丸谷才一とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 作家 > 歌人 > 歌人 > 丸谷才一の意味・解説 

まるや‐さいいち【丸谷才一】


丸谷才一

丸谷才一の俳句

ずんずんと鼻毛の伸びる梅雨かな
仮縫で二三歩あるく春着かな
蛇の出た穴大きくて武蔵ぶり
見送りて目薬をさす帰雁かな
 

丸谷才一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 14:11 UTC 版)

丸谷 才一(まるや さいいち、1925年大正14年)8月27日[1] - 2012年平成24年)10月13日[2])は、日本小説家文芸評論家翻訳家随筆家日本芸術院会員、文化功労者文化勲章受章者。


注釈

  1. ^ 小澤征爾だつて高橋悠治だつて、わたしが声を張り上げて、「それは猫であるべくあまりに大きすぎるからライオンにちがひない」なんてことを教へてやつたのである。」と丸谷は述べている[6]。なお丸谷と開高健井上光晴 は「文壇三大音声」と呼ばれていたという。
  2. ^ 「わたしの二十代の末から十数年間の国学院時代――と名づけてゐるのですが、その国学院時代のわたしの生活にいちばん縁の深いのはこの三人(注・橋本一明菊池武一佐藤謙三)でした。この三人に、安東次男さんと中野孝次永川玲二とを加へれば、わたしのあのころの、学校教師としての生活が全部出て来る。」と丸谷は述べている[8]
  3. ^ 第22回群像新人文学賞における『風の歌を聴け』(1979年)の丸谷の選評。「とにかくなかなかの才筆で、殊に小説の流れがちつとも淀んでゐないところがすばらしい。二十九歳の青年がこれだけのものを書くとすれば、今の日本の文学趣味は大きく変化しかけてゐると思はれます。この新人の登場は一つの事件ですが、しかしそれが強い印象を与へるのは、彼の背後にある(と推定される)文学趣味の変革のせいでせう」[43]
  4. ^ 第81回芥川賞における『風の歌を聴け』の丸谷の選評。「もしもこれが単なる模倣なら、文章の流れ方がこんなふうに淀みのない調子ではゆかないでせう。それに、作品の柄がわりあひ大きいやうに思ふ」[44]
  5. ^ 第83回芥川賞における『1973年のピンボール』(1980年)の丸谷の選評。「村上春樹さんの中篇小説は、古風な誠実主義をからかひながら自分の青春の実感である喪失感や虚無感を示さうとしたものでせう。ずいぶん上手になつたと感心しましたが、大事な仕掛けであるピンボールがどうもうまくきいてゐない。双子の娘たちのあつかひ方にしても、もう一工夫してもらひたいと思ひました」[45]
  6. ^ 羊をめぐる冒険』(1982年)の丸谷の評。「現代日本人と、日本の持ってる土俗的なものとの関係をずいぶんよく書いているな、と思ってぼくは面白かった。そういう、現代日本にある土俗的なもの、古代的なものに対して、日本の若い知識人が持っている知的困惑、それをあのくらい丁寧に付き合って書いた小説はないんじゃないの。非常に面白いところをやっているとぼくは思います。知的冒険という性格の小説で、なかなかいいとぼくは思う。あれは一種の『古事記』だもの(笑)」[46]
  7. ^ 第21回谷崎潤一郎賞における『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社、1985年)の丸谷の選評。「村上春樹氏の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、優雅な抒情的世界を長篇小説といふ形でほぼ破綻なく構築してゐるのが手柄である。われわれの小説がリアリズムから脱出しなければならないことは、多くの作家が感じてゐることだが、リアリズムばなれは得てしてデタラメになりがちだつた。しかし村上氏はリアリズムを捨てながら論理的に書く。独特の清新な風情はそこから生じるのである。この甘美な憂愁の底には、まことにふてぶてしい、現実に対する態度があるだらう」[47]

出典

  1. ^ 日本人名大辞典上田正昭他監修、講談社、2001年12月6日、1800頁。ISBN 978-4-06-210800-3https://kotobank.jp/word/丸谷才一-1640912022年5月22日閲覧 
  2. ^ a b 丸谷才一さん死去 作家・評論家・英文学者、87歳」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2012年10月14日。2022年5月22日閲覧。
  3. ^ 丸谷才一さん死去:深い教養とユーモア 「考える快楽」描き日本問う」 『毎日新聞』 2012年10月14日朝刊。
  4. ^ 他の二人は開高健井上光晴である(「昭和史における丸谷才一」菅野昭正編『書物の達人 丸谷才一』集英社新書 2014年pp.33-61)。
  5. ^ 『挨拶は一仕事』朝日文庫 2013年
  6. ^ 丸谷才一「わたしの声について」『男のポケット』新潮社、1976年4月。
  7. ^ 丸谷才一『低空飛行』新潮文庫、1980年5月、山口瞳の解説より。
  8. ^ 丸谷才一『低空飛行』新潮文庫、149頁。
  9. ^ 「紅葉全集」全12巻+別巻1、岩波書店、1993-1995年。「第6巻 多情多恨 青葡萄」の解説を執筆。
  10. ^ 朝日賞 2001-2019年度”. 朝日新聞社. 2023年1月7日閲覧。
  11. ^ 『別れの挨拶』(「クリムト論」)
  12. ^ 「御礼言上書を書き直す」『文藝春秋』2012年1月号
  13. ^ 山形県名誉県民・山形県県民栄誉賞”. 山形県. 2022年7月29日閲覧。
  14. ^ 『別れの挨拶』(「未来の文学を創る」)
  15. ^ 『別れの挨拶』(「わが青春の1ページ」)
  16. ^ 『別れの挨拶』集英社文庫
  17. ^ 「怪談・俳諧・墓誌」(『書物の達人 丸谷才一』]pp.97-124)。
  18. ^ 『別れの挨拶』(「男の小説」)
  19. ^ 「産経抄」『産経新聞産業経済新聞社、2012年5月11日、東京朝刊、1面。
  20. ^ 「プロ野球 日本シリーズ〈第1戦〉丸谷才一さんが見た、38年ぶりの“大洋”」『毎日新聞毎日新聞社、1009年10月19日、東京朝刊、1面。
  21. ^ a b c 選手に責任はない! | 野球コラム - 週刊ベースボールONLINE
  22. ^ 文學界』1968年9月号
  23. ^ 清水徹解説『エホバの顔を避けて』中公文庫 1977年
  24. ^ 『群像日本の作家25 丸谷才一』小学館 1997年
  25. ^ 『新鋭作家叢書 丸谷才一集』河出書房新社 1972年
  26. ^ 米原万里『打ちのめされるようなすごい本』文藝春秋 2006年
  27. ^ 「読むこと書くこと」(『文学ときどき酒』)
  28. ^ 『ロンドンで本を読む』光文社知恵の森文庫(幾野宏訳「一人分のチャーハン」)、初出『オブザーヴァー』1988年4月10日号
  29. ^ 『たった一人の反乱』講談社文芸文庫 1997年(三浦雅士「解説」)
  30. ^ 湯川豊「解説」(『持ち重りのする薔薇の花』新潮社 2015年)
  31. ^ 中国語版『樹影譚』2010年 序文(『星のあひびき』集英社文庫 2013年「私の小説」)
  32. ^ 丸谷「私小説に逆らつて」(『別れの挨拶』集英社 2017年)
  33. ^ 井上ひさし「解説」(『ボートの三人男』中公文庫 1976年)
  34. ^ 『思考のレッスン』文春文庫 2002年「レッスン2 私の考えを励ましてくれた三人」
  35. ^ 『新潮日本文学48 中村真一郎集』新潮社 1972年(解説)
  36. ^ 丸谷「書評と「週刊朝日」」「扇谷正造と齋藤明が作ったもの」(『快楽としての読書 日本篇』筑摩書房 2012年)
  37. ^ 『ロンドンで本を読む』光文社知恵の森文庫(「イギリス書評の藝と風格について」)
  38. ^ a b 湯川豊「書評の意味―本の共同体を求めて」(菅野昭正編『書物の達人 丸谷才一』集英社新書 2014年 pp.63-95)
  39. ^ 丸谷「三ページの書評欄二十年」(『別れの挨拶』集英社 2017年)
  40. ^ 瀬戸川猛資「あまりにも予見的な」(『深夜の散歩』ハヤカワ文庫 1997年)
  41. ^ 杉本秀太郎「解説」(『横しぐれ』講談社文庫 1978年)
  42. ^ 川本三郎「解説」(『別れの挨拶』集英社 2017年)
  43. ^ 『丸谷才一全集』第12巻、文藝春秋、2014年9月10日、363頁。
  44. ^ 『丸谷才一全集』第12巻、前掲書、255頁。
  45. ^ 『丸谷才一全集』第12巻、前掲書、258頁。
  46. ^ 『丸谷才一批評集 第1巻 日本文学史の試み』文藝春秋、1996年5月、150頁。
  47. ^ 『丸谷才一全集』第12巻、前掲書、307頁。
  48. ^ 村上春樹『村上さんのところ」(新潮社、2015年)p.63。
  49. ^ 吉田秀和文化勲章を祝う会 2007.2.6「わが文章の師」(『あいさつは一仕事』 )
  50. ^ 朝日新聞 2012.5.29夕刊「われわれは彼によって創られた 吉田秀和を悼む」(『別れの挨拶』)
  51. ^ 吉田秀和さんお別れの会での挨拶 2012.7.7「吉田秀和と私」(『別れの挨拶』)
  52. ^ 文化勲章受賞を祝ふ会での御礼の挨拶 2011.12.1「私小説に逆らつて」(『別れの挨拶』)
  53. ^ 『桜もさよならも日本語』新潮文庫ISBN 41011690551989年7月、214頁~216頁。
  54. ^ 編者菅野昭正ほか、川本三郎、湯川豊、岡野弘彦、鹿島茂、関容子の講演録


「丸谷才一」の続きの解説一覧



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「丸谷才一」の関連用語

丸谷才一のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



丸谷才一のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの丸谷才一 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS