自動車競技 レギュレーション(規則)

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自動車競技

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レギュレーション(規則)

使う道具の優劣を競う面も持つ自動車競技の規則には、大別してスポーティングレギュレーション(競技規則)テクニカル・レギュレーション(技術規則)の2種類が存在する。

規則はカテゴリによって様々であるが、資金力で優劣が決しやすく、参加者の出入りが激しい自動車競技の規則は、自由な競争と性能均衡という二律背反の事項を両立するために知恵が絞られているのが大きな特徴と言える。

ホモロゲーション

2002年WRCの三菱はFIAとの見解の相違により、ランサーエボリューションの最低生産台数をクリアしたと認められず、ランサーセディアを「ランサーエボリューションWRC」として投入していた。

車両の構造物・部品の多くは、運営からホモロゲーション(公認)を得た物でなければ使用できない。構造物・部品を新規に開発する場合は、そのたびに公認を取得する必要がある。ただし現代においては公認取得の回数は制限されている場合が多い。これは規模の大きいチームが資金力に物を言わせて開発を続々と進め、他の資金力で劣るチームたちがついていけなくなるような状況を避けるためであり、ひいては参戦コストを下げてチームの新規参入や継続的参戦を促すためである。この回数を制限されているホモロゲーションの取得の権利は、カテゴリによっては「ジョーカー[50]などと呼ばれている。一年間に複数回取得できるならまだいい方で、構造物や部位によっては、1回ホモロゲーションを取得したら数年に渡って使用しなければならない場合もある。トップカテゴリでは特にホモロゲーションの取得回数制限が厳しい傾向があり、基本設計のミス次第では以降数年間の優劣を決定してしまうこともある。

技術的に規則に合致していることはもちろんであるが、ツーリングカーやラリーのように市販車との関連性を重視する競技では、市場で最低数百ないし数千レベルで生産・販売されていることがホモロゲーション取得条件に設定されている。一見すると不利に見えるような市販車をベースにしているケースの多くは、この最低生産台数が理由である。

性能調整

SUPER GTのGT300クラスは事実上3つの車両規格が混在しているため、誰もが満足するような性能調整が難しくなっている
グループRallyグループR-GTなどのラリーカー規定では、パワーウェイトレシオを統一するという方法で性能均衡が行われている。

現代のレースでよく用いられる規則として、性能調整(Balance of Performance、BoPとも)が存在する。これは各メーカーが自由に開発しホモロゲーションを取得した競技車両たちに、運営側が共通のテストやアルゴリズムの下に計算した上で、ウェイト(重量物)やリストリクターの装着、燃料タンク容量の増減などを行い、戦闘力を均一にするものである。これにより参戦車種のバラエティを増やし、参加者もファンも楽しませることが可能となるが、一方で100%正確に戦闘力を均一にするのは不可能であるため、どうしても異なるサーキットやコンディションにおける有利・不利が出てしまう。そのため参加者やファンが勝敗の原因を実力ではなく性能調整のせいにし、喧嘩に近い議論を呼ぶこともある。また有利な性能調整を受けられるように、参加者が公式練習や予選でわざと本気を出さないで性能調整のやり直しを求めるという駆け引きもあり、これもよく議論の対象となっている[51]

同じような概念で、GTやツーリングカーレースでよく用いられるものにサクセスバラストウェイトハンデがある。性能調整はレース本番前だが、これらはレース後の結果に対して課せられるウェイトやリストリクターのハンデで、性能調整に比べると事後的ではあるため効果が出るのは遅いが、その分公平性を期しやすいメリットがある。しかしこちらも「勝ったチームがペナルティを課せられているみたいだ」「強いチームほど勝てなくなるのはおかしい」などの批判が事あるごとに沸き起こっている。またポイントシステムや残りレース数などを計算した上で、わざとライバルを前に行かせて後のレースを有利にするような駆け引きが行われることがあり、複数の参加者が同じことを考えていると、速さを競うレースなのに前を譲り合うような、ともすると情けない光景が繰り広げられることもある。そのためSUPER GTでは、最終2戦でハンデを軽減あるいはゼロにすることで、そうした事態を避けている。

上記の手法はすべての自動車競技で用いられているわけではなく、例えばフォーミュラカーレースではあまり見られない。しかしそこでも異なるエンジン気筒数や排気量、駆動レイアウトなどが混在している場合、それらの勢力均衡させるために開発前に配られるレギュレーションの段階で異なる参加条件(エンジン回転数や最低重量など)が設定されたことはあり、そのバランスをめぐってやはり議論が何度も繰り返されてきた。そのため現在では、エンジンのバラエティを追求するよりも、公平さを重視して気筒数・排気量を完全に統一した上で開発競争を行うカテゴリが主流となっている。

突き詰めると全員が同じ車体・同じ部品を使う「ワンメイク」が最も平等で簡単な解決策に見えるが、それでは車種や技術のバラエティが無く、開発競争に興味を持つ企業やエンジニア、ファンを惹きつけられないという別方向の問題が浮上する。なるべく多くの参加者とファンが納得できるようなレギュレーション作りは、自動車競技運営の永遠の課題である。


注釈

  1. ^ 応募車両の動力には「圧縮空気」「重力」「家畜動力併用」など、本気で出場する気があったのか疑わしい内容も多数存在したという。現実のレースに出場したのは蒸気自動車とガソリン自動車・オートバイだけであった。

出典

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  2. ^ 折口 1970, p. 20.
  3. ^ a b c 折口 1970, p. 22.
  4. ^ アメデー・ボレーと息子のアメデー2世およびレオンは、1873年以来長らく蒸気自動車を開発し続けていた。このレースでラ・ヌーヴェルは鈍足ながら十分な信頼性を示し、途中リタイアしたドライバーたちを拾ってルーアンまで完走している。
  5. ^ 宇宙物理学者のジョルジュ・ルメートルではない。
  6. ^ “I Paris-Rouen Trial”. Racing-Database.com. http://www.racing-database.com/Race.asp?GP=I%20Paris-Rouen%20Trial 2010年9月24日閲覧。 
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  13. ^ “The Greatest Race – 1908 New York to Paris (Page #3)”. sportscardigest.com. (2011年9月28日). http://www.sportscardigest.com/the-greatest-race-1908-new-york-to-paris/3/ 2012年11月13日閲覧。 
  14. ^ 折口 1970, p. 49.
  15. ^ “Renault De Louis Renault a la estatización”. Test del ayer. http://www.testdelayer.com.ar/Historia%20Renault%20Comienzos.htm 2010年9月24日閲覧。 
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  17. ^ たとえば電気回路の「回路」もサーキットであるが、電気の場合、電源から出て電源に戻るように接続されたものが「回路」である。
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  27. ^ 追突防止用の赤色リアランプ(リアフォグランプ、バックフォグランプ)は装備しており、ウェットレースでは点灯が義務付けられる。
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  50. ^ ここでは「切り札」の意味
  51. ^ ただし現代ではデータロガーの精度・情報量やデータ解析の技術が格段に向上しているため、簡単にはごまかせない
  52. ^ a b 国や地域による
  53. ^ 2009年を除く。また2020・2021年はカレンダー入りしているが、2020年9月時点で未開催
  54. ^ 現在はパリを使用しないルートであるが現在でも「パリダカ」と呼ばれることがある。
  55. ^ 自動車競技の楽しみ. 論創社. (2002-2). ISBN 978-4846002213 
  56. ^ “Chamiers Histoire et histoires”. Mairie de Coulounieix-Chamiers. (1988年). http://www.coulounieix-chamiers.fr/1-33585-Au-Sault-du-Chevalier...-en-1898.php 2011年2月7日閲覧。 





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