文学入門』河出市民文庫 1951
  • 『猫』宝文館 1951
  • 『英文学の周辺』法政大学出版局(教養新書) 1952
    • 新版 法政大学出版局(教養選書) 1976
  • 『われ愚人を愛す』文藝春秋新社 1952
  • 『人生十二の智慧』新潮社(一時間文庫) 1953
  • 『英文学の特質』岩波書店 1954 - 度々再版
  • 『新しい英国』吾妻書房 1954
  • 『この世に生きること』文藝春秋新社 1954
  • 『生活の中にある教養』河出書房(河出新書) 1955
  • 『英学雑談』研究社選書 1955
  • 『年々歳々』朝日新聞社(朝日文化手帖) 1955
  • 『藝は長し』垂水書房 1956
  • 『中流人の幸福』角川新書 1957
  • 『命なりけり』文藝春秋新社 1957
    • 文庫化 講談社文芸文庫1992
  • 『停年の設計』有紀書房 1957
  • 『愚者の知恵』新潮社 1957
  • 『昔の町にて』垂水書房 1957
  • 『日本の英語』研究社選書 1958
    • 新版 恒文社 1997
  • 『英文学小論』吾妻書房 1958
  • 『鎮魂の賦』東京創元社 1958
  • 『昔の町にて』垂水書房(英語英文学シリーズ) 1958
  • 『永遠に生きる言葉』毎日新聞社(毎日ライブラリー) 1959
  • 『英語の感覚』研究社(英語科ハンドブックス) 1959
  • 『本棚の前の椅子』文藝春秋新社 1959
  • 『トマス・グレイ研究抄』研究社出版 1960
  • シェイクスピア講演』大修館書店 1961
    • 文庫化 講談社学術文庫 1988
  • 『変奏曲』三月書房 1961
    • 新版 1979年
  • 『この国を見よ』大修館書店 1961
  • 『人間天国』文藝春秋新社 1961
  • 『諸国の旅』三月書房 1962
    • 再版 1977年
  • 『明日に新しく』帖面舎 1962
  • チャールズ・ラム傳』垂水書房 1963 - 限定版も刊
    • 新版 福武書店 1982
    • 文庫化 講談社文芸文庫 1992
    • 新版 沖積舎 2000
  • 『英文学随筆』八潮出版社 1964
  • 『野方閑居の記』新潮社 1964
    • 新版 沖積舎 1987
  • 『書斎の無い家』文藝春秋新社 1964
  • 『人間の教育』講談社現代新書 1965
  • 『文学と文明』文藝春秋新社 1965
  • 『春のてまり』三月書房 1966
    • 再版 1974年
  • 『日本の空の下』雷鳥社 1966
  • 『読書と或る人生』新潮選書 1967
  • 『英学三講』法政大学出版局(教養選書) 1967
  • 『永遠に生きる言葉』毎日新聞社 1969
  • 『人間・世間』暮しの手帖社 1969
  • 『かの年月』吾妻書房 1970
  • 『この道を行く』大和書房(わが人生観) 1971
  • 『天才について』毎日新聞社(現代日本のエッセイ) 1972
    • 改訂文庫化 講談社文芸文庫 1990
  • 『幸福について』新潮社 1972
  • ヂョンソン』研究社出版(新英米文学評伝叢書) 1972
    • 再版 1986年
  • 夏目漱石』荒竹出版 1973
  • 『詩心私語』文藝春秋(人と思想) 1973 - 選集
  • 『芝居むかしばなし』毎日新聞社 1974
  • 『われとともに老いよ』新潮社 1976
  • 『第三のクラブ』求龍堂 1977
  • 『福原麟太郎随筆選』研究社 1981 - あとがき福原雛恵
  • 『福原麟太郎集 現代の随想 11』河盛好蔵編、彌生書房 1981

作品集

  • 『福原麟太郎著作集』(全12巻) 研究社出版 1968 - 1969
  1. 『シェイクスピア』
  2. 『ヂョンソン大博士』
  3. 『トマス・グレイ研究』
  4. 『評傳チャールズ・ラム』
  5. 『随筆Ⅰ 旅・人』
  6. 『随筆Ⅱ 身辺』
  7. 『随筆Ⅲ 人生・読書』
  8. 『随筆Ⅳ 日記・劇評』
  9. 『英語教育論』
  10. 『英文学評論』
  11. 『イギリス人』
  12. 『英文学の歴史』
  • 『福原麟太郎随想全集』(全8巻) 福武書店 1982
  1. 『人生の知恵』
  2. 『本棚の前の椅子』
  3. 『春のてまり』
  4. 『学問のすがた』
  5. 『メリ・イングランド』
  6. 『この国を見よ』
  7. 『思い出の記』
  8. 『日記・書簡』
回想・書誌
  • 『福原麟太郎追悼録』福原雛恵[9] 編、同刊行会 1987
  • 『福原麟太郎著作目録』藤井哲編著、九州大学出版会 2014

共著・編著・その他

  • An Elegy Written in a Country Churchyard by Thomas Gray. The Three Manuscripts. Henry Bergenとの共編著, Primrose Hill, 1933
  • ローマ字で引く国語新辞典』山岸徳平共編、研究社出版 1952
    • 新版 1968・2010年
  • 『文学要語辞典』編著、研究社出版 1960
  • 『英語教育辞典』編著、研究社出版 1961
  • 『イギリスの文学』(文学案内 4) 著者代表、新潮社 1963
  • 『ベーコン』(世界の名著 20) 責任編集[10]、中央公論社 1970
    • 新版 中公バックス 1979
  • 『文学的人生』研究社出版 1970 - 対話集
  • 『二都詩問』吉川幸次郎共著、新潮社 1971、復刊 1992

訳書

記念論集
  • 『近代の英文学:福原麟太郎先生還暦記念論文集刊行会』研究社出版 1955

脚注

  1. ^ 福原 麟太郎 - Webcat Plus”. webcatplus.nii.ac.jp. 2023年7月7日閲覧。
  2. ^ “福原麟太郎の資料を福山市に”. 中国新聞. (2013年10月23日). http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201310230021.html 2013年10月24日閲覧。  Archived 2013-10-29 at the Wayback Machine.
  3. ^ 福山市の名誉市民”. 福山市. 2022年7月13日閲覧。
  4. ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 35頁。
  5. ^ CiNii(学位論文)
  6. ^ 『朝日新聞』1963年4月10日(東京本社発行)朝刊、14頁。
  7. ^ 『朝日新聞』1963年11月29日(東京本社発行)朝刊、14頁。
  8. ^ 正式には福原記念英米文学研究助成金。新進・中堅の英米文学研究者への研究助成制度で、雛惠夫人の遺言により設立。
  9. ^ 私家版(箱入文庫判)で、編『福原麟太郎随想録』(講談社出版サービスセンター 1989)がある
  10. ^ 訳は成田成壽が担当



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