中尾都山とは? わかりやすく解説

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なかお‐とざん〔なかを‐〕【中尾都山】

読み方:なかおとざん

[1876〜1956]尺八家。初世大阪生まれ本名、琳三。虚無僧(こむそう)として修業ののち、明治29年(1896)都山流創始


中尾都山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/10 16:06 UTC 版)

中尾 都山 (初代)
基本情報
出生名 中尾 琳三
生誕 1876年10月5日
出身地 日本 大阪府
死没 (1956-10-10) 1956年10月10日(80歳没)
職業 尺八奏者、作曲家都山流流祖
担当楽器 尺八

中尾 都山(なかお とざん)は都山流尺八名跡(初代~四代)、一般には初代中尾都山(本項で記述)を指す。

人物・経歴

1876年(明治9年)10月5日、大阪府茨田郡(現・枚方市)にて父中尾治郎平、母み津の次男として誕生。本名は中尾琳三。虚無僧として修業ののち、1896年(明治29年)2月15日に都山流を創始。[1]尺八は江戸時代には虚無僧が独占し、演奏する曲も宗教的なものがほとんどであったが、1903年(明治36年)の「慷月調」を始めとして、従来の古典尺八曲にはない新しい「都山流本曲」を次々と作曲。また古典尺八曲がほとんど独奏曲だったのに対し、都山は合奏曲の本曲という新しい分野を開拓した。大正時代に入り新進箏曲家宮城道雄らと共に巡回演奏を行うなど、その頃急速に広がりを見せていた新箏曲や新日本音楽の普及に貢献した。都山流は評議員制度の導入など当時としては画期的な運営もあり大組織の樹立に成功、琴古流と並ぶ勢力を一代で築いた。[2]
これらの功績により、1953年(昭和28年)に日本芸術院賞を受賞。 [3]

年表

  • 1876年(明治9年) 誕生。
  • 1896年(明治29年) 大阪市天満にて都山流尺八指南の看板を掲げる。
  • 1903年(明治36年) 最初の都山流本曲「慷月調」を作曲。
  • 1915年(大正4年) ロシア演奏旅行。
  • 1916年(大正5年) 朝鮮、満州演奏旅行。
  • 1922年(大正11年) 活動の拠点を東京に移す。
  • 1925年(大正14年) 宮城道雄と同道し、西日本縦断演奏旅行。
  • 1930年(昭和5年) 演奏活動を休止し、門人育成、作曲等に専念する。
  • 1945年(昭和20年) 東京で戦災に遭い枚方へ転居。
  • 1949年(昭和24年) 京都市北区紫野へ転居、以降は京都で過ごす。
  • 1953年(昭和28年) 日本芸術院賞受賞。
  • 1956年(昭和31年) 死去、享年80。

主な作品

  • 「慷月調」
  • 「岩清水」
  • 「寒月」
  • 「木枯」
  • 「朝風」
  • 「峰の月」
  • 「磯馴松」
  • 「霜夜」
  • 「春の光」
  • 「若葉」
  • 「朝霧」
  • 「八千代」
  • 「夜の懐」

受賞歴

  • 1953年 日本芸術院賞(第9回)
  • 1971年 上方芸能人顕彰(昭和46年度)[4]

二代目以降

二代目中尾都山

初代都山の子、1944年1月9日生れ、本名・稀一。1956年に12歳で二代目を襲名。武蔵野音楽大学[5]。 1974年10月12日に30歳で早世[6]

三代目中尾都山

(1905年4月22日 - 1990年1月6日)[7]

二代目都山の実母、本名・中尾れん。二代目の急逝を受け、三代目を襲名し都山流を引き継いだ。

(一方で、二代目都山の長女中尾美都子(1969年3月7日生れ)が、流の幹部島原帆山らの後援により家元権を主張。最終的に新都山流初代宗家を名乗ることとなり、また島原帆山は日本尺八連盟を設立するなど、都山流は分裂した。[8][6]

四代目中尾都山

初代都山の孫(初代の長男治正の子)、1948年生れ、本名・正幸。1990年に四代目を襲名。

脚注

出典

  1. ^ 流祖・中尾都山 都山流尺八楽会
  2. ^ 中尾都山 コトバンク
  3. ^ 都山流の歴史 都山流尺八楽会
  4. ^ 昭和46年度 上方芸能人顕彰 geinin.jp
  5. ^ 中尾都山(2代) コトバンク
  6. ^ a b 尺八 都山流 分裂記録
  7. ^ 中尾都山』 - コトバンク
  8. ^ 葛山幻海『まるごと尺八の本』青弓社、2014年、240頁。ISBN 978-4-7872-7360-4 

外部リンク



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